伊丹市交通局
種類 | 地方公営企業 |
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略称 | 伊丹市営バス |
本社所在地 |
日本 〒664-0014 兵庫県伊丹市広畑3-1 |
設立 | 1949年1月5日 |
業種 | 陸運業 |
事業内容 | 自動車運送事業 |
外部リンク | 伊丹市交通局 |
特記事項:庁舎は広畑車庫に隣接。 |
伊丹市交通局(いたみしこうつうきょく、英称:Itami Municipal Transportation Bureau)は、兵庫県伊丹市の組織のうち、地方公営企業として路線バスを運営する部門である。路線バスの通称は『伊丹市営バス』。
概要
かつて伊丹市では民営のバスが運行されていたが、第二次世界大戦の激しい被災を受けて途絶えてしまった。その後、戦後間もない1949年(昭和24年)に三菱電機伊丹製作所が試作した電気バスを使用するという、過去に例を見ない形で現在の事業がスタートした[注釈 1]。
伊丹市は市域が狭く、特に市の北部や西部からは鉄道の便が悪いため、その後は網の目のように路線網を増やしていった。
現在は市の東部に阪急バスが、市の西部に阪神バスが乗り入れており、競合する区間もある(特に前者は、市内に営業所を構えている)。この他、大阪国際空港(伊丹空港)には他社の路線バスや高速バス、関西国際空港行きのリムジンバスも発着しており、乗り換えが可能である。
沿革
- 1949年1月5日 - バスの営業を開始。
- 1952年3月 - 貸切バスの運行を開始。
- 1967年 - ワンマンバスの運行を開始。
- 1990年12月 - 『シティーゴーランド』の運行を開始。
- 1997年12月 - ノンステップバスを導入。
- 2000年
- 3月1日 - スルッとKANSAIの『ラガールカード』を導入。
- 11月21日 - 『シティーゴーランド』を廃止。
- 2001年12月15日 - JRの『Jスルーカード』を導入(公営バスで他に採用されたのは明石市営バスのみ)。
- 2003年8月18日 - 中山寺駅への乗り入れを開始。
- 2006年 - 貸切バス(観光)部門を廃止。以後は短距離送迎のみでの貸切バス運行となる。
- 2007年11月1日- オリジナルICカード乗車券『itappy』(イタッピー)の導入に向けて、運賃箱を更新。これと同時に、Jスルーカードの取り扱いを終了。
- 2008年4月1日 - 『itappy』を導入。同時に、PiTaPaとICOCAの取り扱いも開始[注釈 2]。
- 2016年3月31日 - 一般貸切旅客自動車運送事業廃止
- 2020年3月23日 - SuicaやPASMOなどの交通系ICカード全国相互利用サービス対応開始[1]。IC定期券の発売を開始[1]。
運行路線
伊丹市内を初めとして、隣接する尼崎市や宝塚市・川西市への路線があるほか、「伊丹空港」の通称を持つ大阪国際空港への路線が大阪府豊中市に乗り入れている(空港ターミナルが豊中市にあるため)。また、経路上で大阪府池田市も走行しているが停留所はない。
拠点となるのは、阪急伊丹・JR伊丹の各駅である。その内、「阪急伊丹」には市内最大のバスターミナルが整備されており、1990年代までは多くがここを起終点としていた。その後、JR伊丹駅が属するJR宝塚線の輸送改善が進んだこともあり、現在は原則として「JR伊丹」が起終点に設定されている。また尼崎市内においては、阪急塚口駅(「塚口」停留所)を南側のターミナルとしており、駅北口に発着する[注釈 3]。
便宜上、ここでは「JR伊丹・阪急伊丹発着」、「塚口発着」、「その他」の3つに大別して列挙する。
各線伊丹駅発着
- 1 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 小井内 - 西野 - 荒牧バラ公園
- 2 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 桜ヶ丘 - スポーツセンター前 - 荒牧バラ公園
- 3 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 裁判所前 - 伊丹病院・住友前 - サンシティ - 荒牧バラ公園
- 4 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 小井内 - 西野 - JR中山寺
