「霜」の版間の差分

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[[Image:Frost on ground.jpg|thumb|250px|地面に張った霜]]
[[File:It's cold outside - Flickr - Stiller Beobachter.jpg|thumb|250px|霜が降りた朝]]
[[File:Frost on rail fastening.jpg|thumb|250px|地面の物体に霜が付いている]]
'''霜'''(しも、{{lang-en-short|frost}}<ref>「[http://amsglossary.allenpress.com/glossary/search?id=frost1 frost]」、[[アメリカ気象学会]] 『Glossary of Meteorology』、2012年12月20日閲覧。</ref>)は、0[[セルシウス度|℃]]以下に冷えた物体の表面に、[[空気]]中の[[水蒸気]]が[[昇華 (化学)|昇華]]([[固体]]化)し、[[氷]]の[[結晶]]として堆積したものである。
[[File:Dülmen, Wildpark -- 2017 -- 6006.jpg|thumb|200px|霜が付いた落ち葉]]
[[File:Englische Rose -The Squire- Raureif-20201107-RM-091853.jpg|thumb|200px|霜が付いたバラの花]]
[[File:LUX – Kanton Luxemburg — Gemeinde Luxembourg — Unterstadt — Montée de la Pétrusse (Farn-“Eisblumen”) 2024-01-29 Mattes.jpg|thumb|200px|模様ができた窓の霜]]
'''霜'''(しも、{{lang-en-short|frost}}<ref name="ams1">{{Cite web|title=frost |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Frost |publisher=American Meteorological Society(AMS, [[アメリカ気象学会]]) |work=Glossary of Meteorology(気象学用語集) |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref>)は、0[[セルシウス度|℃]]以下に冷えた物体の表面に、[[空気]]中の[[水蒸気]]が[[昇華 (化学)|昇華]]し、[[氷]]の[[結晶]]として堆積したものである{{R|ams1}}<ref name="eom霜">[[#eom|最新 気象の事典]]、223頁「霜」(著者:石井幸男)</ref>。


なお、地中の水分が凍ってできる'''霜柱'''(しもばしら)とは異なる([[#類似の現象]])。
なお、地中の水分が凍ってできる'''霜柱'''(しもばしら)とは異なる([[#類似の現象]])。


== 霜の発生機構と様相 ==
== 概要 ==
霜が付くためには、物体が0℃以下に冷えて、かつ空気の[[湿度]]が高まり氷[[過飽和]]となる必要がある。言い換えると、物体表面の温度が、そこに触れている空気の温度に湿度を加味した[[霜点|霜点温度]](温度が0℃以下のときの[[露点温度]]のこと)よりも低くなるときである{{R|eom霜}}<ref name="eom露">[[#eom|最新 気象の事典]]、352頁「露」(著者:田中豊顕)</ref><ref name="npn-霜点温度">{{Cite Kotobank|word=霜点温度 |encyclopedia=小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』 |author=前野紀一 |hash=-1355704#w-1556485 |access-date=2024-04-23}}</ref>。なお、物体表面が0℃以上では、湿度が高まって水過飽和になると[[露]]を生じる{{R|eom露}}。
[[Image:ChainlinkFrost.jpg|thumb|200px|フェンスに付いた霜]]
空気と接触している物体の表面の[[温度]]が[[霜点]](温度が0[[℃]]以下のときの[[露点]]のこと)よりも低くなると、空気中の[[水蒸気]]が[[昇華_(化学)|昇華]]し、物体の表面に微細な[[結晶]]構造を持つ氷が成長する。この結晶のこと、あるいはこの現象自体を霜と言う<ref name="日本大百科全書"/>。[[着氷]]現象の一種である。


地面そのものや地面に生える草の[[葉]]のほか、屋外のさまざまな地物に付着する<ref name="大田">[[#npn-霜|大田正次「霜」、日本大百科全書]]</ref>。特に、[[樹木]]など地面からある程度離れた高い所にも付着する霜を樹霜と呼ぶほか、建物などの内部にできる霜は内部霜、[[ガラス]]窓にできる霜は窓霜と呼ぶことがある{{R|eom霜|大田}}<ref name="菊池">{{Cite Kotobank|word=霜 |encyclopedia=平凡社『改訂新版[[世界大百科事典]]』 |author=菊地勝弘 |hash=-155966#w-1172581 |access-date=2024-04-23}}</ref>。
日本語では、霜が発生することを「霜が降りる(おりる)」「霜が降る(ふる)」と表現することがある。「霜」という言葉は[[冬]]の[[季語]]である<ref name="ydic">[https://kotobank.jp/word/%E9%9C%9C-155966 "霜"]. [[コトバンク]]([[小学館]] [[デジタル大辞泉]])、2020年9月2日閲覧。</ref>。


地域的には、[[寒帯]]、[[亜寒帯|冷帯(亜寒帯)]]のほか、[[温帯]]や[[乾燥帯]]、あるいは[[高山気候|標高が高い場所]]などの冬の寒さが厳い地域で見られる。[[緯度]]や標高が同程度ならば内陸部の方が[[放射冷却]]が起こりやすく、最低気温が低いので多く見られる。冬を含む寒い時期に、[[風]]も弱く穏やかに晴れ[[放射冷却]]が発生し[[気温]]がおよそ5℃以下まった朝、地面付近の温度は気温よりも数℃低い0℃以下とり、が降りることがある。気温がさらにい場合は昼間で発生し、一日中霜が融けながある。なお、風が強いとき、[[雨]]や[[雪]]が降っているときは地表の冷却が進まなかったり霜の成長が阻害されたりするため気温が低くても霜が降りなとが<ref name="日本国勢地図帳(1977)">[[#日本国勢地図帳(1977)|日本国勢地図帳(1977)]]</ref>
典型的には、[[]]の[[|早朝]]をピークと、[[]]が弱く穏やかに晴れた天気のもと、[[放射冷却]]が発生し地面がよく冷えたときに発生する{{R|大田|菊池}}。[[気温]]が2 - 3℃霜は生じるが、気温は上約1.5[[メートル]](m)の高さで測定しており、朝の地表の温度はそれよりも数℃低るためである{{R|eom|菊池}}。気温5 - 6℃でも生じることがある<ref name="jat1977">[[#日本国勢地図帳(1977)|日本国勢地図帳(1977)]]</ref>一方、気温が低くても霜が生じにく天気して、風が強いとき、[[雨]]や[[雪]]が降っているとき、湿度が低く乾燥してい挙げられ{{R|jat1977}}


霜はできやすい場所に選択的に生じることが多い。[[盆地]]の底の部分、もっと小さな規模で周囲より少し窪んだ場所、森の中の開けた場所などでは、冷気が溜まり霜が生じやすく、霜穴(しもあな)と呼ぶことがある。また[[滑降風]]の性質をもった冷気の流れがある場所にも霜は生じやすく、霜道(しもみち)と呼ぶことがある。また、平坦地の中で[[防風林]]に囲まれた場所では風が弱まるために、緩やかな斜面を横切る土手や林ではその上部で冷気の滞留、下部で風が弱まるためにそれぞれ、霜が生じやすくなっている{{R|eom霜|大田}}<ref name="原薗">『[[#eoa|新編農学大事典]]』、307頁(著者: 原薗芳信)</ref><ref name="鈴木">『[[#eoa|新編農学大事典]]』、1340-1344頁「霜害」(著者: 鈴木義則)</ref><ref>{{Cite web|title=frost hollow |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Frost_hollow |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref>。
周囲より少し窪んだ地形の場所や、谷底などでは、冷気が溜まりやすいため霜も降りやすい。こういう地域は霜道や霜穴などと呼ばれている<ref name="日本大百科全書">[[#日本大百科全書|日本大百科全書『霜』]]</ref>。


放射冷却が発生するとき、上空では通常とは逆に高度とともに気温が上がる[[逆転層]]が生じる。地形により逆転層の上限となる高さがあり、山地や傾斜地の中でもその付近は温暖で、その下より無霜期間が長い。この領域を'''サーマルベルト'''(斜面温暖帯)という。標高は盆地の深さによって前後するが、だいたい100 - 500 mくらい、特に200 - 300 mに多い。サーマルベルトとそれ以外の高さの温度差は、春や秋に大きく、風が弱い時、また植物においては有効放射量(PAR)が多いときに拡大する{{R|鈴木|原薗}}。日本では[[野菜]]や[[ミカン]]の栽培によく利用されている{{R|原薗}}。
霜は、植物の[[葉]]や[[茎]]、[[地面]]、建物や車の[[窓]]などに付着したものが良く目立つが、空気と接触しているあらゆる物体にできる。[[積雪]]の表面にできるものもある<ref name="日本大百科全書"/>。


