伊藤詩織

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いとう しおり
伊藤 詩織
生誕 1989年????
別名 Shiori
職業 ジャーナリスト
代表作 『Black Box』文藝春秋

伊藤 詩織(いとう しおり、1989年 - )は日本のフリージャーナリスト[1]

経歴[編集]

Shiori名義でフリーランスのジャーナリスト活動を開始。2017年10月18日、伊藤詩織名義で文藝春秋から告発本『Black Box』を発表。

「準強姦」訴訟[編集]

事件概要

2015年4月3日、伊藤が自身の就職アメリカ就労ビザについての相談のため、東京都内で当時TBS政治部記者ワシントン支局長だった山口敬之と会食。同日深夜から4日早朝にかけて飲酒後、薬を盛られたなどとして、ホテルでの準強姦の被害を訴えている。2016年と2017年の二度の不起訴処分になった後[2]、現在民事係争中。伊藤と山口の主張は真っ向から対立している。

事件までの経緯

ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた伊藤と山口が出会ったのは2013年秋頃の頃で、伊藤が働くピアノバーに客として訪れた山口に報道関係の仕事がしたいと頼み込んだことから交流が始まった。その後、トムソン・ロイターのインターンをしつつ働く伊藤が、山口に「以前山口さんが、ワシントン支局であればいつでもインターンにおいでよといってくださったのですが、まだ有効ですか?笑」と問いかけ、山口は「インターンなら即採用だよ。プロデューサー(有給)でも、詩織ちゃんが本気なら真剣に検討します。」と答えている[1]。最終的に恵比寿の居酒屋で落ち合い話を詰めることになった。

居酒屋で串焼き5本、瓶ビール2本のシェア、グラスのワインを1杯を飲み食いした。山口は安倍晋三総理や鳩山由紀夫元総理の人脈話を披露するだけで、就労の話はまったくしなかったという。さらに鮨屋に移動。伊藤はその鮨屋の二回目のトイレで気分が悪くなっており記憶が途切れ途切れになった[3]。本来、伊藤はワインを三本も空けても平気とする上戸であり、不自然に悪酔いしたのは山口がデートレイプドラッグを盛ったのではと推測している[3]。伊藤は、警察から聞き込み捜査の結果を「二人で一升近く飲んだそうです。簡単なつまみと太巻き以外は何も頼んでおらず、ほとんどお酒だけ。これならならどんなにお酒に強い人でも酔っ払います」と聞いているが、「記憶が無いのでわからないが、自分ではとても信じられない」と主張している[1]

事件

伊藤はタクシーに乗り込んだ後、山口と寿司が美味しかったなどという話や仕事の話をしていた。伊藤が駅で降ろしてくれと指示したが、山口は「まだ仕事の話があるから、何もしないから」と言い都ホテルに向かうように運転手に指示している[1]。運転手は山口が伊藤を抱きかかえるようにホテルに連れ込んだと証言しており、2018年1月23日の弁論でもこのホテルの防犯動画が物的証拠として提出された。[4] 伊藤の意識が戻ると、全裸で仰向けの伊藤に山口が跨っている状態であった。伊藤が抵抗してトイレに逃げ込む時、避妊具をしていない山口の陰茎が見えたと語り、幾度かの応酬を経た後に伊藤はホテルから去ったと主張している[3]。 一方、山口は「トイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。その時はあなたは飲みすぎちゃったなどと普通に話をしていました」とメールで反論している。伊藤は警察の「山口氏の聴取は行ったがポリグラフにかけても反応はない」という捜査報告に対しても疑問は募るばかりと述べている[1]

一度目の不起訴処分

2015年4月9日に伊藤は警視庁に相談、高輪警察署は同月末に準強姦容疑で告訴状を受理し、捜査を開始。6月初めに逮捕状が発行されたが、2016年6月8日、成田空港において山口を逮捕する直前に当時の警視庁刑事部長中村格が執行の停止を命じ、逮捕は行われなかった[5][6]。2016年7月22日、約1年4ヶ月に渡る捜査の末、東京地検が嫌疑不十分で不起訴処分とした[7]

週刊新潮での告発と記者会見

2017年5月18日と同月25日の2週に渡り、週刊新潮が伊藤の証言に基づき事件を報じた[8]。 2017年5月29日、伊藤が検察審査会に不服申し立てを行い、「詩織」と名乗り、顔を出して記者会見を行った[7][8]。この直後に山口は、自身のFacebookで「法に触れることは一切していない」と反論した[8]

二度目の不起訴処分

2017年9月21日(公表は22日)、市民からなる東京第六検察審査会が「慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がなかった」とし、不起訴相当と議決した[9]

手記公開による攻防

2017年10月18日、伊藤詩織名義で2015年の「準強姦」被疑事件を綴った手記『Black Box』を出版。24日、日本外国特派員協会で会見を行い、日本における性暴力被害の課題を訴えた[10]

民事訴訟

2017年9月28日、望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、伊藤が山口を相手に1100万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした[11]。2017年12月5日、民事訴訟第一回口頭弁論が行われた[11]

