ファントムブラッド

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ジョジョの奇妙な冒険 > ファントムブラッド
ファントムブラッド
ジャンル ホラー・アドベンチャー
漫画:ジョジョの奇妙な冒険 Part1
ファントムブラッド
作者 荒木飛呂彦
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ・コミックス
発表号 1987年1・2号 - 46号
巻数 単行本 全5巻(1 - 5巻)
文庫版 全3巻(1 - 3巻)
函装版 全3巻(1 - 3巻)
話数 全44話
テンプレート - ノート

ジョジョの奇妙な冒険 Part1 ファントムブラッド』(JOJO'S BIZARRE ADVENTURE Part1 Phantom Blood)は、荒木飛呂彦漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』のPart1(第1部)。波紋の戦士シリーズ・第1弾。単行本1巻 - 5巻に収録されている。

『ファントムブラッド』は後年に付けられた副題で、連載当時の副題は『第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春―』。なお、画集『JOJO A-GO!GO!』にて発表された当初の副題は『ファントム ブラッドライン』であったが、文庫版発行の際に現在のものに訂正されている。

アンカーエンターテイメントによりゲーム化され、2006年10月26日バンダイナムコゲームスからPlayStation 2用ソフトとして発売された。また、2007年2月17日に劇場アニメーション映画が公開された。

あらすじ[編集]

12世紀から16世紀のメキシコ。太陽の民アステカの一部族の族長(オサ)が奇妙な石仮面をかぶり、生贄の血を浴びるという儀式が行われていた。血を浴びた石仮面は何本もの骨針を族長の脳に打ち込むが、族長は死なずより強い力を得る。彼らはその力で世界を支配しようとしたが、目的を遂げず歴史から姿を消した。

舞台は19世紀1880年イギリスに移る。病で床に臥せっていたダリオ・ブランドーは息子のディオ・ブランドーに、名門貴族ジョースター家の当主ジョージ・ジョースターの養子となって一番の金持ちになれと薦める。ダリオは12年前、ジョージが乗る馬車が転落事故を起こした際に金品を奪おうとしたところ、ジョージに命の恩人だと勘違いされており、自ら亡き後ディオの面倒を見てくれると考えていた。

ダリオの死後、その遺言通りジョースター家の養子となったディオは、ジョージの実子にして跡取りであるジョナサン・ジョースター(通称ジョジョ)を精神的に追い詰めてジョースター家を乗っ取ろうと画策する。しかしジョジョの初恋の相手エリナ・ペンドルトンの唇を奪ったことで激昂したジョジョから激しく殴られる。皮肉にもジョジョはディオの策略によって精神的に成長し、ディオはジョジョの有する爆発力と自身の精神的な弱点を踏まえ、方針を変える。

ディオが来てから7年。大学生になったジョジョは考古学で優秀な論文を発表し、石仮面の研究を行っていた。またディオとのコンビネーションによってラグビーでも活躍していたが、どうしてもディオとの間に友情を感じられずにいた。そんなある日、偶然ジョジョは父・ジョージがかかっている病がディオの父・ダリオのものと同じ症状であることを知る。ディオがジョージに毒薬を盛っているのではないかとの疑惑が浮かんだジョジョは、その調査に向かう。

ディオは7年前、ジョジョに殴られた際に飛んだ血に石仮面が反応したことを覚えていた。これを使えばジョジョを殺害できると考えるディオだが、実験に街中のゴロツキを用いたことで石仮面の本当の目的を知る。石仮面は人間を若返らせ強靭な肉体にし様々な特殊能力を持った吸血鬼に進化させる道具だったのだ。朝日でゴロツキが消滅したことにより、ディオは間一髪で助かる。ジョジョは薬の調査中に出会った青年ロバート・E・O・スピードワゴンとの協力で、薬の正体をつかみディオを追い詰めるが、そこでディオは石仮面を使い吸血鬼に覚醒、ジョージを殺害しジョジョと戦う。炎上するジョースター邸にディオは取り残され、ジョジョは大きな傷を負いながらも生還、勝利する。

それからしばらくして、エリナに看護されるジョジョの下に謎の紳士が現れる。ツェペリと名乗るその男はディオがまだ生きていること、自分も石仮面を探求する旅を続けていること、そして石仮面に対抗する力として「波紋」というものが存在することを告げる。ジョジョはツェペリに師事し、波紋の修行を積んで瞬く間にその才能を開花させる。