山あいの盆地や山裾の低地では、日没直後の数時間に[[山谷風|斜面下降風]]による冷え込みが起こり、夜半から明け方には同じ風がむしろ相対的に暖かく冷え込みを弱めるという傾向がある。例えば、[[四国]]の山麓ではこのような場所に霜害を受けにくいところが分布する{{R|鈴木}}。
霜の結晶の形は、[[雪]]の結晶([[雪片]])と同じように様々なものがある。主に針状、[[うろこ]]状、[[羽根]]状、[[扇子]]状等の類型が知られている<ref name="気象庁(1998)"/>。表面がつるつるとした[[ガラス]]の表面では、様々な形状の結晶を観察することができる。

==窓霜の例==
[[海岸]]、[[湖]]や大きな[[河川]]の近くには、降霜日数が少なく無霜期間が長い場所がある。これは、[[熱容量]]の大きな水域が近くにあることが要因{{R|原薗}}。
窓にできる霜を窓霜という<ref>{{Cite web |url=http://weathernews.jp/s/topics/201701/240185/ |title=寒さが生み出す芸術「窓霜」 |access-date=2024-03-01 |website=ウェザーニュース |language=ja}}</ref>。

<gallery>
[[積雪]]の表面や内部にも霜は生じ、前者は雪面霜(せつめんじも)や表面霜、後者は雪中霜(せっちゅうじも)や内部霜と呼ぶことがある{{R|eom霜|大田|菊池}}。雪面霜には羊歯状(シダの葉状)や微細な毛状の結晶がみられ、霜の華、霜花とも呼ばれる<ref>{{Cite web|title=surface hoar |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Surface_hoar |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref><ref name="ams2">{{Cite web|title=ice flowers |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Ice_flowers |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref>。表面霜に一晩で大きな結晶を生じるのは、湿度が90%以上と高く2 - 3 m/sの微風のときが条件として報告されている<ref name="jesi-209">[[#jesi|雪と氷の事典]]、209-211頁(著者:遠藤八十一)</ref>

内部霜は深部霜([[:en:Depth hoar|depth hoar]])とも呼ばれ、積雪の中に温度差があるとき、乾燥した積雪内部の地表に近いところに生じる。新雪は古い雪に比べて[[熱伝導率]]が低いため、日射や放射冷却の程度に差が生じる。相対的に暖かい部分から蒸発、冷たい部分へと昇華して、積雪は次第に霜に置き換わってゆく。この性質の積雪をしもざらめ雪という。形は骸晶(コップ)状や六角板・六角柱状の微小結晶。[[雪渓]]や[[氷河]]の割れ目([[クレバス]])にも同様の霜(crevasse hoar)を生じる{{R|jesi-209}}<ref name="jesi-91">[[#jesi|雪と氷の事典]]、91-92頁(著者:秋田谷英次)</ref><ref>{{Cite web|title=depth hoar |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Depth_hoar |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-27 |access-date=2024-04-23}}</ref><ref>{{Cite web|title=crevasse hoar |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Crevasse_hoar |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-26 |access-date=2024-04-23}}</ref>。表面霜およびしもざらめ雪はそれぞれ積雪分類のひとつとなっているが、雪の粒子同士の結合が弱く、このような積雪層の上に雪が乗っているとき[[雪崩]]のすべり面になりやすいことが知られている{{R|jesi-91}}。

== 霜の結晶 ==
霜の結晶は[[雪]]の結晶([[雪片]])と同じように様々な形があって、主に針状、[[うろこ]]状、[[羽根]]状、[[扇子]]状等の類型が知られている{{R|jma1|eom霜}}<ref name="jdsi霜">[[#jdsi|新版 雪氷辞典]]、71頁「霜」(著者:水野悠紀子)</ref>。微細な[[霧]]が凍った不定形の氷の微粒子を含む場合もあるが、過飽和度が高いときにみられる{{R|jdsi霜}}。

窓の霜では様々な形状の結晶を観察することができ、模様の発達したものを花に例えて霜花、霜の花、氷の花と呼ぶことがある<ref name="eom霜花">[[#eom|最新 気象の事典]]、223頁「霜花」(著者:善如寺信行)</ref>{{Sfn|宇田川|2021|p=37|ps=「氷の花」}}。窓の霜は一部が物体に付着しており水蒸気は不均一に集まるため、その結晶形は雪の結晶ほどは対称にならない{{R|jdsi霜}}。

また、雪面や雪の上にある物体のほか、氷、特に湖や河川の氷([[結氷]])の表面に生じるような、結晶が目立って発達した霜を指して霜花(霜の花)、フロストフラワー([[:en:Frost flower (sea ice)|frost flower]])、霜紋と呼ぶこともある。形状は主に羽状、ひげ状または花のような形。結氷に生じる霜の花は、相対的に暖かくて水蒸気の源となる、氷が張っていない場所や氷の薄い場所の周辺に生じやすい{{R|eom霜花|ams2}}<ref>[[#jdsi|新版 雪氷辞典]]、71頁「霜の花(湖氷の)」(著者:東海林明雄、直木和弘)</ref>。

低温で氷床が広がる南極では、雪まりもと呼ばれるものが報告されている。雪面において、針状の霜の結晶が集まった球形の塊が小さな窪みにいくつもたまるもの。[[ドームふじ基地|ドームふじ観測拠点]]で1995年に発見されており、同じような現象の記述は[[ロアール・アムンセン|アムンセン]]や[[ポール・サイプル|サイプル]]の著書にも見出せるという<ref>[[#jesi|雪と氷の事典]]、345-346頁「雪まりも」(著者:亀田貴雄)</ref>。

<gallery mode="packed">
Eisblümle.JPG|十字状の霜
Eisblümle.JPG|十字状の霜
Eisblumen an glasscheibe.JPG|枝状の霜
Frosted Glass.jpg|雪の結晶のような霜
Window-frost.jpg|状の霜
Window-Frost.jpg|シダの葉状の霜
Frost patterns 25.jpg|車の窓についた窓霜
Frosty window.jpg|シダの葉状の霜
Frosty window in Vibble, Gotland.jpg|穴あき模様の窓霜
File:Frost patterns 25.jpg|車の窓についた窓霜
Frost on ground.jpg|地面に張った霜
Frosty Raftsundet landscape with Trolltindan in afternoon, 2012 October.jpg|強い霜が降りた風景
Saint-Amant 16 Gelée blanche 2008.jpg|日光が当たる部分は霜が解けていく
ChainlinkFrost.jpg|フェンスに付いた霜(樹霜)
Frost_on_birch_tree.jpg|六角板・樹枝状結晶が発達した樹霜
Liquid Nitrogen Tank.JPG|液体窒素タンク周りの冷たい配管に生じた霜
Skiing Christmas '05 034.jpg|羊歯状結晶が見える積雪表面の霜
Yukimarimo at Concordia Station (closeup).jpg|コンコルディア基地([[:en:Concordia Station|Concordia Station]])の近くで撮影された雪まりも
</gallery>
</gallery>


== 初霜・終霜 ==
== 初霜・終霜 ==
寒候期に最初に発生した霜を[[初霜]](はつしも)あるいは霜の初日、最後に発生した霜を終霜(しゅうそう)あるいは霜の終日という。気候学的には、初霜から終霜までを霜期間、終霜から初霜までを[[無霜期間]]という<ref name="日本国勢地図帳(1977)"/>。
寒候期に最初に発生した霜を[[初霜]](はつしも、はつじも{{R|菊池}}、しょそう{{R|菊池}})あるいは霜の初日、最後に発生した霜を終霜(しゅうそう、おわりじも{{R|菊池}})あるいは霜の終日という。そして霜が生じうる初霜から終霜までを霜期間、また春ごろの終霜から秋ごろの初霜までを無霜期間という{{R|jat1977|大田}}<ref>{{Cite web|title=frost-free season |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Frost-free_season |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref>。


日本では、[[紀伊半島]]、四国南部、[[九州]]南部の沿岸とこれ以南の島嶼では年間を通じて霜が降りない無霜地帯となっている{{R|jat1977}}{{Sfn|最新農業技術事典|2006|p=1503|ps=「無霜地帯」}}。[[農業気象]]の観点では初霜や終霜の平年値のほか、最も早い初霜や最も遅い終霜のデータが参考にされる。ただし、こうしたデータは地域平均的で、局所的に霜が降りやすい場所があることにも注意する必要がある{{R|nwsiwx}}。
=== 過去の終霜 ===
{{main2|過去の初霜については'''[[初霜]]'''を}}


