グリゴリー・ラスプーチン
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| グリゴリー・ラスプーチン | |
|---|---|
| 生誕 | 1871年1月23日? ロシア、チュメニ州ポクロフスコエ村 |
| 死没 | 1916年12月29日 ロシア、サンクトペテルブルク |
| 職業 | 農民 自称祈祷僧 |
グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン(露:Григорий Ефимович Распутин グリゴーリィ・イフィーマヴィチュ・ラスプーチン、ラテン文字転写:Grigorii Efimovich Rasputin、1871年1月23日? - 1916年12月29日(ユリウス暦12月16日))は、帝政ロシア末期の怪人物。シベリア、チュメニ州ポクロフスコエ村出身の農民、自称祈祷僧。
謎に包まれた経歴や怪異な容貌から怪僧・怪物などと呼ばれ、ロシア帝国崩壊の原因をつくった悪人として、その人物評はすこぶる低調である。
目次 |
[編集] 経歴・人物
20歳で結婚した後、突然、父親や妻に「巡礼に出る」と言い残して村を出奔した。一説では、野良仕事をしているとき聖母マリアの啓示を受けたといわれている。修行僧と自称していたものの、正規の教育を受けた形跡はなく経歴は不明。
1904年、サンクトペテルブルク(ペトログラード)に出たラスプーチンは、人々に病気治療を施して信者を増やし『神の人』と称されるようになり、皇族のニコライ大公夫人に取り入った。後にアレクサンドラ皇后に紹介され、血友病患者であったアレクセイ皇太子を治療して皇后の信頼を得た。1905年11月1日にロシア皇帝ニコライ2世に謁見し、以後、皇太子の病状が悪化する度に宮廷に呼び出された。ラスプーチンが祈祷を捧げると、不思議にも皇太子の発作が治まって症状が改善した。その治療法は催眠療法の一種ではないかと推測されているが、こうして皇帝夫妻から絶大な信頼を勝ち取り、『我らの友』と呼ばれるようになったラスプーチンは、夫妻の権威を傘にきて政治に口を挟むようになった。
そのころロシア社会は、日露戦争の敗北、打ち続く労働運動、革命運動の激化によって動揺していたものの、皇帝への表立った非難は抑制されていた。多くの場合、失政の責任は側近に向けられることが多く、ラスプーチンも例外ではいられなかった。ラスプーチンの過去や言動に注目が集まり馬泥棒の経歴が暴かれ女性信者との淫らな関係が新聞に報じられたこともあって、多くの廷臣がラスプーチンの排除を望むようになった。しかし優柔不断といわれた皇帝は愛妻の皇后や皇太子の病気に配慮してこれを拒否した。
第一次世界大戦が勃発してニコライ2世が首都を離れて前線に出ることが多くなると、内政を託されたアレクサンドラ皇后は何事もラスプーチンに相談して政治を動かし人事を配置した。前線から届く芳しくない戦況から、敵国ドイツ出身であった皇后とドイツの密約説が流れ、皇帝不在中の皇后とラスプーチンの愛人関係までが真しやかに噂されるようになった。こうしてラスプーチンは廷臣や国民の憎しみを一身に背負うことになったのである。
[編集] 暗殺
1916年12月29日、皇帝と姻戚関係のあったユスポフ公は皇帝の従兄弟であるドミートリー大公と謀って、ラスプーチンを晩餐に誘うと青酸カリを盛った食事でもてなした。しかしその食事に本人は死なず周囲を驚かせる。食後に平然と祈りを捧げていたラスプーチンは恐れをなした周囲から背後より銃撃を受ける。ここで反撃に出るがさらに2発の銃弾を受けた。倒れたところを殴る蹴るの暴力を振るわれて、窓から道路に放り出された。それでも息が残っていたので、ネヴァ川まで引きずられ氷を割って開けられた穴に投げ込まれた。三日後、ラスプーチンの遺体が発見され、検死の結果、肺に水が入っていたため死因は溺死とされた。川に投げ込まれた時もまだ息があったのである。
死の前にニコライ2世に謁見したラスプーチンは、「私は殺されます。その暇乞いに参りました。私を殺す者が農民であれば、ロシアは安泰でしょう。もし、私を殺す者の中に陛下のご一族がおられれば、陛下とご家族は悲惨な最後を遂げる事となりましょう。そしてロシアは長きにわたって多くの血が流されるでしょう」とロシアの未来を予言したとされる。
ラスプーチンが青酸カリによって死ななかった理由に、
- 検死結果、毒物が検出されなかったことから、毒殺説が作り話である。
- 当時ロシアに多く存在したいい加減な薬屋から購入した偽物の青酸カリを盛ってしまった。
- 適切な保存状態になかった青酸カリを使用した。
- 青酸カリは熱や酸に弱いため、料理の調味料や熱で変質してしまった。
- ラスプーチンが無胃酸症または低胃酸症であったため、シアン化水素が発生しなかった。
などがあげられている。
もともとラスプーチンは政治に強い関心はなく、皇帝の政策決定にも大きな影響を与えなかったといわれている。第一次世界大戦参戦を主張する皇帝に対して不戦を説いたり、革命派やアナーキストによる運動激化を考慮しての農民の年貢や税金負担軽減など、荒事を嫌う農民出身の聖職者ならではの提言をしたこともあったが、その言が用いられた証跡はない。
