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== 配備後の事故 ==
== 配備後の事故 ==
量産決定後の[[2006年]]から[[2011年]]の間に58件の事故が起こっている<ref>[http://www.asahi.com/politics/update/0720/TKY201207190736.html オスプレイ事故、5年で58件 米軍資料で判明]</ref>。
; 5回目の事故
; 5回目の事故
[[2009年]][[5月27日]]、第204海兵中型ティルトローター訓練飛行隊所属のMV-22が、[[米国]][[ノースカロライナ州]]で低空飛行訓練中、燃料切れで国立保護地区に緊急着陸し、その給油中にエンジンの排気熱で草地が燃えだし、機体の外壁を損傷した。同日発表された海兵隊の声明によると火事は直ちに鎮火されたが、機体の外壁に高熱による損傷が残された。声明では損傷の度合いは明らかにされなかったが、同機は翌28日の昼には所属の[[ニューリバー]]基地へと帰還した<ref>{{cite news
[[2009年]][[5月27日]]、第204海兵中型ティルトローター訓練飛行隊所属のMV-22が、[[米国]][[ノースカロライナ州]]で低空飛行訓練中、燃料切れで国立保護地区に緊急着陸し、その給油中にエンジンの排気熱で草地が燃えだし、機体の外壁を損傷した。同日発表された海兵隊の声明によると火事は直ちに鎮火されたが、機体の外壁に高熱による損傷が残された。声明では損傷の度合いは明らかにされなかったが、同機は翌28日の昼には所属の[[ニューリバー]]基地へと帰還した<ref>{{cite news

2012年7月23日 (月) 04:29時点における版

V-22 オスプレイ

大西洋で「バターン」から発艦した海兵隊所属のMV-22

大西洋で「バターン」から発艦した海兵隊所属のMV-22

[1]

V-22アメリカ合衆国ベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)社が共同で開発した軍用機であり、回転翼の角度が変更できるティルトローター方式の垂直離着陸機である。

本機の愛称であるオスプレイ(Osprey、オスプリー、オスプレィ)は猛禽類のタカの一種である「ミサゴ」のことである。

開発

ヘリコプターは垂直離着陸・ホバリング(空中停止)・超低空での地形追従飛行が出来るが、速度が遅くまた航続距離も短かった。対して通常の固定翼機は高速移動や航続距離の面では優れているものの、離着陸のための長い滑走路が必須な上、垂直離着陸もホバリングも超低空での地形追従飛行もできなかった。

もしヘリコプターの利点である垂直離着陸・ホバリング・超低空での地形追従飛行をこなしつつ、通常の固定翼機のように高速移動かつ長い航続距離が可能ならば、それは戦略上非常に有用なことであり、このことからアメリカ軍第二次世界大戦直後から両者の利点を併せ持つ航空機を求めていた。

XV-3 開発計画

V-22の2代前にあたる実験機 "XV-3" は、アメリカ陸軍アメリカ空軍の共同での「転換航空機計画」に米ベル社が加わって開発された。ベル社では1940年代からティルトロータ方式の航空機を研究しており、この成果が3つの設計案となって提示され、この内の1案が採用されて開発が進められた。

1955年8月11日にXV-3は初めてホバリングを行ない、1956年7月11日にプロップ・ローターを傾けての飛行に成功した。XV-3はエンジン部は固定でローター軸部分だけが傾くデザインになっていた。XV-3は計250回以上の合計125時間の飛行を行い、最大高度3,570m、最大水平飛行速度115ktを記録した。本機は操縦性が悪く、固定翼機モードでの機動を行うとプロップ・ローターが激しいフラッピングを起こすなど、直ちに実用化できる状況ではなかった[2]

XV-15 開発計画

XV-3での研究は結局、実機の生産へと結びつかなかったが、1971年にアメリカ陸軍とNASAが共同で「垂直および短距離離着陸機研究」によってティルトローター機の研究を開始し、米ベル社ではティルトローター式の "Model 300" 開発案を提示して採用され、1973年4月にはそれに若干改良を加えた "Model 301" が「ティルトローター研究機」(TRRA) という名称となって "XV-15" の製造計画が決定された。

XV-15は1977年5月3日に初めてホバリングに成功し、1979年5月5日にはエンジンとローターを前方に5度だけ傾けての飛行に成功した。1979年7月24日には完全に前方の水平方向に傾けての飛行に成功した[2][3]

JVX 開発計画

1981年12月にアレクサンダー・ヘイグ国務長官から、国防総省が陸軍、海軍、海兵隊、空軍という全軍が使用する航空機を開発すると発表され[4]1982年12月には、先進の垂直離着陸可能な航空機とする統合軍運用要求 (JSOR) として提示された。これに基づいて4軍共同の「統合垂直離着陸研究」 (JVX, Joint-service Vertical take-off/landing eXperimental) という名称の計画で新型機の開発が始められた[2]。JVXはヘリコプターの特性と固定翼機の性能を持ち合わせる航空機の開発計画であり、必ずしもティルトローター機で無くとも良かったが、当時はティルトローター方式以外の選択肢は現実的では無かった。当初は陸軍を中心とした計画であったが、後に4軍の要求を統合し海軍の主導で進めることとなった。

1982年12月に初期設計のための提案要求 (RFP) が提示され、アエロスパシアルベルボーイング・バートルグラマンロッキードウエストランドが関心を示した。ティルトローターの実験機を以前にも開発していたベルと、CH-47などの大型ヘリを開発していたボーイング・バートルがパートナーシップを結び、1985年ベルXV-15をベースとする設計案を提出、この設計案のみ承認されることとなった。

1985年にはJVXで開発する機体の名称が "V-22 Osprey"(オスプレイ)と決定され、米海兵隊向けをMV-22、米空軍向けをCV-22とした。航空母艦 (CV) との重複を避けたため、本来の用途とは名称が反対となっている。

開発の遅れ

1986年5月2日には全規模開発 (FSD) が認められ、6機のMV-22試作機が製造されることとなった。開発は電子機器や胴体部分をボーイング・バートルが、ナセルや駆動系を含む主翼部分と尾翼部分をベルが担当した。1・3・6号機(その後予算削減で6号機は中止された)がベル、2・4・5号機がボーイング・バートルで組み立てられることとなった。

初飛行は1989年3月19日であった。当初は1988年に初飛行を行い、1991年頃に量産型の引渡しが予定されていたが、SDI計画や先進戦術戦闘機計画 (ATF)(後のF-22)などに比べ優先度が低く、予算の削減が行われた影響で計画が遅れた。

