海峡線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。210. (会話 | 投稿記録) による 2012年5月6日 (日) 17:02個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

JR北海道 海峡線
青函トンネル内 (竜飛海底駅、2008年7月29日)
青函トンネル内
(竜飛海底駅、2008年7月29日)
青函トンネル内
(竜飛海底駅、2008年7月29日)
海峡線の路線図
海峡線の路線図
赤線の区間が海峡線、
青線の区間は津軽線(下側)・
江差線(上側)乗り入れ区間
路線総延長87.8 km
軌間1,067 mm
電圧20,000V・50Hz
架空電車線方式交流
最高速度140 km/h

海峡線(かいきょうせん)は、津軽海峡の海底下に掘削された青函トンネルを介して、本州青森県東津軽郡外ヶ浜町中小国駅北海道上磯郡木古内町木古内駅とを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線地方交通線)である。

すべての列車が直通する東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線およびJR北海道江差線函館本線のそれぞれ一部区間と合わせて「津軽海峡線」という愛称が付けられており、交通新聞社の『JR時刻表』やJTBパブリッシングの『JTB時刻表』[1]などの市販時刻表でも「津軽海峡線」として案内されている。

概要

海峡線は、国鉄分割民営化後の1988年、従来青森駅 - 函館駅間で運航されていた青函連絡船に代わって本州と北海道を連絡するJR線として開業した。

将来の北海道新幹線との共用を見越して新幹線規格で建設されたため、事実上のスーパー特急方式となっており、2015年度に開業が予定される当線区間での北海道新幹線の運転に向けて、現在三線軌化が行われている。北海道新幹線と在来線の分岐点は青森側が新中小国信号場の北(北海道寄り)、北海道側が木古内駅の西(本州寄り)に設けられる予定であり、開業時からそれに対応した線形となっている。

保安装置はATC-L型という当時東北新幹線全線で使用されていたATC-2型と互換性を持たせたATCが導入されている。しかし東北新幹線では既に全線でDS-ATCへ移行しており(盛岡駅 - 八戸駅間および八戸駅 - 新青森駅間は開業当初から採用)、新幹線との互換性保持は意味を持たなくなっている。

本州と北海道を結ぶ優等列車が多く運転されている路線だが、有人駅は木古内駅(社員配置駅)のみで、残りの駅は全て無人駅である。また、津軽今別駅構内には踏切も存在する。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):中小国駅 - 木古内駅間 87.8km
  • 管轄(事業種別):北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道第二種鉄道事業者
    書類上では中小国駅が起点であるが、実際にJR東日本津軽線から線路が分岐しているのは新中小国信号場であり、中小国駅 - 新中小国信号場間 (2.3km) は津軽線との重複区間である。
  • 軌間:1,067mm
  • 駅数:6(起終点駅含む)
    • 海峡線所属駅に限定した場合、起点の中小国駅(津軽線所属[2])と、終点の木古内駅(江差線所属[2])が除外され、4駅となる。なお、新中小国信号場は設置当初から海峡線所属である。
  • 複線区間:新中小国信号場 - 木古内駅間
    • 下り線は江差方面からの合流点と木古内駅の区間のみ江差線(上下単線)と線路を共用 
  • 電化区間:全線(交流20,000V[3]、50Hz
  • 閉塞方式:車内信号閉塞式(新中小国信号場 - 木古内駅間)
  • 保安装置:
    • ATS-SN:中小国駅 - 新中小国信号場間
    • ATC-L:新中小国信号場 - 木古内駅間
  • 最高速度:140km/h(新中小国信号場 - 木古内駅間)
  • 運転指令所:函館指令センター

海峡線全線が北海道旅客鉄道函館支社の管轄である。ただし、中小国駅 - 新中小国信号場(構内除く)間の施設は東日本旅客鉄道盛岡支社の管理下に置かれている。

一部区間に既に敷設された新幹線用レール
特急「スーパー白鳥」車内より(2007年11月)

運行形態

基本的に広域輸送のみで、地域輸送はほとんど考慮されていない。そのため、海峡線単独の列車はなく、すべての列車が青森駅および五稜郭駅以遠から発着する。なお、起点の中小国駅は海峡線の全列車が通過するため、津軽線三厩方面との乗換駅は蟹田駅となる。

