デジタル庁

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日本の旗 日本行政機関
デジタル庁
デジタルちょう
概要
定員 500人(予定)
設置 2021年令和3年)9月1日(予定)
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デジタル庁(デジタルちょう)は、2021年令和3年)9月1日に設置される予定の日本行政機関のひとつ[1]。 国・地方行政IT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目的とした、IT分野を担当する省庁[2]

人員は500名程度とする計画[3]で、そのうち100名程度を民間から登用すべく、2020年12月時点で、既に採用活動が開始されている[4][5]

沿革[編集]

2020年(令和2年)9月16日に発足した菅義偉内閣は、国全体のデジタル化を看板政策とし、この動きを加速させた。さまざまな協議を得た末に、同年11月26日には、デジタル化の司令塔となるデジタル庁を2021年(令和3年)9月1日に発足させるとの基本的方向性が定まった[6]。検討開始から設置までの期間は、国家組織として異例の速さであり、デジタル改革担当大臣である平井卓也自身も「通常ではありえないスピード」と驚きを示したほどであった[7]。また、マイナンバーの所管は総務省内閣府からデジタル庁の一元的な体制に移行し、「令和4年(2022年)度末にはほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指す」としている[3]

デジタル庁の機能及び位置づけ[編集]

これまでの政府におけるデジタル戦略は、内閣官房IT総合戦略室が所管してきたが、デジタル庁は、その発展的な新組織体と位置づけられる。デジタル化の速やかな推進を目的に、その障害となっている府省間の縦割りを打破すべく、各府省に対する司令塔として、予算を含めた企画立案と統括・監理の強い権限、更に、勧告等を含めた総合調整の役割を与える計画である[3]

また、国のデジタル化について、「単に情報システムを整備する、手続をオンライン化する、手続に係る費用を削減する、オンライン利用率を上げるということを意味するものではない」とし、「サービス設計12か条」に基づく行政サービス改革・業務改革(BPR)[8][9]の徹底を基本方針としている[10]

このことは、「デジタル・ガバメント実行計画」(令和2年12月25日閣議決定)の冒頭で強調されている「デジタル技術やデータを活用して、利用者目線に立って新たな価値を創出するデジタルトランスフォーメーション(DX)」そのものであり、「これまでのデジタル化のように、紙や対面で行っていた手続を単にオンラインでできるようにするなど、従来のやり方をデジタルに置き換えるだけの、いわゆるdigitization(デジタイゼーション)ではなく、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するというdigitalization(デジタライゼーション)の観点の重要性」を具現化するものでもある[10]。また、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)では、デジタルトランスフォーメーション・デジタライゼーションを実現していく上での手法・思想として、「オープン・透明」(標準化や情報公開による官民の連携など)、「迅速・柔軟」(「小さく産んで大きく育てる」という考え方、変化に柔軟に対応できるシステムの形成、アジャイル発想など)などといった基本原則も明示された。

このような抜本的なデジタル改革・業務改革を担う「デジタル人材」については、「優秀な人材が民間、自治体、政府を行き来しながらキャリアを積める環境を整備する」という流動性の高い人材像・キャリアパス(いわゆる「回転ドア方式」)を描くとともに、2021年(令和3年)度前半には、「政府機関におけるセキュリティ・IT人材育成総合強化方針」を改定するとしている[3]。ITをバックグランドとしない一般職員についても、これまで総務省が行ってきた府省共通の「情報システム統一研修」を改善・強化し、「橋渡し人材」(ITに関する「高度専門人材」と「一般行政部門」との橋渡しができる人材)の質・量を一層充実させる方針(特に課長補佐級)が打ち出されている[10]

ただし、このような改革の試みは、「情報」の属人性や偏在を排し、その透明性・流通性を高めるものでもあるため、これまで「情報」を権力の源泉としてきた組織や層の抵抗が不可避との悲観的観測もある[11]

対象業務[編集]

デジタル庁が、予算要求や調達を直接担うのは政府機関(国の行政機関)の情報システムに限られるが、情報システムの統括・監理などとしては、政府機関の情報システムだけでなく、地方公共団体、更に広く公共サービスに関する情報システムを対象業務とすることが想定されている[3](各地方自治体が、それぞれの条例に基づいて別々にシステムを構築していることでデータ連携などが阻害されている現状に対し、法律・条例によってシステムを縛るのではなく、システムをデザインしてからそれにあわせて法律・条例を作るべき、自治の独立性とシステム・データの独立性を分けて考えるべきとの指摘がされている[12]。)。

ここには司法分野の情報システムも含まれており、2020年(令和2年)7月17日に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」も、裁判手続等のIT化として、司法府における自律的判断を尊重するとの前提を明記した上で、民事訴訟における主張証拠のオンライン提出などを可能な限り早期に実現すべき課題とするほか、刑事分野についても、捜査公判のデジタル化方策の検討を開始するとしており、国全体のデジタル化を進める上で、独立性に配慮しながら、司法府とも協調・連携していく姿勢を明らかにしている[13](デジタル化の先進事例とされるイギリスのDirectgovも、司法関連情報を包含したワン・ストップ・サービスのポータルサイトとなっている)。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ デジタル庁、9月1日発足 政府の基本方針案 500人規模” (日本語). 日本経済新聞 (2020年12月15日). 2020年12月16日閲覧。
  2. ^ デジタル庁について” (日本語). NTTデータ経営研究所. 2020年12月16日閲覧。
  3. ^ a b c d e 「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)
  4. ^ 「デジタル庁(仮称)の創設に向けて人材募集中。」
  5. ^ 「デジタル庁、「兼業・在宅OK」で民間人採用のわけ 平井大臣が語る「官民連合軍」の可能性と課題」(東洋経済online、2020年12月27日)
  6. ^ 来年9月創設へ 「デジタル庁」の概要固まる”. news.tv-asahi.co.jp. 2020年12月16日閲覧。
  7. ^ 平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月27日
  8. ^ サービス設計 12 箇条とそれぞれの確認ポイント
  9. ^ 内閣官房IT総合戦略室「第4章 サービス・業務企画」(デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック)
  10. ^ a b c 「デジタル・ガバメント実行計画」(令和2年12月25日閣議決定)
  11. ^ 磯山友幸「「デジタル庁創設でも期待薄」霞が関のデジタル化が進まない本当の理由 情報という「権力」を手放したくない」PRESIDENT Online 2020年12月25日
  12. ^ 竹中治堅・川邊健太郎「自治の独立性とシステム・データの独立性を分けて考える:デジタル庁の見取図」(nippon.com 2020年1月2日)
  13. ^ 「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年7月17日閣議決定)31ページ - 事務局はデジタル庁の前進である内閣官房IT総合戦略室

関連項目[編集]

外部リンク[編集]