タイ文字

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Example.of.complex.text.rendering.svg この項目にはインド系文字が含まれています。環境によっては、フォントをインストールしていても、母音記号の位置が乱れたり結合文字が分かれたりします詳細
タイ文字
類型: アブギダ
言語: タイ語
発明者: ラームカムヘーン
時期: 13世紀-現在
親の文字体系:
Unicode範囲: U+0E00-U+0E7F
ISO 15924 コード: Thai
注意: このページはUnicodeで書かれたIPA音声記号を含む場合があります。
ブラーフミー 前6世紀-前3世紀-
北インド系
南インド系

タイ文字は主にタイ語を表記する表音文字シャム文字とも呼ばれる。

目次

[編集] 概要

13世紀にスコータイ王朝の三代目の王ラームカムヘーンクメール文字を基に作ったといわれている。源流はブラーフミー文字であり、ブラーフミー系文字インド系文字)の1つに数えることができる。ほとんどの文字(子音では「」と「」を除く)に小さい丸があるのが特徴的であるが、字体によっては丸が省略されたり、ラテン文字に似せたデザインもある[1]。44の子音字からなり、大文字・小文字の区別はない。

タイは、ビルマミャンマー)・スリランカと共に、上座部仏教を支える一大拠点であり、タイ文字も経典言語であるパーリ語サンスクリットに対応できる形で開発されてきた。

他のインド系文字と同じく、子音字の周辺に母音を表す記号もしくは字母を加えて音を表現する。ただし、子音が無い母音単独音の場合、デーヴァナーガリーを代表とするインド大陸系文字にあるような「母音単独時の専用文字」が無いので、クメール文字チベット文字などの他のインド周辺文字と同じく、子音部分に専用字母(/ʔ/ を表すと解釈される)をあてがうことで、母音単独音を表現する。(なお、タイ文字では、/ɔː/などの母音表現にも用いられる字母である「」が使用される。)

また、タイ語は、チベットから中国東南アジアにかけて分布するアジアの声調言語の1つであり、子音字は低子音、中子音、高子音の3つに分類されていて、それぞれ声調記号による声調変化に違いがある。

[編集] 子音字

[編集] 一覧

子音全44字(現在は2字が廃字となって全42字)は、以下の通り。(この並びは、ラテン文字のABC順、仮名五十音順に相当する。)

