鳥のミルク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ポーランドの「鳥のミルク」

鳥のミルク(とりのミルク、ポーランド語:Ptasie Mleczko、ロシア語:птичье молоко、ウクライナ語: птaшине молоко)は、マシュマロメレンゲ、ミルクスフレなどをソフトチョコレートでコーティングした菓子

歴史と種類[編集]

ポーランド[編集]

1930年代ポーランドチョコレート菓子メーカーであるヴェーデル社が「鳥のミルク(Ptasie Mleczko(プターシェ・ムレチュコ))」を発明し、販売を開始した。これはココナッツバニラ生クリームレモンなどを混ぜたマシュマロをミルクチョコレートでコーティングした菓子。比較的安価な普及品のタイプは子供のおやつとしても定着しているが、ポーランドには日本と似た「贈答」の文化があって国民は頻繁に贈り物をやり取りするため、「鳥のミルク」の高級版の詰め合わせは日本のまんじゅう最中羊羹などと同様、ちょっとしたお茶菓子の無難な贈答品として特に人気がある。

ドイツでも、このヴェーデルの「鳥のミルク」は「フォーゲルミルヒ(ドイツ語:Vogelmilch、"鳥のミルク"のドイツ語への直訳)」として第二次世界大戦の前から知られている。

ポーランドで「鳥のミルク」はこのヴェーデルのものだけが名乗ることができ、他の菓子メーカーはポーランドでは同様の菓子に別の名前(「アルプスのミルク」など)をつけている。

ロシア[編集]

ロシアではクラースヌィイ・オクティヤーブリ(赤い10月)社が1975年に製造を開始したキャンディーのタイプを指す。

1978年に当時のソビエト連邦の首都モスクワのプラガ(チェコプラハの意味)・レストランで、同名のケーキもできた。ケーキのほうはスフレを仕込んだスポンジケーキにチョコレートグレーズをかけたもの。当時のロシアでは知的財産関連の法律が無かったため、このレシピはモスクヴァ(モスクワ)・レストラン、ブダペシュト(ハンガリーブダペストの意味)・レストラン、ウクライナ・レストランなどといったモスクワじゅうの他のレストランに真似されていった。1980年代、「鳥のミルク」ケーキ版専用工場がモスクワ市南部のチェリョムーシュキ地区に建設された。ケーキ版は1982年に製法登録された。

現在「鳥のミルク」はケーキ版もキャンディー版もモスクワなどロシア中のスーパーマーケットや菓子専門店で手に入る。

その他の国[編集]

モルドバでは、ルーマニア語のラプテ・デ・パサーレ(lapte de pasăre)として知られ、ブクリア・キャンディー工場で製造が始まった、ロシアのキャンディー版と似た菓子を指す。なお同名のデザートがルーマニアにあるが、こちらはクレーム・アングレーズメレンゲを浮かべたもので、フランスでイル・フロッタント(île flottante、浮き島)と呼ばれるものと同じである。このメレンゲとクレーム・アングレーズのデザートを鳥のミルクと呼ぶ例は他にもハンガリーのマダールテイ(madártej)やオーストリアのカナリミルヒ(Kanarimilch、カナリアのミルク)がある。

語源[編集]

「鳥のミルク」の語源は、美しいお姫様が彼女の求婚者の情熱と機知を試すため、まだ見たことのないぜいたく品である「鳥のミルク」を取ってきなさいと言って彼を荒野に送った、というスラヴ人の古い民話にある。つまり「鳥のミルク」は英語で言う「Unobtainium」の類である。「この世にないほど美味しいお菓子」の含意がある。

外部リンク[編集]