大澤昇平

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大澤 昇平
おおさわ しょうへい
人物情報
生誕 1987年[1][2]
福島県[2]
出身校 東京大学大学院工学系研究科
学問
博士課程
指導教員
松尾豊
指導教員 北川博之
学位 博士(工学)
称号 経済産業省認定 未踏天才プログラマー/スーパークリエータ
影響を
受けた人物
筧捷彦[3]
学会 人工知能学会
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大澤 昇平(おおさわ しょうへい、1987年 - )は、日本工学者実業家未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエーター[4]。株式会社Daisy代表取締役CEO[5]。専門分野は、人工知能深層学習強化学習分散データベースブロックチェーン

略歴[編集]

福島県いわき市出身[1]。福島高専卒業[6]、2010年3月筑波大学卒業[7]2012年3月 筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻修士課程修了[7]2015年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了[8][9]博士(工学)

IBMを経て、2017年8月に東京大学大学院工学系研究科特任助教着任[9]、着任と同時に株式会社Daisyを設立、2018年3月代表取締役CEO就任[5]

2019年4月に東京大学大学院・情報学環「情報経済AIソリューション寄付講座」特任准教授着任[10][11]。2020年1月15日、後述のヘイトスピーチ投稿により懲戒免職処分を受け、解任[12]

研究・業績[編集]

2007年よりウェブ上で動作する自律分散データベースの研究を開始する。ニューラルネットワークを模した検索エンジン「netPlant」[13]経産省未踏ソフトウェア創造事業に採択され、スーパークリエーターの認定を受ける[3]。その後、分散データベースに関して容量効率のよいスキーマを提案したRDF Packages[14]は、国際学会iiWAS'10でBest Paper Award[15]を受賞した。2015年には『ウェブの情報統合による人物属性の推定の方法論に関する研究』[16]という題目の博士課程論文を書き、博士号を取得した。

博士号取得後は、IBM Researchで勤務しブロックチェーンであるHyperledger Fabricの研究開発に携わり、東京証券取引所と実証実験を実施し[17][18][19]、IBMより社長賞を授与されている[20]。東京大学特任助教に着任後は情報統合を行うブロックチェーンアプリケーションとして「Daisy Platform」を構想、株式会社Daisyを設立した[5]。Daisy社は、Daisyプラットフォームを2019年初頭にリリースすると発表したものの[21]、リリースされていない。ブロックチェーンに関してはWBSに取材を受けた[22]。また、東京大学情報学環にマネックスグループ株式会社、株式会社オークファン、株式会社大広より寄付を受け設置された「情報経済AIソリューション寄付講座」[23]の担当教員として、研究を継続していた。

論文[編集]

これまでに、ジャーナル論文7本、国際会議(本会議)5本、国際特許6本の業績がある[24]

  • Peer Prediction (2018) - 情報伝搬の議論にマルチタスクピア予測モデルを導入することで、オラクル問題を部分的に解決している[25]。iiWAS'18 Best Paper Award受賞 (第二著者)。
  • Gated PMF (2016) - 確率的行列分解(en)に注視機構に基づくゲートを導入した技術[26]。情報推薦のソフトウェアなどに応用されている。IJCAI'16採録。
  • Like Prediction (2015) - FacebookDBpediaを結合する技術[27]。オントロジーマッチング問題を扱うために機械学習を利用。
  • RDF Packages (2010) - 分散データベースにおける演繹的閉包のサイズを10分の1以下にするスキーマ[28]。iiWAS'10 Best Paper Award受賞[15]

社会実装[編集]

社会実装に関して以下の受賞がある。

  • swimmie (2007) - ブラウザインストール型のソーシャルブックマーク[29][30][31]。未踏同PJ内で開発され、データベースは単語間の意味構造を取得するためnetPlantに活用された。(「マスタースレーブ戦略」[32]
  • netPlant (2007) - ニューラルネットワーク型検索エンジン[13][33]。このとき既に単語間の意味構造をWord Embeddingの技術で可視化するWord2Vecの先駆け的な技術を独自に開発している[34]。未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエーター受賞[3]

取材・対談[編集]

