朝鮮

半保護されたページ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。12a (会話 | 投稿記録) による 2012年5月11日 (金) 09:48個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (12a (会話) による ID:42451450 の版を取り消し)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

朝鮮

Location of 朝鮮
首都 ソウル特別市 / 平壌直轄市
最大都市 ソウル特別市
公用語 朝鮮語
民族
朝鮮民族
統治体制 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
大韓民国の旗 大韓民国
面積
• 合計
219,140 km2 (84,610 sq mi)[1][2] (84位)
• 水面積率 (%)
2.8
人口
• 2010年の推計
73,000,000[3] (18位)
• 人口密度
328.48/km2 (850.8/sq mi)
通貨 ウォン () (/)
時間帯 UTC+9 (KST)
韓国 / 朝鮮
各種表記
ハングル 한국 / 조선
漢字 韓國 / 朝鮮
発音 ハングク / チョソン
日本語読み: かんこく / ちょうせん
英語表記: Korea
テンプレートを表示
統一旗

朝鮮(ちょうせん)は、朝鮮半島および済州島巨文島鬱陵島など周囲の島嶼海域を併せた地域を表す呼称。ユーラシア大陸の東端に位置し、北西に中華人民共和国、北東にロシア、南東に対馬海峡西水道(朝鮮海峡)を隔てて日本と隣接する。

この地の全域を、大韓民国(韓国)も朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も共に自国の領土に定めており、両国の領土は完全に一致重複している。しかし現実は朝鮮戦争以降、軍事境界線38度線)を境に北半部は北朝鮮が、南半部は韓国が実効支配している。

「朝鮮」の由来

この地名はすでに紀元前4世紀頃から有った事が確認され、『史記』や『管子』に「朝鮮」という地名に関する記述がある。その由来について史記の朝鮮列傳では張晏の説で、「朝鮮には湿水洌水汕水が有り、3つのは洌水として合わさる。恐らくここから楽浪朝鮮の名前を取ったと思う。」とされ、朝鮮王朝(李氏朝鮮)の官選地理書『東国輿地勝覧』によると中国人が朝光鮮麗の地と呼んだためといわれ、さらに、東方(=朝)の鮮卑に由来すると言う説もあり、結論が出ていない。しかし百済新羅高句麗、日本の資料には「朝鮮」という呼び方は一切無く、中国側の呼び方で、初めは遼東の地名であった。

「朝鮮/韓」などの相違

日本語を含む漢字文化圏では、「○○半島」(○○반도、○○バンド)、「○○民族」」(○○민족、○○ミンジョク)、「○○語」(○○、○○オ)などの様々な局面において、この地域を何と呼称するかが問題となる。

現地における呼称

現地の朝鮮語・韓国語では、統治する国家によって南北で2種類の異なる呼び方がなされている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では「朝鮮」(조선、チョソン)、大韓民国(韓国)では「大韓」(대한、テハン)ないし「」(、ハン)ないし「韓国」(한국、ハングク)と呼ばれ、互いに他方の名で呼ばれることを好まない。これらは北半分や南半分の一方を指す名称ではなく、共に全体の名称である。

これは、直接には両国における自称の国名が北朝鮮では「朝鮮」になったのに対し、韓国では朝鮮という国名は使われなくなり、「韓」が国家のみならず民族や半島をも含めた名称として受け入れられているためである。従って、現在の韓国では「朝鮮民族」や「朝鮮半島」という呼称はめったに使われない。

この煩雑さを避け政治的中立性を保つ意図で、稀に「高麗」(こうらい、고려반도、コリョ)と呼ばれることがある。

日本語における呼称

この記事名である「朝鮮」(歴史的仮名遣では「てうせん」)は、この地域や民族の名称として日本語において広く用いられる呼称である。古くは、この地域の人々を指す言葉として「韓人」(からひと)、「高麗人」(こまびと)などがあり、李氏朝鮮時代には李朝の国号から「朝鮮人」(ちょうせんじん)という呼称が生まれた。李氏朝鮮が大韓帝国に国号を変えると、「韓国人」(かんこくじん)という呼称が生まれた。

