けんちん汁

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けんちん汁
Kenchinjiru soy sauce flavor 2009.JPG
けんちん汁の一例(具材はにんじん、大根、里芋、こんにゃくが使用されている)
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けんちん汁(けんちんじる・巻繊汁)は、汁物料理の一種である。

概要[編集]

ポピュラーな具材として大根にんじんゴボウ里芋蒟蒻豆腐胡麻油で炒め、出汁を加えて煮込み、最後に醤油で味を調えたすまし汁である。

元来は精進料理なので、肉や魚は加えず、出汁も鰹節煮干ではなく、昆布椎茸から取ったものを用いた。

由来[編集]

神奈川県鎌倉市にある建長寺の修行僧が作っていたため、「建長汁」がなまって「けんちん汁」になったといわれる説がある[1][2]。しかし百科事典国語辞典では、「建長汁」の表記は一切見られず[3]「けんちん汁」に「巻繊汁」の字をあて[4]普茶料理巻繊(けんちん - 野菜を刻み、豆腐を混ぜて炒め、油揚げ湯葉で巻いて油で揚げた料理)と関連づけている[5][6][7]


レシピ[編集]

  1. 大根、にんじんは5mmのイチョウ切り、ゴボウは皮をむき、ささがきにして水にさらす。
  2. 里芋は皮をむいて1cmの輪切りにし、塩で揉んでぬめりを取り、さっと茹でておく。蒟蒻は半分に切って5mmの小口切り、豆腐はふきんに包んで水気を絞っておく。
  3. 鍋にゴマ油を熱し、大根・にんじん・里芋・こんにゃく・豆腐・ゴボウの順に加えながら炒め、豆腐にゴマ油が馴染んだらだしを加える。
  4. 煮立ったら火を弱め、あくを取りながら煮て、柔らかくなったら・醤油・で味を調える。
  5. 盛り付けて季節の吸い口を添える。
  6. 彩よく盛り付ける。

関連した料理[編集]

・精進料理では味噌仕立てにしたものを「国清汁」と呼ぶ。「建長汁」のいわれ同様、伊豆韮山の国清寺が起源であるともいう。

・江戸時代の料理書『豆腐百珍』には「真のけんちん」「草のけんちん」など、けんちんのバリエーションが記されている。ただし、けんちんそのものは次第に廃れ、中身であるもやしと豆腐の炒め物自体が様々な料理に応用された。けんちん汁はそうした物の一つであり、この他に魚肉や豆腐にけんちんを詰めて蒸したけんちん蒸しなどがある。

大分県中津市には、同名の蒸し菓子がある。これは、木耳とトロクスン豆を中心に野菜を煮汁を多めに甘辛く煮付け、これにクズ粉・小麦粉砂糖を加えながら長時間練り上げ、型に流し込んで蒸篭で蒸し冷やしたもので、見た目は外郎に似ている。江戸時代に同地出身の蘭学者であり医師でもあった田中信平長崎遊学の際に「けんちん」を伝えたのが起源とされ、長らく、この地方の慶事や正月に「口取り(料理の合間に出される甘口の料理や蒲鉾、栗きんとんのような菓子などの事)」に使用されてきた。この「けんちん」は現在残っているけんちんの中でも最も異色の存在と思われる。

茨城県では、特産の蕎麦にけんちん汁をかけ「けんちん蕎麦」としても食されており、また、けんちん汁をつけ汁とした「つけけんちん蕎麦」も存在する[8]

脚注[編集]

  1. ^ NHK総合テレビSAVE THE FUTURE』 2009年6月21日放送分:建長寺僧侶のコメントによる。
  2. ^ 和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典講談社
  3. ^ 中にはその説に否定的に触れた上で「巻繊」説を推す文献もある幸運社 『意外と知らないもののはじまり』 PHP文庫、2002年、p.156。ISBN 4-569-57841-1
  4. ^ 広辞苑』第6版、岩波書店
  5. ^ 「けんちん」『日本大百科全書小学館
  6. ^ 「巻繊」『百科事典マイペディア』電子辞書版
  7. ^ 新明解国語辞典』第7版、三省堂
  8. ^ 【食ナビ】茨城県北 つけけんちんそば/具だくさん濃いめの汁『日本経済新聞』夕刊2017年12月19日

関連事項[編集]