1989年12月には、国防長官であったディック・チェイニーが予算削減の一環として開発の中止を発表するが、その後の審査の結果、計画は続行されることとなった。その後何度か計画の中断が予定されたが結局中止となることは無かった。

試作機段階での事故

V-22は試作機段階で2回、重大な事故を起こしている。

1回目の事故

1991年6月11日に試作5号機が初飛行時に左右に揺れながら離陸後、数mの高さから大きく機体を傾けてナセルとローターが接地し、機体は転覆して地上へ落ちた。火災も起きずパイロット2名は脱出して軽傷で済んだが、機体は失われてしまった。

墜落原因は、飛行制御システム (FCS) の3つのロールレイト・ジャイロの配線の内の2つが逆に接続されていたミスと判明し、3ヵ月後に試験飛行は再開された[2]

2回目の事故

1992年7月に試作4号機が気候試験でエグリン空軍基地からクアンティコ米海兵隊基地へ飛行中の着陸直前に右エンジンナセルから出火した。制御を失った機体はポトマック川に頭から落ちて、乗っていた海兵隊員3名と民間人技術者4名の計7名全員が死亡した。この墜落の影響でFSD機が全機飛行停止となった。

事故原因は、潤滑油が漏れてエンジンナセル内に溜まっていた状態で着陸のためにナセルをティルトしたのでオイルがエンジンの高温部に触れて発火したものとされた。エンジンの一方が停止しても飛行が継続できるように左右を結ぶクロスリンク機構が備わっていたが、火災の熱によって複合素材製のクロスシャフトが強度を失い破壊されたものとされた。潤滑油漏れ対策が完了するまでの11ヶ月間、飛行停止となった[2]

この2つの事故はいずれもV-22自体の欠陥であり、残り3機には改良が加えられ1993年夏に試験が再開されたが、この事故によって2機が失われてしまい、計画に影響を与えることとなった。

量産の決定

このような事故もあったが、技術的問題は殆ど解決されたとの結論に至っており[5]、V-22は1994年に量産が認められた。軽量化や製造の効率化などの製造費用の削減を含む再設計が行われ、1995年量産試作機 (EMD) が4機製造された。最初の7号機の初飛行は1997年2月5日に行われた。

1997年4月には低率初期生産 (LRIP) が承認され、まず5機の生産が決定し、2000年度までにさらに25機の生産が認められた。1999年4月には量産初号機が初飛行し、2000年までには艦上運用試験などが実施され、空軍仕様のCV-22BもEMD7号機と9号機を改修して試作試験が開始された。

低率初期生産段階での事故

3回目の事故

2000年4月8日に14号機が夜間侵攻での兵員輸送を想定した作戦試験時に墜落事故を起こし、乗員4名と米海兵隊員15名の計19名全員が死亡した。

事故機は他のV-22に後続飛行しながらナセルを立てて着陸進入状態にあり、前方機が減速したので衝突を回避するために急減速し急降下を同時に行った。操縦不能になる直前には、対気速度30kt以下で毎分約2000ft (610m) で降下していた。規定の降下速度である毎分800ft (244m) の2.5倍の急激な降下であったため、自らが生み出したVRS(vortex ring state、ボルテックスリングステート、セットリングウィズパワー、渦輪状態)と呼ばれる下降気流によって揚力を失ったための墜落事故だとされた。事故の再発防止策として、危険な下降率となった場合にはコックピットに「Sink rate」と音声で注意しながら警告灯を点灯する装置が加えられた[2]

その後も試験は続けられ、運用評価を2000年8月に完了した。

4回目の事故

2000年12月11日に海兵隊訓練部隊VMMT-204部隊所属の18号機 (MV-22B) が、夜間飛行訓練中に森林地帯に墜落し、搭乗していた海兵隊員4名全員が死亡した。事故を受け全機が飛行停止になった。

事故原因は、機体の機構的な問題とソフトウェアの問題、そしてパイロットが不適切な操作をしたためという、複合的な事象が重なって起こったものとされた。まず左ナセルの油圧配管が振動によって配線と擦れあい、配管より高圧作動油が噴出した。設計通り油圧システムの安全装置が自動的に作動してシャットオフ・バルブを閉鎖したため、3重の油圧系統の1つを他より切り離して安全に飛行が継続できるようになった。主飛行制御システムは油圧系統の異常を知らせる警告灯を点灯させた。この時、操縦士は着陸に備えてナセルを回転させている途中であり、主飛行制御システム (PFCS) の警告灯の点灯を知って、手順に従ってこれを停止するリセットボタンを押したが警告灯は繰り返し点灯した。PFCSのソフトウェアはこの時点で無用な警告を繰り返すというミスがあった。パイロットは警告灯に気をとられて操縦がおろそかになり誤って地上に墜落させた。この事故原因が明らかにされた後、油圧システムとPFCSの改良が施された[2]

2002年5月に飛行停止は解除された。

機体

回転翼とエンジン

翼端のエンジンとプロップ・ローター

大きな3枚の「プロップ・ローター」(Prop-roter) と呼ばれる回転翼がエンジンと共に固定翼の両端に備わっている。このプロップ・ローターを駆動するターボプロップ式ジェットエンジンは、減速ギヤや補機などと共にエンジンナセル内に収められ、固定翼の両端に取り付けられている。このポッド状のエンジンナセルとプロップローターは一体となって、固定翼内端部のティルト軸ギヤボックス (TGAB) での油圧機構によって前方から上方へ向きを変更でき、この全体が「ティルトローター・システム」と呼ばれる。左右のTGABは主翼内でシャフトが連接されており、左右共に角度が同調するようになっている。TGABによる角度変更は毎秒8度で動くため、90度の変更には11秒程度かかる。

左右のエンジンは片発停止となってもすぐには機体が墜落しないように、左右の駆動出力軸が固定翼内のクロスシャフトで連結されており、最大定格出力4,586kWであるところを1基だけでの飛行時には短時間ながら緊急時最大出力5,093kWを得ることができる。エンジン吸気口にはEAPS(エンジン空気/粒子セパレータ)が、排気口にはIRサプレッサーが備わっている。

直径11.61mのプロップローターの3枚のブレードは、ブレード長が4.90m、弦長は付け根部で87.1cm、先端部で66.9cmであり、42度の捻り下げが付いている。この回転翼は長いために、地上に降着した状態でローターを前方に向けて回転させるとブレード先端が地面に接触してしまうので、保守時のような特定の状態を除けば地上で固定翼航空機モードの角度までティルトすることは避けられる。プロップローターはピッチ可変式のハブを持つ。

