和辻哲郎

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和辻 哲郎
(わつじ てつろう)
生誕 1889年3月1日
日本の旗 日本兵庫県神崎郡砥堀村仁豊野(現・姫路市仁豊野)
死没 1960年12月16日(満71歳没)
日本の旗 日本
時代 20世紀の哲学
地域 日本哲学
学派 京都学派
和辻倫理学
研究分野 倫理学
日本文化史
文明
仏教
主な概念 間柄的存在
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和辻 哲郎(わつじ てつろう、1889年3月1日 - 1960年12月26日)は、『古寺巡礼』『風土』などの著作で知られる日本哲学者倫理学者、文化史家、日本思想史家。その倫理学の体系は、和辻倫理学と呼ばれる。

人物[編集]

日本的な思想西洋哲学の融合、あるいは止揚とでもいうべき境地を目指した稀有な哲学者と評価される。

主著の『倫理学』は、近代日本における独創性を備えたもっとも体系的な哲学書のひとつであると言われている。

従弟に京都市長を務めた和辻春樹(船舶工学者)がいる。長女京子は社会学者の尾高邦雄に嫁した。親戚に歌手ロミ山田がいる(ロミ山田の実父が和辻と従兄弟)。

姫路市の主催で、和辻哲郎文化賞が、(生誕百年記念し1988年度より)毎年優れた著作に与えられている。蔵書は、法政大学図書館に所蔵され「和辻哲郎文庫」がある。

日本倫理学会会員。

経歴[編集]

風土[編集]

留学中、ハイデッガーの『存在と時間』に示唆を受け、時間ではなく空間的に人間考察をおこなったもの。1931年に刊行。第二次世界大戦後、盛んになった日本文化論の先駆的な作品ともいえる。風土をモンスーン(日本も含む)、砂漠、牧場に分け、それぞれの風土と文化、思想の関連を追究した。『風土』の中に見られる「風土が人間に影響する」という思想は、悪しき環境決定論であるという批判や、天皇制肯定論になっているという批判がある。一方、この風土という考え方こそがグローバリゼーションをとどめるための積極的な方法論である、とする評価(オギュスタン・ベルク)もある。

著作[編集]

