コンテンツにスキップ

冒険王 (漫画雑誌)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
別冊冒険王から転送)
冒険王
(ぼうけんおう)
ジャンル 漫画・芸能・記事など
読者対象 小学生
刊行頻度 月刊と臨時増刊
発売国 日本の旗 日本
定価 390円(休刊時)
出版社 秋田書店
刊行期間 1949年 - 1983年
姉妹誌 まんが王
テンプレートを表示

冒険王』(ぼうけんおう)は、1949年から1983年にかけて秋田書店が発刊していた月刊漫画雑誌。1970年代に児童向けテレビまんが誌に路線変更した。

ここでは、1966年から1974年に発刊していた『別冊冒険王(映画テレビマガジン)』と、本誌が1983年に改名した『TVアニメマガジン』についても記述する。

概要

[編集]

1949年に『少年少女冐險王』の誌名で創刊[1]。『少年クラブ』、『少年画報』、『少年』の競合誌として、戦後の子供向け漫画雑誌の一時代を築いた。増刊号として刊行された『漫画王』は兄弟誌として独立した。

その誌名の通り、冒険ものの作品を多く掲載し、初期には誌名のサブタイトルに『痛快・漫画と読物』とあるよう、漫画に限らず小説も連載されていた。

1956年2月号から『冒険王』に誌名変更。

1960年代後半、週刊誌の台頭で競合誌の休刊が相次ぎ、漫画のラインナップ面で試行錯誤を続ける中、秋田書店自身ももう一つの月刊漫画雑誌『月刊少年チャンピオン[注釈 1]』を創刊。そして1971年12月に講談社が新たに創刊した『テレビマガジン』の影響を受け、特撮・アニメ作品の大挙掲載を開始する[2][1]。しかし、漫画誌としての側面は失われておらず[1]、特撮・アニメ作品とのバランスをとることで『テレビランド』、『てれびくん』といった後続の競合誌との差別化を図った[2]。またこの時期には、芸能関連やバラエティ番組の人気キャラクター、スポーツ選手などの記事にも他誌より力を入れた。

1970年代前半には定期別冊で『映画テレビマガジン』が刊行されていた。

テレビアニメとのコミカライズとしては、アニメ版監督・設定デザイン者の松本零士自身による『宇宙戦艦ヤマト』の連載[注釈 2]、また『機動戦士ガンダム』のコミカライズなどがある。後の視点から振り返れば一大アニメブームを生み出した豪華作品をラインナップしたことになるが、結果としてそれを活かすことができず、『宇宙戦艦ヤマト』については、松本にとってアニメの設定制作と並行しつつテレビ放映と歩調を合わせることが難しく、「ダイジェスト版になってしまった」とのコメントを残す結果となっている[注釈 3]。『宇宙戦艦ヤマト2[注釈 4]に至ってはテレビ放映が終了してなお連載を継続したものの(松本零士が映画『銀河鉄道999』の制作に注力するためにたびたび休載したあげく[注釈 5])、物語が中盤までしか進んでいないまま未完で連載中断に終わっており、『宇宙戦艦ヤマトIII』では他の漫画家が作画を行うこととなった。

1978 - 79年には創刊30周年を迎えるにあたり、漫画雑誌としての原点回帰を図ったこともあったが、この時期に新たに創刊された『コロコロコミック』にも部数面で追い抜かれることになる。やがてオリジナル漫画の規模を縮小していき、『テレビマガジン』『てれびくん』『テレビランド』と同様の誌面内容にシフトし、1982年からは表紙に「テレビと映画のチャンピオン」という副題がつけられた。この時期は西武ライオンズ榊原郁恵松本伊代イモ欽トリオなどのアイドルの記事が掲載されるも、売れ行きは低迷の一途をたどり、結局1983年4月号を最後に誌名を『TVアニメマガジン』に改めての再出発となった。

掲載作品一覧

[編集]