プロップローターは互いに逆回転するため、カウンタートルクが打ち消しあう。地上駐機時の占有スペースを小さくするために、ローターのハブが定位置に止まり、ブレードが自動で折り畳めるようになっている。同様の機能を持つ他のヘリコプターと異なり、左右各2枚のブレードはハブより少し離れた位置で折れ曲がる。

  • 回転円盤面積(片側): 105.36m2[2]

固定翼

固定翼機での主翼に相当する高翼配置の固定主翼はわずかな上反角といくぶん前進翼である点を除けば単純な矩形翼であり、地上駐機時の占有スペースを小さくするために、中央取り付け部を中心に右方向へ90度回転するようになっている。ブレードを内側に折り畳みナセルも水平に倒し状態で右に90度回転するため、ローター半径などをそのまま加えた通常の幅25.78m、長さ17.48m、高さ6.73mから、幅5.77m、長さ19.20m、高さ5.56mにまで小さくできる。

主翼後端には内外に2分割された広いフラッペロンが付いており、航空機モードでの操縦翼面として機能すると同時に、ヘリコプター・モードでは垂直下方へ大きく折れ曲がることで回転翼のダウンウオッシュを遮る固定翼の面積を減じるようになっている。主翼内には片側4個に分かれた燃料タンクが収められ、クロスシャフトやTGAB用のリンク、それに配管類が走っている。

尾翼はテールブームの先に1枚の水平尾翼とその左右に2枚の垂直尾翼がH型に取り付けられており、それぞれには水平安定板と垂直安定板の後端部に動翼としてエレベータとラダーが付いている。

  • 主翼面積(フラッペロン、中央翼部分を含む左右合計): 35.49m2
  • フラッペロン面積(左右合計): 8.25m2
  • 垂直安定板面積(左右合計): 21.63m2
  • ラダー面積(左右合計): 3.27m2
  • 水平安定板面積(合計): 8.22m2
  • エレベータ面積(合計): 4.79m2[2]

燃料タンク

固有の燃料タンクは、主翼内に左右各4個と降着装置のあるスポンソン前部に左右各1個の計10個により、6,513リットルの容量がある[6]。これらは自己防漏対策が施されており12.7mmの装甲貫通弾までは燃料漏れを起こさない。

また、キャビン内にMATを搭載することで搭載燃料を増やすことができる。空中で燃料を捨てる必要が生じれば、右主脚部のベント口から毎分303リットルの割合で空中投棄できる[2]

降着装置

降着装置は前脚式の3脚すべてが2輪横並びのタイヤを持ち、油圧による完全引込式になっている。左右に各75度まで操向できる前脚は、後方へ畳んで格納され、胴体左右2本の主脚は前方へ畳んでスポンソン内に格納される。油圧が失われれば窒素ボトルによって19.3MPaの圧力で脚下げを行う。各脚柱には通常時で3.7m/secまで、クラッシュランディング時には7.3m/secまでの衝撃に耐えられる衝撃緩衝装置が組み込まれている。

  • ホイールトラック: 4.64m
  • ホイールベース: 7.62m[2]

操縦系統

飛行操縦システムは自動飛行操縦システム (AFCS) を含む3重のデジタル式フライ・バイ・ワイヤによって構成されており、機械的なバックアップ・システムは持っていない。AFCSは、ピッチ安定、ロール安定、ヨー安定、機首方位維持、自動旋回調整、昇降速度補正といった機能を有している。

主にピッチとロールの操作を行うサイクリック操縦桿は座席中央にあって右手で操作する。ヨー操作は足元左右のラダーペダルで行う。エンジン出力調整は出力制御レバー (TCL) で行う。通常のヘリコプターと異なるのはコレクティブピッチレバーに相当するTCLが固定翼航空機のスロットルレバーと同様に前方に倒すことでエンジン出力が上昇する点である。「ヘリコプターモード」と「固定翼航空機モード」を行き来するためのプロップローターとエンジンの角度調整は、TCLのグリップ内側の回転式ノブ「ナセル制御スイッチ」で制御する[2]

操縦翼面は、ピッチ可変式プロップ・ローターとフラッペロン、エレベータ、ラダーが存在する。フラッペロンはロール操縦時にはエルロンとして機能し、揚力が必要な場合には高揚力装置のフラップとして機能する。エレベータとラダーは通常の固定翼機と同じ機能を果たす。

操縦操作

離陸
V-22の離陸時には、エンジンとローターを垂直よりも少し前方の75度や60度に傾けて回転翼と固定翼の両方の揚力を得て上昇する短距離離着陸 (STOL) を採用することが多い。V-22は回転翼が大きいので完全な「航空機モード」ではローターが地上に接するため、通常の固定翼航空機のように地上滑走によって固定翼面だけで揚力を得る離陸は行えない。また、積載量が少なく滑走距離が短い条件では、エンジンとローターを上向きにする「ヘリコプター・モード」によって垂直離着陸を行うことも可能である[2]
巡航
ヘリコプターモード
ヘリコプターモードによる飛行制御は、座席中央のサイクリック操縦桿と左側の出力制御レバー (TCL)、足元のラダーペダルによって行う。サイクリック操縦桿を左右方向へ倒すことで、2つのプロップ・ローターでコレクティブ・ピッチに差を作ることで左右の揚力差が生じ、また同時にラテラル・サイクリックによる操作でプロップ・ローターの回転面が傾くことも加わって、ロール操作が行える。サイクリック操縦桿を前後方向へ倒せば、プロップ・ローターが前後に傾きピッチ操作が行える。ラダーペダルの片側を踏み込めば、2つのプロップ・ローターが互いに前方と後方に傾くことで機首の向きが変えられヨー操作が行える[2]
固定翼航空機モード
固定翼航空機モードでは、サイクリック操縦桿は操縦桿に、TCLがスロットルレバーに相当し、ラダーペダルはそのままラダーペダルとして機能する。サイクリック操縦桿を左右方向へ倒すことで、左右互い違いに動く主翼後縁のフラッペロンが上下運動しロール操作が行える。サイクリック操縦桿を前後方向へ倒すことで、水平安定板後縁のエレベータが上下運動しピッチ操作が行える。ラダーペダルの片側を踏み込めば、垂直安定板後縁のラダー2枚が連動して動くことでヨー操作が行える[2]
着陸
着陸時も離陸時と同じく「ヘリコプター・モード」と「航空機モード」の2つの飛行モードがあるが、ランディングゾーンが十分に得られれば自らが作る下降気流(ボルテックスリング)によって失速を招く危険を避けられる航空機モードによる短距離進入降下を用いた着陸を行うことが基本となる。ランディングゾーンが狭い場合や重量が軽ければヘリコプターと同様にほぼ垂直に降下して着陸する[2]
予防着陸
ヘリコプターモードでの緊急時の着陸ではオートローテーションも行える[2][7]とする情報も存在し、[要検証]ヘリコプターモードでは110ノット毎時(約200Km/h)以上の速度がないとオートローテーションが行えないともされる。[要検証][7]航空機モードだと飛行中に、両エンジンが停止した場合にヘリコプターモードに切り替えることはできず、着陸には固定翼のみを使用する。[8]回転翼は緊急着陸等で地面に接触した場合には、機体から外れるようになっている。[8]但し、片側のエンジンが作動している場合は、そのまま飛行可能であり、通常着陸及びヘリコプター・モードへの切り替えが可能である。[9]

