南沙諸島

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南沙諸島(スプラトリー諸島)
Spratly Islands-CIA WFB Map.png
Paracel Spratly Islands.png
地理
場所 南シナ海
座標 北緯8度38分 東経111度55分 / 北緯8.633度 東経111.917度 / 8.633; 111.917座標: 北緯8度38分 東経111度55分 / 北緯8.633度 東経111.917度 / 8.633; 111.917 (南威島)
島数 約20(岩礁や砂州を含む)
主要な島 太平島
パグアサ島
西月島
南威島
ノースイースト島
サウスウエスト島
景宏島
面積 5km2 (1.9 sq mi) 以下
海岸線長 926 km
最高標高 4メートル (13 ft)
最高峰 サウスウエスト島
パラワン州
カインホア省
直轄市 高雄市
海南省
サバ州
人口統計
人口 原住民なし
南沙諸島
中国語
繁体字 南沙群島
簡体字 南沙群岛
ベトナム語
クオック・グー Quần Đảo Trường Sa
マレー語
マレー語 Kepulauan Spratly,
Gugusan Semarang Peninjau
フィリピン語
タガログ語 Kapuluan ng Kalayaan

南沙諸島(なんさしょとう)またはスプラトリー諸島(Spratly Islands)は、南シナ海南部に位置する岩礁砂州からなる島嶼群である。岩礁・砂州を含む約20の小島(およそ島と言えるものは12)があり、これらの多くは環礁の一部を形成している。

概要[編集]

島は最大でも約0.5 km2しかなく、ほとんどの島は本来、一般人が普通に居住できる環境にはない[要出典]。しかし広大な排他的経済水域(EEZ)の海洋資源や石油・天然ガスなどの海底資源埋蔵が見込め、軍事的要衝でもあるため、中華人民共和国中華民国台湾)、ベトナムフィリピンマレーシアブルネイが諸島全部または一部の主権領有)を主張している[1][2]。また1982年の「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約、発効は1994年11月)」で定められた排他的経済水域と大陸棚の主権的権利および排他的経済水域の管轄権についても主張されている。現在は、ブルネイを除く5か国(中華民国を含む)が島や環礁などを実効支配しており、多くの主要な島などには、軍隊・警備隊などが常駐している[3]

また、干潮時にも海面に姿を現さない岩礁や砂州・環礁などの浅瀬に対しても各国が主権(領有)を主張しており[要出典]、特に中国は南沙諸島、中沙諸島西沙諸島東沙諸島を総称して南海諸島と呼び、その全域の主権(領有)を主張している[4]。中国が主張する境界線は、その線の数から「九段線」、その線の形から「U字線」あるいは「牛舌線」と呼ばれている[5][6]

1945年第二次世界大戦終結まで領有していた日本が、敗戦に伴う戦後処理において1952年(昭和27年)4月28日発効のサンフランシスコ講和条約により、新南群島(南沙群島)および西沙諸島に関する権利、権原および請求権の放棄を国際社会に向けて明言した。(第2条(f)項)[7] しかし、この条約において領有権の放棄を明言したものの、具体的な帰属先については明言されていなかったため、この空白地域を巡って近隣諸国間での領有権問題が発生している。

領有権をめぐる歴史[編集]

ベトナムを植民地支配していたフランスによる領有[編集]

1885年6月以前、ベトナムを含め、南沙諸島は清朝領だった[要出典]清仏戦争後、フランス領インドシナとしてベトナムを植民地支配していたフランスが、1930年からいくつかの島々を実効支配し、1933年4月にフランス軍が現在の太平島を占拠し、日本人を退去させる。ベトナム南部の総督M. J. Krautheimerが、同年12月21日に4702-CP号政府決定により、当時のバリア省の一部とする。1935年4月フランスが30人のベトナム人を太平島に移住させる。1945年の日本の敗戦以降、空白となった南シナ海の島々をフランス軍はいち早く占領したが、ベトナム内戦の影響ですぐに撤収する[6]

日本による領有[編集]