ヨーロッパで最も保守的で官僚的といわれたロシア宮廷にあって、異端的であったラスプーチンが重責を担う余地は少なく、単なる皇帝の取巻きの一人に過ぎなかった。皇后が余りにもラスプーチンを重用し過ぎたためにスケープゴートにされた(そしてオカルトや陰謀論のネタにされた)のである。
[編集] 逸話
- ロシア革命の指導者アレクサンドル・ケレンスキーは「ラスプーチンなくしてレーニンなし」と記している。
- 当時、ラスプーチンという姓は西シベリアでは比較的多く見られた姓であるが、帝政ロシアを崩壊に招いた人物の姓は忌み嫌われ、改姓する者が多く出た
- ロシアのプーチン元大統領(現首相)は元KGB情報部員であり、その過去についても不明な点が多く、首相就任時に影の薄かった彼が大統領に就任した際、その謎に包まれた経歴からラスプーチンに引っかけられ、「ラス・プーチン」と揶揄されたことがある。ただし、プーチンという姓はロシア語で道を意味するプーチ (Путь, Put') を思わせ、ラスプーチンのラス (Рас, Ras) は(さまざまな意味があるがその1つとして)「逆」という意味があるため、ロシア人の間では、プーチンは「道」、ラスプーチンは「道がない」という逆の意味だと、好意的に捉える者もいる。
- 後述にもあるが、政財界に影で強い影響力を持つ人物のことを「~のラスプーチン」と称することがある。
[編集] “ラスプーチン”の異名を得た人物
- 飯野吉三郎 - 明治・大正期の日本の自称「予言者」。別名「日本のラスプーチン」
- 佐藤優 - 日本の外務省職員。「外務省のラスプーチン」と呼ばれた。
- 飯島勲 - 小泉純一郎の筆頭秘書にして、元首相秘書官。「官邸のラスプーチン」と呼ばれた。
- ラスプーチン矢野 - 脚本家・映画監督など多岐に渡って活躍。有限会社『猿と蛇』代表取締役。
[編集] 関連書籍
- コリン・ウィルソン 大瀧啓裕訳 『怪僧ラスプーチン ロマノフ朝の最期』(青土社、1991年)
- フェリックス・ユスポフ著, 原亙全訳 『ラスプーチン暗殺秘録』(青弓社 1994年) ISBN 4787291025
- ブライアン モイナハン著, 訳『実録ラスプーチン』(草思社 上・下, 2000年)ISBN 479420969X ISBN 4794209703
- マッシモ・グリッランディ著, 米川良夫訳『怪僧ラスプーチン』(中公文庫改版、2003年) ISBN 4122042143、初版中央公論社 1986年
- エドワード・ラジンスキー著, 沼野充義訳『真説ラスプーチン』(日本放送出版協会 上・下, 2004年)ISBN 4140808578 ISBN 4140808586
[編集] ラスプーチンが登場するフィクション
[編集] 書籍
- 山田風太郎『ラスプーチンが来た』
[編集] 漫画
[編集] オペラ
- エイノユハニ・ラウタヴァーラ作『ラスプーチン』(2003年)
[編集] 映画
- 怪僧ラスプーチン(1932年)
- 怪僧ラスプーチン(1954年)
- ヘルボーイ (映画)
[編集] アニメーション
- アナスタシア
- BLOOD+
- ルパン三世 ロシアより愛をこめて(敵役としてラスプーチンの孫であるラスプートン(架空の人物)が登場した)
- 名探偵コナン 世紀末の魔術師(今回の事件の一連の真犯人であるロマノフ王朝の秘宝ばかりを狙う泥棒「スコーピオン」の正体・浦思 青蘭がラスプーチンの子孫。浦思 青蘭は当初、中国人の振りをしていたが、実はロシア人。浦思 青蘭の中国語読み「プース チンラン」を入れ替えると、ラスプーチンになる)
[編集] ゲーム
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- The Alexander Palace Time Machine Bios-Rasputin - bio of Rasputin
- Rasputin documentary (Discovery Channel)
- Okhrana Surveillance Report on Rasputin - from the Soviet Krasnyi Arkiv
- Rasputin, Grigory Yefimovich, Microsoft Encarta Online Encyclopedia
- Russian Revolutions of 1917
- The Murder of Rasputin
- Rasputin the Musical by Michael Rapp
- BBC's Rasputin murder reconstruction
- RASPUTIN Grigory Efimovich - article about Rasputin at Encyclopaedia of St. Petersburg
- Mark 16:18 - a bible verse believed by some Christians to ascribe Rasputin-like powers to some Christians

