伊藤詩織

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いとう しおり
伊藤 詩織
伊藤詩織.jpg
生誕 1989年(30 - 31歳)[1]
別名 Shiori
職業 ジャーナリスト[2]映像作家起業家
代表作 『Black Box』文藝春秋
受賞 2018年度ニューヨーク・フェスティヴァルドキュメンタリー部門銀賞(監督)スポーツ&レクリエーション部門銀賞(カメラ)

伊藤 詩織(いとう しおり、1989年 - )は、日本のフリージャーナリスト[2]映像作家[3]である。

経歴[編集]

1989年[1]神奈川県[4]で生まれ、建築関係に従事する父と専業主婦の母に妹[5]と弟[5]がいる[4]。9歳時にモデル[4][6]を務め、2014年ニューヨークにある大学[7]ジャーナリズム[4]と写真を学んだ[8]。 帰国後の2015年からフリーランスとしてBBCロイター[9][10]で働く。

2017年10月18日に、伊藤詩織名義で自身の性暴力被害を訴える『Black Box』を文藝春秋から発売した。

エコノミストアルジャジーラなどで活動[11]し、ディレクターを務めて日本の孤独死を扱った「Undercover Asia: Lonely Deaths」(チャンネルニュースアジア制作)が「2018年度ニューヨーク・フェスティヴァル」でドキュメンタリー部門銀賞[11]を、カメラを担当して改造オートバイレースに熱中するペルー軍兵士を取材したコカペルー人のドキュメント[12][11]「Witness - Racing in Cocaine Valley」(アルジャジーラ英語版、放送日:2017年2月5日、監督:Lali Houghton、Nick Ahlmark)がスポーツ&レクリエーション部門銀賞を、それぞれ受賞した[13][14][11]2018年6月から、ロンドンを拠点に主に海外メディアで活動する[11][15]。2018年6月22日にTBSラジオシエラレオネの女性器切除について取材した内容を[11]報告した。

2020年9月23日、TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。紹介文は東京大学名誉教授上野千鶴子が執筆し、「(彼女による、)性的暴力の勇敢な告発で日本人女性の人生を永遠に変えた。政治的権力に近い被告人は刑事訴追を免れたが、彼女は12月に民事訴訟を勝ち取った」などと評価した[16][17]

係争[編集]

刑事告訴[編集]

2015年4月3日に、2度目の自身の就職やアメリカ就労ビザについて相談するために、当時TBSテレビ政治部記者ワシントン支局長だった山口敬之と都内で会食した。その際、深夜から4日早朝にかけて飲酒後に記憶を失いホテルで乱暴されたとして2015年4月30日に[18]準強姦容疑で警視庁被害届を提出[19]した。

2016年7月に東京地方検察庁は嫌疑不十分で不起訴とし、伊藤は2017年5月に検察審査会へ審査を申し立てたが、2017年9月に東京第6検察審査会は不起訴を覆すだけの理由がないとして「不起訴相当」と議決した[20]

2020年9月22日に、「刑事部長の判断で執行が止まった」、「告訴した男性は安倍総理と非常に近い記者」、「親安倍派と言われる人たちから強いバッシングを浴びました」と述べている[21]

民事訴訟[編集]

2017年9月28日に伊藤は、山口に「望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として1100万円の損害賠償を求める民事訴訟[22]の訴状を提出し、10月18日に手記「Black Box」を出版して24日に日本外国特派員協会で会見した[23]

山口は、10月26日発売月刊『Hanada』で手記「私を訴えた伊藤詩織さんへ」を発表[24]して伊藤の主張を全面的に否定[25]し、2019年2月に「伊藤さんの記者会見での発言などで社会的信用を奪われた」として慰謝料1億3000万円と謝罪広告の掲載を求めて反訴した[要出典]

裁判は山口、伊藤の双方の訴えを同時に審理[26]し、2019年12月18日に伊藤の請求を認めて330万円の支払いを山口に命じ、山口の反訴は「名誉毀損には当たらない」として請求を棄却した[27][28]。2020年1月6日に山口は地裁判決を不服として東京高等裁判所控訴した[29]