1907年に日本漁船が現在の太平島付近で操業を開始し、1929年4月に日本人が太平島での硫黄採掘事業を開始した。世界恐慌の影響を受け間もなく採掘は中止となり、日本の業者は離島する。1933年4月にフランス軍が太平島を占拠し、日本人を退去させる。1935年に平田末治と海軍省台湾総督府が協力して開洋興業株式会社を設立。1936年12月に開洋興業が太平島で硫黄採掘調査を実施。1938年にフランス軍やベトナム漁民を追い出し占領した日本が領有を宣言し、「新南群島」と命名する。1939年(昭和14年)3月30日付の台湾総督府令第31号により、新南群島が大日本帝国の領土として、台湾高雄市に編入される[8][注 1]。1945年の第二次世界大戦終結まで日本が支配を続ける。1939年の台湾総督府告示第122号による新南群島中における主なる島嶼は、北二子島南二子島西青島三角島中小島亀甲島南洋島長島(後に中華民国が太平島と命名)、北小島南小島飛鳥島西鳥島丸島である。資源開発としてリン鉱石採取の従事者が在住していたが、戦火の拡大により撤退する。1945年中華民国に降伏する時に中華民国に返還した。中華民国はアメリカの艦船で巡視し、受け取った[要出典]。1952年(昭和27年)発効のサンフランシスコ講和条約により、新南群島(南沙群島)および西沙諸島に関する権利、権原および請求権の放棄を国際社会に向けて明言した。

中華民国による領有権主張[編集]

1945年に主権回復を宣言する。中華民国政府は「太平号」など4隻の軍艦を派遣して、1946年末までに主だった島々の占領を終え、測量も行って「南海諸島位置図」を作成する[6]。その後の中華民国(台湾)は、南シナ海は「中華民国の領土」との位置づけは変えずに、軍用空港を有する太平島(南沙諸島の北部に位置する南沙諸島最大の島でティザード堆の一部を形成。高雄市の一部として実効支配)と東沙諸島(実効支配)の現状維持に徹して、中国のように新たな島の占領などは行っていない[6]

フィリピンによる領有権主張[編集]

1949年に一部の領有を宣言する。[要出典]1994年に排他的経済水域に関する規定が定められた「国連海洋法条約」が発効すると、中沙諸島のスカボロー礁周辺海域の管轄権を主張した。2009年には「領海基線法」を制定し、南沙諸島の一部の島・礁(太平島を含む)および中沙諸島のスカボロー礁を正式にフィリピンの領土とした。フィリピンは、南沙諸島において滑走路を有するパグアサ島 (中業島)はじめとする島や砂州を10か所近く実効支配している。数においては、ベトナム、中国に次ぐ3番目である。

南ベトナムによる領有権主張[編集]

1951年のサンフランシスコ講和条約で日本が領有権を放棄した後、1956年10月22日に南ベトナム政府が143/NV号大統領決定により、バリア省の一部と併せフックトゥイ省(Phước Tuy省、1956年-1975年。現在のバリア=ブンタウ省)とする。

中国による領有権主張[編集]

1953年中国は、中華民国の「十一段線」のうち、当時は関係が良好であった北ベトナム付近の2線を削除し、新たに「九段線」とする。1958年には「領海宣言」を出し、南シナ海の島々を含めた海域の領有を宣言する[6]1973年9月に南ベトナムが、再度フックトゥイ省への編入を宣言したことに対し、翌1974年1月に抗議声明を出して領有権主張を本格化させていく。

中国とベトナムとの軍事衝突[編集]

西沙諸島の戦い (1974年)[編集]

1974年1月に西沙諸島の領有権をめぐり中国と南ベトナムが交戦し、西沙諸島の戦いが勃発する。この戦争に勝利した中国は西沙諸島を領有する。

1988年中国は、西沙諸島に2,600メートル級の本格的な滑走路を有する空港を完成させ、南シナ海支配の戦略拠点とし[9]、同年には中国軍がベトナム支配下にあった南沙諸島(スプラトリー諸島)にも侵攻する。

スプラトリー諸島海戦 (1988年)[編集]

