スカルノ・ハッタ国際空港

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スカルノ・ハッタ国際空港
Soekarno–Hatta International Airport

IATA: CGK - ICAO: WIII

CGK/WIIIの位置(ジャワ島内)
CGK/WIII
CGK/WIII
空港の位置(ジャワ島)
概要
国・地域 インドネシアの旗 インドネシア
所在地 バンテン州タンゲラン
種類 公共
運営者 PT Angkasa Pura II
標高 10 m (34 ft)
座標 南緯06度07分25秒 東経106度39分40秒 / 南緯6.12361度 東経106.66111度 / -6.12361; 106.66111座標: 南緯06度07分25秒 東経106度39分40秒 / 南緯6.12361度 東経106.66111度 / -6.12361; 106.66111
公式サイト 公式サイト
滑走路
方向 ILS 長さ×幅 (m) 表面
07R/25L YES 3,660×60 舗装
07L/25R YES 3,600×60 舗装
リスト
空港の一覧
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カーブサイド(第2ターミナル)
チェックイン・ロビー(第2ターミナル)

スカルノ・ハッタ国際空港(スカルノ・ハッタこくさいくうこう、インドネシア語: Bandar Udara Internasional Soekarno-Hatta: Soekarno–Hatta International Airport)は、インドネシア首都ジャカルタ郊外のバンテン州タンゲランにある国際空港である。空港コードCGK/WIII

概要

1980年代、ジャカルタにはハリム・ペルダナクスマ国際空港と国内線専用空港であったクマヨラン空港英語版が存在した。しかし、経済成長が進むにつれて増加する航空需要に対応できず、新たな大型空港の建設が望まれ、1985年3月1日、ジャカルタ中心部から西方約20kmの郊外にスカルノ・ハッタ国際空港が開港した。なお、クマヨラン空港は同年3月末をもって閉港し、現在は住宅地やゴルフ場になっている。第2ターミナルは1991年に、第3ターミナルは2009年に供用を開始した。

名称は、同国の「独立宣言書」に署名した初代大統領スカルノと同副大統領モハマッド・ハッタの名からとられた。命名者は第2代大統領スハルトである。IATAコードのCGKは近くの西ジャカルタ市チェンカレン(インドネシア語: Cengkareng)地区から採られており、インドネシア人はチェンカレン空港とも呼ぶ。もっとも、空港が位置するのは、チェンカレン地区に隣接するバンテン州タンゲラン市である。その他、アルファベット表記を省略してSoettaと呼ばれることもある[1]

2013年には利用者数が6,000万人を突破し、世界で10番目に旅客数の多い空港となった[2]。これは南半球で最も大きい数値でもある。また、IATAの調査によると、シンガポール便は、2013年には340万人が利用し、世界で3番目に利用者数の多い国際線路線となった[3][4]

空港の運営は、インドネシア運輸省が運営する空港運営企業のPT Angkasa Pura II英語版が行っている。ガルーダ・インドネシア航空のほか、ライオン・エアシティリンクなど、インドネシアの各航空会社の拠点空港となっている。

拡張計画

建設当初、年間利用客は2,000万人として設計されていたが、前述の通り、2013年の利用客は6,000万人に達している。旅客数の増加による空港のキャパシティオーバーにともない[5]、既存ターミナルの改修および第4ターミナルの新設、さらにこれらをつなぐ移動手段の構築が推進されている[6]。このプロジェクトは2011年に採択され、総事業費1500億円と推定されている[7]

施設・設備

滑走路

現在、オープン・パラレルで第1滑走路・07R/25L (南側、長さ3,660m・幅60m) と第2滑走路・07L/25R (北側、長さ3,600m・幅60m) の2本の滑走路がある。両滑走路両端にILSが設置されている。2016年までに、第2滑走路の北に第3の滑走路の建設が開始されることが予定されており、土地整備や滑走路設置に4兆ルピア(約370億円)投入される見通し[8]