{{main2|過去の初霜については'''[[初霜]]'''を}}
=== 過去の終霜 ===
; 北海道
; 北海道
: 北海道内の観測官署で最も遅い終霜は旭川で1908年7月7日(1889年統計開始)、最も早い終霜は函館で1876年3月26日(1873年統計開始)<ref>[https://web.archive.org/web/20171005045831/https://www.jma-net.go.jp/sapporo/tenki/kansoku/snow-frost-ice/SnowFrostIce.html 北海道の雪・霜・結氷・冠雪・積雪・長期積雪(根雪)の初終日の初日、終日の観測状況] 札幌管区気象台、2019年11月11日閲覧。</ref>。
: 北海道内の観測官署で最も遅い終霜は旭川で1908年7月7日(1889年統計開始)、最も早い終霜は函館で1876年3月26日(1873年統計開始)<ref>[https://web.archive.org/web/20171005045831/https://www.jma-net.go.jp/sapporo/tenki/kansoku/snow-frost-ice/SnowFrostIce.html 北海道の雪・霜・結氷・冠雪・積雪・長期積雪(根雪)の初終日の初日、終日の観測状況] 札幌管区気象台、2019年11月11日閲覧。</ref>。
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: 仙台で最も遅い終霜は1928年5月20日、最も早い終霜は2008年3月8日(1927年統計開始)<ref>[https://web.archive.org/web/20130106150748/http://www.jma-net.go.jp/sendai/kisetu/kisetu.html 東北地方の季節現象(さくら、梅雨、初霜、初氷、初雪、初冠雪)] 仙台管区気象台、2019年11月11日閲覧。</ref>。
: 仙台で最も遅い終霜は1928年5月20日、最も早い終霜は2008年3月8日(1927年統計開始)<ref>[https://web.archive.org/web/20130106150748/http://www.jma-net.go.jp/sendai/kisetu/kisetu.html 東北地方の季節現象(さくら、梅雨、初霜、初氷、初雪、初冠雪)] 仙台管区気象台、2019年11月11日閲覧。</ref>。
; 関東地方
; 関東地方
: 東京で最も遅い終霜は1926年の5月16日(1876年10月統計開始)、最も早い終霜は1995年の12月11日<ref>[https://web.archive.org/web/20110323055327/https://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/kiroku/kiroku/top.html 東京における気象の記録] 気象庁調べ、2019年11月11日閲覧。</ref>。
: 東京で最も遅い終霜は1926年の5月16日(1876年10月統計開始)、最も早い終霜は1995年の12月11日<ref>[https://web.archive.org/web/20110323055327/https://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/kiroku/kiroku/top.html 東京における気象の記録] 東京管区気象、2019年11月11日閲覧。</ref>。
: 東京で1995 - 1996年と1996 - 1997年の冬は霜を1日しか観測しなかった(1995年12月11日、1996年12月30日)。
: 東京で1995 - 1996年と1996 - 1997年の冬は霜を1日しか観測しなかった(1995年12月11日、1996年12月30日)。
; 東海地方
; 東海地方
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== 類似の現象 ==
== 類似の現象 ==
* [[霜柱]](しもばしら)は、気温が低いときに地中の水分が地表に染み出して柱の様な形に凍ってできるもので、霜とは別の現象である<ref>[[#eom|最新 気象の事典]]、223頁「霜柱」(著者:石井幸男)</ref><ref name="jma1">[[#気象庁(1998)|気象庁(1998)『気象観測の手引き』]]</ref>。
[[File:Frost_on_birch_tree.jpg|thumb|樹霜]]
* [[露|凍露]](とうろ)は、0℃以上の物体表面に水蒸気が凝結してできた[[露]]が、その後冷えて凍ったもので、結晶構造はほとんど見られない{{R|eom露|jma1}}。霜と見分けることが難しい場合があって、観測の場面でそのようなときは霜に含めることがある{{R|大田|菊池}}。
*'''[[霜柱]]'''(しもばしら)は、気温が低いときに地中の水分が地表に染み出して柱の様な形に凍ってできるもので、霜とは別の現象である<ref name="気象庁(1998)">[[#気象庁(1998)|気象庁(1998)『気象観測の手引き』]]</ref>。
*'''[[樹霜]]'''(じゅそう)は、霜と同じように水蒸気が物体表面に昇華してできる氷の結晶である、ある程度厚みを持った'''氷層'''を作るという点でと区別さ。[[霧氷]]の一種であり、[[着氷性の霧]]の粒が付着してできる球状の氷の粒が混じっていることがある。また風上側に厚く成長しやすいという特徴がある<ref name="気象庁(1998)"/>。
* [[樹霜]](じゅそう)は、霜と同じように水蒸気が物体表面に昇華してできる氷の結晶。霜地面付近物体に付くに対して、樹は地面から離た高い枝などにも付く。[[霧氷]]の一種であり、[[着氷性の霧]]の粒が付着してできる球状の氷の粒が混じっていることがある。また風上側に厚く成長しやすいという特徴がある{{R|eom霜|jma1}}<ref>{{Cite Kotobank|word=樹霜 |hash=-528729#w-1549404 |encyclopedia=小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』 |author=大田正次 |access-date=2023-03-02}}</ref><ref name="jdsi樹霜">[[#jdsi|新版 雪氷辞典]]、76頁「樹霜」(著者:竹内政夫)</ref>。
* {{日本語版にない記事リンク|ヘアーアイス|en|Hair ice}}(ice wool, frost beardとも) - 朽ちた木から出る絹のように細い氷。この現象は特定地域でしか起こらず、原因が長らく不明だったが、2015年に真菌のExidiopsis effusaが原因だと判明した。
*'''[[露|凍露]]'''(とうろ)は、0℃以上の物体表面に水蒸気が凝結してできた[[露]]が、その後冷えて凍ったもので、結晶構造はほとんど見られない<ref name="気象庁(1998)"/>。


== 影響と対策 ==
== 植物凍霜害 ==
{{See also|低温障害#農作物の低温障害|低温生物学}}
[[Image:Feuilles-avec-glace-leaves-with-ice-2.jpg|thumb|200px|霜が付いた草]]
霜が降りるような低温で[[植物|植物体]]が凍り、{{仮リンク|生理障害|en|Physiological plant disorder}}を起こしたり凍死したりすることで[[農作物]]などに生じる害を'''凍霜害'''(とうそうがい)という。このうち、主に[[秋]]から初冬にかけての時期の'''早霜'''(はやじも)、[[春]]から初夏にかけての時期の'''晩霜'''(おそじも)の時期に、急に気温が下がったときに起こるものを'''霜害'''(そうがい)、植物の耐凍性が高い冬季に霜害よりも低い温度で起こるものを'''凍害'''と呼ぶが、どちらも障害の機構は同じである{{R|eom霜|鈴木}}<ref name="真木">『[[#eoa|新編農学大事典]]』、1344-1347頁「低温障害」(著者: [[真木太一]])</ref><ref>{{Cite Kotobank|word=凍害 |encyclopedia=平凡社『改訂新版世界大百科事典』|author=久保祐雄 |hash=-579669#w-1188663 |access-date=2024-04-23}}</ref>{{Sfn|最新農業技術事典|2006|p=864|ps=「霜害」}}。
[[窓]]に付着した霜は窓霜と呼ばれ、窓を不透明にしてしまう。[[自動車]]であれば外が見えなくなるので、取り除く必要がある。


越冬する植物は秋から冬にかけて、日々気温が下がるととともに組織変化などによる低温順化(低温訓化)が起き、耐凍性を強めていくとともに生長を休止する。この過程をハードニング([[:en:Cold hardening|hardening]])という。一方、春に気温が上がってくると今度は活動を始めるため耐凍性を弱めていく変化をする。例えば、[[ホウレンソウ]]や[[コマツナ]]は低温順化により-3℃程度だった耐凍温度が-15℃から-20℃にまで高まるとされている{{R|真木}}<ref name="npd耐凍性">[[#FOOTNOTE最新農業技術事典2006|最新農業技術事典 2006]], 「耐凍性」</ref><ref name="npd凍害">[[#FOOTNOTE最新農業技術事典2006|最新農業技術事典 2006]], 「凍害」</ref>。耐凍性がまだ高くない時期に急に寒くなることで霜害が生じるのである<ref name="日下部">{{Cite journal|和書|author=日下部正雄 |title=凍霜害とその防ぎかた |url=https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1954/1954_01_0008.pdf |format=pdf |journal=天気 |publisher=日本気象学会 |volume=1 |issue=1 |year=1954 |pages=8-11 |crid=1520009407917409920 }}</ref><ref name="田沢">{{Cite journal|和書|author=田沢博 |title=作物霜害の機構についての提言 |journal=農業気象 |volume=32 |issue=3 |year=1976 |pages=145-147 |doi=10.2480/agrmet.32.145}}</ref>。霜害が発生しはじめるのは、おおむね植物体温が-2から-3℃を下回るときとされる{{R|鈴木}}。
[[植物]]に付着すると、霜が植物を直接冷やしてしまい、活動が低下するほか、中の水分が凍って養分などが滞り、枯れてしまうことがある。