1988年3月14日、南沙諸島における領有権をめぐり中国・ベトナム両海軍がジョンソン南礁(中国名: 赤瓜礁)で衝突。このスプラトリー諸島海戦(中国名: 赤瓜礁海戦)で勝利をおさめた中国が、赤瓜礁(ジョンソン南礁)、永暑礁(ファイアリー・クロス礁)、華陽礁(クアテロン礁)、東門礁(ヒューズ礁)、南薫礁(ガベン礁)、渚碧礁(スビ礁)と名付けられた岩礁または珊瑚礁を手に入れる[10]

ブルネイによる領有権主張[編集]

ブルネイは、1993年からマレーシアが実効支配している南通礁(英語名:Louisa Reef、マレー語名:Terumbu Semarang Barat Kecil)および周辺3万 km2の海域に対する主権を1988年に主張しているが、現時点では派兵による占拠行為は行なっていない[3][11][12]

近年[編集]

1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁(中国名: 美済礁)を中国が占拠して建造物を構築したことを、1995年2月にフィリピン政府が公表する[13]

2004年9月にフィリピンと中国が海底資源の共同探査で2国間合意が成立する。

2005年3月には、フィリピンと中国の2か国に続きベトナムも加わり、海底資源の共同探査が行われている。

2007年11月、中国人民解放軍が西沙諸島の海域で軍事演習を行ったことや同月中旬に中国が中沙諸島だけでなく南沙、西沙の両諸島を含む領域に海南省に属する行政区画である「三沙市」を設置した(中国国務院が三沙市の成立を正式発表したのは2012年7月)ことをきっかけに、12月にベトナムのハノイにある中国大使館前で抗議デモを行われた[14]

2008年1月に中華民国(台湾)が、実効支配している太平島に軍用空港を建設して完成させる。滑走路は全長1,150メートル、幅30メートル。その後に中華民国総統が視察に訪れたことに対してフィリピン政府が抗議をする。

2010年3月にアメリカからスタインバーグ国務副長官とベイダー国家安保会議アジア上級部長が中国を訪れた際に、中国政府は、南シナ海を『自国の主権および領土保全と関連した「核心的利害」地域と見なしている』との立場を公式に通知したことが報じられる[15]

2011年2月末から5回以上にわたり、中国探査船がフィリピンが主張する領海内において探査活動を繰り返し、5月には無断でブイなどを設置したことから、フィリピンのアキノ大統領はこれを領海侵犯とし、6月に国連提訴する。

2015年[編集]

2015年1月頃から、中国海軍中国海警局の艦船が、海域で頻繁に示威活動を繰り返すようになり、実効支配している環礁を埋め立てて、新たな軍事拠点を構築しようとする動きが顕著化し、アメリカやマレーシア、フィリピンなど関係国が強く非難した。5月には国際空域(公海の上空)を飛行していたアメリカ軍のP-8ポセイドン哨戒機に対して、中国海軍が強い口調で計8回も退去を命じる交信を行うなど軍事的緊張が高まった。 7月2日、アメリカのシンクタンクのCSIS(戦略国際問題研究所)が、中国が浅瀬を埋め立てて施設の建設を続けているファイアリー・クロス礁の様子を6月28日に撮影した衛星写真を公開し、駐機場や誘導路が整備されている様子が確認できると指摘して3,000メートル級の滑走路が「ほぼ完成している」との分析を明らかにし、さらに2つのヘリポートと10基の衛星アンテナ、レーダー塔とみられる施設などが確認できるとした[16]。 8月6日には、CSISは中国が埋め立てを進めているスビ礁の最近の衛星写真を分析し、人工島に幅200 - 300メートル、2,000メートル以上の直線の陸地ができていることが確認でき、ファイアリー・クロス礁と同じ3,000メートル級の滑走路が建設されている可能性を示唆した[17]。 さらに9月15日に最近の衛星写真の分析から、中国が南シナ海で3本目となる滑走路をミスチーフ礁(美済礁)で建設している可能性があることを明らかにした[18][19]。10月10日、中国外交部が、赤瓜礁(ジョンソン南礁)と華陽礁(クアテロン礁)で5月から建設していた灯台(高さ約50メートルで照射距離は22海里)が完成したと発表[20][21]