スピードワゴンはディオがウィンドナイツ・ロットという町に潜伏しているという情報をつかむ。ディオが作り出した屍生人(ゾンビ)が次々に襲い掛かってくるが、それらを倒しながらジョジョたちはウィンドナイツ・ロットを目指す。屍生人タルカスとの戦闘でツェペリは命を奪われてしまうが、その際にジョジョに生命エネルギーを送り込んだことで、ジョジョはより強い力を得る。

その後ジョジョはツェペリの仲間である波紋戦士ダイアーストレイツォ、そしてツェペリの師であるトンペティと合流。ディオとの決戦に挑む。波紋に対抗する戦術を得たディオにダイアーは倒れてしまうが、彼の残したヒントからジョジョはディオに渾身の波紋を打ち込むことに成功、ディオを倒して石仮面を破壊した。

戦いが終わった後、1889年2月にジョジョはエリナと結婚。平和を取り戻したように思われたが、新婚旅行の客船で首だけになって生きていたディオと遭遇。ディオは復活のためジョジョの首から下を乗っ取ろうとする。ディオの攻撃で致命傷を負うジョジョだが、命を絞った最後の波紋で船を爆破させようとする。ジョジョと共に死ぬことを望むエリナに、ジョジョはディオによって母の命を奪われた赤子を示しその子を連れて脱出するよう指示する。

ジョジョはディオの首を抱きかかえ、ディオに対し「奇妙な友情」を感じていたことを打ち明けながら果て、爆発する船と共に沈んでいった。エリナは赤子を抱え、ディオが用意した鉄製のシェルターに乗って脱出。その胎内にはジョジョの子が宿っており、ジョースターの血統は受け継がれる。しかしそれは、さらなる数奇な運命の始まりでもあった。

登場人物[編集]

登場人物の名称は洋楽のバンド名やメンバー名などをアレンジしたものが多い(Part2以降も同様)。

の項はPart1ゲーム版 / 劇場アニメ版 / テレビアニメ版ASB版の順とし、その他のものは別途記載する。

主人公[編集]

ジョナサン・ジョースター
声 - 中井和哉(少年期)、田中秀幸(青年期)/ 小西克幸 / 興津和幸 / 小杉十郎太Part3OVA版
Part1のJoJo。考古学者。石仮面で魔物と化したディオを倒すため、ツェペリやスピードワゴンとともに戦いへ身を投じる。

仲間・家族関係[編集]