=== 霜害 ===
霜が毎年降りる地域では、霜が降りる時期に合わせて、農作物やその他の植物に霜対策を施す。しかし、[[春]]の例年は霜が降りない時期に'''晩霜'''(おそじも)が、[[秋]]の例年は霜が降りない時期に'''早霜'''(はやじも)が降りると、農作物に大きな被害を与えることがある。霜による害を'''霜害'''、農作物や植物が直接凍ることによる害と合わせて'''凍霜害'''という<ref name="日本国勢地図帳(1977)"/>。春と秋の霜が降りるほど気温が下がると予想されるとき、[[日本]]では霜に関する注意喚起として[[気象庁]]及び各気象台から'''霜[[注意報]]'''が発表される。この[[霜注意報]]は晩霜や早霜の時期に発表されるもので、霜が毎朝降りるような[[冬]]の時期には発表されない<ref>『[https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html 警報・注意報の種類]』、[[気象庁]]、2012年12月20日閲覧。</ref>。
霜害を受けた植物は霜が解けたのち、はじめ油が染みたように変状し、やがて褐色や黒色に変色し、枯死に至る。露出した部分に霜は付きやすく、しばしば凍結した部分と凍結しなかった部分の差が現れる。また葉の温度は周囲の気温よりも低く、その差は風が弱いほど大きくなる。乾燥が強く葉が乾いていると霜ができにくい傾向もある。地面からの熱の伝わりやすさの差異も霜の付き方に関係する{{R|鈴木}}。なお、耐凍性が低い[[新芽]]のほか{{Sfn|最新農業技術事典|2006|p=864|ps=「霜害」}}、[[花芽]]や[[果実|幼果]]などの部位は被害を生じやすい{{R|鈴木}}。


凍霜害を受ける植物内部ではふつう、[[植物細胞|細胞]]外の[[植物生体液|溶液]]で凍結が起こり、残りの細胞外溶液が濃くなって[[浸透圧]]が高まり、細胞は水を吸い出されて収縮する。主にはこの脱水ストレスに耐えられる限度が耐凍性と考えられている{{R|npd耐凍性}}<ref name="小池">『[[#eoa|新編農学大事典]]』、806-807頁(著者: 小池説夫)</ref>。耐凍性の強化は、[[炭水化物]]や凍結防止能力をもつ[[プロリン]]、[[ポリアミン]]などの物質、また[[不凍タンパク質]]の増加によるものと考えられている{{R|小池}}。一方で急速な凍結では、[[細胞膜]]の損傷による[[電解質]]の漏出が障害を引き起こし、細胞内の凍結による細胞の破壊も起きると考えられている{{R|npd耐凍性}}{{R|小池}}。
晩霜については「八十八夜の別れ霜(忘れ霜、泣き霜)」ということわざがある。[[八十八夜]]とは現在の暦では[[5月2日]]頃にあたる時期であり「八十八夜の時期まで霜が降りることがあるので農作業には注意せよ」という意味である<ref name="日本大百科全書"/>。


耐凍性は植物が受けた低温の履歴や生育時期によって変わる。同じ環境で同じくらいの冷え込みであっても、被害の程度は年によって変わったりする。傾向として[[暖冬]]の年は被害が大きく、[[寒冬]]の年は小さい{{R|鈴木}}。
また、[[二十四節気]]において[[10月23日]]頃を[[霜降]](そうこう)といい、「霜が降り始める頃」というのがその由来となっている。


葉などの凍結には、[[シュードモナス・シリンガエ]]などの{{仮リンク|氷核細菌|en|Ice-minus bacteria}}(INA細菌)の分布も関係していることが分かっている。0℃を数度下回っても溶液は[[過冷却]]状態だが、-2から-5℃で[[氷晶核|氷核]]を生成する氷核細菌の働きによって凍結する。その温度は氷核細菌の密度に左右され、多いほど高い温度で凍結し耐凍性を変化させる。氷核細菌の密度は例えば、茶畑の茶葉では生葉1gあたり10<sup>6</sup>個程度である{{R|鈴木}}。
霜の害を防ぐには、地面に[[水]]を撒いて[[湿度]]を上げ、[[放射冷却]]を弱める方法や、同じく水を撒きっぱなしにしてあえて凍らせ続けることで作物の温度を零度以上に保つ方法(散水氷結法)、送風機で[[風]]を送り、地表の冷気と高いところにある温度の高い空気を混ぜ、気温の低下を防ぐ([[防霜ファン]])<ref name="日本大百科全書"/> といった方法がある。後者二つは[[茶畑]]などでよく用いられている。温暖地の果樹(特に[[梨]])栽培では[[練炭]]や[[薪]]の[[コンロ]]を果樹園のあちこちに設置して、晩霜を防ぐ対策がとられる場合もある。畑の場合は細く裁断した藁を撒いたり、防霜シートで覆うと良い。


植物表面に付く霜そのものも、氷核となって過冷却の溶液を凍結させる植氷作用があると考えられている{{R|鈴木}}{{Sfn|最新農業技術事典|2006|p=864|ps=「霜害」}}。一方で、霜が降りていないときにも霜害が起こることはある(black frostと呼ぶこともある){{R|日下部}}。
霜は気温が0℃以上でも生じる。これは、霜の発生を決める地表付近の温度と気温は異なり、地表付近の温度のほうが低くなるためである。そのため、植物の生育環境を示す指標としては、「気温0℃」よりも「霜の有無」のほうが実態に近く、熱帯系の植物の生育可能な範囲は往々にして霜が降りるかどうかで決定される。日本では、[[紀伊半島]]南岸以南の多くの地域は年間を通じて霜が降りない<ref name="日本国勢地図帳(1977)"/>。この線を北限とする生物がかなりあることが知られている。


春と秋の霜が降りるほど気温が下がると予想されるとき、[[日本]]では農作物の霜に関する注意喚起として各気象台から'''霜[[注意報]]'''が発表される。各地の晩霜や早霜の時期に発表されるもので、霜が毎朝降りるような[[冬]]の時期には発表されない。基準は翌朝の予想最低気温2℃または3℃{{R|鈴木}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html |title=警報・注意報の種類 |publisher=気象庁 |access-date=2012-12-20}}</ref>。この気温で植物の株面は0℃程度、表面は-2℃まで冷える可能性があると考えられている。ただし、霜が発生しやすい場所では5℃程度でも発生しうるため、農業者は自らの畑などの特徴を知ることが必要とされる{{R|鈴木}}。例えば、自らの測定値と周辺のアメダスの気温を比較しその差を把握しておく方法などがある{{R|鈴木}}。なお各国に同様の気象情報があり、例えばアメリカでも予想気温が[[華氏]]30 度(&deg;F)台半ばに下がるとき[[Severe weather terminology (United States)#Temperature|Frost Advisory]]が発表されるが、冬季を除く植物の成長期が対象<ref>{{Cite web|url=https://w1.weather.gov/glossary/index.php?word=Frost%20Advisory |title=HomeGlossary > Frost Advisory |language=en |publisher=National Weather Service([[アメリカ国立気象局]]) |access-date=2024-04-27}}</ref><ref name="nwsiwx">{{Cite web|url=https://www.weather.gov/iwx/fallfrostinfo |title=Frost and Freeze Information |language=en |publisher=Northern Indiana Weather Forecast Office |date=2022-09 |access-date=2024-04-27}}</ref>。
== 霜害の実例 ==

* [[信州]]地方は明治時代以降、[[養蚕]]が盛んになったことを背景に[[クワ]]の栽培が盛んになった。このクワは霜害に遭いやすく、[[1924年]](大正13年)には約103万円、[[1927年]](昭和2年)には1000万円とも見積もられる被害を出した<ref>県当局、救済低利資金の融通要請へ『信濃毎日新聞』昭和2年5月13日夕刊(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p539 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)</ref>。
晩霜については「八十八夜の別れ霜(忘れ霜、泣き霜)」ということわざがある。[[八十八夜]]とは現在の暦では[[5月2日]]頃にあたる時期であり、「この時期になると霜の被害は少なくなる」あるいは「この時期まで霜が降りることがあるので農作業には注意せよ」という意味である{{R|大田|宮澤}}。

霜害を受けやすい主な種には、[[チャ]]、[[モモ]]、[[リンゴ]]、[[ナシ]]、[[ブドウ]]、[[クワ]]、[[ジャガイモ]]、[[豆|マメ]]類、[[麦|ムギ]]、[[トウモロコシ]]、[[スイカ]]、[[タバコ]]などが挙げられる{{R|鈴木}}。

日本では、霜害の被害額は年間百数十億円規模{{R|鈴木}}。[[信州]]地方は明治時代以降、[[養蚕]]が盛んになったことを背景にクワの栽培が盛んになった。クワは霜害に遭いやすく、[[1924年]](大正13年)には約103万円、[[1927年]](昭和2年)には1000万円とも見積もられる被害を出しいる<ref>県当局、救済低利資金の融通要請へ『信濃毎日新聞』昭和2年5月13日夕刊(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p539 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)</ref>。

無霜期間は植物の生育環境を示す気候指標のひとつに挙げられる。[[木綿|ワタ]](綿花)は200日以上、チャやトウモロコシは140日以上の無霜期間が必要とされている。[[柑橘類]]や[[熱帯果樹]]は無霜地帯で栽培されるほか、無霜地帯は多くの[[野菜]]や[[果樹]]、[[花卉園芸]]の適地とされる<ref>『[[#eoa|新編農学大事典]]』、289頁</ref>{{Sfn|最新農業技術事典|2006|p=1503|ps=「無霜地帯」}}。