9月25日の米中首脳会談後に、アメリカ海軍の艦船を中国が埋め立て造成した人工島から12海里内(国際法では、領土からの距離で領海とされる海域)に派遣する決断をしていたオバマ政権は、10月27日にアメリカ海軍横須賀基地所属のイージス駆逐艦ラッセン」をスビ礁から12海里内の海域に進入航行させ、航行の自由を行動で示す作戦(「航行の自由」作戦、Freedom Of Navigation Operation)を実施した[22][23]

2015年10月27日、アメリカはイージス駆逐艦「ラッセン」を人工島から12海里内の海域に進入航行させた。

10月29日、オランダハーグにある常設仲裁裁判所は、フィリピンが南シナ海で領有権とする中国の主張は国際法に違反するとして、国連海洋法条約に基づいて申し立てていた中国との紛争の仲裁手続き(審理)を進めることを決定した。仲裁裁判所に管轄権はないとして仲裁手続きを拒否していた中国は、仲裁手続きを受け入れない姿勢を示した[24][25]

アメリカ国防総省は、8月20日に「アジア太平洋での海洋安全保障戦略」と題した報告書を公表し、中国が2013年12月に南沙諸島での埋め立てを開始して2015年6月までに2,900エーカー(約12 km2)を埋め立て、その面積が周辺諸国による埋め立てを含めた全体の約95パーセントに当たることを明らかにした[26]。また、埋め立てから滑走路や港湾施設の建設によるインフラ整備に重点が移行していることも指摘した[26]

2015年10月現在、中国が埋め立てを行ったとされているのは、実効支配しているスビ礁、ファイアリー・クロス礁、クアテロン礁、ミスチーフ礁、ヒューズ礁、ジョンソン南礁、ガベン礁の7つの岩礁と干潮時に砂州が現れるエルダド礁(安達礁)であり、地球上でやり取りされる原油や液化天然ガス(LNG)の半分近くが通る世界経済の大動脈である南シナ海で、中国が岩礁を埋め立てた人工島を軍事拠点化することを各国は恐れている[27][28][29]

2016年[編集]

1月2日、中国外交部が、ファイアリー・クロス礁で建設していた飛行場の完成と滑走路を使用して試験飛行をしたことを明らかにした。これに先立ちベトナムは、試験飛行に抗議する声明を発表している[30]

アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所)は2016年1月の報告書において、中国の空母打撃群保有の可能性と併せて、「2030年までに南シナ海が事実上中国の湖となる」と警鐘を鳴らしている[31]

4月15日、中国国防部が、軍制服組トップの范長龍・中央軍事委員会副主席が南沙諸島を視察したことを明らかにした[32]。4月17日、中国の新華社通信が、ファイアリー・クロス礁に中国海軍の哨戒機1機が着陸したと報道。中国が軍による南沙諸島での飛行場利用を明らかにしたのは初めてである[33]

5月2日には、中国海軍が駐留兵士らを慰労するため、南海艦隊に就役している揚陸艦「崑崙山」を派遣し、ファイアリー・クロス礁に演劇団を上陸させた。同行記者によると、ファイアリー・クロス礁では飛行場や港、灯台、住居施設が既に完成しており、病院や海洋観測センターが建設中である[34]

実効支配の状況[編集]

[編集]

南沙諸島の各国軍実効支配状況(英語名)
南沙諸島の各国軍実効支配状況及び領有権主張線(中国語名)