ロバート・E・O・スピードワゴン
声 - 小野坂昌也 / なし / 上田燿司
ロンドンの貧民街でチンピラを取り仕切るボス。東洋の毒薬をディオに売った人物を探しに来たジョナサンを襲うが、彼の人柄に惚れ込んで仲間となる。
ウィル・A・ツェペリ
声 - 小山力也 / 同左 / 塩屋翼
ジョナサンに波紋の呼吸法を教えた師。自ら「男爵」と名乗っている。シルクハットを被って口髭を蓄えた外見を持ち、ひょうきんな性格であるが、実力は高い。イタリア系の学者の家柄に生まれ、若いころは父親の大学の遺跡発掘隊の一員として世界中を旅していた。メキシコで石仮面を発掘したが、帰国途中に実父が石仮面を着けて船員を皆殺しにしたうえに日光を浴びて消滅してしまい、唯一の生き残りとなる。その後は石仮面の行方を捜すとともに吸血鬼への対抗策を模索、やがてある男が薬も道具も使わずに壊死しかけた人間の体を治す光景を見てこの力こそ吸血鬼を倒せるものと確信し、彼から聞いたチベット奥地の寺院に赴き、そこの老師トンペティのもとで波紋を習得した。それ以降も石仮面を探し続け、吸血鬼化したディオと戦いで負傷しつつも生き残ったジョナサンの前に現れて彼に波紋の呼吸法やその使い方を伝授した。その後もジョナサンとスピードワゴンとともにディオを追いつつジョナサンへの指導と共闘を続けていたが、タルカスとの戦いの際に鎖で身体を真っ二つにされてしまう(ツェペリはこうなることをトンペティに予言されていた)。それでもジョナサンに究極奥義「深仙脈疾走」(ディーパスオーバードライブ)を伝え、彼をパワーアップさせて勝利させる。最期はジョナサンたちに看取られながら死亡した。
なお、絶命寸前には「若いころ結婚していたが石仮面破壊に人生を捧げる覚悟のため家族を捨てた」と語るが、雑誌連載時には「妻子はいない」とされていた。これは当時の作者が設定を失念したためであり、単行本化の際に改められたもの[注 1]
エリナ・ペンドルトン / エリナ・ジョースター
声 - 久川綾 / 水樹奈々 / 川澄綾子
ジョナサンの想い人。幼いころに近所の子供たちからいじめられていたところを、ジョナサンに助けられる。それをきっかけとしてジョナサンに恋心を抱き、後に相思相愛となる。美しい容姿を持ち、レディとしての厳格な教育を受けた淑女である一方、ジョナサンと気さくに遊ぶ年相応な面も持つ。ディオにはジョナサンへの当てつけのために無理矢理唇を奪われるが、彼の前であえて泥水で口を洗い拒絶の意志を示すなど、当時から芯の通った誇り高さを持っていた。
7年後は医者である父親の病院で働く看護婦となっており、ディオとの戦いで重傷を負ったジョナサンが偶然にも担ぎ込まれてきたため、ジョナサンと7年越しの再会を果たす。自身の疲労・犠牲をものともせず、ジョナサンが目を覚ますまで、毎晩介護を行っていた(ジョナサンが目覚めた直後、気をゆるめて意識を失いかけてしまうほど無理をしていた)。
1889年2月2日にジョナサンと結婚し、エリナ・ジョースターとなる。その結婚は新聞の社交欄にも載るほどで、多くの人の祝福を受けた。新婚旅行中、客船がディオの襲撃を受けた際には爆発炎上する船上で瀕死の重傷を負ったジョナサンとともに死ぬことを決意し、最後まで彼に付き添おうとする。しかし、襲撃から生き残った赤ん坊(後のリサリサ)を連れて逃げるようジョナサンに説得される。船を脱出した数日後、カナリア諸島沖で無事救助された。この時点でジョージII世を身篭っていたため、ジョースターの血統が受け継がれていくこととなった。
ポコ
声 - 阪口大助 / なし / 小林由美子
