ミスチーフ礁

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ミスチーフ礁

ミスチーフ礁: Mischief Reef中国語: 美济礁拼音: Meiji Jiao)、タガログ語: Panganibanベトナム語: Đá Vành Khăn / 𥒥鑅巾)は、南沙諸島環礁の一つ。ミスチーフ環礁と表されることもある。干潮時のみ海面に姿を現す岩礁(干出岩)があり、中華人民共和国がこの浅瀬に建造物を構築して実効支配している。中国、フィリピンベトナム主権領有)を主張している。

概要[編集]

フィリピンパラワン州パラワン島から西におよそ209kmに位置する。

歴史[編集]

中国によって実効支配される前は、フィリピンが支配下に置いていた[要出典]

1995年2月、フィリピン政府は、前年秋のフィリピン海軍がモンスーン期でパトロールをしていない時期に、中国が建造物を構築したことを公表[1]。1991年末のソ連崩壊後の米比相互防衛条約解消の流れから、アメリカは、クラーク空軍基地から撤収し、1992年にはスービック海軍基地からも撤収し、フィリピンにおけるアメリカの軍事的なプレゼンスは、この時期には著しく低下していた。フィリピンは抗議を行うが、中国はこれに応じず、建造物は「自国の漁師を守るためのもの」であると主張した。

1998年末から1999年にかけて中国が鉄筋コンクリート製施設を建設していることが報道され[2]、フィリピンのマニラで反対運動が起きた。

2007年中華人民共和国農業部南海区漁業局(漁政)は、漁民を組織し、いけす養殖のプロジェクトを開始。

この環礁には干潮時のみ海面に姿を現す岩礁(干出岩)が存在する。国連海洋法条約において「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と定められている[3]。したがって満潮時に海面上に露出しない岩礁(干出岩)は「低潮高地」[4]であり、その全部が本土または島から領海の幅を超える距離にあるときは、それ自体の領海も認められない[4]。また「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」とも定められている[3]。自国の排他的経済水域 (EEZ) 内の暗礁であるならば、その国が建造物を建設することが認められている。中国もフィリピンも国連海洋法条約を批准している。

2015年9月15日には、アメリカのシンクタンクのCSIS(戦略国際問題研究所)による衛星写真の分析から、造成した人工島に中国がファイアリー・クロス礁スビ礁に次ぐ3本目となる滑走路を建設している可能性があることを明らかになった[5][6]

また、CSISの分析によると、2015年初から環礁の西環沿いを大規模に埋め立て、埋め立て面積が約5.58 km2となり、環礁の南口の拡幅をしており、環礁周辺で中国軍艦船も見受けられることから、将来的に埋め立てられたミスチーフ礁が海軍基地になると予想されている[7]

2016年7月12日の常設仲裁裁判所による裁定で、国連海洋法条約における「低潮高地」であり、排他的経済水域も設定できないと認定された[8][9]

脚注[編集]

  1. ^ 小谷俊介(国立国会図書館調査及び立法考査局外交防衛課)「南シナ海における中国の海洋進出および「海洋権益」維持活動について(PDF)」30-31ページ レファレンス平成25年11月号
  2. ^ 「公海の自由航行に関する普及啓蒙」 国際経済政策調査会, 日本財団図書館
  3. ^ a b 国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)(全文) 第121条、データベース『世界と日本』 戦後日本政治・国際関係データベース 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室
  4. ^ a b 国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)(全文) 第13条、データベース『世界と日本』 戦後日本政治・国際関係データベース 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室
  5. ^ “中国、南沙諸島に3本目の滑走路建設か 米シンクタンク”. AFPBB News (AFP). (2015年9月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/3060510 2016年7月26日閲覧。 
  6. ^ “中国、南シナ海で3本目の滑走路を建設か=米専門家”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2015年9月15日). http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN0RF06X.html 2016年7月26日閲覧。 
  7. ^ Asia Maritime Transparency Initiative ISLAND TRACKER AMTI and CSIS
  8. ^ “南シナ海、中国の「九段線」に法的根拠なし 初の国際司法判断”. 日本経済新聞電子版 (日本経済新聞社). (2016年7月12日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H5B_S6A710C1000000/?dg=1&nf=1 2016年8月10日閲覧。 
  9. ^ PH-CN-20160712-Award: PCA Case No.2013-19 In the matter of The South China Sea Arbitration (The Republic of The Philippines - The People's Republic of China) (PDF)” (English). PCA. pp. 174,259,260. 2016年8月10日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯9度55分 東経115度32分 / 北緯9.917度 東経115.533度 / 9.917; 115.533