  • AI同士対戦 東大が競技会 仮想通貨向け人材育成、日本経済新聞(紙面朝刊[35])、2019
  • Invent or Die - 未来の設計者たちへ 5: 中島聡×大澤昇平[36]、シンギュラリティソサエティ、2019
  • 「上から『AIやれ』と言われてやる企業は絶対に失敗する」スペシャリスト3人が語る、日本企業の勝算[20]、Ledge.ai、2019
  • 人工知能の未来-ディープラーニングの先にあるもの[37]、津山商工会議所、2018

情報経済AIソリューション寄付講座[編集]

情報経済AIソリューション寄付講座』は、東京大学情報学環マネックスグループ株式会社、株式会社オークファン、株式会社大広より1.4億円の寄付を受け、2019年4月1日から2020年3月31日まで存在していた寄付講座である[38]。PR Timesによると、情報学環の田中秀幸教授、大澤昇平特任准教授の二人体制で運用されていた[39]。また、日本経済新聞の取材によると、ブロックチェーンによる人材育成を目的としたAIの協議会なども開いていた[35]

発言[編集]

2019年11月20日の自身のツイッターで、「弊社Daisyでは中国人は採用しません」「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」と投稿。その後も「資本主義の文脈において、パフォーマンスの低い労働者は差別されてしかるべきです」などと書き込んだ[40][41][42][43][44]。炎上した一連のSNS上での発言に対して11月24日、大澤の所属する東京大学大学院情報学環は「特定個人及び特定の国やその国の人々に関する不適切な書き込み」であると指摘し、同大学院がHP上で謝罪声明を出した[45][46]2020年1月15日、この投稿を理由として東京大学を懲戒解雇された[47][48]。具体的な解雇理由は、前述の投稿のほか、「中国独裁共産党は東洋文化研究所などに入り込み、東大を支配しています」「東大は左翼の肩を持つつもりです。共産主義の反日大学にすべきでない」[47]などの投稿によって、情報学環アジア情報社会コースが「反日勢力に支配されているかのような印象を与え、社会的評価を低下させ」た点や[48]、東大の元教員を「根拠なく誹謗・中傷」したこと、情報学環に所属する現教員の「人格権を侵害する投稿」をしたことなどである[48]。本人は処分を不服としている[49]

2020年8月20日、ジャーナリストの伊藤詩織から、大澤が2020年6月にツイッターにて破産事件の官報公告とみられる画像と共に伊藤が偽名を使用しているという事実でないツイートを行ったとして、大澤に対し110万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こされた[50]

受賞[編集]

  • IBM社長賞、2016年8月
  • 日本データベース学会、優秀プレゼンテーション賞、2015年3月
  • 専攻長表彰,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻, 2012年3月
  • ソリューション型研究 開発/特別プロジェクト優秀賞,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻, 2011年3月
  • Best Paper Award[15], 12th International Conference on Information Integration and Web-based Applications & Services (iiWAS2010), November, 2010
  • 情報処理学会 学会推奨卒業論文認定、2010年6月.
  • スーパ ークリエーター認定、情報処理推進機構(IPA) 2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース、筧捷彦PM)、2007年5月
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構 第2回 機構学生表彰、2007年3月
  • 文部科学省 文部科学大臣奨励賞、2005年3月
  • 最優秀賞、全日本Web教材開発コンテストThinkQuest@JAPAN、2005年3 月
  • 文部科学省 文部科学大臣奨励賞、2004年6月