=== 霜害の対策 ===
植物の凍霜害防止には以下のような方法がある。ただ、防止効果には限界もある{{R|大田|日下部}}。
* 散水氷結法 - 植物そのものへ[[水]]を撒き続けることで、撒いた水が凍結する際に放出する[[潜熱]]を利用して、植物の耐凍温度を下回らないよう保温する方法。ただし、散水を長く中断すると却って温度が低下するため、危険とされる温度を下回っている時間は続けなければならない。防霜専用の[[スプリンクラー]]を設置すると効率的で、水源のある場所に向いており、園芸団地の整備と併せて行われることがある{{R|大田}}。
* 散水法 - 地面に水を撒き、空気の[[湿度]]を上げることで[[放射冷却]]を弱める方法<ref name="宮澤">{{Cite magazine|和書|author=宮澤清治 |title=防災歳時記(4) ―静かな災害《霜害》― |url=https://www.isad.or.jp/2019/07/30/no44/ |magazine=季刊消防科学と情報 |publisher=消防科学総合センター |issue=44 |date=1996-03 |doi=10.11501/3201177 }}</ref>。
* 送風法、[[防霜ファン]]法 - 放射冷却が発生しているときは低空に接地逆転層ができており、ある程度の高さには地表より温かい空気の層がある。これを利用して、送風機(ファン)で[[風]]を送り空気を混ぜ、地表の気温の低下を防ぐ方法。弱風のとき葉の周囲にできる葉面境界層で低温が生じるのを防ぐ効果もある。なおこの方法が有効なのは風が弱いときで、また地上6 - 9 mの気温が-2℃以下になる場合は霜を防ぎきれないとされている。日本では茶畑でよく導入され、リンゴやブドウの果樹園にもみられる{{R|大田|宮澤}}。
* 被覆法、覆蓋法 - ビニールなどのシート、カバーで覆い保温する方法。[[莚|莚(むしろ)や菰(こも)]]を用いるのもこの類{{R|宮澤|日下部}}。覆いを霜覆(しもおおい)、霜囲(しもがこい)、霜除け(しもよけ)と呼ぶことがある{{Sfn|宇田川|2021|pp=48,50,52-53}}。特に植物ひとつひとつに設置する場合など資材と労力を要する{{R|日下部}}。([[冬囲い]]も参照)
* 燃焼法、加熱法 - 燃料油や[[練炭]]などを燃やした熱で加温する方法{{R|宮澤|日下部}}。[[コンロ]]を果樹園のあちこちに設置する例がある。
* 燻煙法 - 燃焼により煤煙を生じさせ、放射冷却を弱める方法で、燃焼法とも重複。古くは重油や古タイヤを燃やした例もあったが、煤煙が[[環境問題]]を引き起こすため、行われなくなっている{{R|宮澤|日下部}}。

このほか、防霜堤や防霜林を設けたり障害物を除去したりすることで、傾斜地で下方へと流れる冷気を受け止めたり迂回させたりする手法がある。冷え込みが緩いとされる池を設ける方法もある{{R|日下部}}。

=== 凍害 ===
冬季の凍害は植物の枯死、幹の裂傷({{仮リンク|霜割れ|en|Frost crack}}、凍裂)、発芽や生育の不良などを起こす{{R|真木}}。主な種の低温限界は、リンゴが-30℃、ブドウが-25℃から-20℃、[[ウンシュウミカン]]は-7℃など{{R|npd凍害}}。ブドウの凍害による枯死や発芽不良は「眠り病」と呼ばれる{{R|真木|npd凍害}}。

凍害の対策は被覆や燃焼など霜害と同じような方法をとるが、散水氷結法は適さない{{R|真木}}。

<gallery mode="packed">
Fruehfrostschaden an Blaettern.JPG|霜にあたり枯れた[[ブドウ]]の葉
Blumenkohl-Winter-Frostschäden-Josef Schlaghecken-2.jpg|凍霜害を受けた[[カリフラワー]]の葉
2021-11-06 15 02 37 Pepper plants killed by frost along Old Dairy Court in the Franklin Farm section of Oak Hill, Fairfax County, Virginia.jpg|凍霜害を受けた[[トウガラシ]]
Physalis peruviana sl28.jpg|凍霜害を受けた[[ブドウホオズキ]]
Winterschutz.jpg|観賞植物の防寒(霜よけ)覆い: ウィーン・フォルクスガルテンのバラ
Frost protection taken to extremes (394158990).jpg|防寒のためこも囲いがされた[[ソテツ]]
Iwwerdeckten Zalotplanzen, «Op der Heed»-102.jpg|防寒のためシートで覆われたレタスの苗床
Smudge Pots, Redlands, CA 1-2012 (6808113093).jpg|オレンジの果樹園に設置された屋外ヒーター(smudge pots)
Omaezaki Tea plantation 2021-04 ac (4).jpg|茶畑の防霜ファン
Apple trees covered with ice.JPG|散水氷結法により氷に覆われた果樹園のリンゴの枝
Traditional attempts to drive frost away from fields at Kolari, Northern Finland in 1950s.jpg|燻煙法、1956年フィンランドのジャガイモ畑にて
</gallery>

== 自動車ガラスの霜 ==
[[自動車]]の[[フロントガラス]]などの霜は視界を不透明にして、安全な走行の妨げとなることがある。付いた霜を除去する方法としてスクレイパー(へら)や解氷剤の使用があり、熱湯をかけるとガラスが割れたり再凍結を起こす恐れがあるため適切ではないとされる。また、予め撥水剤でコーティングしておくと氷が除去しやすくなり、カバーをかけておくと霜の付着予防となる<ref>{{Cite magazine|和書|title=事故ファイル 視界を妨げる、フロントガラスの霜 |url=https://jafmate.jp/safety/accidentfile_20240101.html |magazine=[[JAFMATE|JAF Mate]] |others=日本自動車連盟(監修) |publisher=JAF出版社 |volume=2022年2月号 |date=2022-02 |issn=03861996}}</ref>。


== 冷蔵庫の霜 ==
== 冷蔵庫の霜 ==
冷却方式によっては通常使用でも、[[冷蔵庫]]は露出している冷却器の周辺に、冷凍庫は庫内の壁に広く霜が付着する。厚くなれば冷却能力が低下するため、定期的に霜取りをする必要がある。これは直冷式の機種の特徴で、もうひとつの主要冷却方式であるファン式の機種では、冷却器は内蔵のため内部で霜取りを行っており、通常は霜取りが不要である。ただこの機種でも、ドアの開け閉めが多い、外気の湿度や温度が高いなどの使用環境や、ドアパッキンの異常などにより霜が付くことがある。直冷式は、国内主要メーカーの例では、小容量で冷凍室と冷蔵室が分離していないワンドアタイプの冷蔵庫や一部の業務用冷凍庫で採用されている<ref>{{Cite web|和書|title=冷蔵庫/ワインセラー よくあるご質問 冷蔵庫に霜がつく |url=https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/9970/~/%E5%86%B7%E8%94%B5%E5%BA%AB%E3%81%AB%E9%9C%9C%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%8F |publisher=パナソニック株式会社 |website=サポート(個人のお客様)(panasonic.jp/support/) |access-date=2024-04-23 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=冷蔵庫 よくあるご質問 冷蔵庫内に付いた霜は取った方が良いですか? |url=https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a91.html |publisher=日立グローバルライフソリューションズ株式会社 |website=日立の家電品 お客さまサポート(kadenfan.hitachi.co.jp/support/) |access-date=2024-04-23 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=冷蔵庫 よくあるご質問 冷凍室内や冷凍した食品に霜がつきます。 |url=https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a34.html |publisher=日立グローバルライフソリューションズ株式会社 |website=日立の家電品 お客さまサポート(kadenfan.hitachi.co.jp/support/) |access-date=2024-04-23 }}</ref>。
冷凍室と冷蔵室が分離していない、ワンドアタイプの[[冷蔵庫]]では特に冷凍室の壁や氷の周りには霜が付着する。定期的に霜取りをする必要があるが、本体にファンが取り付けられた自動霜取り機能を持つ機種も存在する。

== 言葉・文化 ==
日本語では、霜が発生することを「霜が降りる(おりる)」「霜が降る(ふる)」と表現することがある。「霜」という言葉は[[冬]]の[[季語]]である<ref name="nk霜">{{Cite Kotobank|word=霜 |encyclopedia=小学館『精選版[[日本国語大辞典]]』 |hash=-155966#w-1994578 |access-date=2024-04-23}}</ref>。また[[二十四節気]]のひとつに[[霜降]](そうこう)(10月23日ごろ)があり{{R|nk霜}}、[[旧暦11月]]は[[11月|霜月]](しもつき)の異名をとる<ref>{{Cite Kotobank|word=霜月 |encyclopedia=小学館『精選版[[日本国語大辞典]]』 |hash=-524204#w-1994720 |access-date=2024-04-23}}</ref>。古典的表現では「しも-ふる(降)」は「霜降」に読みを充てたのが起源と考えられ、そのほかに日本古来の表現として「しも-おく(置)」の表現があって、この2つは『[[万葉集]]』にもみられる。時代が下って近世後期には「しも-おる(下)」が使われるようになり、現代の「霜が降りる」へとつながる{{R|nk霜}}。