ターミナルビル

各ゲートへ向かう通路(第2ターミナル)
ゲートラウンジ(第2ターミナル)

敷地中央南部に位置する第1ターミナルと、それに対峙して中央北部に建設された第2ターミナル、北東部に建設された第3ターミナル、そして南東部に位置する貨物ターミナルから構成される。

第1、第2ターミナルの設計は、シャルル・ド・ゴール空港の設計で知られる建築家ポール・アンドリュー (Paul Andreu) が担当。ジャワ島の伝統的な建築様式が取り入れられた特徴的なデザインを呈し、1995年にはアーガー・ハーン建築賞を受賞している[9][10]

なお、各旅客ターミナルは1キロメートル程度離れており、これらの間は無料シャトルバスで移動することが可能である。

第1ターミナル

1985年完成。床面積142,730m²。半円形をしたターミナルビルで、3つの独立したユニット(ターミナル1A、1B、1C)を有する。各ユニットは、7つのゲートを有している (A1-A7、B1-B7、C1-C7)。

開港当初は国際線・国内線の両方を扱っていたが、すぐにキャパシティオーバーに陥った。現在は、国内線専用ターミナルとして利用されている。

第2ターミナル

1991年完成。床面積135,459m²。基本的なデザインは第1ターミナルと同様であるが、第1ターミナルより若干半径の小さな半円形となっている。こちらも3つのユニット(ターミナル2D、2E、2F)を有し、各ユニットは、7つのゲートを有している (D1-D7、E1-E7、F1-F7)。ただし、第1ターミナルとは異なり、各ユニットは連結されて1つのビルとなっているため、ユニット間の移動がスムーズに行えるようになっている。また、出発階と到着階を分けた2層式ターミナルが採用されており、乗客、見送り客、出迎え客が明確に分離される形となっている[11]

ターミナル2D、2Eは各社の国際線、ターミナル2Fはガルーダ・インドネシア航空の国内線に利用されている。

第3ターミナル

第3ターミナル外観

2009年完成。床面積28,958m²。LCC専用ターミナルとして建設された[12]。オランダのアムステルダム・スキポール空港公団によって設計された。第1、第2ターミナルとは異なり近代的なデザインとなっている。第3ターミナルを第1、第2ターミナルより巨大な建物とする、大幅な拡張工事が計画されている。

貨物ターミナル

国内線用の貨物ターミナル、輸入用カーゴのための国際線貨物ターミナル、輸出用カーゴのための国際線貨物ターミナルから構成される。開港以来、増改築を繰り返しており、老朽化も進んでいる。最新の事業計画では、貨物ターミナルは第2ターミナルの西側に移転する予定となっている。

その他の施設

  • 第2ターミナル内にジャカルタエアポートホテル(休業中)があるほか、空港付近にはシェラトン・バンダラホテルがある。
  • 敷地内にはゴルフ場がある。

就航航空会社と就航都市

第1ターミナル

  • ターミナル1A
航空会社就航地
インドネシアの旗 ライオン・エア
  • ターミナル1B
航空会社就航地
インドネシアの旗 XpressAir
インドネシアの旗 ライオン・エア
インドネシアの旗 スリウィジャヤ航空
  • ターミナル1C
航空会社就航地
インドネシアの旗 エアファスト
インドネシアの旗 Aviastar
インドネシアの旗 シティリンク バリクパパンバタムバンジャルマシンデンパサールメダンスラバヤマカッサル
インドネシアの旗 Kal Star Aviation
インドネシアの旗 トリガナ航空
インドネシアの旗 バティック・エア