  • 『ニイチェ研究』 内田老鶴圃、1913、新版筑摩書房、1942
    権力意思を中心にニーチェを論じる。世界的に見ても先進的な解釈を展開。
  • 『ゼエレン・キエルケゴオル』 内田老鶴圃、1915、新版筑摩書房、1947
    日本初のキルケゴール研究書
  • 『偶像再興』 岩波書店、1918、※随想、短編論文集
  • 『古寺巡礼』 岩波書店 1919、改訂版1947  
    飛鳥奈良の仏教美術を紹介し、古寺巡りの先駆となった。
  • 『日本古代文化』 岩波書店、1920、改稿版1942、新稿版1951
    和辻哲郎自身が最も愛し、自信を持っていたという。
  • 日本精神史研究』 岩波書店、1926、沙門道元源氏物語についてほか 
  • 『原始基督教の文化史的意義』 岩波書店、1926
  • 『原始仏教の実践哲学』  岩波書店、1927、改訂版1948
  • 『人間の学としての倫理学』 岩波書店 1934、岩波全書 1949、改版1971
  • 『続日本精神史研究』 岩波書店、1935、日本の文芸と仏教思想ほか
  • 『風土 人間学的考察』 岩波書店、1935、改版1967 
  • 『カント 実践理性批判 大思想文庫18』 岩波書店、1935 
  • 『面とペルソナ』 岩波書店、1937、※随想、短篇論文集
  • 倫理学』 岩波書店(上中下)、1937-49、※重版で一部記述変更がある。
  • 『人格と人類性』 岩波書店、1938
  • 孔子』 「大教育家文庫1」岩波書店、1938、植村書店 1948、角川文庫 1955 
  • 『尊皇思想とその傳統』 〈日本倫理思想史 第1卷〉岩波書店、1943
  • 『日本の臣道、アメリカの国民性』 筑摩書房、1944、占領期発禁書籍になった 
  • ホメーロス批判』 要書房、1946 
  • 『国民統合の象徴』 勁草書房、1948、※皇室論、国体論で「象徴天皇制」を擁護
  • 『ポリス的人間の倫理学』 白日書院、1948/改題『ギリシア倫理学史』 要書房〈要選書〉 1951
  • ケーベル先生』 弘文堂〈アテネ文庫〉、1948、※小冊子 
  • 『イタリア古寺巡礼』 要書房、1950、角川文庫、1956 
    ※1920年代半ばの欧州留学先からの手紙を元にした。
  • 『鎖国 日本の悲劇』 筑摩書房、1950、筑摩叢書、1964
  • 『近代歴史哲学の先駆者』 弘文堂〈アテネ新書〉、1950、ヴィーコの先駆的紹介
  • 『埋もれた日本』 新潮社 1951、新潮文庫 1980、※戦後に書かれた回想や随想集
  • 『日本倫理思想史』 岩波書店(上下)、初版1952、改版1979、武士道等の論文集
  • 『日本芸術史研究 歌舞伎と操浄瑠璃』 岩波書店、1955、復刊1971・1979 
  • 桂離宮 製作過程の考察』 中央公論社、1955、写真:渡辺義雄
    • 『桂離宮 様式の背後を探る』 新書版 中央公論社、1958
      ※建築史家太田博太郎に、考証の誤りを指摘され、大幅に書き換えた。
  • 『自叙伝の試み』 中央公論社 1961
    中央公論」に連載されたが、一高時代で未完となった。
  • 『仏教倫理思想史』 岩波書店「全集 第19巻」、1963、単行版1985 
  • 『故国の妻へ』 角川書店 1965
  • 『黄道』 角川書店 1965、晩年の随想、短編論文集
  • 『初旅の記』 新潮社 1972、若き日の著作

全集・著作集[編集]

  • 和辻哲郎全集』(岩波書店 全20巻、1961~63、1976~78)
     ※生誕100年を期した増補版全集(全25巻別巻2冊、1989~92)で書簡・短篇等を収録。 
  • 『昭和文學全集50 和辻哲郎集』 角川書店、1954
  • 『現代知性全集36 和辻哲郎集』 日本書房、1961
    • 復刻版 『日本人の知性5 和辻哲郎』 学術出版会、2010 
  • 現代日本思想大系28 和辻哲郎』  唐木順三編、筑摩書房、1963
  • 近代日本思想大系25 和辻哲郎集』 梅原猛編、筑摩書房、1974
  • 『京都哲学撰書08 人間存在の倫理学』 米谷匡史編・解説、燈影舎、2000 
  • 『京都哲学撰書24 新編 日本精神史研究』 藤田正勝編・解説、燈影舎(一燈園)、2002 
  • 『和辻哲郎仏教哲学読本』(全2巻 書肆心水、2011)
  • 『和辻哲郎日本古代文化論集成』(書肆心水、2012)

文庫判[編集]

  • 『風土 人間学的考察』 岩波文庫、1979→改版2010、ワイド版1991
  • 『古寺巡礼』、岩波文庫、1980→改版2009、ワイド版1991
  • 『鎖国 日本の悲劇』 岩波文庫 全2巻、1982
  • 『孔子』 岩波文庫、1988、ワイド版1994
  • 『イタリア古寺巡礼』 岩波文庫、1991
  • 『日本精神史研究』 岩波文庫、1992、ワイド版2005
  • 『和辻哲郎随筆集』 岩波文庫、1995-坂部恵編・解説
  • 『倫理学』 岩波文庫 全4巻、2007-熊野純彦注・解説 
  • 『人間の学としての倫理学』 岩波文庫、2007
  • 『日本倫理思想史』 岩波文庫 全4巻、2011-12-木村純二注・解説 
  • 『道元』 河出文庫、2011
  • 『偶像再興・面とペルソナ 和辻哲郎感想集』 講談社文芸文庫、2007
  • 『初版 古寺巡礼』 ちくま学芸文庫、2012
  • 『桂離宮 様式の背後を探る』 中公文庫 1991→改版2011
  • 『自叙伝の試み』 中公文庫、1992