約20の小島(内 岩礁砂州のみの島は8)があり、その多くは環礁の一部を形成している。

名称 英語名
中国語名
面積 (km2) 実効支配 係争国
太平島 Itu Aba Island
太平島
0.49[35] 台湾 中国・ベトナム・フィリピン 滑走路あり
パグアサ島 Thitu Island
中業島
0.37 フィリピン 中国・台湾・ベトナム 滑走路あり
ウエストヨーク島 West York Island
西月島
0.18 フィリピン 中国・台湾・ベトナム
チュオンサ島 Spratly Island
南威島
0.13 ベトナム 中国・台湾 滑走路あり
ノースイースト島 Northwest Cay
北子島
0.127 フィリピン 中国・台湾・ベトナム
サウスウエスト島 Southwest Cay
南子島
0.12 ベトナム 中国・台湾・フィリピン
シンカウ島 Sin Cowe Island
景宏島
0.08 ベトナム 中国・台湾・フィリピン
ラワック島 Nanshan Island
馬歡島
0.0793 フィリピン 中国・台湾・ベトナム
ソンカ島 Sand Cay
敦謙沙洲
0.07 ベトナム 中国・台湾・フィリピン
ロアイタ島 Loaita Island
南鑰島
0.0645 フィリピン 中国・台湾・ベトナム
ラヤンラヤン島
スワロー礁
Swallow Reef
彈丸礁
0.062 マレーシア 中国・台湾・ベトナム 滑走路あり
ナムイエット島 Namyit Island
鴻庥島
0.053 ベトナム 中国・台湾・フィリピン
アンバン島 Amboyna Cay
安波沙洲
0.016 ベトナム 中国・台湾・フィリピン・マレーシア 砂州
フラット島 Flat Island
費信島
0.0057 フィリピン 中国・台湾・ベトナム 砂州
チュオンサドン島 Central Reef
中礁
ベトナム 中国・台湾・フィリピン 砂州
ファンビン島 Pearson Reef
畢生礁
ベトナム 中国・台湾・フィリピン 砂州
パナタ島 Lankiam Cay
楊信沙洲
0.0044 フィリピン 中国・台湾・ベトナム 砂州
マンタナニ礁 Mariveles Reef
南海礁
マレーシア 中国・台湾・フィリピン・ベトナム 砂州・岩礁
ヒューズ礁 Hugh Reef
東門礁
中国 台湾・ベトナム・フィリピン 岩礁
ジョンソン南礁 Johnson South Reef
赤瓜礁
中国 台湾・ベトナム・フィリピン 岩礁
(中国=中華人民共和国、台湾=中華民国)

国連海洋法条約において「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と定められている。また「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」とも定められており、この規定に該当する岩でない場合は、島に認められる「領海、接続水域」に加えて「排他的経済水域及び大陸棚」が条約の規定に従って認められる。

(上表への追記)

  • ソンカ島:ティザード堆 (英語名: Tizard Banks, 中国名: 鄭和群礁) の一部。1975年にベトナムが占領。2011 - 2014年の間にベトナムによって島が50パーセント以上拡張され、軍事施設も建設されている[36]
  • チュオンサドン島:砂州全体の海岸線を囲むように建造物が存在する。
  • ファンビン島:浅瀬に建造物が存在する。
  • ヒューズ礁:1988年3月のスプラトリー諸島海戦で中国がベトナムから武力奪取したまま実効支配。浅瀬に建造物が構築されて軍隊が常駐。2014年夏から人工島の造成・浚渫工事が開始され、CSISの分析では面積が約0.08 km2となっている[36]。ベトナム国営紙によると、2016年4月に記者が船で近づき取材し、複数のレーダーアンテナ、通信用とみられる鉄塔型のアンテナの存在を撮影して確認した[37]
  • ジョンソン南礁:ユニオン堆 (英語名: Union Banks, 中国名: 九章群礁) の一部。岩礁が常に海面上に露出しているかどうか不明。1988年3月のスプラトリー諸島海戦で中国がベトナムから武力奪取したまま実効支配。2014年初めまでは、小さなコンクリート基礎上に通信設備・駐屯兵舎・桟橋だけが浅瀬に構築された状態であったが、その周辺が約0.1 km2埋め立てられた後、11月から12月に新たな建造物の建設の主要工程が行われ、人工島の面積はCSISの分析では約0.11 km2となっている[36]

低潮高地[編集]