風の騎士たちの町(ウインドナイツ・ロット)に住む少年。ディオに催眠術で操られ、ジョナサンたちを誘い出す。臆病な性格だったが、ジョナサンがタルカスにより決闘場「双首竜の間」へ閉じ込められた時には姉(声 - 萩森侚子 / なし / 遠藤綾)の言葉から勇気を奮い立たせ、小窓から決闘場の中に入り扉を開く。それ以降もジョナサン達と行動を共にし、ディオに捕らえられていた姉と共にジョナサンとディオの決着を見届けた。
ジョージ・ジョースターI世 / ジョースター卿
声 - 磯部勉 / 同左 / 菅原正志
貴族領主でジョナサンの父。ジョナサンが赤ん坊のころに馬車で一家揃って事故に遭い、妻を亡くして自身も重傷を負ったところを、偶然通りがかった(実際は事故現場で金品を漁っていた)ダリオに助けられる。泥棒を働いたダリオを許すなど言動は極めて優しく紳士的であるが、父親としては厳格で、ジョナサンへの教育は厳しい。しかし、その厳しさはジョナサンに対する期待と「逞しくなって欲しい」願いの裏返しであり、誰よりも息子を愛していた。計画が露見して逆上したディオのナイフからジョナサンを庇い、死亡する。ダリオの正体を知りつつも養子に迎えたディオも息子として愛しており、彼に刺されながらも、実の息子であるジョナサンにより厳しくした事が、返ってディオの不公平感を招いて悪への道に走らせたのではないかと最後まで彼を庇う言動をしていた。
なお、作中にフルネームが出たのはPart3からである。
ダニー
ジョナサンの愛犬。ジョナサンが幼い頃に引き取られるも、その時は怯えからジョナサンを噛んでしまい、しばらくはジョナサンからも虐待のような仕打ちを受けるが、ある日川で溺れたジョナサンを助けて以来、彼と友情と信頼を育む。
反面、ディオとは出会い頭に蹴飛ばされるなど折り合いが悪く、見下されていた(ディオはそのものが嫌いで、彼曰く「人間にへーこらする態度に虫唾が走る」)。ジョナサンとの喧嘩に負けたディオに、腹いせとして焼却炉に入れられるように仕向けられ、焼死する。ブラフォード戦の回想でもジョースター卿とともに登場。
トンペティ
声 - 阪脩 / 坂口芳貞 / 大木民夫
チベットの寺院にてツェペリに波紋を教えた師匠。相手の手を握るとその生命の波長を読み取り、「運命」を予言することができる。ツェペリより寄越された手紙を受け取り、弟子のダイアーとストレイツォを連れて渡英。その後ジョナサンたちと合流し、ディオ配下の屍生人たちと戦う。かつてツェペリが波紋を知るきっかけとなった男も彼の弟子であった。
ダイアー
声 - 堀之紀 / なし / 武虎
トンペティとともにツェペリの援軍に赴いた波紋の戦士。ツェペリとは苦行を乗り越えた20年来の親友。初登場時は正体を隠したままジョナサンの前に現れて襲いかかり、彼の力を試した。ディオとの戦いでは必殺技の「稲妻十字空烈刃」(サンダークロススプリットアタック)で挑んだが、気化冷凍法で首から下を凍らされたうえ、身体を砕かれてしまう。頭部はバラの花壇へ落下したが、絶命直前に波紋を帯びさせたバラの花を口で投げ、ディオの右目を潰した。
名前の由来は相棒のストレイツォともにイギリスのロックバンドダイアー・ストレイツから[1]
ストレイツォ
声 - 三浦祥朗 / なし / 飛田展男
容姿端麗な波紋の戦士。ダイアーとともに登場し、ディオ配下の屍生人4人を瞬殺した。
決め台詞は「このストレイツォ、容赦せん!」。Part1ゲーム版では覚醒技で「このストレイツォー 容赦せんせんせんせんせんせんせんせんせん…、 容赦せん!」とPart3以降のオラオララッシュのような台詞になる。
名前の由来はダイアーと同じくダイアー・ストレイツから[1]