※漫画作品から特撮・アニメ・児童向けドラマとして映像化された作品に関しては漫画作品扱いとする。

漫画作品

[編集]
  • 沙漠の魔王福島鉄次、1949年3月創刊号 - 1956年2月号・1957年4月号 - 9月号、創刊号のみ「ポップ少年の冒険・ダイヤ魔神」のタイトル)
  • 怪童彌太丸(作:水島喬、絵:土村正壽、1949年3月創刊号 - 7月号)
  • 新バグダットの盗賊(松下井知夫、1949年3月創刊号 - )
  • 白豹王子(作:平岡野里男、絵:土村正壽、1949年4月号 - 9月号)
  • 流星變化(作:月居信雄、絵:三谷一馬、1949年8月号 - )
  • ぴかどん小僧(白路徹、1949年8月号 - )
  • 西部の旋風兒(作:村岡龍夫、絵:戸塚孝、1949年9月号 - )
  • イガグリくん福井英一→作:福井英一、絵:清水春雄→竹山のぼる→有川旭一、1952年3月号 - 1954年8月号(福井版)・1954年9月号-1960年12月号 )
  • K2王国(作:香山滋、絵:福島鉄次)
  • 熱血仮面(岡友彦)
  • 花も嵐も(永松健)
  • 木刀くん(高野よしてる
  • がっちりどん平(古沢日出夫、1956年1月号 - )
  • はやぶさ頭巾(東浦美津夫、 - 1957年9月号)
  • 千葉の小天狗(山口あきら、1956年1月号 - )
  • 漫画日本史(鈴木光明
  • 少年ニッポン(関谷ひさし、 - 1957年12月号)
  • LOST WORLD 前世紀星(手塚治虫、1955年1月号 - 4月号)
  • 茶々若丸
  • スーパーマン(提供:ナナ通信、1956年1月号 - )
  • 練兵館の鬼(作:中沢巠夫、絵:石井治、1956年1月号 - )
  • 山岳少年(作:小山勝清、絵:古賀亜十夫、1956年1月号 - )
  • もえる極光(小松崎茂、1956年1月号 - )
  • 紅こうもり(石井治、 - 1956年2月号)
  • 黒胴月之助(山田常夫、1956年2月号 - )
  • 水戸黄門太田じろう、 - 1956年3月号)
  • 鉄腕パンチくん(入江修、 - 1956年3月号)
  • 探偵四郎(木下としお、1956年8月号 - 11月号)
  • 山の章太郎(永島慎二、1956年5月号 - 9月号)
  • 嵐風之助(遠藤政治、1956年7月号 - 9月号)
  • ライオンくん(下山長平、1956年9月号 - )
  • 怪獣博士(福元一義、1956年10月号 - 1957年2月号)
  • いなづま半次捕物帳(夢野凡天、1956年11月号 - )
  • こがらし大助(横山光輝、1956年11月号 - 1957年2月号付録)
  • ハリケーン太郎(土屋一平、1956年9月号 - )
  • ひよどり天兵(武内つなよし、1956年2月号 - )
  • 疾風剣士(福島鉄次、1957年1月号 - )
  • 火の玉竜之進(田中久、 - 1957年4月号)
  • 変相魔人(作:梶原一騎、絵:桑田次郎、1957年4月号 - 9月号)
  • 仮面1957(笹川利行、 - 1957年5月号)
  • まぼろし太郎(社領系明、 - 1957年5月号)
  • がんばり太郎(阿部和助、 - 1957年5月号)
  • 月笛小太郎(土屋一平、 - 1957年5月号)
  • 西鉄武蔵(作:五十公野清一、絵:吉田郁也、1957年6月号 - 9月号)
  • 伊勢新九郎(作:井口朝生、絵:南村喬、 - 1957年8月号)
  • スタジオくん(うしおそうじ、1957年7月号 - )
  • 清水次郎長(作:細島喜美、絵:沢貞勝、1957年10月号 - 12月号)
  • 六太物語(作:宮崎博史、絵:岩田浩昌、 - 1957年10月号)
  • 黒胴くん(小松立美、1957年10月号 - )
  • あらわし頭巾(東村登、1957年10月号 - )
  • 軍犬吹雪よさらば(作:棟田博、絵:古賀亜十夫、1957年11月号・12月号)
  • せむし魔人(作:梶原一騎、絵:岩田浩昌、1957年11月号 - )
  • われは空の子(関谷ひさし、1957年11月号 - )
  • 鉄腕リキヤ(吉田竜夫、 - 1957年12月号)
  • 桃太郎頭巾(逗子文哉、 - 1957年12月号)
  • ジャジャ馬くん関谷ひさし、1958年1月号 - 1963年12月号)
  • 白雪剣之助(作:長谷公二、絵:九里一平、1960年1月号 - )
  • 鉄腕キング(高野よしてる、1960年1月号 - )
  • きんとき小僧(有川旭一、1960年1月号 - )
  • ダイナミック探偵(天馬正人、1960年3月号 - )
  • 黒帯快男児(田中正雄、1960年1月号 - 5月号)
  • 東京パトロール(武内つなよし、 - 1960年5月号)
  • はりきり一ちゃん(下山長平、1960年5月号 - )
  • 空の王者ジェットマン(三島みちひこ、 - 1960年6月号)
  • がめついくん(コン太郎、1960年6月号 - )
  • ピカドンくん(ムロタニツネ象
  • ゼロ戦レッド(貝塚ひろし
  • わんぱく太閤記(大野ゆたか、 - 1961年3月号)
  • 宝石城Z(堀江卓、 - 1961年3月号)
  • 拳銃エース(影丸譲也[4]、 - 1961年11月号)
  • 地球王子(石川球太、1961年3月号 - )
  • カン太郎(赤塚不二夫、 - 1961年9月号)
