若草物語 ナンとジョー先生

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若草物語 ナンとジョー先生』(わかくさものがたり ナンとジョーせんせい)は、フジテレビ系の「ハウス世界名作劇場」枠で放送されたテレビアニメ。放映期間は1993年1月17日から同年12月19日で全40話。

世界名作劇場
通番 題名 放映期間
第18作 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー 1992年1月
~1992年12月
第19作 若草物語 ナンとジョー先生 1993年1月
~1993年12月
第20作 七つの海のティコ 1994年1月
~1994年12月

概要

原作はルイーザ・メイ・オルコットの『第三若草物語』(Little Men)。全寮制の学校・プラムフィールドを舞台に繰り広げられる2人の教師と13人の生徒たちの物語である。1987年に放映された『愛の若草物語』と原作のシリーズこそ同じものの完全な続編ではない。『愛の若草物語』では原作から一部地名・人物名が改変される、原作にいない人物が登場するなどのオリジナルな要素が存在したが、それらは本作品に引き継がれておらず、作中で暗喩される過去のエピソードを辿れば、アニメ『愛の若草物語』ではなく原作小説『若草物語』に行き着くように作られている。本作品は『愛の若草物語』と比較して原作に忠実と紹介されることが多く、姉妹の年齢差、メグの夫の名前、舞台となる街の名なども原作通りとなっている。しかし、一方で「ナンを主人公に昇格させる」、「ダンをはじめ、キャラクターの年齢を大幅に変更する」、「トミーなど、キャラクターの性格が変更される」、「ナンとダンが、互いに好意を抱く」など、新たなオリジナルの要素も多い。前述のように『愛の若草物語』とは設定に多くの差異があるが、前作に登場していた人物は、本作でも1話のみのゲスト出演に至るまで、全て同じ声優が起用されている。1980年代から本作まで、世界名作劇場はハウス食品一社提供番組であったが、実際には、他社のCMも流れていて一社提供体制は既に崩壊していた(最初はチョーヤ梅酒だったが、子供枠で酒類のCMは問題となりECCジュニアのCMに切り替わった)。また放送途中の1993年10月にハウス食品のキャッチコピーが「楽しい家庭料理の世界をひろげる」から「知恵ある暮らしをデザインする」に変更された。

登場人物

主要登場人物

ナン
声 - 松倉羽鶴
主人公。フルネームはアニー・ハーディング。ボストンからプラムフィールドへやってくる。合衆国一のおてんば娘。野球も得意。将来の夢は消防士、機関車の機関助手といろいろと変わったが、ジョーの事故をきっかけに医者を志す。本編は成長したナンがワゴン(馬車)に乗ってプラムフィールドを再訪するところから回想物語として始まる。
ジョー先生
声 - 山田栄子
準主人公。フルネームはジョセフィン・ベア。前作マーチ家の次女で、フリッツ・ベアと結婚した。理想の教育を実践するために、夫婦でプラムフィールドの運営に取り組む。学園の教師であり、二児の母親でもある。かつてはナンにも負けないおてんば少女だったこともあり、野球に参加したり直談判をしたりと、勝気な性格も持ち合わせている。

