スロープカー
スロープカーは株式会社嘉穂製作所が開発・製作している跨座式のモノレール車両で、同社の製品名である。
概要
用途
その名前の通り、施設敷地の入口(門など)から建物の玄関口までの間に「急な坂道」や「階段」がある場合において、主に歩行困難な老人や車椅子利用者の輸送を目的としたバリアフリー対策として導入されるケースが多い。また、地形的に健常者でも歩行困難な2点間を連絡する目的で設置されることもある。
構造
車体長さ3m程度で定員4 - 8名のものと、車体長さ6m程度で定員30名程度のものがある。2両編成になっているものもある。
通常の鉄道車両としての跨座式モノレールは、コンクリートのレールの上をゴムタイヤで走るものが多いが、スロープカーはラックレールに似た鋼製のレールと車体に取り付けられた歯車の組み合わせで坂を登っていく。これにより、最大45度(1000‰)の登坂が可能である。動力には電気動力を使用し、電動機を駆動させる。
車体支持部に車両床面水平自動制御装置を装備し、レールの勾配が変化しても常に車体の水平を保つように制御されている車両もある。
利用者のボタン操作により自動的に作動し、目的地で停止するようになっているため、運転士は不要である。
走行速度が低いものが多く、健常者であれば、スロープカーに乗るよりは歩いた方が施設内の目的地に早く到着するケースが多いが、これはこの乗り物の性質があくまでも坂道や階段に対する「補助」であるためである。
現在供用されているものは全て、日本の法律上はエレベーターに分類されるため、鉄道事業法に基づく鉄道や軌道法に基づく軌道ではない。
導入例
日本国内
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- 青森県西津軽郡深浦町 - ウェスパ椿山
- 秋田県湯沢市 - 稲庭城
- 宮城県柴田町 - 柴田町船岡城址公園スロープカー
- 宮城県仙台市 - 佛國寺
- 埼玉県秩父市 - 浦山ダム (身体障害者用)
- 千葉県鎌ヶ谷市 - 弥生の里
- 東京都北区 - 飛鳥山公園 あすかパークレール「アスカルゴ」
- 東京都台東区 - 本龍院
- 東京都八王子市 - 太蔵院
- 東京都町田市 - 廣慶寺
- 神奈川県横浜市 - 南ヶ丘メモリアルパーク
- 神奈川県鎌倉市 - 松久寺
- 神奈川県横須賀市 - 田浦青少年自然の家
- 神奈川県箱根町 - 対星館の渓谷電車(改装のため休業中)
- 新潟県魚沼市 - 奥只見ダム「奥只見スロープカー」(駐車場、売店と奥只見湖、ダムとを結ぶ)
- 静岡県掛川市 - 小笠山総合運動公園(エコパ)
- 山梨県北杜市 - 南八ヶ岳花の森公園
- 山梨県身延町 - 身延山(複線)
- 長野県長野市 - 茶臼山動物園
- 長野県上田市 - 上田女子短期大学
- 愛知県蒲郡市 - 吉良観光ホテル
- 愛知県犬山市 - 寂光院 (犬山市)
- 岐阜県関市 - 岐阜県博物館「らくらく号」
- 岐阜県高山市 - 穂高荘山のホテル
- 三重県四日市市 - 希望荘 (四日市市)
- 三重県名張市 - 青蓮寺ダム
- 奈良県天川村 - 面不動鍾乳洞(2011年の台風12号により被害を受け、モノレール工業のものから乗せ換え)
- 京都府南山城村 - 青山ダム
- 京都府宮津市 - 天橋立ビューランド
- 兵庫県姫路市 - 太陽公園 山頂の施設「白鳥城」へのアクセス
- 兵庫県竜野市 - 本龍院
- 兵庫県宍粟市 - 兵庫県立国見の森公園森林学習軌道※全長1100メートル、片道18分かかり、日本最長と思われる。嘉穂製作所「スロープカー」ホームページトップに掲載
- 徳島県鳴門市 - 神戸淡路鳴門自動車道高速鳴門バスストップ「すろっぴ〜」
- 徳島県三好市 - 奥祖谷観光ホテル
- 徳島県三好市 - 井川Xパーク ゾーブ用(2014年度に廃止)
- 愛媛県今治市 - 桜井海浜公園
- 愛媛県宇和島市 - 南予レクリエーション松軒山公園
- 福岡県北九州市 - 本正寺
- 福岡県北九州市 - 皿倉山スロープカー
- 福岡県福岡市 - 福岡市動植物園
- 福岡県添田町 - 英彦山花園スロープカー(複線)
- 福岡県添田町 - 添田公園
- 佐賀県多久市 - 常應寺(2013年に廃止)
- 佐賀県武雄市 - 武雄市保養公園(2014年に廃止)
- 長崎県長崎市 - 中尾城公園
- 長崎県諫早市 - 山茶花公園ピクニックパーク
- 熊本県芦北郡津奈木町 - 津奈木温泉「四季彩」・つなぎ美術館
- 熊本県芦北郡芦北町 - 芦北海浜総合公園 ゾーブ用
- 大分県大分市 - 高崎山自然動物園「さるっこレール」
- 大分県宇佐市 - 宇佐神宮
- 鹿児島県鹿児島市 - ベイヒルビュー桜島
- 鹿児島県霧島市 - 丸岡公園
- 鹿児島県さつま町 - 観音滝公園
韓国
- 城南市 - LGソンナム樹木園(20人乗り×2両編成)
- 昌原市 - 鎮海区(20人乗り×2両編成)
- 鬱陵島 - Teha 展望台(40人乗り×2両編成)
- Pileseung 展望台(50人乗り×2両編成)