霜の文学的あるいは口語的表現として、まだらに降りた霜をはだれ霜、一面に降りた霜をたたみ霜{{Sfn|宇田川|2021|pp=48-49|ps=「霜」}}、霜が降りそうな無風の夜を「霜凪」、霜が降りた朝以降の晴天や好天を「霜晴れ」「霜日和」{{Sfn|宇田川|2021|p=51|ps=「霜凪」「霜晴れ」「霜日和」}}、霜が降り傷んだ草木の様子を「霜傷み」「霜荒れ」「霜枯れ」「冬枯れ」「霜焦げ」「霜割れ」{{Sfn|宇田川|2021|pp=49,50,53|ps=「霜傷み」「霜枯れ」「霜焦げ」「霜割れ」}}などと表す。「霜焼け」([[しもやけ]])は寒さで皮膚が赤く痒みをもつような状態を指すが、草木の様子を表す表現でもある{{Sfn|宇田川|2021|p=52|ps=「霜焼け」}}。

英語ではfrostと呼ぶ{{R|ams1}}。frostは大気中の凍結現象である霜のほかに、permafrost([[永久凍土]])<ref>{{Cite web|title=permafrost |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Permafrost |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-29 |access-date=2024-04-23}}</ref>、frost heaving([[凍上]])<ref>{{Cite web|title=frost heaving |url=https://glossary.ametsoc.org/wiki/Frost_heaving |work=AMS気象学用語集 |date=2024-03-30 |access-date=2024-04-23}}</ref>など[[土壌]]中の凍結も指す。

[[ジェド・マロース]]は[[ロシア]]の[[民間伝承]]における霜の[[精霊]]で、ロシア民話にも霜を擬人化したマローズカ ([[:wikt:ru:Морозко|Морозко]])(邦題は{{仮リンク|寒の太郎|label=『寒の太郎』|ru|Морозко (сказка)}}など)がある。イギリス([[イングランド]])の民間伝承における[[ジャックフロスト]]は雪や氷、寒さの精霊で、窓にできる羽根のような模様の霜はジャックフロストの仕業だといわれている。[[霜の巨人]](ヨツン)は[[北欧神話]]における怪物のひとつである。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}


== 出典 ==
== 参考文献 ==
*{{Cite web|和書
| editor=建設省[[国土地理院]]
| year=1977
| url=https://www.gsi.go.jp/atlas/archive/j-atlas-d_j_17.pdf
| title=霜の初日および終日の等日線図 1941-1970年
| format=PDF
| publisher=日本地図センター
| work=[https://www.gsi.go.jp/atlas/atlas-etsuran.html 日本国勢地図帳]
| access-date=2012-12-20
| page=67
| id={{全国書誌番号|77002742}}
| ref=日本国勢地図帳(1977)}}
* {{Cite book|和書|author=[[和達清夫]](監修) |title=最新 気象の事典 |publisher=東京堂出版 |year=1993 |isbn=4-490-10328-X |ref=eom}}
* {{Cite book|和書|others=山崎耕宇 ほか(監修) |title=新編農学大事典 |publisher=養賢堂 |year=2004 |isbn=4-8425-0354-8 |ref=eoa}}
* {{Cite book|和書|others=[[日本雪氷学会]](監修) |title=雪と氷の事典 |publisher=古今書院 |year=2005 |isbn=978-4-254-16117-5 |ref=jesi}}
* {{Cite book|和書|author=[[農業・食品産業技術総合研究機構|農業・生物系特定産業技術研究機構]] |title=最新農業技術事典 |publisher=農山漁村文化協会 |year=2006 |isbn=4-540-05163-6 |ref={{SfnRef|最新農業技術事典|2006}}}}
* {{Cite book|和書|editor=日本雪氷学会 |title=新版 雪氷辞典 |publisher=古今書院 |year=2014 |isbn=978-4-7722-4173-1 |ref=jdsi}}
* {{Cite book|和書|author=宇田川眞人 |title=雪月花のことば辞典 |publisher=KADOKAWA |series=角川ソフィア文庫 |year=2021 |isbn=978-4-04-400598-6 |ref={{SfnRef|宇田川|2021}}}}
*{{Cite web|和書
*{{Cite web|和書
| publisher=[[気象庁]]
| publisher=[[気象庁]]
83行目: 180行目:
| title=気象観測の手引き 平成10年9月
| title=気象観測の手引き 平成10年9月
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| ref=気象庁(1998)}}
| ref=気象庁(1998)}}
*{{Cite Kotobank|word=霜 |encyclopedia=[[小学館]]『[[日本大百科全書]](ニッポニカ)』|author=大田正次 |hash=-155966#w-1543381 |access-date=2024-04-23 |ref=npn-霜}}
*{{Cite web|和書
| publisher=[[コトバンク]]([[小学館]] [[日本大百科全書]])
| url=https://kotobank.jp/word/%E9%9C%9C-155966
| title=霜
| accessdate=2020-09-02
| ref=日本大百科全書}}
*{{Cite web|和書
| publisher=[[国土地理院]]
| year=1977
| url=https://www.gsi.go.jp/atlas/archive/j-atlas-d_j_17.pdf
| title=霜の初日および終日の等日線図 1941-1970年
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| work=日本国勢地図帳
| accessdate=2012-12-20
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| ref=日本国勢地図帳(1977)}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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{{Wikiquote|霜}}
{{Wikiquote|霜}}
{{Wiktionary|霜}}
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* [[冷気湖]]
*[[霜降]] - [[二十四節気]]の1つ。
* [[しもやけ]] - 寒さや気温差などが原因で起こる身体症状。
*[[11月|霜月]] - [[旧暦11月]]の異名。また、[[俳句]]の[[季語]]でもある。
*[[しもやけ]] - 寒さ気温差などが原因で起こる身体症状
* [[霜降り]] - 肉の脂肪分、布の模様などを霜に例えた表現
* [[秋霜烈日]] - 刑罰を与えることの厳しさのたとえ。日本の[[検察官]]の記章のデザインにもなっている。
*[[霜の巨人]] - ヨツン。[[北欧神話]]における怪物。
* 霜の橋 -[[聖護院八ツ橋総本店]]が製造・販売する銘菓。霜をイメージしている。
*[[霜降り]] - 肉の脂肪分や、布の模様などを霜に例えた表現。
* [[Frost]]
*[[秋霜烈日]] - 刑罰を与えることの厳しさのたとえ。日本の[[検察官]]の記章のデザインにもなっている。
* {{prefix}}
*霜の橋 -[[聖護院八ツ橋総本店]]が製造・販売する銘菓。霜をイメージしている。
* {{intitle}}
*{{仮リンク|ヘアーアイス|en|Hair ice}} - 朽ちた木から出る絹のように細い氷。この現象は特定地域でしか起こらず、原因が長らく不明だったが、2015年に真菌のExidiopsis effusaが原因だと判明した。

*[[Frost]]
*{{prefix}}
*{{intitle}}
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2024年4月27日 (土) 12:05時点における版

霜が降りた朝
地面の物体に霜が付いている
霜が付いた落ち葉
霜が付いたバラの花
模様ができた窓の霜

(しも、: frost[1])は、0以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気昇華し、結晶として堆積したものである[1][2]

なお、地中の水分が凍ってできる霜柱(しもばしら)とは異なる(#類似の現象)。

霜の発生機構と様相

霜が付くためには、物体が0℃以下に冷えて、かつ空気の湿度が高まり氷過飽和となる必要がある。言い換えると、物体表面の温度が、そこに触れている空気の温度に湿度を加味した霜点温度(温度が0℃以下のときの露点温度のこと)よりも低くなるときである[2][3][4]。なお、物体表面が0℃以上では、湿度が高まって水過飽和になるとを生じる[3]

地面そのものや地面に生える草ののほか、屋外のさまざまな地物に付着する[5]。特に、樹木など地面からある程度離れた高い所にも付着する霜を樹霜と呼ぶほか、建物などの内部にできる霜は内部霜、ガラス窓にできる霜は窓霜と呼ぶことがある[2][5][6]

典型的には、早朝をピークとして、が弱く穏やかに晴れた天気のもと、放射冷却が発生し地面がよく冷えたときに発生する[5][6]気温が2 - 3℃で霜は生じるが、気温は地上約1.5メートル(m)の高さで測定しており、朝の地表の温度はそれよりも数℃低くなるためである[2][6]。気温5 - 6℃でも生じることがある[7]。一方、気温が低くても霜が生じにくい天気として、風が強いとき、が降っているとき、湿度が低く乾燥しているときが挙げられる[7]

霜はできやすい場所に選択的に生じることが多い。盆地の底の部分、もっと小さな規模で周囲より少し窪んだ場所、森の中の開けた場所などでは、冷気が溜まり霜が生じやすく、霜穴(しもあな)と呼ぶことがある。また滑降風の性質をもった冷気の流れがある場所にも霜は生じやすく、霜道(しもみち)と呼ぶことがある。また、平坦地の中で防風林に囲まれた場所では風が弱まるために、緩やかな斜面を横切る土手や林ではその上部で冷気の滞留、下部で風が弱まるためにそれぞれ、霜が生じやすくなっている[2][5][8][9][10]