第2ターミナル

  • ターミナル2D
航空会社就航地
シンガポールの旗 シンガポール航空 シンガポール
シンガポールの旗 バリューエア シンガポール
オーストラリアの旗 カンタス航空 シドニー
[季節運航]: シンガポール
マレーシアの旗 マレーシア航空 クアラルンプール
ベトナムの旗 ベトナム航空 ホーチミンシティ
フィリピンの旗 セブパシフィック航空 マニラ
中華人民共和国の旗 中国国際航空 北京/首都廈門
中華人民共和国の旗 中国南方航空 広州
中華民国の旗 チャイナエアライン 台北/桃園
中華民国の旗 エバー航空 台北/桃園
日本の旗 日本航空 東京/成田
日本の旗 全日本空輸 東京/成田、東京/羽田
香港の旗 キャセイパシフィック航空 香港
アラブ首長国連邦の旗 エミレーツ航空 ドバイ
大韓民国の旗 アシアナ航空 ソウル/仁川
カタールの旗 カタール航空 ドーハ
アラブ首長国連邦の旗 エティハド航空 アブダビ
  • ターミナル2E
航空会社就航地
インドネシアの旗 ガルーダ・インドネシア航空 シンガポール、クアラルンプール、バンコク、香港、東京/羽田、大阪/関西、ソウル/仁川、北京/首都、上海/浦東、広州、ジェッダ、シドニー、メルボルンパースアムステルダムロンドン/ガトウィック
インドネシアの旗 メルパチ・ヌサンタラ航空
インドネシアの旗 ライオン・エア クアラルンプール、シンガポール
インドネシアの旗 スリウィジャヤ航空 シンガポール
大韓民国の旗 大韓航空 ソウル/仁川
オランダの旗 KLMオランダ航空 アムステルダム、クアラルンプール
タイ王国の旗 タイ国際航空 バンコク
オマーンの旗 オマーン・エア マスカット
フィリピンの旗 フィリピン航空 マニラ
中華人民共和国の旗 厦門航空 廈門
エジプトの旗 エジプト航空 カイロ
サウジアラビアの旗 サウディア リヤドジェッタマディーナ
ブルネイの旗 ロイヤルブルネイ航空 バンダルスリブガワン
  • ターミナル2F
航空会社就航地
インドネシアの旗 ガルーダ・インドネシア航空 バンダ・アチェ、メダン、プカンバル、ジャンビ、パダン、パンカルピナン、パレンバン、バタム、バンダールランプン、スマランスラカルタ(ソロ)ジョグジャカルタ、マラン、スラバヤ、ポンティアナック、バリクパパン、パランカラヤ、バンジャルマシン、タラカン、デンパサール、ロンボク、クパン、マナド、ゴロンタロ、パル、マカッサル、ケンダリ、テルナテ、アンボン、ビアク、ジャヤプラ、ティミカ
インドネシアの旗 メルパチ・ヌサンタラ航空

第3ターミナル

国内線

航空会社就航地
インドネシアの旗 インドネシア・エアアジアデンパサール、ジョグジャカルタ、メダン、スマラン、スラバヤ、マカッサル
インドネシアの旗 ライオン・エアデンパサール

国際線

航空会社就航地
インドネシアの旗 インドネシア・エアアジア クアラルンプール、ジョホールバル[13]バンコク/ドンムアン、ホーチミン、クアラルンプール、ペナン、プーケット、シンガポール
マレーシアの旗 エアアジア クアラルンプール、コタキナバル

貨物ターミナル

航空会社就航地
インドネシアの旗 Cardig Air バリクパパン、バンコク、ハノイ、パダン、プカンバル、メダン、ソウル/仁川、シンガポール
インドネシアの旗 Republic Express Airlines バリクパパン、クアラルンプール、マカッサル、シンガポール、スラバヤ、スラカルタ(ソロ)
インドネシアの旗 Tri-MG Intra Asia Airlines バタム、クアラルンプール、シンガポール
オーストラリアの旗 カンタス・フレート シドニー
フランスの旗 エールフランスKLMカーゴ パリ
ドイツの旗 ルフトハンザ・カーゴ フランクフルト
香港の旗 キャセイパシフィック・カーゴ 香港、ホーチミンシティ
香港の旗 香港航空カーゴ 香港
日本の旗 ANAカーゴ 東京/成田[14]
大韓民国の旗 大韓航空カーゴ ソウル/仁川、ホーチミンシティ、ペナン
マレーシアの旗 マレーシア航空カーゴ クアラルンプール
マレーシアの旗 トランスマイル クアラルンプール
シンガポールの旗 シンガポール航空カーゴ シンガポール
タイ王国の旗 タイ国際航空カーゴ バンコク
中華民国の旗 チャイナエアラインカーゴ 台北/桃園、シンガポール
中華民国の旗 エバー航空カーゴ 台北/桃園、シンガポール
アラブ首長国連邦の旗 エティハドカーゴ アブダビ
アメリカ合衆国の旗 フェデラルエクスプレス 広州、ホーチミンシティ、シンガポール、スービック