翻訳・校訂[編集]

  • バーナード・ショー『恋をあさる人』現代社、1913 
  • 『ニイチエ書簡集』岩波書店、1917 
  • カアル・ラムプレヒト『近代歴史学』岩波書店 1919
  • エス・エチ・ブチァー『希臘天才の諸相』田中秀央共訳 岩波書店 1923、岩波文庫「ギリシア精神の様相」田中、寿岳文章共訳 1940
  • 『ストリントベルク全集 第2 或魂の発展』岩波書店、1924
  • 『ストリントベルク全集 第4 痴人の告白』林達夫共訳 岩波書店、1924 
  • ニーチェ『愛する人々へ 書簡集』 手塚富雄共訳 要書房 1950
  • 正法眼蔵随聞記 懐奘編  岩波文庫 1929
  • 葉隠 (上中下) 古川哲史と校訂 岩波文庫 1940

関連文献[編集]

夫人・友人らによる回想、伝記
  • 『夫和辻哲郎への手紙』 和辻照、講談社学術文庫 1977
  • 『和辻哲郎の思ひ出』 和辻照編 、岩波書店 1963
  • 『和辻哲郎とともに』 和辻照著 、新潮社 1966
  • 『西田幾多郎と和辻哲郎』 高坂正顕、新潮社 1964 
弟子達の研究、伝記
近年刊行の研究書
  • 『和辻哲郎-文人哲学者の軌跡』 熊野純彦岩波新書 2009
  • 『和辻哲郎-人格から間柄へ』 宮川敬之講談社〈シリーズ再発見日本の哲学〉 2008
  • 『和辻哲郎-異文化共生の形』 坂部恵 岩波書店〈20世紀の思想家〉 1986/岩波現代文庫 2001
  • 『光の領国 和辻哲郎』 苅部直 創文社〈現代自由学芸叢書〉 1995/岩波現代文庫 2010
  • 『和辻倫理学を読む』 子安宣邦 青土社 2010
  • 『和辻哲郎の書き込みを見よ! 和辻倫理学の今日的意義』
    牧野英二 法政大学出版局 2009、増補版2010
    「蔵書」書き込みの調査・検証で、前者は生誕120年記念企画展の「解説・図録」  
  • 『和辻哲郎 人と思想』 小牧治 <新書.Century books>清水書院 1986-入門書
  • 『和辻哲郎の視圏』  市倉宏祐 春秋社 2005
  • 『ハイデガーと和辻哲郎』 ハンス・リーダーバッハ、平田裕之訳 新書館 2006
  • 『和辻哲郎の実像』 荘子邦雄 良書普及会 1998 
  • 『甦る和辻哲郎 <叢書倫理学のフロンティア5>』 佐藤康邦、清水正之、田中久文 ナカニシヤ出版 1999
  • 『和辻哲郎-国語国文学への示唆』 根来司 有精堂出版 1990
  • 『和辻哲郎研究-解釈学・国民道徳・社会主義』 津田雅夫 青木書店 2001
  • 『和辻哲郎論』 山田洸 花伝社 1987
  • 「写真で見た名画――和辻哲郎」末永航「『イタリア、旅する心ー大正教養世代のみた都市と文化』青弓社、2005年、ISBN 978-4-7872-7196-9
  • 『理想 No.677号 特集和辻哲郎』 理想社 2006 

脚注[編集]

  1. ^ 当初はニーチェ論を書きたかったが、指導教授井上哲次郎が難色を示したためショウペンハウアーに関するものにした。なお和辻は井上の事を、回想などで否定的に捉えている
  2. ^ 渡部昇一谷澤永一「読書談義」(徳間文庫教養シリーズ)P.287で、渡部が「和辻が京大教授退職」と述べているのは誤記。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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