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『音楽図鑑』(おんがくずかん、Illustrated Musical Encyclopedia)は、坂本龍一の4作目のオリジナルアルバム。1984年10月24日にミディレコードよりリリース。
[編集] 解説
- YMO散開後に発売され、ソロアルバムとしては4作目に当たる。
- 締め切りのない中、断続的にレコーディングされ、完成までに約1年半もの時間を要した。レコーディング期間中にシンセサイザー「フェアライトCMI」を購入したため、同機導入前後では音の質感が明らかに異なる。また、プロフェット5、Emulator[1]、ヤマハDX7(初期型)などもレコーディングに使用された。
- LPレコードA面(「SELF PORTRAIT」まで)がYMO散開以前にレコーディングされたもの、B面(「旅の極北」以降)がそれ以降にレコーディングされたものである。
- ピアノを弾く坂本の影が蟻になっているジャケットデザインは立花ハジメが担当した。
- 映画「TOKYO MELODY」で本作のレコーディング風景が収録されており、アルバムで不採用となった曲も垣間見られる。
- それまでのあらかじめ楽譜を作成する坂本の作曲法とは異なり、キーボードの前に座り、メロディを思いつくままに弾くことで曲を作成するという手法をとったため、使用されなかった曲を含め作曲数が30曲以上となった。
- 山下達郎が多く参加しているのは、同時期に隣のスタジオで竹内まりやのアルバム『VARIETY』のレコーディングがあり、プロデューサー兼アレンジャーだった山下がスタジオに入り浸りだったため。「山下君、ギター弾いてくれる?」「坂本君、ちょっとキーボードお願い」などとお互いに声をかけあっていたという。
- ロバート・パーマーが来日した際に「音楽図鑑」を愛聴していた。
[編集] 発売形態
[編集] 発売当初
[編集] LP+12″シングル
- 初回限定版。
- 12″シングルのA面は「REPLICA」と「マ・メール・ロワ」、B面は「TIBETAN DANCE (VERSION)」を収録。
[編集] LP+7″シングル
- 通常版。
- 7″シングルのA面は「REPLICA」、B面は「マ・メール・ロワ」を収録。
[編集] 高音質盤LP+7″シングル
[編集] CD
[編集] カセットテープ
[編集] その後のリリース
- 後年、初回CD収録曲に「TIBETAN DANCE (VERSION)」を追加した「完全盤」、更に「きみについて」を追加した「完璧盤」「純金CD盤」がリリースされた。
[編集] イギリス盤
- 1986年に発売されたイギリス・10RECORDS(virgin傘下)盤。タイトルは「Illustrated Musical Encyclopedia」。日本盤とは大幅に曲目が異なり、シングルリリースされた「フィールドワーク」「ステッピン・イントゥ・エイジア」を含む8曲盤(後述の収録曲を参照)。
[編集] 収録曲
[編集] 日本盤
※曲目はCD『音楽図鑑完璧盤』を参照した。
- TIBETAN DANCE
- 坂本がニューヨークでピアノを弾きながら、チベットの少女のダンスをイメージして作られた曲。イントロはタンバリンとハンドクラップを組み合わせたリズムに、テープの逆回転が重ね合わされている。5小節単位のシンプルなメロディーが繰り返されるが、あまりにもシンプルすぎてかえってアレンジが難航した模様。ドラムは高橋幸宏、ベースは細野晴臣、ギターは大村憲司。録音当初は10種類ほどのテイクがあり、山下達郎のヴォーカル版も存在したが、歌詞のイメージが違っていたため、結局ヴォーカルなしとなった。後の“NEO GEOツアー”等でバーナード・ファウラーの歌唱による歌詞付きヴァージョンが演奏されたこともある。また、1983年にEPOによりブリッジのメロディを加えた形でカヴァーされている。2005年9月28日に発売のアルバム『/05』にピアノ連弾ヴァージョンが収録されている。20年以上経ってからこの曲を聴いた坂本は「作った当時は明るくてホンワカした曲だと思ったが、あらためて聴くと緊張感がある」とコメントしている。[2] (M-1)
- ETUDE
- 坂本流ジャズの習作。ジャズ評論家・演奏家たちからは「同期ジャズ」と呼ばれていた。曲中の4ビートになる部分のドラムは山木秀夫、それ以外は坂本がドラムを叩いている。坂本のアルバム『メディア・バーン・ライヴ』でライヴ・ヴァージョンが収録されている。 (M-7)
- PARADISE LOST
- ジョン・ミルトンの失楽園をイメージした曲であり、坂本の南方憧憬を表した曲。1983年2月頃に作曲された(このとき〈M-5〉だった)。ゆったりとしたレゲエのリズムに乗せ、ヤン富田がスティールドラムをたたいている。その他、近藤等則がトランペットで、山下達郎がエレクトリックギターで参加している。
- SELF PORTRAIT
- 鍵盤で遊びながら湧いたメロディと均整の取れたハーモニー進行と合わさってできた曲。高橋幸宏(ドラムス)らしい8ビートが曲を引っ張る。ギターは山下達郎。後にアルバム『メディア・バーン・ライヴ』にライヴ・ヴァージョンが収録された。またシングル『08/21/1996』ではピアノ三重奏にアレンジされたヴァージョンがある。なお、この曲は映画「子猫物語」でも使用された。 (M-6)
- 旅の極北