韓国併合によって大韓帝国が消滅すると、日本は韓国の地名を朝鮮に戻し、朝鮮に本籍地を有する日本臣民となった者が法律上、「朝鮮人」と称されることになった。本国(内地)と植民地という力関係を反映し、「朝鮮人」やこれを略した「鮮人」という呼び方には見下すようなニュアンスがこめられがちであるため、「朝鮮出身者」といった遠まわしな言い方がしばしば使われる。朝鮮総督府は内地人に「鮮人」と呼ばないようしばしば呼びかけ、多くの文書で「朝鮮(半島)同胞」との呼称を用いた。旧陸軍においても朝鮮人兵士に対して「朝鮮人」や「鮮人」の語を使用しないよう指導がなされていた[4][5][6]

日本の朝鮮統治が終わった後もこのような傾向は続き、現在に至るまでも面と向かって「朝鮮人」と言うのを憚る風潮が存在する。しかし、「朝鮮」を統一名称とみなしている、または韓国を支持しない等々さまざまな理由から、在日朝鮮人が好んで「朝鮮人」を自称するケースもあるため、必ずしも蔑称とはみなされていない。韓国・北朝鮮の成立後は、全体を漠然と指すときは従来通りの「朝鮮人」が多く用いられ、特に韓国の国籍を保持する者を「韓国人」と呼んで区別している。「韓国人」の対立概念として「朝鮮人」を使用する場合には、北朝鮮を正統国家として支持する者や、または朝鮮籍の在日朝鮮人を限定して指すこともある。マスコミでは、「韓」と「朝鮮」との区別が問題になることを避けるために漠然と「朝鮮民族」と称することが多い。

日本語では朝鮮族という言い方も存在するが、これは中国吉林省延辺朝鮮族自治州を中心に、中国東北部満州)やロシア沿海地方などに住む朝鮮民族を特に指す語として使われる。

その他の言語における呼称

英語など、漢字文化圏以外の多くの言語では、中世高麗王朝に由来する Korean Coréen Koreaner などで呼んでおり、朝鮮と韓との区別はない。

「李氏朝鮮」の呼称

日本においては王室の姓をとり「李氏朝鮮」もしくは「李朝」の呼称が用いられていたが、近年では「李氏朝鮮」を「朝鮮王朝」と言い換え、古朝鮮と朝鮮とで呼び分ける立場が日本の朝鮮史研究者の間では主流となってきた。文部科学省2002年に「李氏朝鮮」という呼称について「表記が不適切」との検定意見をつけた。その理由を、日本における学術研究の成果を反映したためとし[7]、特に朝鮮史学界での呼び方にならったことを強調した[8]

韓国における「朝鮮」

韓国においては「チョソン」は古称・雅名としても認知され、そのような文脈に限っては抵抗なく使われることもあるが、北朝鮮式の呼称であることによる忌避のみならず、日本語読みの「ちょうせん」は差別の意味合いを持って受け取られることがある。南北をひっくるめて論じるときなどは「韓民族」「韓半島」などというのが普通であり、かつて日本の保守系親韓派知識人の一部[9]もこのような用語法を用いた例もある。

北朝鮮における諸事情

北朝鮮では「ハングル」など読み方が「韓」を連想させるような語彙は嫌われることもある(ただし「ハングル」のハンは「韓」ではなく「偉大な」の意味である)。北朝鮮の日本向け日本語放送国際放送)『朝鮮の声放送』では「チョソン」の呼称が用いられる。

脚注

  1. ^ "North Korea". World Reference Atlas (2nd American ed.). New York: Dorling Kindersley. 1996. p. 413. ISBN 0-7894-1085-0
  2. ^ "South Korea". World Reference Atlas (2nd American ed.). New York: Dorling Kindersley. 1996. p. 498. ISBN 0-7894-1085-0
  3. ^ MT.co.kr
  4. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007778900
  5. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007819700
  6. ^ アジア歴史資料センター、レファレンスコードC01007867000
  7. ^ 毎日新聞2002年4月10日朝刊。
  8. ^ 日本経済新聞2002年4月10日朝刊。
    文部科学省は前年2001年に「つくる会教科書」における「李氏朝鮮」という呼称について大韓民国から修正を要求されたが「明白な誤りとは言えない」として拒絶したことがあった。その翌年2002年の検定意見で「李氏朝鮮」という呼称を不適切としたことについて文部科学省は、韓国の要求に応じたのではなく、学術研究の反映であると説明した。同年の検定意見では「任那日本府説」の是非に絡む「倭日本は加羅を根拠地として百済をたすけ、高句麗に対抗」との記述にも検定意見をつけて「近年は任那の恒常的統治機構の存在は支持されていない」(日本経済新聞2002年4月10日朝刊)と説明した。
  9. ^ 山本七平など

関連項目