吸血鬼・屍生人[編集]

吸血鬼とは、石仮面の骨針(こっしん)によって脳が異常進化を果たし、人間をやめた存在。生物を吸血することで若返ったり、負傷を治癒させることが可能[注 2]。吸血は口だけではなく、指先を血管に突き刺して行うこともできる。また、生物の体温を奪って凍結させたり、眼球から高圧縮した体液の弾丸を放つなど、尋常ではない力を持つ。

吸血鬼の持つエキスを注入された生物や死者は、「屍生人(ゾンビ)」と成り果ててしまう。屍生人は吸血鬼同様に人間以上の怪力と俊敏性、自身の体を操作変化させる能力を有するようになるものの、自己再生能力は無い。大抵はおぞましい怪物の姿と成り果てるが、個体によっては生前の原形を何とかとどめている者もいる。スピードワゴンとワンチェンのセリフから屍生人に襲われた人間もまた屍生人になるという。

一般にイメージされる吸血鬼の弱点は日光以外は効果がない。川の中で戦闘したり、十字架を握り潰し、神学生と懇意になったりしている。

ディオ・ブランドー
声 - 野島健児(少年期)、緑川光(青年期)/ 緑川光 / 子安武人 / 田中信夫(Part3OVA版)
ジョナサンの宿命のライバル。石仮面を被り、ジョースター卿を殺害して不死身の吸血鬼になる。
ワンチェン
声 - 田中和実 / 井戸田潤 / 中博史
屍食鬼街でディオに毒薬を売っていた中国系の東洋人。そのことをジョナサンが突き止めたため、ディオの計画が露見した。ジョースター邸が焼失した後、焼け跡を漁っていたところをディオの手によって屍生人となる。その後は要所で登場し、ディオの命でジョナサンを暗殺しようとしたり、首だけになったディオを救ってジョナサンを誘き寄せるなど第一部の最後までディオを支えたが、ジョナサンの最後の波紋を受けて頭部を消失、残った体は体内組織を狂わされて船の動力を止めるために利用されて船と運命を共にする。
登場当初は似非中国人風のなまりで喋り、また、ディオの特徴を見て将来は大物になると予見している。
ブラフォード
声 - 神奈延年 / 奈良徹 / 津田健次郎
ディオの能力により盟友のタルカスとともに蘇った死人で、「黒騎士」と呼ばれる。かつてエリザベス1世に処刑されたメアリー・スチュアートを守護していた英雄で、イギリス人なら誰もが知っている伝説の騎士。生前当時から甲冑を着けたまま湖を泳ぎきり敵を奇襲したり、「死髪舞剣(ダンス・マカブヘアー)」という髪の毛を第3の手として利用し、物をつかんで攻撃するなどの超人的能力を持っていたが、屍生人化によってその能力はさらに強化されており、髪の毛を自由自在に動かしたり、髪を用いての吸血も行える。
屍生人化当初は現世への恨みを抱く邪悪な存在だったが、騎士としての誇りは失っておらず、実力を認めたジョナサンと一対一の決闘を行う。ジョナサンの波紋によって人間の心を取り戻すと、彼へ自らの剣と「幸運(ラック)」と「勇気(プラック)」の言葉を託し、昇天していった。
タルカスとともに架空の人物である。
タルカス
声 - 郷里大輔 / 園部好徳 / 稲田徹
ブラフォードとともにメアリーを守護していた巨漢の騎士。巨大な剣を持ち、岩をバターのように斬ることができたという。ブラフォードとともにディオによって屍生人として甦り、剣で地割れを起こすほどの圧倒的なパワーと、自らが得意とする双首竜の間のチェーン首輪デスマッチでジョナサンを苦しめる。
人間の心を取り戻したブラフォードと違い、子供でさえも手にかけようとする残忍な男で、二度目の死を迎えたブラフォードを中傷したり、ジョナサンに勝つために牙を折って目潰しとして吹き付けたりと、邪悪の限りを尽くす。一旦はジョナサンを倒してツェペリを惨殺するが、最後はツェペリの最終奥義を受けてパワーアップしたジョナサンによって瞬殺された。
切り裂きジャック(ジャック・ザ・リパー)
声 - 江川央生 / なし / 楠見尚己
実在の殺人鬼。ロンドンで次々と女性を殺害していたが、その光景を目撃し、彼の悪の素質を見抜いたディオによって屍生人化、生前以上に切り刻むことに快楽を覚える邪悪な存在となった。体内から奇妙な形状のメスを放出したり、拷問器具を改造したという巨大なトラバサミ型のカッターで攻撃する。ジョナサンが初めて本格的に波紋で戦闘した相手である。
ディオの潜伏するウインドナイツ・ロットへ向かうジョナサンたちをトンネル内で襲撃するが、ツェペリに一蹴される。トンネル内の通路へ逃げた後は「片手に持ったグラスの中のワインを一滴もこぼさずにジャックを倒せ」とツェペリに命じられたジョナサンを闇討ちしようとするが、ワインの意味を理解したジョナサンに居場所を察知されて壁越しに波紋を送り込まれ、砕かれて消滅した。
怪人ドゥービー
声 - 非公開 / 同左 / 石上裕一
ディオ配下の屍生人。覆面を被っており、体内に色んな種類のヘビたちを飼っている。
ヘビたちにジョナサンを襲わせるが、逆に彼の波紋で操られたヘビたちによって喰われてしまった。テレビアニメ版では喰われるのではなく、最初に噛みついたヘビから伝わった波紋によって消滅するという描写に変更されている。
ペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナム
声 - 金光祥浩[2](ジョーンズ)/ なし / 武虎(プラント)
ディオ配下の屍生人たち。装甲をまとった怪物のような姿をしている。4人とも律儀に名乗りながら登場し血管針攻撃を行ったが、ストレイツォにまとめて瞬殺された。
アダムス
声 - なし / 同左 / 高橋英則
ウインドナイツ・ロットに住んでいる男で、ポコとは顔なじみ。ディオ襲撃時に屍生人化されたが、ジョナサンたちを襲う直前までは生前の姿をしており、ポコに冗談を言って怖がらせるなど、正体を隠していた。ジョナサンたちを後方から襲おうと舌を伸ばして正体を現したが、それを看破していたジョナサンに舌を掴まれ、瞬殺された。
獅子王ウィンザレオ、イナズマの騎士アイクマン、独眼のカイネギス
かつて「77の輝輪(リング)」と呼ばれる試練に挑み、見事成し遂げた伝説の騎士たち。原作では「77の輝輪の勇者の巻」の回にわずか1コマ、名前と彼らの姿らしきイラストが描かれただけだった。
Part1ゲーム版では、原作とは若干展開が異なるアナザールート「最後の波紋!(裏)」に進むことでディオの部下として登場し、ジョナサンと戦うことになる。三騎士は原作では「タルカスのような怪力巨体タイプ」と説明されていたが、Part1ゲーム版では容姿・戦闘スタイルが原作のイメージに当てはまるのは獅子王ウィンザレオのみで、アイクマンは旋風や稲光を放つ槍を使う長身細身の美男子、カイネギスは毒などの卑劣な手段を使う、長髪で片目を隠した細身の男となっている(この三騎士のデザインは、バンダイナムコゲームス側の考案したアイデアに荒木飛呂彦が修正を加えたものである[3])。