山口の刑事告訴[編集]

2019年12月20日に、虚偽告訴罪(虚偽告訴等罪)と名誉毀損罪の容疑で伊藤を刑事告訴した告訴状が警察に受理されたと山口が発表した[30]。2020年9月にはこの件で伊藤は警察から取り調べを受けたと自身のFacebookで述べている[31]弁護士ドットコムによると、東京地検は2020年9月28日に伊藤を書類送検した[32]

諸国メディア[編集]

MeTooが知られ、伊藤の証言やインタビューが複数の海外メディアで報道された[33][34][35][36][37][38][39]

Twitter社ツイート訴訟[編集]

2020年6月8日、2017年5月から2019年12月にかけて漫画家はすみとしこが自らのアカウントで発信したツイートで名誉を傷つけられたとして、はすみとリツイートした2名に損害賠償総額770万円と当該ツイートの削除などを請求する訴状を東京地方裁判所[40]へ提出した。

2020年8月20日、2018年6月から7月にかけて伊藤を中傷する多数のツイートに対し賛同を意味する「いいね!ボタン」を自由民主党衆議院議員杉田水脈が押したことにより名誉感情を傷つけられたとして220万円、東京大学大学院元特任准教授大澤昇平に対して、名誉毀損にあたるツイートをしたとして110万円、それぞれの損害賠償を請求する訴状を東京地方裁判所へ提出した[41]

著書[編集]