放射冷却が発生するとき、上空では通常とは逆に高度とともに気温が上がる逆転層が生じる。地形により逆転層の上限となる高さがあり、山地や傾斜地の中でもその付近は温暖で、その下より無霜期間が長い。この領域をサーマルベルト(斜面温暖帯)という。標高は盆地の深さによって前後するが、だいたい100 - 500 mくらい、特に200 - 300 mに多い。サーマルベルトとそれ以外の高さの温度差は、春や秋に大きく、風が弱い時、また植物においては有効放射量(PAR)が多いときに拡大する[9][8]。日本では野菜ミカンの栽培によく利用されている[8]

山あいの盆地や山裾の低地では、日没直後の数時間に斜面下降風による冷え込みが起こり、夜半から明け方には同じ風がむしろ相対的に暖かく冷え込みを弱めるという傾向がある。例えば、四国の山麓ではこのような場所に霜害を受けにくいところが分布する[9]

海岸や大きな河川の近くには、降霜日数が少なく無霜期間が長い場所がある。これは、熱容量の大きな水域が近くにあることが要因[8]

積雪の表面や内部にも霜は生じ、前者は雪面霜(せつめんじも)や表面霜、後者は雪中霜(せっちゅうじも)や内部霜と呼ぶことがある[2][5][6]。雪面霜には羊歯状(シダの葉状)や微細な毛状の結晶がみられ、霜の華、霜花とも呼ばれる[11][12]。表面霜に一晩で大きな結晶を生じるのは、湿度が90%以上と高く2 - 3 m/sの微風のときが条件として報告されている[13]

内部霜は深部霜(depth hoar)とも呼ばれ、積雪の中に温度差があるとき、乾燥した積雪内部の地表に近いところに生じる。新雪は古い雪に比べて熱伝導率が低いため、日射や放射冷却の程度に差が生じる。相対的に暖かい部分から蒸発、冷たい部分へと昇華して、積雪は次第に霜に置き換わってゆく。この性質の積雪をしもざらめ雪という。形は骸晶(コップ)状や六角板・六角柱状の微小結晶。雪渓氷河の割れ目(クレバス)にも同様の霜(crevasse hoar)を生じる[13][14][15][16]。表面霜およびしもざらめ雪はそれぞれ積雪分類のひとつとなっているが、雪の粒子同士の結合が弱く、このような積雪層の上に雪が乗っているとき雪崩のすべり面になりやすいことが知られている[14]

霜の結晶

霜の結晶はの結晶(雪片)と同じように様々な形があって、主に針状、うろこ状、羽根状、扇子状等の類型が知られている[17][2][18]。微細なが凍った不定形の氷の微粒子を含む場合もあるが、過飽和度が高いときにみられる[18]

窓の霜では様々な形状の結晶を観察することができ、模様の発達したものを花に例えて霜花、霜の花、氷の花と呼ぶことがある[19][20]。窓の霜は一部が物体に付着しており水蒸気は不均一に集まるため、その結晶形は雪の結晶ほどは対称にならない[18]

また、雪面や雪の上にある物体のほか、氷、特に湖や河川の氷(結氷)の表面に生じるような、結晶が目立って発達した霜を指して霜花(霜の花)、フロストフラワー(frost flower)、霜紋と呼ぶこともある。形状は主に羽状、ひげ状または花のような形。結氷に生じる霜の花は、相対的に暖かくて水蒸気の源となる、氷が張っていない場所や氷の薄い場所の周辺に生じやすい[19][12][21]

低温で氷床が広がる南極では、雪まりもと呼ばれるものが報告されている。雪面において、針状の霜の結晶が集まった球形の塊が小さな窪みにいくつもたまるもの。ドームふじ観測拠点で1995年に発見されており、同じような現象の記述はアムンセンサイプルの著書にも見出せるという[22]

初霜・終霜

寒候期に最初に発生した霜を初霜(はつしも、はつじも[6]、しょそう[6])あるいは霜の初日、最後に発生した霜を終霜(しゅうそう、おわりじも[6])あるいは霜の終日という。そして、霜が生じうる初霜から終霜までのを霜期間、また春ごろの終霜から秋ごろの初霜までを無霜期間という[7][5][23]

日本では、紀伊半島、四国南部、九州南部の沿岸とこれ以南の島嶼では年間を通じて霜が降りない無霜地帯となっている[7][24]農業気象の観点では初霜や終霜の平年値のほか、最も早い初霜や最も遅い終霜のデータが参考にされる。ただし、こうしたデータは地域平均的で、局所的に霜が降りやすい場所があることにも注意する必要がある[25]

過去の終霜

北海道
北海道内の観測官署で最も遅い終霜は旭川で1908年7月7日(1889年統計開始)、最も早い終霜は函館で1876年3月26日(1873年統計開始)[26]
札幌で最も遅い終霜は1908年6月28日、最も早い終霜は1995年4月5日(1877年統計開始)。
東北地方
仙台で最も遅い終霜は1928年5月20日、最も早い終霜は2008年3月8日(1927年統計開始)[27]
関東地方
東京で最も遅い終霜は1926年の5月16日(1876年10月統計開始)、最も早い終霜は1995年の12月11日[28]
東京で1995 - 1996年と1996 - 1997年の冬は霜を1日しか観測しなかった(1995年12月11日、1996年12月30日)。
東海地方
名古屋で最も遅い終霜は1902年5月13日、最も早い終霜は1998年3月3日(1891年統計開始)[29]

類似の現象

  • 霜柱(しもばしら)は、気温が低いときに地中の水分が地表に染み出して柱の様な形に凍ってできるもので、霜とは別の現象である[30][17]
  • 凍露(とうろ)は、0℃以上の物体表面に水蒸気が凝結してできたが、その後冷えて凍ったもので、結晶構造はほとんど見られない[3][17]。霜と見分けることが難しい場合があって、観測の場面でそのようなときは霜に含めることがある[5][6]
  • 樹霜(じゅそう)は、霜と同じように水蒸気が物体表面に昇華してできる氷の結晶。霜が地面付近の物体に付くのに対して、樹霜は地面から離れた高い枝などにも付く。霧氷の一種であり、着氷性の霧の粒が付着してできる球状の氷の粒が混じっていることがある。また風上側に厚く成長しやすいという特徴がある[2][17][31][32]
  • ヘアーアイス英語: Hair ice(ice wool, frost beardとも) - 朽ちた木から出る絹のように細い氷。この現象は特定地域でしか起こらず、原因が長らく不明だったが、2015年に真菌のExidiopsis effusaが原因だと判明した。

植物の凍霜害

霜が降りるような低温で植物体が凍り、生理障害英語版を起こしたり凍死したりすることで農作物などに生じる害を凍霜害(とうそうがい)という。このうち、主にから初冬にかけての時期の早霜(はやじも)、から初夏にかけての時期の晩霜(おそじも)の時期に、急に気温が下がったときに起こるものを霜害(そうがい)、植物の耐凍性が高い冬季に霜害よりも低い温度で起こるものを凍害と呼ぶが、どちらも障害の機構は同じである[2][9][33][34][35]

越冬する植物は秋から冬にかけて、日々気温が下がるととともに組織変化などによる低温順化(低温訓化)が起き、耐凍性を強めていくとともに生長を休止する。この過程をハードニング(hardening)という。一方、春に気温が上がってくると今度は活動を始めるため耐凍性を弱めていく変化をする。例えば、ホウレンソウコマツナは低温順化により-3℃程度だった耐凍温度が-15℃から-20℃にまで高まるとされている[33][36][37]。耐凍性がまだ高くない時期に急に寒くなることで霜害が生じるのである[38][39]。霜害が発生しはじめるのは、おおむね植物体温が-2から-3℃を下回るときとされる[9]

霜害

霜害を受けた植物は霜が解けたのち、はじめ油が染みたように変状し、やがて褐色や黒色に変色し、枯死に至る。露出した部分に霜は付きやすく、しばしば凍結した部分と凍結しなかった部分の差が現れる。また葉の温度は周囲の気温よりも低く、その差は風が弱いほど大きくなる。乾燥が強く葉が乾いていると霜ができにくい傾向もある。地面からの熱の伝わりやすさの差異も霜の付き方に関係する[9]。なお、耐凍性が低い新芽のほか[35]花芽幼果などの部位は被害を生じやすい[9]

凍霜害を受ける植物内部ではふつう、細胞外の溶液で凍結が起こり、残りの細胞外溶液が濃くなって浸透圧が高まり、細胞は水を吸い出されて収縮する。主にはこの脱水ストレスに耐えられる限度が耐凍性と考えられている[36][40]。耐凍性の強化は、炭水化物や凍結防止能力をもつプロリンポリアミンなどの物質、また不凍タンパク質の増加によるものと考えられている[40]。一方で急速な凍結では、細胞膜の損傷による電解質の漏出が障害を引き起こし、細胞内の凍結による細胞の破壊も起きると考えられている[36][40]

