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[[ファイル:Hananosato-Takidani Japanese Iris Garden01.jpg|right|thumb|240px|花の郷滝谷 花しょうぶ園]]
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[[ファイル:Lake Kagurame - 01.JPG|right|thumb|240px|神楽女湖菖蒲園]]
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''' 北海道・東北 '''
''' 北海道・東北 '''
* [[北海道農業専門校]]しょうぶ園([[北海道]][[札幌市]][[豊平区]]) - 2 haの園内に約450種10万株
* [[八紘菖蒲]]([[北海道]][[札幌市]][[豊平区]]) - 2 haの園内に約450種10万株
* [[あやめ公園 (岩見沢市)|あやめ公園]](北海道[[岩見沢市]]) - 敷地面積4.2ha、混植のアヤメ・カキツバタを含め168種約1万2000株(約15万本)
* 手づくり村鯉艸郷([[青森県]][[十和田市]]) - 約600種20万株
* 手づくり村鯉艸郷([[青森県]][[十和田市]]) - 約600種20万株
* [[花と泉の公園]]花菖蒲園([[岩手県]][[一関市]])
* [[花と泉の公園]]花菖蒲園([[岩手県]][[一関市]])

2013年6月24日 (月) 08:27時点における版

ハナショウブ
肥後系ハナショウブ 雲井の雁 (六英咲き・覆輪系の大輪) 押田成夫(1965年)
ハナショウブ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: アヤメ科 Iridaceae
: アヤメ属 Iris
: ノハナショウブ(広義)
I. ensata
変種 : ハナショウブ
I. ensata var. ensata
学名
Iris ensata Thunb. var. ensata (1794)
シノニム
  • I. ensata Thunb. var. hortensis
    (Maxim.) Makino et Nemoto (1931)
  • I. kaempferi Siebold ex Lemaine (1858)
明月院のハナショウブ

ハナショウブ花菖蒲Iris ensata var. ensata)はアヤメ科アヤメ属多年草である。シノニムI. ensata var. hortensis, I. kaempferi.

解説

ハナショウブはノハナショウブ(学名I. ensata var. spontanea)の園芸種である。6月ごろに花を咲かせる。花の色は、白、ピンク、紫、青、黄など多数あり、絞りや覆輪などとの組み合わせを含めると5,000種類あるといわれている。大別すると、江戸系伊勢系肥後系の3系統に分類でき、古典園芸植物でもあるが、昨今の改良で系統色が薄まっている。他にも原種の特徴を強く残す山形県長井市で伝えられてきた長井古種や、海外、特にアメリカでも育種が進んでいる外国系がある。

近年の考察では、おそらく東北地方でノハナショウブの色変わり種が選抜され、戦国時代か江戸時代はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが江戸に持ち込まれ、後の三系統につながった。長井古種は、江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。

一般的にショウブというと、ハナショウブを指すことが多い。しかし、菖蒲湯に使われるショウブは、ショウブ科(古くはサトイモ科)に分類される別種の植物である。

見分け方

堀切菖蒲園には、ハナショウブ・カキツバタアヤメ・稲妻の見分け方として、次の記述の掲示がある(2005年6月現在)。

種別 花の色 花の特徴 適地 開花期
アヤメ 紫、まれに白 主脈不明瞭 網目模様
外側の花びらに黄色い模様がある
乾いた所に育つ 5月上旬から中旬
カキツバタ 青紫のほか紫、白、紋など 主脈細小 網目なし 水中や湿った所に育つ 5月中旬から下旬
ハナショウブ 紅紫、紫、絞、覆輪など 主脈太い 網目なし
花の色はいろいろある
湿ったところに育つ 6月上旬から下旬

外花被片の模様での見分け方

種別 花の特徴
アヤメ 外花被片に網目模様がある
カキツバタ 外花被片に網目模様なし
外花被片に白い斑紋がある
ハナショウブ 外花被片に網目模様なし
外花被片に黄色い斑紋がある

なお、「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。

伝統品種群の系統

江戸系
江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾堀切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本松平定朝(菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し名著「花菖培養録」を残し、ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。
肥後系
肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁のところに弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもので、「肥後六花」の一つである。満月会によって現在まで栽培・改良が続けられている。菖翁との約束であった門外不出という会則を厳守してきたが、大正時代にこれを売りに出した会員がおり、瞬く間に中心的な存在となった。
伊勢系
伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良されたという品種群で、「伊勢三品[1]」の一つである[2]。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。
長井古種
山形県長井市で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は明治43年(1910年)に開園し、市民の憩いの場であった。昭和37年(1962年)、来訪した中央の園芸家によって三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。

自治体の花

花菖蒲の名所・花菖蒲園

長井あやめ公園
水郷佐原水生植物園
堀切菖蒲園
北山公園菖蒲園
豊受大神宮勾玉池
城北公園菖蒲園
花の郷滝谷 花しょうぶ園
神楽女湖菖蒲園

北海道・東北

関東

中部

近畿

中国・九州

脚注

  1. ^ 菖蒲、菊、撫子
  2. ^ 江戸の商人には三井高利に代表される伊勢出身者が多く互いの行き来も盛んであり、紀州藩士も参勤交代が頻繁であった。このことから、実際には江戸系の影響を受けたであろうことが有力視されている。
  3. ^ 永田敏弘、『色分け花図鑑 花菖蒲』、学習研究社、2007年、ISBN 978-4-0540-2924-8、159頁

関連項目

外部リンク