プラムフィールドの生徒

トミー・バングズ
声 - 高山みなみ
プラムフィールドの少年。悪戯好きで、トミー・バングズ商会を経営している。ナンが好き。将来の夢は億万長者。
ジャック
声 - 柏倉つとむ
プラムフィールドで学ぶ12歳の少年。ある事件を起こす。さばけた性格。
ジョージ・コール(スタッフィ)
声 - 佐藤智恵
プラムフィールドの少年。食いしん坊。ポッチャリ体型。母親に甘やかされて育てられたためか、甘えん坊で泣き虫。母親が自分を連れ戻しに来た時は、その手を振り切り自らプラムフィールドに戻る事を選択した。
ネッド・バーカー
声 - 愛河里花子
プラムフィールドの少年。大工仕事が得意。九官鳥を飼っているが、「僕ネッド」としか喋らない。
フランツ・ホフマン
声 - 森川智之
プラムフィールドの少年。16歳と学校では最年長であり、学園のリーダー的存在。将来はベアやジョーのような教師。
エミル・ホフマン
声 - 結城比呂
プラムフィールドの少年でフランツの弟。ダンに決闘を申し込んだことも。将来の夢は船乗り。
ロブ・ベア
声 - 渕崎ゆり子
ベア家の長男。
テディ・ベア
声 - 南杏子
ベア家の次男。彼の無邪気さがダンの荒んだ心をだんだんと開いていく。
デミ・ブルック
声 - 山田恭子
ブルック家の長男で、デーズィの双子の兄。読書好きな男の子。将来の夢は学者
デーズィ・ブルック
声 - 荒木香恵
ブルック家の長女で、デミの双子で妹。とてもおとなしい性格で、将来の夢は優しいお母さん。ナットに好意を抱く。(成長後、その思いは成就した様子)
ナット・ブレイク
声 - 池上麻里子
バイオリンを弾くのが得意で、将来の夢はバイオリニスト。原作では、ダンとセットでほぼ主人公だった。
ダン・キーン
声 - 林延年
プラムフィールドの少年。もともとはボストンで暮らしていた不良少年。ボストンでナットと再会したことをきっかけにプラムフィールドで学ぶ。学校で火事を起こし、ページに預けられる。その後、博物学に興味を持ち始める。後にプラムフィールドに戻ってくるが、最後にはページとブラジルへ旅立つ。

プラムフィールドのスタッフ

ベア先生
声 - 秋元羊介
ジョーの夫で学園の教師。フルネームはフリッツ・ベア。コンコードの郊外に、全寮制の学校・プラムフィールドを創立する。容姿は凛々しいが、設定上はブ男である。
エーシア
声 - 羽鳥靖子
プラムフィールドで働く黒人女性。48歳。野球で打球したとき、バットの方を超特大の場外本塁打にするほどの怪力の持ち主。料理の腕は天下一品。
サイラス
声 - 槐柳二
プラムフィールド専属の農夫・庭師。58歳。温厚で人の感情に鋭い、フリッツ・ジョーの片腕とも言える存在。
メアリー・アン
声 - 藤井佳代子
プラムフィールドで働くメイドの女性。21歳。誰かに好意を抱かれているようである(第9話)。

その他

マーガレット・ブルック
声 - 潘恵子
マーチ家の長女で、ジョーの姉。通称・メグ。ジョンと結婚し、デミとデーズィの母となる。ジョーとは家族ぐるみで親交があった。最愛の夫(ジョン・ブルック)を心臓病で亡くす悲劇に襲われる。
ジョン・ブルック
声 - 小島敏彦
メグの夫。ジョーやベアのよき理解者であったが、心臓の病気で亡くなる。
セオドア・ローレンス
声 - 飛田展男
ジョーの妹(エイミー)の夫。プラムフィールドの子供たちに親切な男。
ページ
声 - 石森達幸
博物学の博士。ダンに博物学を説く。ベア先生の恩師でもある。
ファース
声 - 佐藤正治
コンコードの医者
クリストファー・コロンバス
プラムフィールドで飼われている犬。

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ

「明日もお天気」
作詞・作曲・歌 - 小坂明子 / 編曲 - 信田かずお

エンディングテーマ

「青空のDing-Dong」
作詞・作曲 - 伊藤薫 / 編曲 - 信田かずお / 歌 - 伊藤薫、森の木児童合唱団
Ding-Dongとは英語圏で鐘の鳴る音を表現するときの擬音。