メディア出演[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 伊藤詩織 2017, p. 21.
  2. ^ a b 伊藤詩織 2017, pp. 249,奥付.
  3. ^ Abe’s biographer raped junior colleague Shiori Ito in Japan’s #MeToo case The Times 2019年12月19日
  4. ^ a b c d Shiori Ito, la vérité kamikaze” (フランス語). Libération.fr (2019年4月28日). 2019年4月30日閲覧。
  5. ^ a b 伊藤詩織 2017, p. 22.
  6. ^ 伊藤詩織 2017, p. 24.
  7. ^ 伊藤詩織 2017, pp. 20,38.
  8. ^ 伊藤詩織 2017, pp. 5,18,35.
  9. ^ Multiracial Miss Japan hopes to change homeland's thinking on identity Reuters 2015年4月2日
  10. ^ Tokyo issues Japan's first same-sex partner certificates Reuters 2015年11月5日
  11. ^ a b c d e f g 世界で最も寿命が短い国の1つ『シエラレオネ』〜ジャーナリスト伊藤詩織さんの現地取材報告TBSラジオ、2018年6月20日。2019年12月20日閲覧。
  12. ^ Racing in Cocaine ValleyAl Jazeera
  13. ^ Witness - Racing in Cocaine ValleyNew York Festivals
  14. ^ Piece #1 - Undercover Asia: Lonely DeathsNew York Festivals
  15. ^ David McNeill (2018). “Justice Postponed: Ito Shiori and Rape in Japan”. The Asia-Pacific Journal 16 (15). https://apjjf.org/2018/15/McNeill.html 2020年10月20日閲覧。. 
  16. ^ 伊藤詩織さん、TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる 大坂なおみ選手も”. ハフポスト (2020年9月23日). 2020年9月23日閲覧。
  17. ^ 伊藤さんと大坂が「世界で影響力のある100人」”. 日刊スポーツ (2020年9月23日). 2020年9月23日閲覧。
  18. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年7月8日). “伊藤詩織氏「やめてと言った」 元記者への賠償請求訴訟” (日本語). 産経ニュース. 2019年10月20日閲覧。
  19. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年10月13日). “暴行被害訴える28歳女性が手記出版 詩織さん、姓も公表” (日本語). 産経ニュース. 2019年10月20日閲覧。
  20. ^ 伊藤さん「抵抗した」 性暴力訴訟 「法に触れず」山口氏反論” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2019年10月20日閲覧。
  21. ^ https://news.yahoo.co.jp/articles/7485aebee243e09c9c24edb296236e3c2e75cc86
  22. ^ 元TBS記者側、争う姿勢 伊藤詩織さん民事訴訟朝日新聞 2017年12月5日
  23. ^ 「レイプ被害の救済システム整備を」 伊藤詩織さん会見:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2019年10月20日閲覧。
  24. ^ “独占手記 私を訴えた伊藤詩織さんへ”. Hanada (19): 254–273. (2017-12). https://ci.nii.ac.jp/naid/40021469855. 
  25. ^ 山口敬之氏、性的暴行巡り月刊Hanadaで伊藤詩織さんに反論 (弁護士ドットコム)”. LINE NEWS. 2019年10月20日閲覧。
  26. ^ 性暴力被害訴訟の判決は12月18日 伊藤、山口両氏が意見陳述 産経新聞 2019年10月7日
  27. ^ 伊藤詩織さんへの賠償命じる 性暴力被害巡り東京地裁 共同通信2019年12月18日
  28. ^ 元TBS記者に330万円賠償命令 性的暴行訴訟―東京地裁 時事通信 2019年12月18日
  29. ^ 元TBS記者の山口氏が控訴 伊藤詩織氏の一審勝訴受け 朝日新聞2020年01月06日
  30. ^ 山口敬之氏が伊藤詩織さんは「容疑者」と発言、双方の争い続く(2019年12月20日)
  31. ^ 伊藤詩織さん、虚偽告訴などの疑いで書類送検…元TBS記者が刑事告訴” (2020年10月28日). 2020年10月26日閲覧。
  32. ^ 伊藤詩織さん、書類送検…元TBS記者が虚偽告訴などで刑事告訴”. 弁護士ドットコムニュース. 弁護士ドットコム (2020年10月26日). 2020年10月28日閲覧。
  33. ^ (フランス語)Philippe Mesmer (2017年10月30日). “Le combat de Shiori Ito, agressée sexuellement dans un Japon indifférent”. ル・モンド』ウェブ版. 2018年1月8日閲覧。
  34. ^ Shiori Ito, l'affaire de viol qui secoue le Japonフィガロ紙ウェブ版 2017/12/27
  35. ^ (英語)Ryan Takeshita & Kaori Sasagawa (2017年11月1日). “Why a Japanese Journalist Went Public with Her Rape Allegation”. オンラインメディア『ハフポスト. 2018年1月8日閲覧。
  36. ^ Japan's #MeToo MomentBBC World Service - Business Matters 12月15日
  37. ^ Hon vågar gå först i Japans #metoダーゲンス・ニュヘテル紙ウェブ版 2017年12月23日
  38. ^ Shiori, la giornalista che denuncia lo stupro e sfida i tabù del Giapponeコリエーレ紙ウェブ版 2017年12月28日
  39. ^ She Broke Japan’s Silence on Rape ニューヨーク・タイムズウェブ版及び翌日紙面 2017年12月29日
  40. ^ “伊藤詩織氏が漫画家らを提訴 ツイッターへの投稿めぐり”. 朝日新聞デジタル (株式会社朝日新聞社). (2020年6月8日). https://www.asahi.com/articles/ASN684J9QN68UTIL006.html 2020年6月8日閲覧。 
  41. ^ 伊藤詩織さん、杉田議員を提訴 中傷ツイートに「いいね」多数―東京地裁”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2020年8月20日). 2020年8月20日閲覧。
  42. ^ 北欧の児童書を使って考えるーー伊藤詩織さんが出演した北欧のトーク番組で、司会者達はなぜ彼女を責めなかったんだろう?――北欧では性暴力がどのように認識されているのか?”. ハフポスト (2018年3月5日). 2018年6月24日閲覧。
  43. ^ (英語)日本語字幕付き伊藤詩織はレイプで日本の沈黙を破った: - 結果は残酷だった スカヴラン”. YouTube Skavlan (2018年2月19日). 2018年6月24日閲覧。
  44. ^ 「日本の秘められた恥」 伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送”. BBC (2018年6月29日). 2018年7月4日閲覧。
  45. ^ (英語)Japan's Secret Sham”. BBC Two. 2018年6月24日閲覧。
  46. ^ (英語)Japan's Secret Shame - Shiori Ito's story”. BBC Two. 2018年7月4日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]