  • おいらは金時(板井レンタロー、1961年9月号 - )
  • スキップケン(小沢さとる、1961年9月号 - )
  • 風の伊賀丸(小山春夫、1961年11月号 - )
  • 指令000(九里一平、 - 1961年11月号)
  • ザンバ(石川球太)
  • 烈剣五郎(小沢さとる)
  • ハリケーンGメン(九里一平)
  • ミスター巨人(伊東あきお)
  • 潜水艦スーパー99松本零士、1964年11月号 - 1965年12月号)
  • 半月拳四郎(夢野凡天)
  • 虹をよぶ拳(作:梶原一騎、絵:つのだじろう
  • 魔神ガロン手塚治虫
  • 卜伝くん(一峰大二
  • 少年潜水艦隊(荘司利雄)
  • 秘密戦隊ハリケーン(貝塚ひろし)
  • テレビ小僧(石森章太郎、1966年10月号 - )
  • ズーズーC(森田拳次
  • ライバル左腕(つのだじろう)
  • アキレ太くん(板井れんたろう
  • ジャングル太郎(伊東あきお)
  • №0(関谷ひさし)
  • どろろ(手塚治虫)
  • 夕やけ番長(作:梶原一騎、絵:荘司としお、 - 1971年3月号)
  • おれたちと奴(作:真樹日佐夫絵:林ひさお
  • サド公爵(ジョージ秋山
  • 怪盗20世紀(作:真樹日佐夫、絵:渡辺さだよし)
  • 突撃どアホウ(城たけし)
  • 炎の紋章(作:おづか敬吾、絵:大倉元則)
  • ドタマジン太(板井れんたろう)
  • フラッシュ雷太(今村ゆたか)
  • ファイターNo.1(作:小池一雄、絵:北野英明
  • ゴキブリ旋風(水島新司
  • サンダー大王横山光輝、1971年10月号 - 1972年11月号)
  • 太平洋の下手投げ(作:近藤唯之、絵:荘司としお)
  • マスクマン0(作:小池一雄、絵:小畑じゅんじ、 - 1972年6月号)
  • 格闘王V(作:梶原一騎、絵:みね武、 - 1971年11月号)
  • ごろまき健(石井いさみ、 - 1971年11月号)
  • 海っ子大将(作:神保史郎、絵:大竹豊、1971年12月号 - 1972年4月号)
  • スーパーめだまん(小山田つとむ、 - 1972年6月号)
  • メチャクチャNo.1(赤塚不二夫
  • 大バカ探偵はくち小五郎(赤塚不二夫、1972年6月号 - )
  • ハレホレいたずら教室(しのだひでお、 - 1972年12月号)
  • エロスくん(井谷好志、 - 1972年12月号)
  • ニャンニャンニャンダ(赤塚不二夫)
  • サイボーグ009石森章太郎
  • 冒険家族はしれ!ドンキー号(作:田中英二、絵:小山田つとむ)
  • ピコピコロボベエ(ジョージ秋山、1973年5月号 - )
  • ひょうたん内山まもる、1974年8月号 - 1979年7月号)
  • 冒険探偵クルス(作:三木孝祐、絵:岩田廉太郎)
  • おれの太陽(古城武司、 - 1978年8月号)
  • ハッスル!父ちゃん
  • わんぱく勲章(作:絵土伴太、絵:金沢博、1977年2月号 - )
  • エースの球ちゃん(貝塚ひろし、1977年4月号 - )
  • アタック健坊(成井紀郎、1977年7月号 - )
  • スクラム青春(小畑じゅんじ、1977年7月号 - )
  • 花子先生(とりいかずよし、1977年8月号 - 1981年6月号)
  • 昔ばなしまんが劇場(森田拳次、1977年7月号別冊ふろく - )
  • とんでもナイト(しごと大介、1979年6月号 - )
  • ジャリ園長(はまだよしみ)
  • 男物語(なかやま九一、1978年11月号 - )
  • 熱球ゴン(貝塚ひろし、1980年2月号 - 1981年4月号)
  • キーマン(うしおそうじ・小山田つとむ、 - 1981年7月号)
  • キャンバス小僧(やまと虹一)
  • マッハSOS桜多吾作とダイナミックプロ、1977年4月号 - )
  • 戦え!インベーダー・ハンター(山崎晴也・田辺節雄)
  • ちゃんこファミリー(村生ミオ、 - 1981年10月号)
  • チャレンジくん(しごと大介、 - 1981年6月号)
  • ロボットそん59(リッキー谷内、1980年9月号 - 1981年10月号)
  • ミルキーコマンド銀河戦士(作:石津嵐、絵:新谷かおる
  • CARボーイ(関谷ひさし、1978年9月号 - )
  • ンなバ~~~~カな?(南泉寿、1981年2月号 - 1983年4月号)
  • どちょんぼサッタン(高梨鉄平)
  • マジたん(貝塚ひろし、1981年5月号 - 10月号)
  • 銭ダケ平次(しごと大介、1981年7月号 - 1982年6月号)
  • トマトン(はやししげき、1981年7月号 - 1983年4月号)
  • あにまるタウン(ミスター・どおなっつ、1981年8月号 - 1982年1月号)
  • バイバイモギー(カキ・オラ、1982年1月号 - 9月号)
  • ハイ!私、刑事です(シュン・タロー、1982年3月号 - 1983年4月号)
  • ぷれい・ばっく(なかにしあきら、1982年8月号 - 1983年4月号)
  • スーパー家族GO!GO!Sマン(村形順子・木村知生、1982年4月号 - 7月号)
  • ICブッシュマンの大冒険(小山田つとむ、1982年10月号 - 12月号)
  • 妖怪パトロール タケルがきた(のなかみのる、1983年1月号 - 4月号)