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 プラムフィールドへようこそ 島田満 楠葉宏三 佐藤好春
2 川と野原はステキな教室!!
3 イチゴつみと黒い森 則座誠 田中穣
4 約束の小箱 楠葉宏三 佐藤好春
5 小さなバイオリン弾き 片渕須直 加賀剛 高野登
6 トミーバングズ商会 楠葉宏三 鷲田敏弥
7 僕はロビンソン・クルーソー 則座誠 田中穣
8 はじめてのパンプキンパイ 片渕須直 中西伸彰 佐藤好春
9 おもちゃの国の贈り物 加賀剛 高野登
10 パジャマで大戦争 楠葉宏三 鷲田敏弥
11 街から来た無法者ダン 中西伸彰 佐藤好春
12 プラムフィールドの嵐 片渕須直 則座誠 田中穣
13 決闘!エミルが怒った 加賀剛 佐藤好春
14 ダンとテディの秘密 楠葉宏三
中西伸彰
中西伸彰 松本清
15 バタカップ大騒動 片渕須直 加賀剛 鷲田敏弥
16 学校が燃える! 酒井伸次 田中穣
17 さよならダン 加賀剛 佐藤好春
18 ママがやって来た 片渕須直 中西伸彰 松本清
19 舞踏会へようこそ 中西伸彰
楠葉宏三
鷲田敏弥
20 大きくなったら何になる? 片渕須直 加賀剛 佐藤好春
21 先生をぶちなさい! 酒井伸次 田中穣
22 ページさんからの手紙 片渕須直 中西伸彰 松本清
23 誰もいない庭 加賀剛 佐藤好春
24 素直になれなくて 楠葉宏三
中西伸彰
中西伸彰 鷲田敏弥
25 博物館を作ろう 酒井伸次 田中穣
26 泥棒は僕じゃない! 片渕須直 楠葉宏三 松本清
27 ひび割れた友情 加賀剛 佐藤好春
28 告白の置き手紙 中西伸彰
楠葉宏三
中西伸彰 鷲田敏弥
29 男の子には負けない! 片渕須直 楠葉宏三 佐藤好春
30 小さなウェディングベル 楠葉宏三 中西伸彰 井上鋭
31 素敵な5ドルの使い方 片渕須直 酒井伸次 田中穣
32 私、お医者さんになる! 中西伸彰 松本清
33 お父さんとの約束 楠葉宏三 高木淳 佐藤好春
34 雪の日の使者 片渕須直 中西伸彰 鷲田敏弥
35 吹雪の中で 楠葉宏三
高木淳
高木淳 井上鋭
36 ダンの荒馬ならし 片渕須直 楠葉宏三 佐藤好春
37 旅立ちへの予感 中西伸彰 鷲田敏弥
井上鋭
38 それぞれの決心 楠葉宏三 佐藤好春
39 おてんばジョー自転車に乗る
40 さよならプラムフィールド

その他

  • 第1話から3話までは、オープニングテーマ前に前作との繋がりを思わせるアバンタイトルが入っていた。アバンタイトル時にバック映像となっていたマーチ一家の写真は、『愛の若草物語』OPに登場したもののオマージュであり、本作品の本編でも何度か登場した。
  • 他シリーズでは番組冒頭で「世界名作劇場」のタイトルとジングルのカットの後でオープニングテーマへ流れるが、本作では前述のアバンタイトルの含まれた1話から3話を除いて、冠スポンサー名を含めた「ハウス食品 世界名作劇場」のタイトルがオープニングテーマ曲の前奏に組み入られる形であった。1994年にビデオ化された際に、該当のタイトルシーンはカットされ、その次のシーンを前倒して静止映像で時間を延ばし、楽曲も前奏部分を若干カットする手直しが行われている。番組販売(再放送及び本放送終了後に開局したさくらんぼテレビでの放送)・2001年放送の「総集編」でも用いられている。
  • ナンの外見がスタジオジブリ作品の『魔女の宅急便』の主人公であるキキに似ていると放送当時から雑誌等で話題になった。直接的な関連性は無いが、キャラクターデザイナー(作画)は「魔女の宅急便」の制作でも作画を担当していた佐藤好春であり、彼は「苦い思い出」として語っている。
  • セリフはないものの、末っ子のエイミーもジョン・ブルックの葬儀の際に2カット登場している。前作で本人が望んでいた通りの美人に成長している。
  • 病弱だった三女のベスは、原作では「若草物語」の続編である「続若草物語」で亡くなっているが、本作品でも作中の会話により、前作と本作品の間にすでに死亡していることが明確になっている。

映像ソフト化 

  • 本編のDVDは2002年9月25日~同年11月25日発売。全10巻。