装備等

アビオニクス

操縦席の計器類
パネルの文字から高度な航法装置類を搭載していることが分かる。

操縦席の計器類は各正面に15.2×15.2cmのカラー液晶による多機能表示装置 (MFD) が左右に並んで2枚あり、中央パネルには正面左にMFDより小型のシステム表示用単色液晶画面が、正面右に高度計や対気速度計といった通常の個別計器が配置されている。中央パネルの下部3分の2以上は15.2×20.3cmの横長単色液晶によるEICAS/CDU表示画面1つと多数の操作キーが並んでいる[10]。各2面のMFDには、機体姿勢や飛行諸元といった一次飛行表示や、航法情報、センサー画像情報、搭載システム情報が自由に表示できる。

航法装置としては、軽量慣性航法装置 (LWINS)、AN/ARN-147全方位無線標識/計器着陸装置 (VOR/ILS)、マーカービーコン装置、OA-8697/ARC VHF/UHF自動方位測定装置 (ADF)、VHF FMホーミングモジュール、AN/APN-194(V) 電波高度計、AN/APN-153(V) 戦術航法装置 (TACAN)、小型航空機搭載全地球測位システム (MAGR) が備わっている。

LWINSは3重の冗長性を備え、加速度、速度、位置、高度、磁方位、真方位についての情報を得る。

各軍共通の装備として、下方全方位へ指向できる赤外線センサーとしてAN/AAQ-27A (mid-wavelength infrared (MWIR) imaging system)[11] を備える。このMWIRは機首下面に搭載される。

米海軍型と米空軍型は地形追随および地形回避機能を持つAN/APQ-174レーダーを備える。米空軍では低高度での地形追随機能を高めたAN/APQ-186レーダーの搭載も進めている。レーダーは機首部左に搭載される[2]

自衛装備

自衛装備として以下のものを備える。

全軍共通装備
  • AN/AAR-47: ミサイル警報装置
  • AN/APR-39A: レーダー警戒受信機
  • 赤外線警報装置
米空軍型
  • AN/ALE-47: チャフ/フレア投射装置(CMDS、対抗手段散布装置)
  • AN/ALQ211: 統合型無線周波数対抗手段装置 (SIRFC)[12]
  • AN/AVR-2A: レーザー探知装置[2]

増槽・受油・給油装備

増槽
任務補助タンク (MAT) をキャビン内に搭載すれば、燃料を増やし航続距離の延伸ができる。1個で1,628リットルの燃料を収めるMATは、キャビン内に最大3個まで搭載でき、搭載燃料の最大容量は11,397リットルとなる。
受油装備
機首部右側に受油用プローブを装備しており、空中給油機から空中で燃料を受け取ることができる。
給油装備
既に開発済みの給油装備に「迅速地上再給油キット」(RGR) がある。これは燃料供給ポンプ、ホース、コネクター、再給油ノズル3個から構成され、地上に駐機した状態で機内のMATから、地上の他の航空機や地上の車両へ燃料を供給するものである。
計画中の装備であるが、MATをキャビン内の前後に2個だけ搭載し、中央にリール式のホース&ドローグ・ユニットを備えることで、機体中央底部からこのホースを空中で垂れ下げ、他機へ空中給油する空中給油キット開発計画がある。これが完成すればV-22は空中給油機として利用できる。他のヘリコプターへの空中給油なら120ノットほどで飛行し、他の固定翼機なら最大230ノットで飛行しながら給油するというものである。計画では400nm進出して8,000ポンド (3,629kg) ほどの燃料を他機に空中給油できるとされる[2]

特殊な装備

救助用ホイスト
捜索・救難ミッションや特殊作戦での隊員の潜入/回収にも使用される救助用ホイストを、キャビンの後部隔壁直前の天井部に備えることができる。76.2mの長さのワイヤで最大272kgまで吊り下げられ、停止から最大1.14m/secでの上下無段階の速度制御が行える。
IDWS
米海兵隊向けの特殊装備としてIDWS(暫定防御兵器システム)がある。IDWSは英BAEシステムズ社製の電子/赤外線センサー・ターレットを備えており、機内搭載も可能なM134 7.62mmミニガン・ターレットと連動させて、機内の液晶ディスプレイとコントローラによって使用する。VMM-365部隊に最初に装備されて、アフガニスタンでの試験運用が行われると考えられている[2]

搭載

搭載重量

  • 最大離陸重量
    • 垂直離陸時: 23,859kg
    • 短距離離陸時: 25,855kg
    • 自己展開時: 27,442kg[2]

機内配置

降着装置や燃料タンクが機体底部のスポンソンに、主翼構造全体が機体の最上部に位置しており、機内は最前部の操縦室に続いて左右に分かれた電子装置収容区画と通路があり、その後ろが貨物室/客室となるキャビンがある。乗降はキャビン右側前方の乗降口と最後部の貨物扉から行える。機内は非与圧であるが、NBC戦環境下での生残性のために操縦室は6.2kPa、キャビンは4.8kPaの陽圧を掛けることができる。

操縦室
機体先端の操縦室に左右2席ある操縦席は、通常はヘリコプターと同様に右側が機長席、左側が副操縦席であり、その後方中央に予備のジャンプシートが1席ある。操縦席は方向が変化する荷重に対して14.5G、横方向だけなら20Gまでの衝撃荷重に耐えられ、上下方向に40.6cmの緩衝ストロークを持っている。
キャビン
キャビン内は横断面で見れば正方形に近い矩形断面であり、大きな凹凸のない長い機内搭載空間が得られる。このキャビンを兵員輸送仕様にすれば、左右の壁面に背を付ける向きで座面跳ね上げ式のトループシートを24席と右側最前方にクルーチーフ用の1席の計25席を配置することができる。後部の貨物扉は飛行速度240ノットまで空中で開閉できるので、空挺隊員の降下や貨物の空中投下が行える。非常脱出口がキャビン後部天井に1つある。傷病兵輸送仕様では、縦3床×4箇所で12床にする組合せや、縦3床×3箇所での9床に加えて看護員や軽症者などのための5名分のトループシートを配置することもできる。
キャビン最後部の下開き式ランプ兼用貨物扉は尾部側半分が天井方向へ、前方側半分が床方向へ開き、テイルブームが高い位置にあるために水平に大きな開口部が得られ、長尺物の搭載が容易である[2]