ほか

特撮作品

[編集]

アニメ作品

[編集]

ドラマ

[編集]

その他

[編集]

別冊冒険王

[編集]

『別冊冒険王』は、1966年から1974年にかけて秋田書店が発刊していた漫画雑誌

1966年に『冒険王』の別冊の季刊誌として創刊。1972年夏季号から児童向けテレビ漫画誌に路線変更し、副表題『映画テレビマガジン』が付くようになった[2][1]。1973年4月号から月刊化し、児童向けテレビ雑誌として初めてB5ワイド判型となった[2][1]オイルショックの影響により、1974年2月号にて休刊[2][1]

誌面リニューアルについて当時編集長を務めていた成田清美は、『冒険王』本誌の漫画雑誌としての体裁を保つため、『別冊』をグラビア主体とすることで差別化を図ったとしている[1]

『映画テレビマガジン』の名は、のちにアニメのムックに使われた。

TVアニメマガジン

[編集]

『冒険王』は、1983年5月号にて誌名を『TVアニメマガジン』に変更した[1]。誌面のサイズは『冒険王』のB5サイズからABサイズに変更された。だが、競合誌の『テレビマガジン』に酷似した誌名や、売れ行きの悪さから、翌1984年1月号から早くも誌名ロゴを変更、サイズをB5に戻す。しかし状況を立て直すことはできず、1984年6月号を最後に休刊が決定[2]。発行年数は『冒険王』時代を含め35年であった。

掲載作品一覧(TVアニメマガジン)

[編集]

特撮作品(TVアニメマガジン)

[編集]

アニメ作品(TVアニメマガジン)

[編集]

その他

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 創刊時の1970 - 1974年までは「別冊少年チャンピオン」として刊行されていた。
  2. ^ 原作者の西崎義展は企画・原案者としてクレジット。
  3. ^ サンデーコミックス『宇宙戦艦ヤマト』(第1巻)のカバー折り返しに記載されている著者近影コメントによる[3]
  4. ^ a b 松本零士による連載漫画のタイトルは『宇宙戦艦ヤマト』のままである。
  5. ^ 休載となった1979年8、9、11月号には、松本零士による「劇場用999の製作のため止む無く休載する」旨のお詫びのコメントが掲載された[要ページ番号]
  6. ^ 1990年代に松本が原作権を主張して係争となった後、西崎が原作者とされている。
  7. ^ 後継作品『宇宙刑事シャイダー』は、TVアニメマガジンでは掲載されなかった。
  8. ^ 葦プロダクション制作でテレビアニメ化が予定されていたが、お蔵入りになった。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h OFM仮面ライダー11 2004, p. 30, 高橋和光「ヒット商品の舞台ウラ 第10回 冒険王(秋田書店)」
  2. ^ a b c d e f 変身ヒーロー大全集 1995, p. 179, 「変身ブーム博物館II 雑誌」
  3. ^ 松本零士・著、秋田書店刊サンデーコミックスSC-287『宇宙戦艦ヤマト』(第1巻)、ISBNコードなし(後に重版により取得:ISBN 978-4-253-06330-2)、1975年7月20日発行。
  4. ^ 影丸譲也『出身県別 現代人物事典 西日本版』p851 サン・データ・システム 1980年

参考文献

[編集]
  • テレビマガジン特別編集 変身ヒーロー大全集』講談社、1995年11月30日。ISBN 4-06-178419-6 
  • 『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー』 Vol.11、講談社、2004年12月10日。ISBN 4-06-367096-1 

関連項目

[編集]

サイボーグ009 (アニメ)