ショウブ

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ショウブ
Illustration Acorus calamus0.jpg
Acorus calamus
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ショウブ目 Acorales Martius
: ショウブ科 Acoraceae Martinov
: ショウブ属 Acorus
: ショウブ A. calamus
変種 : A. calamus var. angustatus
学名
Acorus calamus var. angustatus
和名
ショウブ(菖蒲)
英名
sweet flag

ショウブ(菖蒲、Acorus calamus)は、池、川などに生える多年生の草本で、単子葉植物の一種。APG体系ではショウブ目ショウブ科のショウブ属に属する[注釈 1][1]ユーラシア大陸に広く分布し、日本では北海道から九州までの水辺に自生する[2]。日本を含めて東アジアのものは変種 A. calamus var. angustatusとされる。薬草漢方薬としても用いられている。アヤメ科ハナショウブと混同されることがあるが、本種は全く別の植物である[2]。漢名は菖蒲と書き表されるが、正しくは白菖と書き、漢方の菖蒲は小型の近縁種であるセキショウのことを指す[2]

特徴[編集]

根茎は太く湿地の泥の中を短く横に這い、節が多くひげ根が出る[2]。地中の根茎の先端から地上へ多数の葉をのばす[2]はハナショウブに似ており、左右から扁平で中央脈が高く、基部は左右に抱き合うように2列に並び、芳香がある[2]。花期は初夏の5月頃で、は目立たない黄緑色の円柱状の肉穂花序に細花が一面につくが、小さいため見た目は花らしくない姿をしている[2]。根本の葉の間から延びる花茎は葉と同じ形をしており、肉穂花序の基部にはが1枚つき、これも花茎の延長のように伸びるので、葉の途中から穂が出たような姿になる。

古くは現在のアヤメ科アヤメではなく、この植物ショウブを指して「あやめ」と呼んでいた[要出典]

利用[編集]

中国では古来より、ショウブの形がに似ていること、邪気を祓うような爽やかな香りを持つことから、男子にとって縁起の良い植物とされ、家屋の外壁から張り出した軒(のき)に吊るしたり、の下に置いて寝たりしていた。日本でも、奈良時代聖武天皇の頃より端午の節句に使われ始め、武士が台頭してからは「しょうぶ」のに通じるので「尚武」という字が当てられるようになり(勝負にも通じる)、軒先に魔除けとして吊るしたり、風呂に入れる習慣が伝えられてきた[2]

菖蒲湯として用いられており、薬用効果を高めるために、芳香のある生の根茎や葉を大まかに刻んで布袋に入れて煮出したものが風呂に入れられる[2]。浴用の効果は、血液循環促進、冷え性、肩こり、疲労痛に効能があるとされる[2]。また、漢方薬(白菖、菖蒲根)にもなっている。苦味芳香性の健胃薬の効果があるものの、特殊な不快味があるうえ、悪心、吐気感を催してしまうことがあるため内服には使われない[2]

近縁種[編集]

近縁のセキショウ(石菖)は、やや小柄な深緑色の草で、渓流沿いに生える。根茎は、昔から薬草として珍重されており、鎮痛、鎮静、健胃薬にされ[2]神経痛痛風の治療にも使用した。蒸し風呂(湿式サウナ)では、床に敷いて高温で蒸す状態にしてテルペン(鎮痛効果がある)を成分とする芳香を放出させ、皮膚呼吸器から体内に吸収するようにして利用する。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 旧来のクロンキスト体系ではサトイモ目ショウブ科で、新エングラー体系などではサトイモ目サトイモ科のショウブ属に属する。

出典[編集]

  1. ^ ショウブ(ショウブ科) Acorus calamus - 重井薬用植物園
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 馬場篤 1996, p. 65.

参考文献[編集]