その他[編集]

ダリオ・ブランドー
声 - 矢田耕司 / 小沢一敬 / 宮澤正
ディオの父。1827年生まれ。酒飲みでだらしのない性格。
1868年、ジョースター卿の馬車の事故現場に居合わせ、馬車の金品を盗もうとしていたところ、彼がまだ生きていたことから結果的に助けることになる。本来貴族から金品を盗んだとして流刑になるところをジョースター卿が無罪釈放にしてくれたうえ、彼の支援まで受けて酒屋を経営していたが、商才が無いばかりにやがて店を潰し、妻も病気で亡くすなど不運が重なったために自暴自棄となり、酒浸りな日々を送っていた。
1880年、母の形見を酒代に換えようとしたことでディオの怒りを買い、病気に見せかけて毒殺された。しかし、死の間際のダリオの遺言が図らずもディオのその後の人生を左右することになる。
警部
声 - なし / 同左 / 長嶝高士
ジョースター卿の殺害を目論んだディオを逮捕するべく、ジョナサンの要請に応えて部下を引き連れてきた中年の男性警察官。ジョースター卿とはディオの生前に出会った知人でもあり、彼とダリオの面会に立ち会っていた。
ジョナサンにジョースター卿とダリオの過去の事実を語るが、その直後に天井から襲撃してきたディオの手刀で頭部を破壊されて死亡する。そのため、吸血鬼と化したディオによる最初の犠牲者となってしまった。
スティクス
声 - なし / 同左 / 加藤将之
所属している教団からメキシコへの布教活動を命ぜられていた神父。半ば左遷に近かったため、自暴自棄になって酒に浸っていた。
目的地に行く途中の船上でディオの潜む棺桶を偶然発見したため、殺害された。
Part1ゲーム版では、裏シナリオでディオに肉体を乗っ取られてしまう。この場合、神父の肉体を得たディオが上述の三騎士とともに、致命傷を受ける前のジョナサンと対決する。
スピードワゴンの仲間
声 - 非公開 / 同左 / 田尻浩章(刺青)、非公開/ 同左 / 山本格(東洋人)
食屍鬼街でスピードワゴンと共にジョナサンを襲撃した二人組。一人は顔に刺青をした大柄なナイフの使い手、もう一人は中国拳法を操る東洋人。ともにジョナサンに一撃で倒されるが、彼らの家族を思ったジョナサンが手加減して大怪我を負わされずに済んでいた。その後スピードワゴンがディオとの戦いで負傷・入院したジョナサンを見舞う際に自動車で病院まで送っていったり、ラストで新婚旅行に向かうジョースター夫妻を見送る一行の中に加わっている。

関連用語[編集]