  • 低子音・中子音・高子音は、それぞれ背景をで表した(廃字、及び各文字の音節末音が無い部分は灰色)。
    (なお、廃字の2文字「」「」の代用には、それぞれ下表の1つ上の「」「」が用いられる。)
  • 音節頭(初声)と音節末(終声)では、同じ文字でも発音が異なることがあるので注意。
    (特に注意すべきものは、背景をオレンジで表示した。)
文字 名称 転写 発音 分類
ก ไก่ (ko kai) : コー・カイ(鶏のコー) k -k [k] -[k̚]
ข ไข่ (kho khai) : コー・カイ(卵のコー) kh -k [kʰ] -[k̚]
ฃ ขวด (kho khuat) : コー・クアッ(ト) (瓶のコー)【廃字】 kh -k [kʰ] -[k̚]
ค ควาย (kho khwai) : コー・クワーイ (水牛のコー) kh -k [kʰ] -[k̚]
ฅ คน (kho khon) : コー・コン (人のコー)【廃字】 kh -k [kʰ] -[k̚]
ฆ ระฆัง (kho ra-khang) : コー・ラカン(鐘のコー) kh -k [kʰ] -[k̚]
ง งู (ngo ngu) : ンゴー・ングー(蛇のンゴー) ng -ng [ŋ] -[ŋ]
จ จาน (cho chan) : チョー・チャーン (皿のチョー) ch -t [tɕ] -[t̚]
ฉ ฉิ่ง (cho ching) : チョー・チン (チン[2]のチョー) ch [tɕʰ]
ช ช้าง (cho chang) : チョー・チャーン (象のチョー) ch -t [tɕʰ] -[t̚]
ซ โซ่ (so so) : ソー・ソー (鎖のソー) s -t [s] -[t̚]
ฌ เฌอ (cho choe) : チョー・チュー(木のチョー) ch [tɕʰ]
ญ หญิง (yo ying) : ヨー・イン(女のヨー) y -n [j] -[n]
ฎ ชฎา (do cha-da) : ドー・チャダー(冠のドー) d -t [d] -[t̚]
ฏ ปฏัก (to pa-tak) : トー・パタッ(ク) (突き棒[3]のトー) t -t [t] -[t̚]
ฐ ฐาน (tho than) : トー・ターン (台座のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
ฑ มณโฑ (tho montho) : トー・モントー (モントー夫人[4]のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
ฒ ผู้เฒ่า (tho phu-thao) : トー・プータウ (年長者のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
ณ เณร (no nen) : ノー・ネーン (見習い僧のノー) n -n [n] -[n]
ด เด็ก (do dek) : ドー・デッ(ク) (子供のドー) d -t [d] -[t̚]
ต เต่า (to tao) : トー・タウ (亀のトー) t -t [t] -[t̚]
ถ ถุง (tho thung) : トー・トゥン (袋のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
ท ทหาร (tho thahan) : トー・タハーン (兵士のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
ธ ธง (tho thong) : トー・トン (旗のトー) th -t [tʰ] -[t̚]
น หนู (no nu) : ノー・ヌー (鼠(ねずみ)のノー) n -n [n] -[n]
บ ใบไม้ (bo baimai) : ボー・バイマイ (葉のボー) b -p [b] -[p̚]
ป ปลา (po pla) : ポー・プラー (魚のポー) p -p [p] -[p̚]
ผ ผึ้ง (pho phueng) : ポー・プン (蜂のポー) ph [pʰ]
ฝ ฝา (fo fa) : フォー・ファー (蓋のフォー) f [f]
พ พาน (pho phan) : ポー・パーン (食台のポー) ph -p [pʰ] -[p̚]
ฟ ฟัน (fo fan) : フォー・ファン (歯のフォー) f -p [f] -[p̚]
ภ สำเภา (pho sam-phao) : ポー・サンパウ (ジャンク船のポー) ph -p [pʰ] -[p̚]
ม ม้า (mo ma) : モー・マー (馬のモー) m -m [m] -[m]
ย ยักษ์ (yo yak) : ヨー・ヤッ(ク) (夜叉のヨー) y -y [j] -[j]
ร เรือ (ro ruea) : ロー・ルア (船のロー) r -n [ɾ] -[n]
ล ลิง (lo ling) : ロー・リン (猿のロー) l -n [l] -[n]
ว แหวน (wo waen) : ウォー・ウェーン (指輪のウォー) w -w [w] -[w]
ศ ศาลา (so sala) : ソー・サーラー (休憩所のソー) s -t [s] -[t̚]
ษ ฤๅษี (so rue-si) : ソー・ルーシー (隠者のソー) s -t [s] -[t̚]
ส เสือ (so suea) : ソー・スア (虎のソー) s -t [s] -[t̚]
ห หีบ (ho hip) : ホー・ヒー(プ) (葛籠(つづら)のホー) h [h]
ฬ จุฬา (lo chu-la) : ロー・チュラー (凧(たこ)のロー) l -n [l] -[n]
อ อ่าง (o ang) : オー・アーン (洗面器のオー) [ʔ]
ฮ นกฮูก (ho nok-huk) : ホー・ノッ(ク)フー(ク) (梟(ふくろう)のホー) h [h]

[編集] 発音別

子音字を、発音ごとに大きく括ると、以下の通り。(廃字2字は省く)