旅客列車は、かつては快速海峡」が青森駅 - 函館駅間で運転されていたが、2002年12月1日東北新幹線八戸駅延伸に伴うダイヤ改正で八戸駅 - 青森駅 - 函館駅間の輸送体系が見直され、「海峡」は廃止された。これ以降、海峡線には本州側の青森駅方面から北海道側の函館駅方面へ直通する特急列車急行列車のみが設定されており、普通列車(快速含む)の設定がない区間となった。

そのため、津軽線蟹田駅 - 木古内駅間の各駅相互間には、乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車できる特例が設けられた。これは、同じJR北海道(旧・日本国有鉄道)の石勝線新夕張駅 - 新得駅間が、1981年10月の同線開通と同時に適用になって以来2例目である。

また、本州と北海道を結ぶ物流の動脈として、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車が多数設定されており、航空・船舶と比較して天候に左右されにくい貨物の安定輸送こそが本路線の最大の存在意義である。なお1994年3月改正時より海峡線を通る貨物列車は完全コンテナ化を完了し、車扱輸送は消滅した。現在はコンテナ列車が中心で、危険物など一部の貨物は安全対策のため青函トンネル経由の輸送が制限される(青函トンネル#走行車両を参照)。

運転されている列車

かつて運転されていた列車

タイアップ企画

快速「海峡」時代の「ドラえもん海底列車」。車体にキャラクターが描かれている

1998年から、藤子・F・不二雄の漫画・アニメドラえもん』とのタイアップが開始された。この当時運行されていた快速「海峡」の客車や機関車に同作品のキャラクターをペイントした「ドラえもん海底列車」の運転が行われ、吉岡海底駅では「ドラえもん海底ワールド」と銘打つ同作品の展示スペースが設けられるなどした。「海峡」廃止後の2003年夏からは、吉岡海底駅見学専用の全車座席指定列車として函館駅 - 吉岡海底駅間で特急「ドラえもん海底列車」が運転された。

吉岡海底駅の見学コース中止に伴い、2006年8月27日の「ドラえもん海底列車」の運転を最後に、このタイアップ企画は終了した[4]

歴史

  • 1988年(昭和63年)3月13日:海峡線中小国 - 木古内駅間 (87.8km) 開業(全通)
  • 1990年(平成2年)7月1日:知内駅新設(新湯の里信号場を旅客駅化)

駅一覧

駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
接続路線・備考 所在地
中小国駅 4.4 0.0 東日本旅客鉄道津軽線[* 1] 青森県 東津軽郡 外ヶ浜町
新中小国信号場 - 2.3 (JR東日本津軽線とJR北海道海峡線の実際の分岐点)
津軽今別駅 13.0 13.0 東日本旅客鉄道:津軽線(津軽二股駅 今別町
竜飛海底駅 19.5 32.5 青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線[* 2] 外ヶ浜町
(臨)吉岡海底駅 23.0 55.5 (全列車通過) 北海道 松前郡 福島町
知内駅 20.5 76.0   上磯郡 知内町
木古内駅 11.8 87.8 北海道旅客鉄道江差線 木古内町
  1. ^ 海峡線の列車はすべて通過するため、中小国駅での列車の乗り換えはできない
  2. ^ 海底駅見学整理券利用見学者のみ乗降可能

竜飛海底駅・吉岡海底駅は、青函トンネルの避難施設を活用した見学施設であり、見学者以外の一般旅客が利用することはできない特殊な駅である。吉岡海底駅は北海道新幹線工事の資材基地となるため、2006年8月28日から見学コースが中止され停車列車がなくなっている。また、地元請願によって保守基地施設(信号場)を旅客駅化した津軽今別駅、知内駅も1日上下4本の列車が停車するのみである。

脚注

  1. ^ 本文は「津軽海峡線」表記であるが、路線図では「海峡線」と表記。
  2. ^ a b 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  3. ^ 北海道新幹線開業時は25,000Vに昇圧される。
  4. ^ 産経新聞 ENAK ドラえもん海底列車 今月でお別れ JR北海道 - 産経新聞 2006年8月2日

関連項目