石仮面(いしかめん)
血液の付着を合図に石仮面から何本も伸びた骨針が被っていた者の脳を突き刺して刺激し、その者を吸血鬼へと変化させる。吸血鬼化した者は肉体がピーク時まで若返り、強力な生命力と戦闘能力を持つようになるが、性格が邪悪化するうえ、肉体は太陽光(紫外線)に当たると消失してしまうリスクを背負うことにもなる。また、人間以外の生物にも同様の効果をもたらすことが可能であり、Part2で「吸血馬」が登場している。
Part1で登場する石仮面は若き日のツェペリがアステカの遺跡で発掘し、ロンドンの美術商を経てジョースター家に渡ったもの。Part2で、高等生物「柱の男」のカーズが究極生物となるために作成したものであることが明かされた。
吸血鬼(きゅうけつき)
吸血鬼化した者は、そのエネルギーを生者の血液から得る。血液は人間に噛みついての経口摂取だけでなく、手指や血管を指で突き刺しての直接摂取も可能。血液を吸われる際に吸血鬼のエキスを入れられた者は、屍生人(ゾンビ)(亡者〈アンデッド〉とも呼ばれる)へ変化する。どちらも多くの場合は理性が低下し、本能が強く行動に現れる。吸血鬼は肉体を自由にコントロールできるが、屍生人は負傷を治癒できるほどではない。ディオは血流すらコントロールできるうえ、相手の肉体の水分を瞬時に気化させて冷凍させる「気化冷凍法」も修得している。これらの未知の能力は脳を基点として引き出されたものである関係上、頭部(脳)を完全に破壊されない限り、死ぬことは無い[注 3]。倒すには、波紋による攻撃を浴びせるか、太陽光(紫外線)を浴びせる、強力な武器で頭部を粉々に破壊するのが最も効果的である[注 4]。なお、波紋や太陽光で消滅するのは吸血鬼の力と波紋は同じエネルギーの表と裏に相当し、2つのエネルギーをぶつけ合うと砕け散るため。波紋の作るエネルギーの波は太陽光と同じ形であるため太陽光も吸血鬼に同じ効果を発揮する。
波紋(はもん)
東洋の仙道に伝わる秘術の1つ。独特の「呼吸法」により血液中のエネルギーを蓄積し、生命エネルギーを活性化させる。呼吸法により練り上げた生命エネルギーが「波紋」に見えたことからそう呼ばれる。「波紋の呼吸」で作り出されるエネルギーは「太陽光と同じ波動」であり、強い波紋エネルギーは太陽光に弱い吸血鬼を死滅させることができる。なお、波紋にはいくつかの種類があり、中でも「山吹色の波紋疾走」(サンライトイエロー・オーバードライブ)が最も波紋エネルギーが強い。作者の荒木は、単行本で「エネルギーを絵にできないかと考え生まれたのが波紋です」と述べている。
ウインドナイツ・ロット(風の騎士たちの町)
ロンドンから馬車でまる一日かかる距離にある総人口517人の山村。北から東西にかけて険しい山脈に囲まれ、南側は断崖絶壁の海になっているという閉鎖的な地形で、村へ至るルートは一本のトンネルのみ。村民のほとんどは半農半漁で生計を立てている平和的な村だが、現在ではその地形を利用して刑務所が建てられており、さらに村の地下にはそこの囚人に掘らせたという炭鉱の坑道跡が無数に走っている。中世時代では英国王家に仕えていた騎士達の修行の地であったとされ、北の山にはかつてブラフォードとタルカスが挑んだという「77の輝輪」を行うための参道、村の周辺に広がる切り立った崖壁には「双首竜の間」などがある修練用の砦などが存在しており、現在ではこれらの施設は遺跡として手付かずのまま残っている。村外れには戦死、あるいは刑死した騎士達の集団墓地がある。村へ続くトンネルの内壁には一本の剣が刺さっているが、これは剣ではなくトンネル内の隠し通路を開くためのレバーである。物語後半より復活したディオがこの村を拠点にしており、郊外の古城を根城にして体力の回復と配下の増産を図っていた。

劇場アニメーション[編集]

2007年2月17日公開。タイトルは『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』。かつてPart3のOVAを手がけたスタッフが再結集して製作した。ストーリーは簡略化されており、スピードワゴンを初めとする多くの主要キャラクターは尺の都合で登場していない。

特典付きの前売券が劇場の窓口で販売された。

  • プレミアムJOJOチケット - 原作イラストを使ったA3ポスター
  • 石仮面ストラップ付き特別鑑賞券 - 石仮面はメディコス・エンタテインメントが製作

ユナイテッド・シネマではリピーターキャンペーンと称し、2回目の鑑賞者にはクリアファイル、3回目の鑑賞者にはオリジナルピンバッジを配布した。

劇場公開後の2008年5月に発覚したこの製作スタジオが担当したPart3のOVAの表現問題により、OVAが絶盤、さらに原作も回収となる騒動が起きたため、この事態を重く見た集英社側がA.P.P.P.側に対しジョジョシリーズ関連のDVDなどのソフト化を一切を認めない措置を取った。この措置はテレビアニメ公開となった2013年現在も解除されていない。