- 5 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 裁判所前 - 伊丹病院・住友前 - 中野東 - JR中山寺
- 6 : 池尻→小井内→阪急伊丹→JR伊丹
- 7 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 小井内 - 西野 - 鴻池東
- 13 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 桜ヶ丘 - 市役所前 - 昆陽里 - 山田
- 14 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 桜ヶ丘 - 市役所前 - 昆陽里
- 16 : 中野大橋→札場辻→阪急伊丹→JR伊丹
- 17 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 裁判所前 - 昆陽池公園前 - 西野武庫川センター前
- 18 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 札場辻 - 松ヶ丘 - 西野武庫川センター前
- 20 : 阪急伊丹→JR伊丹→神津→岩屋→阪急伊丹→伊丹病院・住友前→松ヶ丘
- 21 : 阪急伊丹→JR伊丹→神津→岩屋→森本4丁目→宮ノ前→阪急伊丹
- 22 : 阪急伊丹 - JR伊丹 - 神津 - 岩屋 - 森本4丁目 - 阪急伊丹
- 23 : 阪急伊丹 - JR伊丹 - 神津 - クリーンランド前 - 岩屋 - 阪急伊丹
- 24 : 東部循環(2通りあり)
- 阪急伊丹 - JR伊丹 - 岩屋 - イオンモール伊丹テラス - 阪急伊丹 - 伊丹病院・住友前 - サンシティ
- サンシティ - 伊丹病院・住友前 - 阪急伊丹 - JR伊丹 - 岩屋 - イオンモール伊丹テラス - 阪急伊丹
- 25 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 宮ノ前 - 神津 - 宮川原橋 - 大阪国際空港
- 26 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 神津 - 大阪国際空港(急行便「伊丹エアポートライナー」、途中「伊丹シティホテル前」「阪急伊丹」「神津」のみに停車)
- 30 : 阪急伊丹 - JR伊丹 - 北村 - 総監部前 - 三師団・交通局前
- 31 : 阪急伊丹 - JR伊丹 - 北村 - 総監部前 - 山本団地
- 36 : 阪急伊丹 - 南本町1丁目 - JR猪名寺 - 野間口 - 山田
- 49 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 春日丘西 - 総監部前 - 荻野 - 北野
- 50 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 春日丘西 - 北野 - 伊丹病院・住友前 - 三師団・交通局前
- 51 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 春日丘西 - 総監部前 - 荻野 - 鶴田団地
- 52 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 春日丘西 - 総監部前 - 荻野 - 鶴田団地 - JR中山寺
- 53 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 伊丹坂 - 総監部前 - 荻野 - 荻野南
- 54 : JR伊丹 - 阪急伊丹 - 荻野南 - 瑞原1丁目 - 伊丹病院・住友前 - 三師団・交通局前
- 82 : 阪急伊丹→本町→藤ノ木→下河原(阪急伊丹発のみ)
- 84 : 阪急伊丹 - 市役所前 - 体育館・市民プール前 - 下河原
- 82・84系統の起終点である下河原停留所は、大阪府池田市との府県境付近にある。阪急バス(豊中西宮線)の停留所が並立しており、乗り換えが可能。
阪急塚口駅発着
- 33 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 野間口 - 小井内 - 阪急伊丹 - JR伊丹
- 34 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 野間口 - 小井内 - 阪急伊丹