低潮高地[38]と呼ばれる干潮時にのみ海面上に現れる岩礁(干出岩)や砂州は多数存在するが、国連海洋法条約上、領土とはならない。したがって排他的経済水域(EEZ)も設定できないが、自国のEEZ内であれば、その国が建造物を建設することができる。現在、中国は多くの低潮高地およびその周辺の珊瑚礁を埋め立て人工島を建設している。

低潮高地およびその周辺を埋め立てたり、構造物を建築して軍隊が常駐している場所
名称 英語名
中国語名
占拠 備考
スビ礁 Subi Reef
渚碧礁
中国 1988年3月、中国がベトナムより武力奪取。浅瀬にレーダーサイトを建設。2014年7月から人工島造成のために主要な埋め立てが開始され、CSIS(戦略国際問題研究所)の分析では埋めて面積が約3.95 km2、ファイアリー・クロス礁と同等の3,000メートル級の滑走路の建設が進められていると分析されている[36]。2015年10月に着工した灯台(高さ55メートル)が完成し、2016年4月からジョンソン南礁、クアルテロン礁に続いて運用を開始した[39]
クアテロン礁 Cuarteron Reef
華陽礁
中国 1988年3月、中国がベトナムより武力奪取。人工島の大部分の造成・浚渫工事については2014年夏に実施されたとみられ、CSISの分析では埋め立て面積が約0.23 km2、建物・施設の建設が続けられている[36]
ファイアリー・クロス礁 Fiery Cross Reef
永暑礁
中国 1988年3月に中国がベトナムより武力奪取。2014年8月から埋め立てが開始され、人工島の造成は11月に終了し、CSISの分析では埋め立て面積が約2.74 km2[36]。2015年1月からは3,000メートル級の滑走路の建設が開始され、港湾施設の整備も続けられている[36]。2016年1月2日、飛行場の完成と滑走路を使用した試験飛行が明らかになった[30]
ミスチーフ礁 Mischief Reef
美済礁
中国 1994年までフィリピンが実効支配していたが、中国が占拠して建造物を浅瀬に構築したことを1995年2月フィリピンが公表。2015年初めから環礁の西環沿いを大規模に埋め立て、CSISの分析では埋めて面積が約5.58 km2となり、最近は環礁の南口の拡幅をしており、環礁周辺で中国軍艦船も見受けられることから、将来的に埋め立てられたミスチーフ礁が海軍基地になると予想されている[36]。2015年9月15日に最近の衛星写真の分析から中国が南シナ海で3本目となる滑走路を建設している可能性があることが明らかになった[18]
エルダド礁 Eldad Reef
安達礁
中国 ティザード堆 (鄭和群礁) の一部。干潮時に砂州が現れる。
大現礁 Discovery Great Reef
大現礁
ベトナム 小現礁と同じティザード堆の南西方向に存在する環礁。ともに1988年からベトナムが実効支配している。干潮時に砂州が現れる。大現礁と小現礁は18.5キロメートル離れている。
簸箕礁 Erica Reef
簸箕礁
マレーシア 南海礁から北東に13海里離れている。干潮時に露出する岩礁がある。

浅瀬・堆[編集]

干潮時にも海面上に現れない環礁(暗礁)・砂州・海面下の台地()は多数存在する。

低潮高地同様、国連海洋法条約上、領土とはならない。また排他的経済水域(EEZ)も設定できないが、自国のEEZ内であれば、その国が建造物を建設することができる。

以下は、中国が自国内であることを主張し、他国の抗議を無視し埋め立てを行っている場所である。

  • ガベン礁(南薫礁) - ティザード堆の一部。2014年3月以降に埋め立てられ、CSIS(戦略国際問題研究所)の分析では人工島の面積が約0.14 km2となっている[36]

地理的状況[編集]