- 坂本の北方憧憬を表した曲で「PARADISE LOST」とは対極をなす。フェアライトCMI導入後のテイク3が採用されている。題名のない音楽会でオーケストラで演奏された。 (M-21)
- M.A.Y. IN THE BACKYARD
- 坂本の作品では珍しく、マリンバが終始使われている楽曲。曲は別々の日に作曲された八つのスケッチをフェアライトCMI上で再構成されている。タイトルの“M.A.Y.”は当時高円寺の自宅裏庭に集まっていたノラ猫たちのことで、M=モドキ、A=アシュラ、Y=ヤナヤツの意味(ヤナヤツは他の子猫がエサを食べていると横から突き飛ばして横取りするところから命名)。モドキは矢野顕子「The Girl of Integrity」(『峠のわが家』収録)にも、サンプリングで‘参加’している。坂本は「珍しく描写音楽的タイトル」とコメントしている。この曲はセイコーのアルバサクセスのCMで使用され、プレゼント用にシングルカットもされた(B面は「マ・メール・ロワ」)。また“M.A.Y.”の部分は「エム・エイ・ワイ」と読み、ラジオ局アナウンサーが「メイ」と発音した事実を知った坂本は激怒した。アルバムのトラックはテンポが遅く、グルーヴ感がないため坂本本人は気に入っていない[3]。後のライヴにおいて様々な編成・アレンジで再演され、ライヴアルバム『“スウィート・リヴェンジ”ツアー1994』やアルバム『1996』に再収録されている。年を経るごとにテンポがアップする傾向にある。 (M-28)
- 羽の林で
- 作詞・作曲:坂本龍一 / 翻訳:ピーター・バラカン
- 全体のゆったりとしたテンポと、その中の非常に微細な音の二重構造になっている。デイヴィッド・ヴァン・ティーゲムの型にはまらない色彩豊かなパーカッション、山下達郎のギターによるコードプレイが効果的に使われている。ちなみに、この曲と「森の人」「マ・メール・ロワ」はほぼ同日に作曲された(坂本によると「三姉妹」)。立花ハジメによってこの曲の映像作品が制作されている。後に“D&L”ツアーで再演された。 (M-25)
- 森の人
- タイトルの“森の人”とは、オランウータンのこと。シンプルな曲だが、何度も転調を繰り返す。坂本はこの曲のことを“おやすみミュージック”とも言っている。 (M-27)
- A TRIBUTE TO N.J.P.
- “N.J.P.”はナム・ジュン・パイクのこと。坂本の学生時代(1975年~1976年頃)に作曲された。サックスは清水靖晃。3/4拍子であるが、1回聴いただけでは一体何拍子なのかが判別が付かない。また、メロディーが無調的・和声の4度進行もほとんどないなど、楽曲の構造自体はジャズからは遠い。中間部ではナム・ジュン・パイクの声がコラージュされている。このアルバムの最後に録音された (M-35)。後にアルバム『メディア・バーン・ライヴ』でライヴヴァージョン、アルバム『1996』でピアノ三重奏ヴァージョンが収録されている。
- REPLICA
- サンプリング音によるリズム・淡々と刻まれる低音部(途中からバスクラリネットが加わる)・ホルン系の音色による半音を基調としたフレーズが延々と繰り返される中、様々な音たちが現れては消えるミニマル音楽。ナム・ジュン・パイクによってこの曲の映像作品が制作されている。リズムの「ガガッ」「ジャ、ジャ」の音はタイプライターをサンプリングしたもの。「題名のない音楽会」やアルバム『プレイング・ジ・オーケストラ』でオーケストラ演奏された。 (M-29)
- マ・メール・ロワ
- タイトルは「マザー・グース」のことで、モーリス・ラヴェルに同名の曲がある。坂本の曲としては珍しく、子供たちの声(ひばり児童合唱団)によってメロディーが歌われている。トランペットで近藤等則、パーカッションでデイヴィッド・ヴァン・ティーゲムが参加している。 (M-26)
- きみについて
- 前年発表の日本生命プロモーション用12"シングル「LIFE IN JAPAN」に収録されていた曲。ベースは坂本自身の演奏。イントロの「コッコッコッカッ」の部分は最後のテイクで追加された。作詞は糸井重里。歌詞の内容に関して坂本は「恥ずかしい」と発言している。
- TIBETAN DANCE (VERSION)
- 原曲に使われている楽器たちが入れ替わり立ち代り主役を務める、いわゆるリミックスヴァージョン。メロディーすらも途中で寸断される。中間部は、よりギターのカッティング中心のミックスになっている。また、曲の節目にテープを逆回転させた音が多用されている。
[編集] 海外盤
- Field Work
- シングル『フィールドワーク』より。
- Etude
- Paradise Lost
- M.A.Y. In The Backyard
- Steppin' Into Asia
- 作曲:坂本龍一/英語詞:矢野顕子/タイ語詞:Somboon Kittisatayawaj
- シングル『ステッピン・イントゥ・エイジア』より。
- Tibetan Dance
- Zen-Gun
- 「マ・メール・ロワ」
- In A Forest of Feathers
- 「羽の林で」
[編集] 出典
- ^ 途中からEmulatorⅡに変更している
- ^ 2009年4月26日放送NHK-FM「音楽の美術館・サウンドミュージアム」より。
- ^ アルバム『US』より。
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| 関連項目 |
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