文字 発音 備考
[ʔ] 喉を少し締めて母音を発音。事実上の母音単独音。
この文字自体は、/ɔː/をはじめとする様々な母音を表す字母としても用いられる。
[k]
, , [kʰ] 有気音
, [d]
, [t]
, , , , , [tʰ] 有気音
, , , [s] (-[t̚])
[tɕ] (-[t̚])
, , [tɕʰ] (-[t̚]) 有気音
[b]
[p]
, , [pʰ] 有気音
, [f] (-[p̚])
, [h] 」は低子音の直前に置き、声調を高子音のパターンに変更する記号として用いられることもある。
[ɾ] (-[n])
, [l] (-[n])
[m]
, [n]
[ŋ]
, [j] (-[n])
[w]


[編集] 母音字

点線の丸部分に、子音字が入る。(母音だけの場合は、「」が入る。)

  • 短母音では、音節が母音で終わる場合と末子音が後続する場合とで、表記が異なってくるものがある
  • 全体のおおまかな傾向を書いておくと、長母音を短母音にするのには「」が用いられ、更に末子音付きの短母音にするのには「 ็」(短縮記号)等が用いられる
基母音
長母音 短母音 転写 発音 備考
末子音なし 末子音あり
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.png ั- a (aa), a [aː], [a]
i (ii), i [iː], [i]
ue, ue [ɯː], [ɯ] 唇を横に引いて「ウ(ー)」
u (uu), u [uː], [u] 唇を丸めて突き出して「ウ(ー)」
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.pngอะ เิ- oe, oe [əː] ([ɤː]), [ə] ([ɤ]) オとエの中間音。曖昧な「ウ(ー)」
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.png เ็- e (ee), e [eː], [e]
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.png แ็- ae, ae [ɛː], [ɛ] 開口の「エ(ー)」
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.png- o (oo), o [oː], [o]
Thai script-vowels-hojo.png Thai script-vowels-hojo.pngาะ ็อ- o, o [ɔː], [ɔ] 開口の「オ(ー)」
二重母音など
文字 転写 発音 備考
เีย ia [iːa]
เือ uea [ɯːa]
ัว ua [ua]
Thai script-vowels-hojo.png ai [ɑj]
Thai script-vowels-hojo.png ai [ɑj]
Thai script-vowels-hojo.png ao [aw]
am [ɑm]
Thai script-vowels-hojo.png oei [əːj] ([ɤːj])

[編集] その他

[編集] 声調

タイ語の声調を単純化した図

声調は、平声低声下声高声上声の5つ。(日本人学習者向けにはそれぞれ第1声、第2声、第3声、第4声、第5声と呼ばれることも多い。)

  • 高声 (áa):高いところからさらに少し上げて発音する。眠気まなこで聞き返す「んー?」のような感じ。
  • 上声 (ǎa):低いところから上がりながら発音する。因縁をつける「あぁ?」のような感じ。
  • 平声 (aa):普通の高さで平らに発音する。興味なさそうに「へ〜」と言った感じ。
  • 下声 (âa):高いところから下がりながら発音する。納得したときの「そう」のような感じ。
  • 低声 (àa):低い高さで平らに発音する。平声よりさらにトーンを下げて低めに。

子音字は、低子音中子音高子音の3つに分類され、それぞれ4種の声調記号( ่ (1:ไม้เอก, マイエーク)、 ้ (2:マイトー)、 ๊ (3:マイトリー)、 ๋ (4:マイチャッタワー))の付け方が異なる。


なお、声調記号が用いられるのは、基本的に以下の3つの音節形の場合である。

  • 子音 + 長母音【C+LV】
  • 子音 + 長母音 + 破裂音(-k/t/p)以外の末子音【C+LV+Sonorant】
  • 子音 + 短母音 + 破裂音(-k/t/p)以外の末子音【C+SV+Sonorant】