南沙諸島は、主に南シナ海を北から南に並んでいる6つの大群礁からなる。

  • ノース・デインジャー堆英語版(英語:North Danger Reefs、中国語: 雙子群礁簡体字: 双子群礁)) - ノースイースト島(北子島)・サウスウエスト島(南子島)などからなる。
  • ティトゥ堆英語版(英語:Thitu Reefs、中国語: 中業群礁簡体字: 中业群礁)) - ノース・デインジャー堆の南約17海里に位置しており、パグアサ島(中業島)などからなる。パグアサ島(中業島)の南西26キロメートルにスビ礁(渚碧礁)がある。
  • ロアイタ堆英語版(英語:中国語: 道明群礁簡体字: 道明群礁)) - ティトゥ堆の南東約20海里に位置しており、ロアイタ島(南鑰島)・パナタ島(楊信沙洲、簡体字: 杨信沙洲)などからなる。
  • ティザード堆(英語:Tizard Banks、中国語: 鄭和群礁簡体字: 郑和群礁)) - ロアイタ堆の南に位置しており、太平島・ナムイエット島(鴻庥島)・ガベン礁(南薫礁)・エルダド礁(安達礁)・ソンカ島(敦謙沙洲)などからなる南沙諸島最大の群礁である。
  • ユニオン堆(英語:Union Banks、中国語: 九章群礁簡体字: 九章群礁)) - ティザード堆の南に位置しており、ジョンソン南礁(赤瓜礁)・シンカウ島(景宏島)・ヒューズ礁(東門礁)など多くの礁からなり、北東・南西方向に約14キロメートルの長さを有する紡錘形の環礁となっている。
  • ロンドン堆英語版(英語:London Reefs、中国語: 尹慶群礁簡体字: 尹庆群礁)) - 南シナ海の南西部にあるチュオンサ島(南威島)の北東に位置しており、クアテロン礁(華陽礁)などからなる。この群礁だけが、比較的大きな距離間隔でユニオン堆から南西方向に離れて位置している。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 行政区分は、1938年(昭和13年)12月23日外甲第116号閣議決定により、台湾の高雄市の一部とされていた。

出典[編集]

  1. ^ 李国強「中国と周辺国家の海上国境問題」 (PDF) 48 - 56頁
  2. ^ 浦野起央「南シナ海の安全保障と戦略環境(二・完)」 (PDF) 日本大学法学部 政経研究第49巻第2号(2012年9月) 35 - 60頁
  3. ^ a b 李国強「中国と周辺国家の海上国境問題」 (PDF) 50頁
  4. ^ 浦野起央「南シナ海の安全保障と戦略環境(二・完) (PDF) 日本大学法学部 政経研究第49巻第2号(2012年9月) 35 - 36頁
  5. ^ 李国強「中国と周辺国家の海上国境問題」 (PDF) 51頁
  6. ^ a b c d e 「南沙諸島」の領有権を中国が主張する理由”. Foresight. 新潮社 (2015年6月4日). 2015年7月13日閲覧。
  7. ^ 条文(日本語):日本国との平和条約(昭和27年条約第5号)、第二章、領域(f)項 「日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」
  8. ^ 【視点】日本の領土だった南シナ海「南沙諸島」 終戦まで実効支配”. zakzak by 夕刊フジ. 産経デジタル (2016年2月1日). 2016年4月29日閲覧。
  9. ^ 平松茂雄 『中国の海洋戦略』 勁草書房、1993年。[要ページ番号]
  10. ^ “スプラトリー海戦から25年、中国がベトナム海軍を破った艦艇を展示”. Record China. (2013年3月15日). http://www.recordchina.co.jp/a70334.html 2015年7月16日閲覧。 
  11. ^ 宋燕輝(中興大学国際政治研究所教授)「台湾の南シナ海南沙諸島太平島における滑走路建設をめぐる論争とその政策的含意」(PDF) 10頁
  12. ^ タン・シュー・ムン「アジア太平洋諸国の安全保障上の課題と国防部門への影響(第2章 マレーシア ―安全保障に関する展望と課題)」 (PDF) 31頁
  13. ^ 小谷俊介(国立国会図書館調査及び立法考査局外交防衛課)南シナ海における中国の海洋進出および「海洋権益」維持活動について(PDF) レファレンス 平成25年11月号 30 -31 頁
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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]