機内搭載

  • 機内最大ペイロード: 9,072kg[13]
  • キャビン
    • キャビン長: 7.37m
    • キャビン最大幅: 1.80m
    • キャビン最大高: 1.83m
    • 有効面積:
    • 有効総容積: 24.3m3
  • 貨物
    • 貨物最大幅: 1.72m
    • 貨物最大高: 1.68m[2]

機外搭載

胴体下面の前後に計2個のカーゴフックを備え、機内に搭載できない貨物類を吊り下げて運搬することができる。

  • カーゴフック容量: 4,536kg ×2(但し2つのフックを合わせた機外吊り下げ最大容量は 6,804kg である。)[2]

設計

飛行の特徴

エンジン

V-22は固定翼面積が小さく固定翼から発生する揚力だけでは上昇・前進ができず回転翼から発生する揚力のベクトル軸の向きを必要に応じて調整し運用することになる。V-22はその要求通りヘリコプターの利点である垂直離着陸と固定翼機の利点である長い航続距離や速さを持ち合わせている。V-22は主翼の両端に大型の回転翼を装着したターボシャフトエンジンを装備し、このエンジンの角度を垂直にかえることによって垂直離着陸を可能としている。エンジンは垂直より少し後方まで向けることが可能で、低速ながら後退飛行もできる。

また、エンジンを前方斜めに傾けることによって短距離離陸 (STOL) を行うことも可能である。ただしV-22の回転翼は大型のため完全に前方に向けてしまうと地面に擦ってしまう。巡航時にはエンジンを完全に水平にすることによって通常の飛行機と同じように飛ぶことが可能である。ただし回転翼は幾分斜め上に向けて飛行する場合が多い。この場合、回転翼は広い面積を有し十分な揚力を得られるので、水平飛行時は通常の固定翼機に比べゆっくりな回転を示している。

なお、2つの回転翼の配置の特性から、垂直離着陸時に片方の回転翼が停止した際の墜落を防ぐために、左右の回転翼駆動軸間を連結シャフトでつなぐことによって、片方のエンジンが止まった場合でも、稼動している側のエンジンによって2つの回転翼を回すことが可能となっている。

性能

V-22とC-130/H-60シリーズの比較

V-22の最高速度は300kt(約555km/h)を超える。これは高速のヘリコプターの最大速度である200kt(約370km/h)程度と比べても1.5倍の速度であり、実験機シコルスキーX2の時速225ノット(時速約418km)よりも速い。米軍が採用している同規模の輸送用ヘリコプターCH-53E(自重15t)の170ノットと比べても実に100ノット以上高速である。

フェリー時の航続距離は1,940nm (3,593km)あり、空中給油などを併用し、さらに延長できる。これはCH-53Eの倍近い距離となっている。

固定翼を併用するために、回転翼だけよりエンジンの単位出力当たり大きな揚力を得られる。また回転翼機よりも上昇限度が高い。また、海兵隊が使用する強襲揚陸艦などで使用できるよう、ローターと主翼は折りたたむことが可能となっている。サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦ではヘリコプター甲板に4機・格納庫に1機の積載とヘリコプター甲板から同時に2機の発着が可能とされている。

2007年9月にイラク配備のための輸送では、ワスプ級強襲揚陸艦ワスプ」に10機が積載された。

調達

国防総省では458機のV-22を調達することを計画している。内訳は海兵隊用のMV-22が360機、アメリカ特殊作戦軍向けのCV-22が50機、海軍向けのHV-22が48機である。特殊作戦軍の調達については空軍からも予算が支出される[1]

2000年の開発段階での事故以降は大きな問題も発生せず2005年に運用評価を完了した。2005年9月19日にCV-22量産1号機が空軍に引き渡された。2005年10月28日に国防調達会議は全規模量産 (FRP) の開始を承認した。2007年12月からイラク西部の戦闘作戦に初めて参加した。

FY2010までに185機のMV-22と31機のCV-22を含め216機のV-22が調達されている。2008年3月28日に結ばれた契約ではFY2008からFY2012までに167機を104億ドルで調達することが取り決められた[1]

在日米軍再編沖縄県普天間飛行場の移設に伴う代替施設(名護市辺野古)への配備が計画されていることが、米軍作成資料から明らかになっているが、日本政府は承知していないとしていた。しかし、2008年4月22日、外務大臣(当時)の高村正彦参議院外交防衛委員会で山内徳信議員の質問に対して「配備の可能性がある」との認識を日本政府として初めて示した[14]

2011年6月6日、米国防総省は2012年後半に、MV-22を沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備すると正式に発表した。それを受けて2011年6月13日、北澤俊美防衛大臣は、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間飛行場へのMV-22配備を説明した。

配備

量産された機体はすでに米国の海兵隊から順番に海軍や空軍へも配備が始まっており、以下に2010年現在の配備状況と配備予定を示す。初のヘリボーン作戦は、2008年3月18日にMV-263所属の2機のMV-22Bがイラクにおいて行われた。

米海兵隊

米海軍

米海軍も配備を受けているが48機が装備される予定という以上の情報は不明である。

米空軍

  • AETC(航空教育訓練コマンド): ニューメキシコ州、カートランド空軍基地
    • 58SOW/71SOS "Strike Swifty"
  • AFSOC: フロリダ州、ハールバートフィルド
  • USPACOM(米太平洋軍)詳細不明
  • USEUCOM(米欧州軍)詳細不明[2]

同盟国への導入計画

2012年7月10日、英ファンボローで開催された国際航空ショーに展示され、日本イスラエルアラブ首長国連邦カナダが購入に関心を示しているとされる[22]

配備後の事故

量産決定後の2006年から2011年の間に58件の事故が起こっている[23]

5回目の事故

2009年5月27日、第204海兵中型ティルトローター訓練飛行隊所属のMV-22が、米国ノースカロライナ州で低空飛行訓練中、燃料切れで国立保護地区に緊急着陸し、その給油中にエンジンの排気熱で草地が燃えだし、機体の外壁を損傷した。同日発表された海兵隊の声明によると火事は直ちに鎮火されたが、機体の外壁に高熱による損傷が残された。声明では損傷の度合いは明らかにされなかったが、同機は翌28日の昼には所属のニューリバー基地へと帰還した[24]。(→詳細