著書[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 31歳東大准教授が「進学校より高専」を勧める深い理由”. デイリー新潮 (2019年9月24日). 2020年10月12日閲覧。
  2. ^ a b 大澤 昇平”. toyokeizai.net. 東洋経済オンライン. 2020年10月12日閲覧。
  3. ^ a b c IPA、未踏ソフト事業で「スーパークリエータ」15名認定”. internet.watch.impress.co.jp. 2019年9月8日閲覧。
  4. ^ 未踏iPedia:歴代のスーパークリエータ:2006年度上期未踏ユース スーパークリエータ:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構”. www.ipa.go.jp. 2019年9月8日閲覧。
  5. ^ a b c Daisy” (日本語). Daisy. 2019年9月8日閲覧。
  6. ^ 大学生よりも優秀?高専生が注目される理由 | 学校・受験 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  7. ^ a b KDE(Kitagawa Data Engineering)学位論文”. kde.cs.tsukuba.ac.jp. 2019年9月15日閲覧。
  8. ^ 東京大学 松尾研究室 | メンバー”. web.archive.org (2012年7月12日). 2019年9月15日閲覧。
  9. ^ a b members | 東京大学松尾研究室 - Matsuo Lab”. web.archive.org (2017年11月12日). 2019年9月15日閲覧。
  10. ^ 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座”. 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座. 2019年11月10日閲覧。
  11. ^ 懲戒処分の公表について”. www.u-tokyo.ac.jp. 東京大学 (2020年1月15日). 2020年1月15日閲覧。
  12. ^ 差別的投稿「許されない」 東大、特任准教授を懲戒解雇”. www.asahi.com. 朝日新聞 (2020年1月15日). 2020年1月15日閲覧。
  13. ^ a b 「Googleよりユーザー視点」な検索ができる新発想検索エンジン、正式公開” (日本語). CNET Japan (2007年2月6日). 2019年9月8日閲覧。
  14. ^ Ohsawa, Shohei; Amagasa, Toshiyuki; Kitagawa, Hiroyuki (2010). “RDF Packages: A Scheme for Efficient Reasoning and Querying over Large-scale RDF Data”. Proceedings of the 12th International Conference on Information Integration and Web-based Applications & Services (New York, NY, USA: ACM): 341-348. doi:10.1145/1967486.1967540. ISBN 9781450304214. https://doi.org/10.1145/1967486.1967540. 
  15. ^ a b c 研究業績”. www.kde.cs.tsukuba.ac.jp (2019年12月14日). 2019年12月14日閲覧。
  16. ^ 昇平, 大澤「ウェブの情報統合に基づく人物属性の推定の方法論に関する研究」2015年3月24日。
  17. ^ 日本取引所とブロックチェーン技術の実証実験で合意” (日本語). www-03.ibm.com (2016年2月16日). 2019年9月8日閲覧。
  18. ^ ブロックチェーン技術に関する実証実験の開始について” (日本語). 日本取引所グループ. 2019年9月8日閲覧。
  19. ^ ブロックチェーン/分散型台帳技術に関する 業界連携型の技術検証の実施について” (日本語). 日本取引所グループ. 2019年9月8日閲覧。
  20. ^ a b 「上から『AIやれ』と言われてやる企業は絶対に失敗する」スペシャリスト3人が語る、日本企業の勝算”. Ledge.ai. 株式会社レッジ (2019年3月15日). 2020年8月27日閲覧。
  21. ^ Daisy (2018年11月14日). “ブロックチェーンを基盤としたAIプラットフォーム「Daisy」を2019年初頭にリリース予定” (英語). Medium. 2019年9月15日閲覧。
  22. ^ 独自の仮想通貨を発行し資金調達「ICO」の舞台裏とは【ワールドビジネスサテライト】|テレビ東京ビジネスオンデマンド” (日本語). テレビ東京ビジネスオンデマンド. 2019年9月8日閲覧。
  23. ^ 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座”. 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座. 2019年9月15日閲覧。
  24. ^ Shohei Ohsawa - Google Scholar Citations”. scholar.google.co.jp. 2019年10月2日閲覧。
  25. ^ Ito, Kensuke; Ohsawa, Shohei; Hideyuki, Tanaka (2018, November). “Information Diffusion Enhanced by Multi-Task Peer Prediction”. In Proceedings of the 20th International Conference on Information Integration and Web-based Applications & Services. (New York, NY, USA: ACM): 96-104. doi:10.1145/3282373.3282410. ISBN 978-1-4503-6479-9. https://doi.org/10.1145/2940716.2940790. 
  26. ^ Shohei Osawa, Yachiko Obara, Takayuki Osogami (2016). “Gated Probabilistic Matrix Factorization: Learning Users’ Attention from Missing Values”. Proceedings of the Twenty-Fifth International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI-16). 