利用状況

近年の経済成長に伴い、空港利用者数や航空機発着回数は急増している。2012年には利用者数において世界第9位、東南アジア第1位、南半球第1位となった[2]

スカルノ・ハッタ国際空港の利用状況[15][16][2]
旅客数 貨物取扱量(t) 航空機発着回数
2001 11,818,047 281,765 123,540
2002 14,830,994 306,252 144,765
2003 19,702,902 310,131 186,695
2004 26,083,267 322,582 233,501
2005 27,947,482 336,113 241,846
2006 30,863,806 384,050 250,303
2007 32,458,946 473,593 248,482
2008 32,172,114 465,799 248,482
2009 37,143,719 538,314 287,868
2010 44,355,995 633,391 338,711
2011 52,446,616 699,257 367,894
2012 57,730,732 381,120
2013 60,137,347 398,985
2014 57,005,406 382,287

アクセス

  • タクシー
    • カウンターでチケットを購入する。120,000〜180,000ルピア+高速道路代10,000ルピア

脚注

  1. ^ Singkatan Bandara Soetta Lecehkan Proklamator”. okezone. 2011年1月5日付
  2. ^ a b c Annual Traffic Data”. ACI (国際空港評議会).
  3. ^ 同調査によると、1位は香港 - 台北便で490万人、2位はロンドン - ダブリン便で360万人であることから、2位との差は僅か20万人である。もっとも、4位はソウル - 東京便で320万人であるので、4位との差も僅差である。
  4. ^ Rute-rute Tersibuk di Dunia, Salah Satunya di Indonesia”. Alfred Dama. 2015年1月13日付
  5. ^ 経済産業省 2006, pp. S2–S4
  6. ^ 経済産業省 2006
  7. ^ インフラ調査で6案件採択:経産省、事業規模10兆円超[経済]”. エヌ・エヌ・エー(NNA JAPAN CO., LTD.) (2011年7月1日). 2013年4月14日閲覧。 “スカルノ・ハッタ国際空港の拡張案件。事業費は推定1,500億円”
  8. ^ Govt to spend Rp 4t on land for Soekarno-Hatta’s third runway”. The Jakarta Post. 2014年4月14日付
  9. ^ 経済産業省 2006, p. 1-8
  10. ^ Aga Khan Award for Architecture Winner”. ArchNet (2006年9月). 2013年4月14日閲覧。 “Soekarno-Hatta International Airport Landscaping”
  11. ^ 経済産業省 2006, p. 95-96
  12. ^ 経済産業省 2006, p. 1-7
  13. ^ エアアジア・インドネシア、ジャカルタ/ジョホールバル線に就航
  14. ^ Expand Freighter Network from May 14th, 2014”. ANA Cargo (2014年4月30日). 2014年5月20日閲覧。
  15. ^ Air Traffic Statistics (Annual)”. ANGKASA PURA II. Internet Archiveにより保存されたアーカイブ (2008年2月28日保存)
  16. ^ PT Angkasa Pura II (Persero) Annual Report 2013 (PDF). PT Angkasa Pura II (Persero). p. 134. 2015年3月28日閲覧

参考文献

外部リンク