6回目の事故

2010年4月8日に空軍特殊作戦軍所属のCV-22が、アフガニスタン南部で夜間に着陸に失敗し横転した。この機体は2009年に初期作戦能力を取得した後に2回目のローテーションとして2010年にアフガニスタンに送られた内の1機であり、CV-22としては通算12号機にあたる。搭乗していた全20名のうち乗員2名と陸軍レンジャーの兵士1名、民間人1名の計4名が死亡し他の搭乗者も負傷した。事故が起きたのは暗視用ゴーグルを使った夜間の砂漠への着陸の最中だったため、ダウンウォッシュ(垂直揚力による下降気流)によって巻き上げられた砂塵で視界が遮られる「ブラウンアウト」が発生し、パイロットが空間識失調を起こしたのではないかという推測がある[2]

7回目の事故

2012年4月11日に米海兵隊のMV-22、1機がモロッコの南方沖海上で強襲揚陸艦イオー・ジマ (USS Iwo Jima, amphibious assault ship, LHD 7) での訓練中、離艦後に墜落した。全搭乗員4名中、2名死亡、2名重症となった。3月29日にノースカロライナ州から派遣されて来た、第24海兵遠征隊 (24th. MEU) 揮下の第261海兵中型ティルトローター飛行隊 (VMM-261) に所属していた当該機は、モロッコの演習地に海兵隊員を降ろした後の、現地時間4時頃に事故を起こした[25][26]

8回目の事故

2012年6月13日に米空軍の垂直離着陸輸送機CV22が、南部フロリダ州で訓練中に墜落事故を起こし、乗員5人が負傷した。[27]

派生型

  • MV-22B: 米海兵隊向けの輸送型。CH-46CH-53の後継とされ、揚陸強襲、地上作戦活動の維持、自軍の自己展開に用いられる。360機が装備される予定[28]
  • HV-22B: 米海軍向けの戦闘捜索救難型(救難機)であり、戦闘捜索・救難、艦隊兵站支援、特殊作戦に用いられる。48機が装備される予定
  • CV-22B: 米空軍向けの特殊作戦型。MH-53Jの後継とされ、長距離特殊戦活動、不測事態作戦、脱出および海洋特殊作戦に用いられる。53機が装備される予定[29][2]

その他に早期警戒機型を開発する計画も存在するが、詳細は不明である。

仕様

  • 全長: 17.47 m(ピトー管含まず)
  • 全幅: 25.54 m(ローター含む)
  • 全高: 6.63 m(VTOL時)
  • ローター直径: 11.58 m
  • 航続距離:
    • (強襲揚陸時): 515nm (953km)
    • (ペイロード4,536kg、垂直離陸): 350nm (648km) 以上
    • (ペイロード2,721kg、垂直離陸): 700nm (1,295km) 以上
    • (ペイロード4,536kg、短距離離陸): 950nm (1,758km) 以上
  • フェリー距離: 補助燃料タンク使用時 1,940nm (3,593km)
  • 短距離離陸滑走距離: 152m以下[30]
  • 実用上昇限度: 26,000ft (7925m)
  • 上昇率: 2,320ft/min (11.8m/s)
  • ホバリング限界高度
    • 地面効果内: 3,139m
    • 地面効果外: 610m以上(22,680kg時)、1,8290m(20,866kg時)、4,267m(15,422kg時、95%出力)
  • 空虚重量: 15.032 t[31]
  • 円盤荷重: 20.9lb/ft (102.23kg/m2)(自重247,500lb時)
  • 飛行荷重制限: +4G/-1G[2]
  • 最大離陸重量
    • 垂直離陸時: 23.981 t
    • 短距離離陸時: 27.442 t
  • エンジン: ロールス・ロイスアリソン社T406(ロールス・ロイス社内名称 AE 1107C-リバティー)×2基(最大定格出力: 4,586kW (6,150 shp)、緊急時最大出力: 5,093kW)
  • 最高速度
    • 通常時: 305 kt (565 km/h)
    • ヘリモード時:100 kt (185 km/h)[要出典]
  • 離着陸距離[32][リンク切れ]エラー: 「2012年07月」は認識しません。「yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。
    • 貨物を載せず24人が乗り組んだ場合はヘリコプターのように垂直離着陸が可能
    • 最大積載量を積んだ場合は垂直離着陸できない。離着陸には約487m(1,600フィート)が必要
    • 上空でエンジンを停止させて着陸する『オートローテーション』飛行訓練や単発エンジン着陸訓練、編隊離着陸などの習熟訓練には、最短で約792m(2,600フィート)、最大で約1,575m(5,170フィート)が必要。[2]

その他

安全性に対する懸念

試作段階においては事故の多さから "Widow Maker"(未亡人製造機)とも呼ばれ、『タイム』誌は2007年10月8日号において、同機を「空飛ぶ恥 (Flying Shame)」と紹介した[33][34]米海兵隊所属のMV-22の事故率は、2012年4月11日の事故で、1.93になった。事故前は、1.12(CH-53Dは、4.15)であり、いずれも米海兵隊所属の飛行機平均の2.45を大きく下回っている。[35]米空軍向けの特殊作戦型のCV-22の事故率は2012年6月15日現在13.47で、事故率は高いが、現在のところ在日米軍基地に配備される予定はない。

V-22の最大の欠陥は垂直離着陸時のオートローテーション機能(自動回転の機能)が欠如していることである。[要検証][7]FAAに審査基準が無く、新たな基準制定の準備中であり、米国内で民間機としては飛行できない[36]滑空して着陸することも可能だが、ヘリコプター・モードから固定翼機モードへの切り替えには12秒かかり、その間に機体は最低でも約480メートル落下する[要検証][7]2012年4月のモロッコでの墜落事故、同年6月のアメリカ合衆国フロリダ州での墜落事故は両方ともヘリコプター・モードから固定翼機モードへの切り替えの最中に起こったものであった。[要検証][34]

要人輸送

2008年7月22日、次期大統領候補のバラク・オバマ上院議員(当時)がイラク電撃訪問の際に搭乗した[37]

海兵隊要人輸送ヘリコプターVH-3の老朽化に伴い、次期海兵隊(マリーンワン用)要人輸送ヘリコプター後継機として、V-22は候補にも挙がったが、度重なる試験・実験段階の事故が相次ぎ、安全性が問題とされて候補から除外された。