- 35 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 野間口 - 小井内 - 昆陽里
- 37 : 塚口 - 稲野町8丁目 - 堀池口 - 鈴原町1丁目 - 阪急伊丹 - JR伊丹
- 38 : 塚口←稲野町8丁目←堀池口←新伊丹
2022年現在、この便は実際には運行されていない。
- 40 : 塚口 - 稲野町8丁目 - 堀池口 - 伊丹病院・住友前 - 三師団・交通局前
- 41 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 野間口 - 山田
- 43 : 塚口 - 稲野町8丁目 - 佐々原 - 野間口 - 山田
- 44 : 塚口←近畿中央病院前←車塚(車塚発のみ運行)
- 60 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 山田 - 池尻 - 中野 - 瑞ヶ丘 - 三師団 ・ 交通局前
- 61 : 塚口 - 近畿中央病院前 - 山田 - 伊丹病院・住友前 - 三師団・交通局前
- 62 : 塚口 - 佐々原 - 山田 - 伊丹病院・住友前 - 三師団・交通局前
その他
- 32 : 三師団・交通局前 - 伊丹病院・住友前 - 中野大橋 - 総監部前 - 山本団地
- 39 : 三師団・交通局前 - スポーツセンター南 - 裁判所前 - 御願塚8丁目 - 山田
2022年現在、土日祝に山田を12時45分発の1本のみ運行されている
- 55 : 三師団・交通局前 - 伊丹病院・住友前 - 荻野 - 荒牧バラ公園 - JR中山寺
車両
公営事業者としては珍しく、長らくメーカーはいすゞ自動車製のみに揃えていた[注釈 8][注釈 9][2]が、2019年に三菱ふそうの車両が22年振りに導入された[3]。ツーステップ時代にはほかの県内でいすゞ主体で導入していた事業者(山陽バス、淡路交通、全但バス)とは異なり隣接する尼崎市交通局と同じく西日本車体工業架装の車両も多く導入されたが、現在は純正ボディとしている。座席の配列などに隣接する尼崎市交通局時代に導入した阪神バス尼崎市内線の車両や尼崎市交通局の外郭団体として強い影響を受けた尼崎交通事業振興の車両とも類似点が見られる。
塗装は、白色とダークグリーンのツートンカラーで、ノンステップ化されてからはオレンジを入れるようになった。なお、1999年の運行開始50周年記念として、創業当時のクリーム色と茶色の2色が配色された車両『プリンバス』が3台導入された。特に運用される路線は固定されていなかったが、末期は塚口発着や空港線への充当が多かった。この『プリンバス』は自動車排出ガス規制の改定により基準を満たさなくなったため、2012年11月28日朝の運用を最後に引退となり、同日付で車籍も抹消された。なお、このうち1台は官公庁オークションに出品された[4]が最終的には「車両」として再利用されることなくスクラップ扱いで解体されてしまった。
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2019年現在、主力のエルガノンステップバス
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ツーステップ車の標準塗色
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バンパーに橙色が入ったノンステップ塗色
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50周年記念塗色『プリンバス』
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方向幕時代
その他の特記事項
- 営業所は「広畑営業所」(伊丹市広畑3丁目1番地)の1か所のみ。
- 運賃は距離にかかわらず、1回の乗車につき大人210円、小人110円である。阪神バス尼崎市内線と同様に、関西地区では少数派の「前乗り後降り、運賃先払い」方式[注釈 10]を採用している。ただし、釣り銭方式の阪神バス尼崎市内線に対し、伊丹市では両替方式である。
- 停留所を飛ばして運行するミスを繰り返していたとして、2011年11月に近畿運輸局が文書による警告を行った。しかしその後も、同様なミスが多数発覚したとして、同運輸局は2012年11月に、バス2台を10日間に亘って運行停止とする行政処分とした[5]。
