ゲリラ豪雨

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ゲリラ豪雨(ゲリラごうう)は、予測が困難な、突発的で局地的豪雨を指す俗語である。ゲリラ雨ゲリラ雷雨などの呼び方もある。日本国内でのみ用いられ、国際的にこれに直接相当する言葉はない。気象学的に明確な定義付けはなく、気象庁は予報用語として「ゲリラ豪雨」を用いていない。

目次

[編集] 概要

[編集] 1970年代~

文献上の初出は1970年代以前[1]である。集中豪雨とほぼ同義の言葉であるが、予測の困難性などの違いから2つの語を使い分ける場合がある。しかし、集中豪雨・ゲリラ豪雨共に気象学的には明確な定義づけはなされていない。

1960年代までは気象災害による死者、負傷者の最大の原因は台風だった。しかし『伊勢湾台風』の後に災害対策基本法が制定され、防災のためのインフラストラクチャーが整ってくると事前予測が可能な台風の被害は減少していった。

その一方で降雨量の増大により、梅雨前線などに伴う集中豪雨の被害が目立ってくるようになった。そして従来の気象台による粗い観測網では予測困難な集中豪雨に対し、『ゲリラ豪雨』の名称が用いられるようになった。ゲリラの語には突然発生すること、予測困難であること、局地的であること、同時多発することがあることなどのニュアンスが含まれている[2]

このような集中豪雨の発生を捕捉するために、1970年代にアメダス観測網の整備が行なわれた。また気象衛星ひまわりにより、の動向を網羅的に把握できるようになった。数値予報の精度向上も集中豪雨の発生の予測に大きな役割を果たした。このようにして梅雨前線に伴って発生するような集中豪雨ではまったくの不意打ちになることは少なくなった。

[編集] 2000年代

2006年頃から広く用いられるようになった理由としては、主にマスコミ・民間気象予報事業者によって、予測困難と思われる「局地的大雨」に対して用いられるようになってきていることが考えられている[3]

これらの豪雨は10km四方程度のきわめて狭い範囲に1時間あたり100mmを超えるような猛烈なが降るが、雨は1時間程度しか続かないという特徴がある。これは前線等に伴って次々に積乱雲が発生、通過して大雨になる従来の集中豪雨とは明らかにタイプが異なる。都市の下水は一般的に最大降水量として1時間に50-60mm程度を想定しているため、これを超える雨量では短時間であっても処理しきれずに都市型洪水を発生させる。このような豪雨はヒートアイランド現象地方風によって積乱雲が著しく発達し、もたらされている可能性が指摘されている[4]

[編集] 一般語化

2008年7月から8月末の、日本各地での豪雨災害(詳細は2008年夏の局地的荒天続発を参照)の際、ゲリラ豪雨という用語が頻出した事から、第25回「現代用語の基礎知識選『ユーキャン新語・流行語大賞』」(2008年)では、「ゲリラ豪雨」がトップ10に選出された(受賞対象者は株式会社ウェザーニューズ)。この事もあり、「ゲリラ豪雨」の言葉が広く一般的に用いられるようになった。

1970年代からの当初の定義では、気象観測網に捕らえにくい豪雨という難捕捉性・難予想性の意味合いが強かった。しかし現在では、大気が不安定な状態で関東平野の広い範囲で降った(レーダー・アメダス捕捉が容易な)散発的豪雨を、マスコミがゲリラ豪雨と報じるなど、当初の「難捕捉性・難予想性」から「難予想性・強降雨性」を念頭に置いた意味合いに変質しつつある。

[編集] 批判意見

爆弾低気圧」と同様に、「ゲリラ」という言葉は軍事を連想させ不適切とする見方、または、既に集中豪雨やスコールなど同義・類義語がある中で、わざわざ新語を採用する必要はないという観点から、ゲリラ豪雨という言葉の使用に否定・批判的な見方も存在する。

[編集] ゲリラ豪雨への対策

このような豪雨への対策として、行政や研究機関などは更なる研究と観測・予測の強化、官民の防災機関などはゲリラ豪雨に対応した防災体制の構築と、主に2つの方面からの取り組みによって防災・減災が図られつつある。

前者では、現存する気象レーダー(雨粒の位置と密度を観測できる)を生かしつつ観測間隔を30~10分間隔から5~1分間隔へ短縮したり、雨雲あるいは風の移動速度・方向が観測できるドップラー・レーダー(デュアル・ドップラー・レーダー観測)の設置箇所を増やすなどの対策が行われているほか、さらに数値予報モデル(メソ数値予報モデル)の高精度化、(密度よりも実際の雨の強度に近い)雨粒の直径を計測できる新しいタイプの気象レーダーの設置、また多数のリアルタイム観測データから積乱雲の発達段階において豪雨を予測する技術(現状では雨粒がある程度成長した成熟期・減衰期でしか正確な予報は困難)の開発などが進められている[5][6]

後者に関しては、特に洪水などの情報伝達に関して課題があるのが現状で、自治体により差がある。防災行政無線の整備や情報受信端末の各家庭への普及などの費用がかかる対策はなかなか実行できないという自治体もあり、自主防災組織消防団水防団といった従来の活動を生かし強化する手法も重要とされている。また、民間気象会社やIT系企業などでは、携帯電話等を利用して多数の利用者から豪雨の情報を収集・再配信したり、独自の予報を発表・配信したりしているところもあり、ボトムアップ型の対策も多様なものが提供されつつある。

[編集] 脚注

  1. ^ 例えば倉嶋厚 "死者数からみた近年の気象災害の特徴について-災害はゲリラ化している-", 災害の研究(日本損害保険協会)1977, 9, 54-72.
  2. ^ 倉嶋厚 "風水害の歴史的変遷と防災気象情報の発展", 天気(日本気象学会)2005, 52, 905-912.
  3. ^ 比較的古いものでは『素敵な宇宙船地球号』 第441回放送「ヒートアイランド東京Vol.1 都市型ゲリラ豪雨の恐怖」 2006年8月27日放送[1]や『NEWSゆう』 特集「都市部を襲うゲリラ豪雨」 2006年9月6日放送[2]にその用法が見られる。
  4. ^ 三上岳彦ほか "東京都内における夏期の局地的大雨に関する研究" 東京都環境科学研究所年報 2005, 33-42.
  5. ^ ゲリラ豪雨つかめ 気象庁、12年度めどに予報モデル 朝日新聞 2008年8月15日
  6. ^ ゲリラ豪雨:特殊レーダーなど事前予測法を強化…防災科研 毎日新聞 2008年8月31日

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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