ガルフストリーム G500

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ガルフストリーム G500/G550

ガルフストリーム G550

ガルフストリーム G550

ガルフストリーム G500は、アメリカ合衆国航空機メーカーであるガルフストリーム・エアロスペースが同社のガルフストリーム Vを改良する形で開発したビジネスジェット機である。初飛行は2002年

ハイエンド型のG550もこの項で記述する。

概要[編集]

1995年に開発された同社のガルフストリーム V(以下GV)のコンセプトを継承したモデルがこのG500/G550である。

基本的な性能等はGVから変わってはいないが、高度15,545 m(51,000 ft)においても1,829 m(6,000 ft)レベルの機内気圧(約0.8気圧)を維持する高性能な与圧設備を搭載している。また、窓の大型化やキャビンの拡大、インテリアデザインの変更などの改良が為されている。なお、G500とG550の外見上の違いはほとんどない。

このビジネスジェット機としての評価は高く、高級チャーター機や有名な政治家芸能人企業家プライベートジェット(G500/G550に限った事ではないが)、各国政府・軍の要人(VIP)輸送機(後述)等、幅広く使われているビジネスジェットの代名詞と言える。

G500[編集]

G550のコックピット 左の機長席の上には折り畳まれたヘッドアップディスプレイがある

廉価モデル。コックピットにはガルフストリーム社独自のハネウェル社製大型LCDパネルを4台搭載しており、飛行情報等が表示される。こちらは航続距離がG550より2,000 kmほど短く、EVS(後述)はオプションとなっている。

G550[編集]

G500のハイエンドモデルで、ガルフストリームのフラッグシップモデル。燃料タンク容量の増加により航続距離が6,750海里(約12,500 km)に延長され、EVSを標準装備。このG550はビジネスジェット機の中でも最長の航続距離を誇り、成田空港ニューヨーク間を無着陸で飛行できる。

EVS (Enhanced Vision System)[編集]

HUD(ヘッドアップディスプレイ)に赤外線カメラを設置し、夜間着陸時や視界不良等の悪天候下でもモノクロ映像で鮮明に地形をHUDに表示させる機能。

開発の経緯[編集]

ガルフストリームG550は、1999年から「GV-SP」という名で開発が始まった。SPは「Special Performance」の略である[1]

GV-SPは、その前モデルであるガルフストリーム V(GV)に対して様々な改良がなされた[2]

  • PlaneViewTMという新たなコックピット・スイートにより、HUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)、EVS(拡張型ビジョン・システム)などの最新の技術を搭載。EVSは、赤外線カメラの情報をHUDに映すので、気象条件や視界が悪い状態でも離着陸を安全にする。
  • GVは6個のブラウン管ディスプレイをコックピットに使っていたが、GV-SPはそれを4個の14インチ液晶ディスプレイに置き換えた。この大画面化、多機能化により、衛星経由の気象情報、図式化されたフライトプラン、地形や領空の境界も表示できる地図、空港の離着陸方法など、多様な情報をパイロットに提供できるようになった。
  • GVは乗客12人構成が標準的だったが、GV-SPはキャビンの大きさが広がったことで、乗客16人が快適に座れ、最大8人分の寝台に変えることもできる。
  • GV-SPは、GVよりも航続距離が462km(250海里)伸び、12,487km(6,750海里)飛行できる。向かい風の状況でも、乗客8人を乗せて、ニューヨーク・東京間をノンストップ飛行できる。

2001年8月31日、GV-SPの試験1号機が初飛行をした。量産1号機は2002年6月に披露され、翌7月に5時間1分の初飛行を行った。2002年9月のNBAA(全米ビジネス航空協会)の年次総会の際に、GV-SPはG550に改名することが発表された。そして2003年8月14日に、FAA(連邦航空局)から型式証明を受けた。最初のG550は、2003年9月17日にデリバリーされた[3]

G500はG550の搭載燃料を減らしたバージョンで、キャビンサイズや電子機器など多くの面で共通である。G500は搭載燃料が減ったため、航続距離はG550よりも1,852km(1,000海里)短い10,742km(5,800海里)である。しかし軽くなるため、離陸距離はG550よりも228m(760フィート)短い1,545m(5,150フィート)となり、滑走路が短い小規模の空港でも利用可能である。G500は2003年12月にFAA(連邦航空局)から型式証明を受け、2004年5月に最初のデリバリーが行われた[4]

軍用機としての運用[編集]