エンジン熱に対する懸念

  • オスプレイのエンジン熱、正確にはエンジン排気プルームの過剰な熱衝撃によって生じる熱 (excessive heat impact from engine exhaust plumes) は、米海軍の一部の揚陸艦フライトデッキを損傷する恐れがあることがわかっている。海軍航空システム司令部 (NAVAIR) は、エンジンの下に携帯式の耐熱シールドを設置してデッキへの損傷を防止する一時的解決策を考案したが、この問題の長期的解決を図りV-22やF-35Bを運用するには、まずデッキ自体を耐熱コーティングやパッシプサーマルバリアーを施したものへと再設計し、さらに船体の構造も変える必要があるとしている[38]。これを受け国防高等研究計画局 (DARPA) では、フライトデッキ上に設置可能な堅牢な冷却システムの開発を産業側に求めたという[39]
  • 2009年5月27日、ノースカロライナ州において、訓練飛行中のMV-22が燃料切れで国営狩猟区に予防着陸した際、同機を給油して離陸しようとしたところ、エンジンの排気熱で植生が燃え始め、機体の外装を損傷する事故が発生したことがあった。2011年6月24日沖縄県は同事故を含めた「高温排気と周辺への影響」について質問する照会書を防衛省に送付。防衛省は同12月19日の回答書で、過去に火災が発生していることを認めた上で、同機のハワイへの配備に関する環境影響評価書案 (DEIS) を引用して、運用措置・手順の改善により安全な運用を確保することを米国側に申し入れる旨回答した[40]
いずれにせよ、政府としては、過去に火災が発生していることから、米国政府に対して、我が国においてMV-22を運用する場合は、

(1)パイロットに義務付けられている排気デフレクタの作動確認及び同装置の継続監視の遵守を徹底すること、
(2)排気デフレクタを含めた機体システムに故障等が発生しないよう確実な整備を行うこと、
(3)着陸している時間を制限すること

などといった運用措置・手順を追求することにより、排気ガスによる火災発生のリスクの更なる低減を図り、安全な運用の確保に万全を期すよう、しっかりと申し入れてまいりたい。 — 一川保夫防衛大臣、防防日第15061号 23.12.19 『MV-22オスプレイ配備について(回答)』

騒音に対する懸念

  • V-22の沖縄配備等において騒音を懸念する声もあるが、アメリカでの調査で現用のCH-46Eと比較して、飛行中は全ての領域でより静かであるという結果が出ている[41]

組立て/派生技術

  • 米ベル社がローターシステム、翼部、エンジン取付、変速機を担当し、最終組立もテキサス州アマリロ (Amarillo) のベル社の工場で行われている[42]
  • 米ボーイング社では2010年8月より観測用小型UAVである "ScanEagle Compressed Carriage" (SECC) を使って飛行中のV-22の後部ハッチからScanEagleを発射する開発を始めている[43]

登場作品

漫画・アニメ
日本海軍空母「アドミラル56」艦長の記者会見の後、プレス関係者を乗せて同艦より発艦するシーンあり。
一色登希彦版に、陸上自衛隊機として登場。
Qの予告において空母に着艦する本機を確認できる
遠峰一青のドバイの友人とされる人物が保有するV-22(と思われる機種)が遠峰に貸し出されるシーンがある。
厚生省衛生二課「ハウンド」の所属機として3機登場。空中給油プローブを装備しM134TOWなどを搭載して「バラクーダ」と呼ばれている。
「古城編」にて革命勢力の装備として登場。
第1シーズンにて、POGの移動手段として酷似した機体が登場
ドラマ
映画
序盤での回収シーンにて機首の機銃で一掃する。
ゲーム
アメリカ軍を選択すると生産することが可能。
日本を占拠したアメリカ海軍の機体として登場。プレイヤーも購入して使用できる。
プレイヤーが操作可能。特徴的な姿勢変更を再現。
ヒューマンシナリオ「追撃:ブレイズ」にて、ラスボスとして登場
キャンペーンほか、マルチプレイに登場。

