過冷却

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過冷却(かれいきゃく)とは、物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指す。たとえば液体凝固点(転移点)を過ぎて冷却されても固体化せず、液体の状態を保持する現象。であれば摂氏零度以下でもなお凍結しない状態を指す。第一種相転移でいう準安定状態にあたる。

概説[編集]

物質は一般的に固体液体気体の三つの相を持ち、それらは温度圧力の影響の元で決定される。詳細は相転移を参照されたいが、おおよそ温度が下がるにつれて気体→液体→固体へと変化し、その変化する温度は沸点・融点と呼ばれて物質の特性とされる。しかし、現実にはこれにあわない例が往々にして出現する。

液体を構成する分子が結晶化過程(第一種相転移)に移行するためには、物理的刺激によって核となる微小な相を生成させる必要があるが、過冷却においては微小相の発達が不十分で、相転移が行われない。このため極めて平静な、安定した状況で発生しやすい。

なお過冷却と逆の状態が過熱である。

具体例[編集]

たとえば水を冷却してゆくとその融点である0℃で凍るのであるが、ごくゆっくりと温度を下げてゆくとより低温の水が得られる場合がある。その状態が過冷却にあたる。自然現象の雨氷霧氷も過冷却によるものである。

過冷却状態にある水に何らかの刺激(振動など)を加えると、急速に結晶化する(接種凍結)。瓶に入っていれば叩いただけでみるみる凍結し、別の容器に移し替えようとすると注がれながら凍っていくので柱状の氷が形成されたりする。例えば、冬季に暖房をしていない暗室フィルムや印画紙を現像する作業室)において、現像停止用の氷酢酸(融点16.6℃)を試薬ビンからほかの容器に注ぐときなどに、経験することができる。

「過冷却」の現象を利用した商品[編集]

エコカイロ[編集]

2008年頃から、「エコカイロ」などの名称で知られる、再利用可能なカイロが販売されるようになった。ビニールの容器に、酢酸ナトリウム水溶液と金属片が入って密封されているだけという非常にシンプルな構造をしている。使い方は、金属片に刺激を与える(曲げる、押す等)だけであり、刺激を与えた瞬間に透明の液体状であった内容液が白い不透明の凝固体へと変化し始める。その時に発生する凝固熱をカイロとして利用することができる。周囲の環境や製品にもよるが、45~50℃くらいの温度で40~60分程度持続させることができる。これは酢酸ナトリウム水溶液の過冷却を利用した製品であるため、固体化してしまった内容液は熱湯で液体に戻し、室温まで放置冷却する(過冷却させる)ことによって何度でも再利用することができる。

CAS冷凍庫[編集]

氷点下の庫内に磁場を与えながら、食品生花などの中の水分に過冷却状態を作ろうとする技術。過冷却状態から冷凍することで、氷結にともなう細胞膜の破損を防ぐとする。

SUPER CHILL!コカ・コーラ[編集]

フタをあけた瞬間に凍っていくコカコーラ。日本ではフジテレビの2010年夏の催し物お台場合衆国2010で抽選で飲むことができた[1]

三ツ矢フリージングサイダー[編集]

ペットボトルを開栓すると凍り始めるサイダー。専用冷蔵庫で-5℃前後に過冷却された状態で販売される。2014年6月発売。 [2]

関連項目[編集]