G500/G550(特にG550)はGV同様、軍用機としての需要も高い。例としてアメリカ合衆国空軍ではVIP輸送機としてC-37Bの名称で運用している他、アゼルバイジャンクウェートモロッコナイジェリアサウジアラビアタンザニアでも政府専用機あるいはVIP輸送機としてG550が採用されている。

イスラエル空軍では、G550に"Nahshon"(ナフション)のニックネームを付け運用している他、IAI社により後述する改造機種が開発され、こちらも運用、輸出されている。また、IAI社では、G550をベースとした空中給油機型についても検討中であると伝えられている[5][6]

G550 CAEW[編集]

シンガポール空軍のG550 CAEW

イスラエルのIAI社ではG550にEL/W-2085レーダーを搭載し早期警戒機 (AEW&C)に改造したG550 CAEW (Conformal Airborne Early Warning) を開発している。2010年からは海洋監視能力が付加され[7]、2017年には無人航空機を検出するセンサーが追加されている[8]

イスラエル軍では"Eitam"(あるいは、"Nahshon-Eitam")のニックネームを付け、2機が第122飛行隊に配備された他、シンガポールにも輸出されている。イタリアイスラエル空軍練習機としてM-346を採用した見返りとして、G550 CAEWの採用を決定し[9]、2016年12月を受領[10]、2017年3月より運用を開始した[11]。2014年には、アメリカ海軍がG550 CAEWの採用を決定した[12]

G500 SEMA[編集]

イスラエル空軍のG500 SEMA

IAI社ではG500をベースに電子戦機に改造した、G500 SEMA (Special Electronic Missions Aircraft) を開発し、"Shavit" (あるいは、"Nahshon-Shavit")のニックネームが付けられている。G500 SEMAはイスラエル空軍に3機が採用され、G550 CAEWと同様に第122飛行隊に配備されている。

スペック[編集]

Gulfstream G500

G500[編集]

  • 全長:29.4m
  • 全幅:28.5m
  • 全高:7.89m
  • 自重:21.8t
  • 乗員 - 2名(及び乗務員2名まで)
  • 搭乗可能乗客数 - 14〜19名
  • 最大航続距離 - 10,742 km (5.800 nm)
  • 最大巡航高度 - 15,545 m (51.000 ft)
  • 巡航速度 - 850 km/h / マッハ0.8
  • 積載量 - 2,948 kg (6,500 lb)
  • 最大離陸重量 - 38,601 kg (85,100 lb)
  • 最大着陸重量 - 34,156 kg (75,300 lb)
  • 最大燃料搭載量 - 15,966 kg (35,200 lb)
  • 客室長 - 15.3 m (50.1 ft)
  • 客室高 - 1.88 m (6.2 ft)
  • 客室幅 - 2.24 m(7.4 ft)
  • 貨物室 - 6.4 m(226 ft)
  • エンジン - ロールス・ロイス BR710 ターボファン(それぞれ68.4 kN (15,385 lbf))

G550[編集]

※G500との相違点のみ掲載

  • 自重:21.9t
  • 最大航続距離 - 12,501 km(6,750 nm)
  • 最大巡航高度 - 15,545 m(51,000 ft)
  • 積載量 - 2,812 kg (6,200 lb)
  • 最大離陸重量 - 41,277 kg (91,000 lb)
  • 最大着陸重量 - 34,156 kg (75,300 lb)
  • 最大燃料搭載量 - 18,733 kg (41,300 lb)

脚注[編集]

  1. ^ "Gulfstream G550 Receives Federal Aviation Administration Aircraft Type Certificate". Gulfstream. August 14, 2003.
  2. ^ "Gulfstream Launches The New Gulfstream V-SP". Gulfstream. October 09, 2000.
  3. ^ "Gulfstream G550 and G500 In-service Fleet Surpasses 200,000 Flight Hours". Gulfstream. April 25, 2008.
  4. ^ "Gulfstream Delivers First G500 Business-Jet Aircraft to Customer". Gulfstream. May 20, 2004.
  5. ^ Egozi, Arie. "IAI and Gulfstream planning G550 tanker". Flight International, August 13, 2007.
  6. ^ Egozi, Arie. "IAI continues to evaluate G550 for air refuelling". Flight International, December 23, 2010.
  7. ^ IAI to adapt G550 for maritime surveillance role
  8. ^ Israel steps up UAV defences with Eitam update
  9. ^ Italy Expands Airborne C4ISR Capabilities
  10. ^ Italy receives first of two G550 CAEW aircraft from Israel
  11. ^ Italian G550 CAEW enters service | Air Forces Monthly
  12. ^ U. S. Navy: 早期警戒管制機としてGulfstream G550の採用を決定

関連項目[編集]

外部リンク[編集]