脚注

  1. ^ a b c Ronald O'Rourke (2011年3月10日). “V-22 Osprey Tilt-Rotor Aircraft: Background and Issues for Congress” (PDF). Federation of American Scientists. 2011年6月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 「オスプレイは危険な航空機なのか?」『航空ファン』2010年12月号、P.50-P.68
  3. ^ 第二次世界大戦中にもF5Uの原型機の試験飛行まで漕ぎ着けている
  4. ^ イランアメリカ大使館人質事件の救出計画として実施された1980年4月のアメリカ軍によるイーグルクロー作戦の失敗が、政府高官レベルでの新型軍用機の開発要求につながったと言われる。
  5. ^ 江畑謙介2002『最新・アメリカの軍事力』
  6. ^ スポンソン後部にもオプションで燃料タンクを搭載可能とされるが、容量等は不明である。
  7. ^ a b c d “オスプレイに「自動回転」機能の欠如 実用性乏しい/切り替えも危険”. しんぶん赤旗. (2011年8月17日). http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-17/2011081701_03_1.html 2012年6月28日閲覧。 
  8. ^ a b 松堂秀樹 (2012年1月21日). “オスプレイ緊急着陸 固定翼のみ 米軍操縦士が説明”. 琉球新報. http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186500-storytopic-53.html 2012年6月21日閲覧。 
  9. ^ [1]
  10. ^ EICAS/CDU画面とその操作パネルは、右側席となる機長が左手で操作する出力制御レバー (TCL) のために中央より左側に寄っている。
  11. ^ Raytheon Company: AN/AAQ-27A MWIR Staring Sensor
  12. ^ 統合型無線周波数対抗手段装置 (SIRFC) は、レーダー警戒受信機、電子支援手段レーダー位置測定、および妨害装置から構成されている。
  13. ^ キャビン床面は1,464kg/m2の積載荷重に耐えられる。
  14. ^ 琉球新報 2008年4月23日「オスプレイ配備 外相が可能性言及
  15. ^ ノースカロライナ州、ニューリバーの7個海兵航空群とは、VMMT-204, VMM-263 "Thunder Chickens", VMM-162 "Golden Eagles", VMM-266 "Fighting Griffins", VMM-261 "Bulls", VMM-365 "Blue Knights"(但し2010年第2四半期より転換), VMM-264 "Black Knights"(但し2010年第4四半期より転換)である。
  16. ^ カリフォルニア州、ミラマーの9個海兵航空群とは、VMMT-161(但し2010年第1四半期より2011年第2四半期までに転換), VMM-166(但し2010年第3四半期より2011年第4四半期までに転換), VMM-561(但し2011年第1四半期より2012年第2四半期までに転換、新編), VMM-165(但し2011年第3四半期より2012年第4四半期までに転換), VMM-562(但し2012年第1四半期より2013年第2四半期までに転換、新編), VMM-163(但し2012年第3四半期より2013年第4四半期までに転換), VMM-265(但し2013年第1四半期より2014年第2四半期までに転換), VMM-262(但し2014年第1四半期より2015年第2四半期までに転換), VMMT-164(但し2014年第3四半期より2015年第4四半期までに転換)である。
  17. ^ 日本の沖縄、普天間の2個海兵航空群とは、VMMT-561(但し2013年第1四半期にMAG-16から移動), VMM-562(但し2014年第1四半期にMAG-16から移動)である。
  18. ^ カリフォルニア州、キャンプ・ペンドルトンの3個海兵航空群とは、VMMT-164(MAG-16から移動), VMM-364(但し2015年第1四半期より2016年第2四半期までに転換), VMM-268(但し2015年第2四半期より2016年第4四半期までに転換)である。
  19. ^ ハワイ州、カネオヘの2個海兵航空群とは、VMMT-166(但し2014年第4四半期にMAG-16から移動), VMM-163(但し2015年第1四半期にMAG-16から移動)である。
  20. ^ グアムのアンダーセン空軍基地の1個海兵航空群とは、VMMT-363(但し2016年第4四半期より転換予定)
  21. ^ 予備役の4個海兵航空群の内の2つは、VMM-764(但し2013年第3四半期より2014年第4四半期までに転換)と VMM-764(但し2015年第3四半期より2016年第4四半期までに転換)であり、他の2個海兵航空群は未定である。
  22. ^ 新型輸送機「オスプレイ」、複数の国が購入に関心=米軍(ロイター2012年07月11日)
  23. ^ オスプレイ事故、5年で58件 米軍資料で判明
  24. ^ “Osprey damaged after precautionary landing”. 海兵隊タイムズ (Marine Corps Times). (2009年5月28日). http://www.marinecorpstimes.com/news/2009/05/marine_osprey_052809w/ 2012年4月24日閲覧. "“The grass fire was quickly extinguished by the crew chief, but caused an undetermined amount of heat damage to the aircraft exterior,” the Marine statement said." 
  25. ^ Official: Osprey crashed after Marines unloaded - Marine Corps Times(2012年4月12日付、2012年4月15日閲覧)
  26. ^ Osprey crashes during military exercise - U.S. Marine Corps(2012年4月15日閲覧)
  27. ^ オスプレイ墜落、5人負傷 米フロリダ州で訓練中
  28. ^ 米空軍へ3機の海兵隊型MV-22型が改造後に導入される。
  29. ^ 米空軍の購入計画は2002年度発注-2005年度納入分2機、2004年度発注-2006年度納入分2機、2005年度発注-2007年度納入分3機、2006年度発注-2008年度納入分5機、2007年度発注-2009年度納入分2機+1機、2008年度発注-2010/2012年度納入分5機、2009年度発注-2011-2012年度納入分6機、2010年度発注-2012-2013年度納入分5機、2011年度発注-2013年度納入分5機、2012年度発注-2014年度納入分5機、2013年度発注-2015年度納入分4機、2014年度発注-2016年度納入分3機となっている。+で示したのはGWOT(世界規模での対テロ戦争)の追加予算で加えられた分である。
  30. ^ 短距離離陸滑走距離は、短距離離陸時最大離陸重量でもエンジン角度を75度にして91m以下で離陸が可能であり、60度にすると183mとなる。
  31. ^ 空虚重量は15,177kgという情報もある。航空ファン2010年12月号
  32. ^ 琉球新報2007/01/04 - オスプレイ、エンジン停止訓練想定 米軍内部文書で判明
  33. ^ “V-22 Osprey: A Flying Shame”, Time Magazine, (2007), http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1666282,00.html 
  34. ^ a b “「原因は操縦ミス」 オスプレイモロッコ墜落”. 琉球新報. (2012年6月27日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-193128-storytopic-1.html 2012年6月28日閲覧。 
  35. ^ http://blogs.itmedia.co.jp/sakamoto/2012/07/osprey-mv22-cv2-8d5f.html 米軍機 オスプレイ事故率は高いのか?低いのか?:図解して事実を見抜く方法
  36. ^ FAAはV-22などのティルトローター機を対象として「Powered lift英語版」という新しいカテゴリーのライセンスを設置している[2]
  37. ^ 垂直離着陸機V22オスプレイ 写真特集 時事通信. (2008-07-22). 2012年6月28日閲覧。
  38. ^ “Tenacious Efforts to Accomplish Another V-22 Milestone.”. U.S. Navy(米国海軍). (2009年6月17日). http://www.navair.navy.mil/v22/index.cfm?fuseaction=news.detail&id=213 2012年4月24日閲覧。 
  39. ^ 国防高等研究計画局 (DARPA) (16 November 2009). DARPA-BAA 10-10, Thermal Management System (TMS) (Report). 2012年4月24日閲覧MV-22 Osprey has resulted in ship flight deck buckling that has been attributed to the excessive heat impact from engine exhaust plumes. Navy studies have indicated that repeated deck buckling will likely cause deck failure before planned ship life. {{cite report}}: 不明な引数|coauthors=は無視されます。(もしかして:|author=) (説明)いずれも英語版Wikipediaより)
  40. ^ 防衛省 (19 December 2011). 防防日第15061号 MV-22オスプレイ配備について(回答) (PDF) (Report). p. 15-17. 2012年4月24日閲覧ハワイへのMV-22等の配備に係る環境影響評価書案 (DEIS) によれば、「未舗装地でのMV-22の運用は安全に達成することが可能である。航空機直下の植生の回避、未舗装着陸帯での航空機着陸時間の制限といった追加的運用措置により、すでにわずかにしか起こりえない危険性を更に小さくすることができる。MV-22はカネオヘベイ基地においては舗装された飛行場及び着陸帯において運用される。これらの条件、排気デフレクタ、及び、当該基地における既存の原野火災管理対応マニュアルに鑑み、MV-22の排気により原野火災が引き起こされる危険性は低く、追加的措置を必要とされない。」と評価されている。 {{cite report}}: 不明な引数|coauthors=が空白で指定されています。 (説明)
  41. ^ [3]
  42. ^ V-22 Osprey
  43. ^ aviationweek.com "V-22 UAV Deployment?"

参考文献

関連項目

外部リンク

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