国会での動き

2017年6月2日衆議院本会議民進党井出庸生が事件に言及、国会でも議論された[2]。2017年11月21日、森裕子参議院議員らの呼びかけで、野党国会議員による「準強姦事件逮捕状執行停止問題を検証する会」が発足した[12]。2018年1月29日、衆議院予算委員会傍聴席に伊藤が現れ、希望の党柚木道義の質疑を傍聴した[13]。なお、この質疑において、議院運営委員会が山口の氏名公表を禁じる決定をしたため、伊藤の氏名だけが公表される形になってしまった。 

海外メディアでの報道

MeToo(ミートゥー)の広がりを受け、伊藤の証言やインタビューが、複数の海外メディアで報道された[14][15][16][17][18][19][20]

著書[編集]

メディア出演[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e 『Black Box』
  2. ^ a b “「性犯罪被害」不起訴、女性が会見 国会でも議論”. 朝日新聞. (2017年6月3日). https://www.asahi.com/articles/ASK617F3CK61UTIL04V.html 2018年1月8日閲覧。 
  3. ^ a b c “握り潰された安倍総理ベッタリ記者「山口敬之」の準強姦逮捕状 “下着だけでもお土産で…”被害女性が明かす一部始終”. 週刊新潮. (2017年5月18日). https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05180800/ 2018年2月15日閲覧。 
  4. ^ 「元TBS記者が昏睡状態の詩織さんを引きずり込む」― ホテルの防犯ビデオが法廷に
  5. ^ “官邸お抱え記者「山口敬之」、直前で“準強姦”逮捕取りやめに 警視庁刑事部長が指示”. 週刊新潮. (2017年5月18日). https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05180801/?all=1&page=2 
  6. ^ “逮捕状発行も直前に逮捕取りやめ/女性が経緯説明”. 日刊スポーツ. (2017年5月30日). https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1831926.html 
  7. ^ a b 元TBSワシントン支局長を性犯罪被害で告発した女性が顔を隠さずに会見 スポーツ報知 2017年5月29日
  8. ^ a b c “「私はレイプされた」 28歳詩織さん“顔出し”で涙の訴え 元TBS記者「法に触れること一切してない」”. 産経新聞. (2017年6月3日). http://www.sankei.com/premium/news/170603/prm1706030020-n1.html 2018年2月9日閲覧。 
  9. ^ 「元TBS記者が乱暴」 被害届提出の「詩織」さんの申し立てに検審「不起訴相当」と議決産経ニュース 2017.9.22
  10. ^ 「レイプ被害の救済システム整備を」 伊藤詩織さん会見 朝日新聞 2017年10月24日
  11. ^ a b 元TBS記者側、争う姿勢 伊藤詩織さん民事訴訟朝日新聞 2017年12月5日
  12. ^ 伊藤詩織さんの訴え、捜査を検証する「超党派の会」発足朝日新聞 2017年11月21日
  13. ^ “【タイムライン】伊藤詩織さんが傍聴 柚木氏、手記紹介”. 朝日新聞. (2018年1月29日). https://www.asahi.com/articles/ASL1Z44RPL1ZUEHF009.html 2018年2月8日閲覧。 
  14. ^ (フランス語)Philippe Mesmer (2017年10月30日). “Le combat de Shiori Ito, agressée sexuellement dans un Japon indifférent”. ル・モンド』ウェブ版. 2018年1月8日閲覧。
  15. ^ Shiori Ito, l'affaire de viol qui secoue le Japonフィガロ紙ウェブ版 2017/12/27
  16. ^ (英語)Ryan Takeshita & Kaori Sasagawa (2017年11月1日). “Why a Japanese Journalist Went Public with Her Rape Allegation”. オンラインメディア『ハフポスト』』. 2018年1月8日閲覧。
  17. ^ Japan's #MeToo MomentBBC World Service - Business Matters 12月15日
  18. ^ Hon vågar gå först i Japans #metoダーゲンス・ニュヘテル紙ウェブ版 2017年12月23日
  19. ^ Shiori, la giornalista che denuncia lo stupro e sfida i tabù del Giapponeコリエーレ紙ウェブ版 2017年12月28日
  20. ^ She Broke Japan’s Silence on Rapeニューヨーク・タイムズウェブ版及び翌日紙面 2017年12月29日
  21. ^ 伊藤詩織さん生出演で語る「未体験の記憶の失い方」”. 日刊スポーツ (2017年12月12日). 2018年6月24日閲覧。
  22. ^ 北欧の児童書を使って考えるーー伊藤詩織さんが出演した北欧のトーク番組で、司会者達はなぜ彼女を責めなかったんだろう?――北欧では性暴力がどのように認識されているのか?”. ハフポスト (2018年3月5日). 2018年6月24日閲覧。
  23. ^ (英語)日本語字幕付き伊藤詩織はレイプで日本の沈黙を破った: - 結果は残酷だった スカヴラン”. YouTube Skavlan (2018年2月19日). 2018年6月24日閲覧。
  24. ^ 「日本の秘められた恥」  伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送”. BBC (2018年6月29日). 2018年7月4日閲覧。
  25. ^ (英語)Japan's Secret Sham”. BBC Two. 2018年6月24日閲覧。
  26. ^ (英語)Japan's Secret Shame - Shiori Ito's story”. BBC Two. 2018年7月4日閲覧。

外部リンク[編集]