耐凍性は植物が受けた低温の履歴や生育時期によって変わる。同じ環境で同じくらいの冷え込みであっても、被害の程度は年によって変わったりする。傾向として暖冬の年は被害が大きく、寒冬の年は小さい[9]

葉などの凍結には、シュードモナス・シリンガエなどの氷核細菌英語版(INA細菌)の分布も関係していることが分かっている。0℃を数度下回っても溶液は過冷却状態だが、-2から-5℃で氷核を生成する氷核細菌の働きによって凍結する。その温度は氷核細菌の密度に左右され、多いほど高い温度で凍結し耐凍性を変化させる。氷核細菌の密度は例えば、茶畑の茶葉では生葉1gあたり106個程度である[9]

植物表面に付く霜そのものも、氷核となって過冷却の溶液を凍結させる植氷作用があると考えられている[9][35]。一方で、霜が降りていないときにも霜害が起こることはある(black frostと呼ぶこともある)[38]

春と秋の霜が降りるほど気温が下がると予想されるとき、日本では農作物の霜に関する注意喚起として各気象台から注意報が発表される。各地の晩霜や早霜の時期に発表されるもので、霜が毎朝降りるようなの時期には発表されない。基準は翌朝の予想最低気温2℃または3℃[9][41]。この気温で植物の株面は0℃程度、表面は-2℃まで冷える可能性があると考えられている。ただし、霜が発生しやすい場所では5℃程度でも発生しうるため、農業者は自らの畑などの特徴を知ることが必要とされる[9]。例えば、自らの測定値と周辺のアメダスの気温を比較しその差を把握しておく方法などがある[9]。なお各国に同様の気象情報があり、例えばアメリカでも予想気温が華氏30 度(°F)台半ばに下がるときFrost Advisoryが発表されるが、冬季を除く植物の成長期が対象[42][25]

晩霜については「八十八夜の別れ霜(忘れ霜、泣き霜)」ということわざがある。八十八夜とは現在の暦では5月2日頃にあたる時期であり、「この時期になると霜の被害は少なくなる」あるいは「この時期まで霜が降りることがあるので農作業には注意せよ」という意味である[5][43]

霜害を受けやすい主な種には、チャモモリンゴナシブドウクワジャガイモマメ類、ムギトウモロコシスイカタバコなどが挙げられる[9]

日本では、霜害の被害額は年間百数十億円規模[9]信州地方は明治時代以降、養蚕が盛んになったことを背景にクワの栽培が盛んになった。クワは霜害に遭いやすく、1924年(大正13年)には約103万円、1927年(昭和2年)には1000万円とも見積もられる被害を出しいる[44]

無霜期間は植物の生育環境を示す気候指標のひとつに挙げられる。ワタ(綿花)は200日以上、チャやトウモロコシは140日以上の無霜期間が必要とされている。柑橘類熱帯果樹は無霜地帯で栽培されるほか、無霜地帯は多くの野菜果樹花卉園芸の適地とされる[45][24]

霜害の対策

植物の凍霜害防止には以下のような方法がある。ただ、防止効果には限界もある[5][38]

  • 散水氷結法 - 植物そのものへを撒き続けることで、撒いた水が凍結する際に放出する潜熱を利用して、植物の耐凍温度を下回らないよう保温する方法。ただし、散水を長く中断すると却って温度が低下するため、危険とされる温度を下回っている時間は続けなければならない。防霜専用のスプリンクラーを設置すると効率的で、水源のある場所に向いており、園芸団地の整備と併せて行われることがある[5]
  • 散水法 - 地面に水を撒き、空気の湿度を上げることで放射冷却を弱める方法[43]
  • 送風法、防霜ファン法 - 放射冷却が発生しているときは低空に接地逆転層ができており、ある程度の高さには地表より温かい空気の層がある。これを利用して、送風機(ファン)でを送り空気を混ぜ、地表の気温の低下を防ぐ方法。弱風のとき葉の周囲にできる葉面境界層で低温が生じるのを防ぐ効果もある。なおこの方法が有効なのは風が弱いときで、また地上6 - 9 mの気温が-2℃以下になる場合は霜を防ぎきれないとされている。日本では茶畑でよく導入され、リンゴやブドウの果樹園にもみられる[5][43]
  • 被覆法、覆蓋法 - ビニールなどのシート、カバーで覆い保温する方法。莚(むしろ)や菰(こも)を用いるのもこの類[43][38]。覆いを霜覆(しもおおい)、霜囲(しもがこい)、霜除け(しもよけ)と呼ぶことがある[46]。特に植物ひとつひとつに設置する場合など資材と労力を要する[38]。(冬囲いも参照)
  • 燃焼法、加熱法 - 燃料油や練炭などを燃やした熱で加温する方法[43][38]コンロを果樹園のあちこちに設置する例がある。
  • 燻煙法 - 燃焼により煤煙を生じさせ、放射冷却を弱める方法で、燃焼法とも重複。古くは重油や古タイヤを燃やした例もあったが、煤煙が環境問題を引き起こすため、行われなくなっている[43][38]

このほか、防霜堤や防霜林を設けたり障害物を除去したりすることで、傾斜地で下方へと流れる冷気を受け止めたり迂回させたりする手法がある。冷え込みが緩いとされる池を設ける方法もある[38]

凍害

冬季の凍害は植物の枯死、幹の裂傷(霜割れ英語版、凍裂)、発芽や生育の不良などを起こす[33]。主な種の低温限界は、リンゴが-30℃、ブドウが-25℃から-20℃、ウンシュウミカンは-7℃など[37]。ブドウの凍害による枯死や発芽不良は「眠り病」と呼ばれる[33][37]

凍害の対策は被覆や燃焼など霜害と同じような方法をとるが、散水氷結法は適さない[33]

自動車ガラスの霜

自動車フロントガラスなどの霜は視界を不透明にして、安全な走行の妨げとなることがある。付いた霜を除去する方法としてスクレイパー(へら)や解氷剤の使用があり、熱湯をかけるとガラスが割れたり再凍結を起こす恐れがあるため適切ではないとされる。また、予め撥水剤でコーティングしておくと氷が除去しやすくなり、カバーをかけておくと霜の付着予防となる[47]

冷蔵庫の霜

冷却方式によっては通常使用でも、冷蔵庫は露出している冷却器の周辺に、冷凍庫は庫内の壁に広く霜が付着する。厚くなれば冷却能力が低下するため、定期的に霜取りをする必要がある。これは直冷式の機種の特徴で、もうひとつの主要冷却方式であるファン式の機種では、冷却器は内蔵のため内部で霜取りを行っており、通常は霜取りが不要である。ただこの機種でも、ドアの開け閉めが多い、外気の湿度や温度が高いなどの使用環境や、ドアパッキンの異常などにより霜が付くことがある。直冷式は、国内主要メーカーの例では、小容量で冷凍室と冷蔵室が分離していないワンドアタイプの冷蔵庫や一部の業務用冷凍庫で採用されている[48][49][50]

言葉・文化

日本語では、霜が発生することを「霜が降りる(おりる)」「霜が降る(ふる)」と表現することがある。「霜」という言葉は季語である[51]。また二十四節気のひとつに霜降(そうこう)(10月23日ごろ)があり[51]旧暦11月霜月(しもつき)の異名をとる[52]。古典的表現では「しも-ふる(降)」は「霜降」に読みを充てたのが起源と考えられ、そのほかに日本古来の表現として「しも-おく(置)」の表現があって、この2つは『万葉集』にもみられる。時代が下って近世後期には「しも-おる(下)」が使われるようになり、現代の「霜が降りる」へとつながる[51]

霜の文学的あるいは口語的表現として、まだらに降りた霜をはだれ霜、一面に降りた霜をたたみ霜[53]、霜が降りそうな無風の夜を「霜凪」、霜が降りた朝以降の晴天や好天を「霜晴れ」「霜日和」[54]、霜が降り傷んだ草木の様子を「霜傷み」「霜荒れ」「霜枯れ」「冬枯れ」「霜焦げ」「霜割れ」[55]などと表す。「霜焼け」(しもやけ)は寒さで皮膚が赤く痒みをもつような状態を指すが、草木の様子を表す表現でもある[56]

英語ではfrostと呼ぶ[1]。frostは大気中の凍結現象である霜のほかに、permafrost(永久凍土[57]、frost heaving(凍上[58]など土壌中の凍結も指す。

ジェド・マロースロシア民間伝承における霜の精霊で、ロシア民話にも霜を擬人化したマローズカ (Морозко)(邦題は『寒の太郎』ロシア語版など)がある。イギリス(イングランド)の民間伝承におけるジャックフロストは雪や氷、寒さの精霊で、窓にできる羽根のような模様の霜はジャックフロストの仕業だといわれている。霜の巨人(ヨツン)は北欧神話における怪物のひとつである。

脚注

注釈

出典

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参考文献

関連項目