- 隣接する尼崎市バスが2016年3月19日をもって、全路線を阪神バスと事業を継続した尼崎市の外郭団体である尼崎交通事業振興に移譲する形で運行を終了したため、兵庫県内の神戸市(政令市営)以外では唯一かつ、国内有数の一般市営の公営バスとなっている。
- 2020年5月下旬、乗務員が運行終了後の車内点検を怠り、乗客が車内に取り残される事案が報道された。乗客にけがなどはなし[6]。
脚注
注釈
- ^ なお、隣接していた尼崎市バス(現・阪神バス尼崎市内線)も、前年の1948年より運行を開始している。こちらも電気バスを使用しての開始であった。
- ^ 2020年3月22日までは、交通系ICカード全国相互利用サービスには参加しておらず、これら3種類以外のICカードを運賃支払いに利用できなかった(SuicaやPASMOなど、残り8種類の相互利用ICカードが利用できなかった)。
- ^ 阪神バス尼崎市内線の前身である尼崎市バスも一時期北口に乗り入れ、伊丹市御願塚・南町を経てJR猪名寺(乗り入れ時は国鉄)・園田方面へと向かう路線を運行していた。後にターミナルは南口のみとなり、伊丹市内を走行する区間もごくわずか(近畿中央病院付近・野間地区)となった。
- ^ 2013年4月1日にスポーツランドの休館によりクリーンスポーツランド前から改称。参照
- ^ なお、阪急バス豊中東西線は一部便がイオンモール伊丹(JR伊丹駅東口)まで運行しているが、イオンモール伊丹とクリーンランド間は無停車となっている。豊中東西線はもとは阪急曽根駅とクリーンランドのみの運行(96系統クリーンランド線)であったものを2021年4月1日に再編し、緑地公園駅 - 阪急曽根駅 - クリーンランド - イオンモール伊丹を結ぶ95系統となった。
- ^ 空港には阪急バスも乗り入れているが、宝塚・池田・新大阪方面に向かう路線を担当しているため伊丹市への路線は市営のみである。
- ^ 豊中市にのみならず大阪府の豊能地区全体(豊中市のほか、池田市、箕面市、豊能郡豊能町、能勢町)でも唯一阪急バス以外が担当する路線バスでもある(このうち豊能郡豊能町と能勢町は以前は(旧)京都交通(現在の京阪京都交通)が運行していたが2003年7月1日に廃止され一部は阪急バスに移管した)。また、豊中市には阪急バスの本社所在地でもある。
- ^ 一般的に公営バスでは、国内メーカー各社を営業所ごとに割り当てるか、入札で年度ごとに購入車種を決めるため事業者全体で特定メーカーに統一されることはほとんどない。なお、公営バスにおいて、いすゞ車にほぼ統一されていた事例としては他に岐阜市営バス(事業廃止、一部日産ディーゼル車も購入)がある。
- ^ 例外として、最初のノンステップ車2台、かつて在籍した貸切観光バスのみ三菱ふそう製(現在は廃車)。
- ^ 関西地区においては、阪神バス尼崎市内線・伊丹市の他には京都市バスの一部、奈良交通の奈良市内(市内循環など)、南海バスの堺シャトル、北港観光バスの一部などで見られるが、関西では均一運賃であっても大阪シティバスや神戸市バスをはじめとして後乗り前降り・後払い方式が多い。
出典
- ^ a b “市営バスかわら版第14号 > 3月23日(月)IC定期券を導入・市バスダイヤを改正 〜空港便(現・直行便)も新ルートで運行〜” (PDF). 伊丹市交通局. p. 1 (2020年3月1日). 2021年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月19日閲覧。
- ^ 『年鑑バスラマ 1995-1996』 P.89-97「伊丹市営バス1959年」によれば1960年当時の所有車種は日産2、トヨタ9、三菱ふそう15、日野11、いすゞ4の合計41台だったとされ、古くは複数メーカーを併用していた。
- ^ [1]
- ^ 「プリンバス」引退記念グッズ販売! - 伊丹市交通局 2012年4月25日、同10月23日閲覧
- ^ 停留所飛ばし運行の路線バス、警告後もミス続発 読売新聞 2012年11月8日
- ^ “伊丹市営バスで乗客閉じ込め 運行終了後点検怠る”. 神戸新聞NEXT. (2020年6月3日) 2020年6月3日閲覧。
関連項目
- 尼崎市交通局(尼崎市バス) - 2016年3月20日から全路線を下記へ委譲する形で運行終了。
- 阪神バス - 上記市バスの移譲を受けた側。
- 尼崎交通事業振興 - 尼崎市の外郭団体で上記市バスの一部路線を共同運行と受託運行を行っていた他、市バス民営化後も引き続き阪神バス尼崎市内線に限り一部路線の共同運行と受託運行を行っている。
- 阪急バス伊丹営業所
- itappy