なお、当の発売中止措置が取られたPart3単行本については2009年2月に問題のあった巻が全て改訂版と表記の上で差し替えられ、販売が再開されている[4]

スタッフ[編集]

関連書籍[編集]

  • 『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 究極総集編 OVER DRIVE』 集英社、2007年
  • 『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド OFFICIAL MOVIE GUIDE』 集英社、2007年

テレビアニメ[編集]

2012年10月5日から2013年4月5日まで、TOKYO MX、MBS、CBC、東北放送、RKB毎日放送、BS11で放送。全26話で第1部と第2部を映像化。第1話から第9話までが第1部の映像化に当たる。

備考[編集]

  • 登場人物の1人、ロバート・E・O・スピードワゴンは、お笑いコンビ「スピードワゴン」の名前の由来となった[5]。映画版にスピードワゴンは登場しないが、お笑いコンビの2人は記者発表会にスペシャルゲストとして登場している。
  • ジャンプコミックス1巻第1話のジョナサンの台詞が「何をするんだァーッ」から「何をするだァーッ」になっている誤植があり、同66刷までの15年間に渡って修正されなかった。Part1ゲーム版では、この台詞がファンサービスとして2周目以降は誤植版[注 5]になる。また、『ジョジョASB』ではジョナサンの挑発台詞は誤植版の「何をするだァーッ」になっている。
  • 同じ『週刊少年ジャンプ』に連載されていた『魁!!男塾』のテレビアニメ版のナレーションの背景に、石仮面が大写しになったことがある。
  • 作者の荒木飛呂彦は、印象に残っている場面として最初に石仮面が登場するシーンとジョナサンが死ぬシーンを挙げている[6]。連載当初から全3部構成ほどで各部ごとに主人公が変わることが考えられていた[7]が、ジョナサンが死ぬことは決まっておらず、自らの命を捧げるようにして次の世代に宿命をつなげていったほうがいいと考え、あえて死ぬ結末にしたという[6]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ この件は作者が設定ミスを認めており(作者いわく「大人は嘘つきではなく間違いをするだけ」)、後に単行本などで読者に謝った。Part2ではこの設定に準じ、息子のマリオと孫のシーザーが登場する。テレビアニメ版も同様。
  2. ^ Part2ではストレイツォが手榴弾の爆発による肉片から再生するシーンのほか、ドイツ軍に捕えられていた歯無しの老捕虜が石仮面を被らされて歯の生え揃った吸血鬼として登場するシーンがある。
  3. ^ ディオはジョナサンに脳天から縦真っ二つにされたが、すぐに頭部を接合させてズレも直している。銃弾や刺剣で脳に細い貫通口を開けられても、ほとんどダメージを受けた様子はない。しかしPart3で拳大の脳挫傷を受けた時は吐き気やめまいを覚えていた。また、Part2のストレイツォはジョセフにいくつもの手榴弾を巻きつけられて爆破されたが、いくつかの肉片となった状態から再生を遂げている。
  4. ^ 波紋も太陽光も破壊が頭部(脳)に及ばなければ首だけになっても生きているので、これらの手段でもあくまで脳の完全な破壊を達成しなくてはならない。
  5. ^ 文字だけではなく音声も誤植版になっている。

出典[編集]

  1. ^ a b 『集英社ジャンプリミックス 戦闘潮流1 ジョセフ・ジョースター編』 P44 JOJO's CHARACTER Part1 ストレイツォ
  2. ^ 青二プロダクション 金光祥浩”. 2014年6月28日閲覧。
  3. ^ 集英社Vジャンプブックス バンダイナムコゲームス公式攻略本『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 全知全能の書』 P146 製作者インタビュー
  4. ^ 「ジョジョの奇妙な冒険」第三部販売開始のお知らせ”. 集英社 (2009年1月26日). 2014年1月10日閲覧。
  5. ^ 日本中を“波紋”に巻き込め――「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド共同プロジェクト」記者発表会 - ITmediaニュース 2006年09月13日
  6. ^ a b SPURムック『JOJOmenon』より。
  7. ^ 画集『JoJo6251 [荒木飛呂彦の世界]』より。