  27. ^ Ohsawa, Shohei; Matsuo, Yutaka (2013). “Like Prediction: Modeling Like Counts by Bridging Facebook Pages with Linked Data”. Proceedings of the 22Nd International Conference on World Wide Web (New York, NY, USA: ACM): 541-548. doi:10.1145/2487788.2487992. ISBN 9781450320382. https://doi.org/10.1145/2487788.2487992. 
  28. ^ Ohsawa, Shohei; Amagasa, Toshiyuki; Kitagawa, Hiroyuki (2012-06-15). “RDF packages: a scheme for efficient reasoning and querying over large‐scale RDF data” (英語). International Journal of Web Information Systems. doi:10.1108/17440081211241969. ISSN 1744-0084. https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/17440081211241969/full/html. 
  29. ^ 共有ブックマークをFirefoxで実現した“swimmie” - @IT”. www.atmarkit.co.jp. 2019年9月9日閲覧。
  30. ^ ソーシャルブックマークの未来は受動型? 自動型? - @IT”. www.atmarkit.co.jp. 2019年9月9日閲覧。
  31. ^ ブラウザ上でタグ管理できるブックマークツール「Swimmie」が一般公開” (日本語). CNET Japan (2008年2月1日). 2019年9月9日閲覧。
  32. ^ ブックマーク連携型検索エンジン「netPlant」の開発 - 未踏ソフトウェア創造事業成果報告書”. 2019年9月9日閲覧。
  33. ^ ユーザー参加型検索エンジン『netPlant』 | スラド” (日本語). srad.jp. 2019年9月9日閲覧。
  34. ^ ブックマーク連携型検索エンジン「netPlant」の開発”. 2019年9月9日閲覧。
  35. ^ a b AI同士対戦 東大が競技会 仮想通貨向け人材育成” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2019年9月8日閲覧。
  36. ^ Invent or Die - 未来の設計者たちへ 5: 中島聡×大澤昇平” (英語). Singularity Society. 2019年9月8日閲覧。
  37. ^ 新春講演会(津山商工会議所) - 安東伸昭ブログ” (日本語). 新春講演会(津山商工会議所) - 安東伸昭ブログ. 2019年9月8日閲覧。
  38. ^ 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座”. 東京大学 情報経済AIソリューション寄付講座. 2019年9月15日閲覧。
  39. ^ 【8月5日開催】東京大学情報経済AIソリューション寄付講座主催のAI競技プログラミングの申込がスタート!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2020年10月12日閲覧。
  40. ^ 弊社 Daisy では中国人は採用しません”. twitter.com. 大澤昇平::AI救国論un (2019年11月20日). 2019年11月27日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月12日閲覧。
  41. ^ 中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね”. twitter.com. 大澤昇平::AI救国論un (2019年11月20日). 2019年11月28日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月14日閲覧。
  42. ^ そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします。”. twitter.com. 大澤昇平::AI救国論un (2019年11月20日). 2019年11月28日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月14日閲覧。
  43. ^ “「中国人は採用しません」 東大特任准教授がツイート”. 朝日新聞. (2019年11月25日). https://www.asahi.com/articles/ASMCS7QVPMCSUTIL023.html 2019年11月26日閲覧。 
  44. ^ 「中国人は書類選考で落とす」東大最年少准教授・大澤昇平氏が過激発言連発で大炎上中!「Winnyは中国共産党が…」”. 2019年11月23日閲覧。
  45. ^ 学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解”. www.iii.u-tokyo.ac.jp. 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 (2019年11月24日). 2019年12月13日閲覧。
  46. ^ 「中国人は採用しない」 東大特任准教授の問題発言を受け、東大が謝罪「大学側とは一切関係無い」 (1/2)”. nlab.itmedia.co.jp. ねとらぼ (2019年11月24日). 2019年12月13日閲覧。
  47. ^ a b 差別的投稿「許されない」 東大、特任准教授を懲戒解雇”. www.asahi.com. 朝日新聞 (2020年1月15日). 2020年1月15日閲覧。
  48. ^ a b c 懲戒処分の公表について”. www.u-tokyo.ac.jp. 東京大学 (2020年1月15日). 2020年1月15日閲覧。
  49. ^ 処分は不当だ。日本の AI 技術の発展を軽んじ、アジア諸国の多様性を重んじた東大の対応は明らかに間違っている。”. twitter.com. 大澤昇平 AI救国論un (2020年1月15日). 2020年1月15日閲覧。
  50. ^ “伊藤詩織さん、杉田議員を提訴 中傷ツイートに「いいね」多数―東京地裁”. jiji.com (株式会社時事通信社). (2020年8月20日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082000798 2020年8月20日閲覧。 

外部リンク[編集]