まずは、これらの音節の共通した声調パターンを以下に示す。

青が低子音、緑が中子音、赤が高子音
声調基準
声調記号 低声 下声 平声 上声 高声
低子音: ค, ง, ช, ซ, ท, น, พ, ฟ, ม, ย, ร, ล, ว, ฆ, ฌ, ธ, ฑ, ฒ, ณ, ภ, ญ, ฬ, ฮ 1( ) 2( )
中子音: ก, จ, ด, ต, บ, ป, อ, ฎ, ฏ 1( ) 2( ) 4( ) 3( )
高子音: ข, ฉ, ถ, ผ, ฝ, ส, ห, ฐ, ศ, ษ 1( ) 2( )
声調記号基準
声調記号 1( ) 2( ) 3( ) 4( )
低子音: ค, ง, ช, ซ, ท, น, พ, ฟ, ม, ย, ร, ล, ว, ฆ, ฌ, ธ, ฑ, ฒ, ณ, ภ, ญ, ฬ, ฮ 平声 下声 高声
中子音: ก, จ, ด, ต, บ, ป, อ, ฎ, ฏ 平声 低声 下声 高声 上声
高子音: ข, ฉ, ถ, ผ, ฝ, ส, ห, ฐ, ศ, ษ 上声 低声 下声

(※高子音「」が低子音の直前に置かれ、高子音の声調パターンに変更する記号として用いられることもあるので要注意。)


残りの3つの音節形の場合、声調記号が付くことは稀であるが、付かない場合でも、上記のパターンとは声調が異なるので、以下に示す。

  • 子音 + 長母音 + 破裂音(-k/t/p)の末子音【C+LV+Plosive】(※上記の「1 ( ่ )」の場合と同じ)
声調記号
低子音: ค, ง, ช, ซ, ท, น, พ, ฟ, ม, ย, ร, ล, ว, ฆ, ฌ, ธ, ฑ, ฒ, ณ, ภ, ญ, ฬ, ฮ 下声
中子音: ก, จ, ด, ต, บ, ป, อ, ฎ, ฏ 低声
高子音: ข, ฉ, ถ, ผ, ฝ, ส, ห, ฐ, ศ, ษ 低声
  • 子音 + 短母音【C+SV】
  • 子音 + 短母音 + 破裂音(-k/t/p)の末子音【C+SV+Plosive】
声調記号
低子音: ค, ง, ช, ซ, ท, น, พ, ฟ, ม, ย, ร, ล, ว, ฆ, ฌ, ธ, ฑ, ฒ, ณ, ภ, ญ, ฬ, ฮ 高声
中子音: ก, จ, ด, ต, บ, ป, อ, ฎ, ฏ 低声
高子音: ข, ฉ, ถ, ผ, ฝ, ส, ห, ฐ, ศ, ษ 低声

[編集] その他の記号

その他、以下のようなタイ文字もある。

文字 名称 意味
黙字符号 付いた文字は発音しない
省略記号 長い語を略した際の目印
反復記号 語句の反復
スタンザ(詩の節)のはじまり、あるいはビュレット(列挙する際の中点)としても
スタンザや章の終わり
文書や物語の終わり


[編集] 数字

タイで用いられる数字には、アラビア数字の他に、次のような固有のものがある。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
sŭun ศูนย์ nùng หนึ่ง sŏong สอง săam สาม sìi สี่ hâa ห้า hòk หก jèt/cèt เจ็ด pèet แปด kâo/kâao เก้า

[編集] サンスクリットとの対応

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています

[編集] Unicode

Unicode では以下の領域に次の文字が収録されている。

U+ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
0E00
0E10
0E20
0E30 ฿
0E40
0E50
0E60
0E70

[編集] 脚注・出典

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  1. ^ 例えば(ロールァ)がSと全く同形になるため、タイ文字を読み慣れない者には判読が難しいことが多い。[1]
  2. ^ タイの小型シンバル風楽器
  3. ^ 牛追い棒、銛(もり)、槍などとも
  4. ^ 古代インド叙事詩『ラーマーヤナ』に登場するラークシャサ羅刹)魔族の王・ラーヴァナの妃であるマンドーダリーのこと

[編集] 関連項目

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