科学における不正行為

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科学における不正行為(かがくにおけるふせいこうい、: scientific misconduct)とは、科学学問としての規範や、研究を行う際に守るべき研究倫理基準に対し、違反する行為のことを指す。研究不正(けんきゅうふせい)ともいう。

公的機関において研究不正が認定された場合、実行者や監督者は処分を受ける。海外では刑事罰による収監[1][2]や医師免許剥奪[3][4][5]も行われている。死刑を定めている国もある[6]。日本では死刑は定められていないが、関係者が自死したケースは複数存在する。STAP事件のようにメディアに盛んに報じられた場合は、大きな社会的制裁も受ける。

定義

ランセット誌では以下の定義が紹介されている[7]

  • デンマーク の定義:科学的メッセージの改竄(かいざん)や歪曲をもたらす故意または重大な過失。科学者に誤った信用や注目が与えられること。
  • スウェーデンの定義:データの捏造による意図的な研究プロセスの歪曲。他の研究者の原稿や出版物からのデータ、文章、仮説、方法の盗用。その他の方法での研究プロセスの歪曲。

再現性の問題は?

データの再現性は、厳密には研究不正とは別個の概念とされる。混同することを戒める書籍も存在する[8]。(「再現性」や「再実験」という言葉を使うこと自体が間違っている、再現するものがそもそも存在しない、という考え方もある。)

一方、捏造や改竄がなされたデータに再現性があることは原理的に考えにくい。また、再現性の有無は、研究不正がもたらした実害を決めるものである。そのため、実験科学において研究不正の疑惑が発覚した場合、再現性の問題は必然的に強い関心を呼ぶ。

2015年の衆議院において、文部科学省の政務官は、研究不正の調査に再実験が含まれる場合があることを言及した[9]

分類

以下の行為に分類されることが多い。

捏造、改竄、盗用の3つは、英語の頭文字をとってFFPと呼ばれ、研究不正の中でも特に重大なものと考えられている。

産業技術総合研究所の夏目徹は、2008年の日本分子生物学会のシンポジウムにおいて、捏造は以下の4つに分類されると提唱した[10]

  1. ボトムアップ出来心型
  2. ボトムアップ確信犯型
  3. トップダウン恫喝型
  4. トップダウン洗脳型

要因

ドナルド・クレッシーによると、組織が絡んだ犯罪は、「機会(実行を可能にする機会・手段)」「動機(実行に至った事情)」「正当化(自らを納得させる理由付け)」 の3つの要素が満たされた時に起こるとされる。このうち動機については、研究不正の場合、「publish or perish」と呼ばれる研究者の過酷な競争に原因があるとする見方がある[11]。また、製薬企業等の特定の組織から研究費を受け取るようないわゆる利益相反が存在する場合、研究者はその特定の組織が有利になるような論文を発表する傾向があると言われている。

防止策

教育

日本では、STAP事件等を契機として、公的研究費を用いる研究者に対して研究倫理教育の受講が義務化された。しかしながら、日本分子生物学会で研究倫理教育を2007年~2009年に担当していた東京大学分子細胞生物学研究所の研究室で2012年に大量の不正論文が見つかる事態になったこと[12]を踏まえると、研究倫理教育だけで防止できるとは考えにくい。事実、事態を受けて研究倫理教育をさらに強化していた渦中の東京大学分子細胞生物学研究所で、2016年に2件目の大きな不正事件が発覚した[13]

記録

実験ノートをしっかり書き、それを管理することが防止につながるとする意見もある。日本学術会議は、不正行為対策として、研究活動を記録した実験ノート、論文等を発表する根拠となった文書・数値・画像等、研究に関わる資料等を原則10年間保存することを研究者に義務づけるガイドラインを2015年に提唱した[14]

第三者機関

米国では研究不正行為を防止し、また事件が起きた場合に不正行為の有無の調査や判定などを行うために、研究公正局という機関が設置されている。日本では、議論はあるものの、設置は見送られている。

巻き込まれた時の対処

弱い立場の大学院生やポストドクターが研究不正に巻き込まれると、過失がなくても多大な損害を受ける。もっとも直接的な影響は、他人と共同作業を行うことへの不信感や科学全般への絶望といった心理的なダメージであると言われる[15]。政府や大学は、巻き込まれた大学院生やポストドクターに対する手当は用意していない。周辺の教員が個々に対応している状況である[16]科学技術振興機構は、The Lab[17]という研究不正に巻き込まれることを疑似体験できる米国の教材において、どのような選択肢を選んでも大学院生にはハッピーエンドがないことを認めている[18]。仮に所属研究室の不正に気付いた場合は、研究室の運命を左右する問題を一人で背負うことは危険であるので、研究不正行為が行われている場から離れた後に信頼できる機関に情報提供することが望ましいとされる[19]。純粋な被害者であっても、加害者の濡れ衣を着させられる可能性はある。データを捏造する人間が無実の罪を捏造しない保証はない。

起きている頻度

2013年の日本分子生物学会のアンケートでは、10.1%の人が所属研究室で研究不正を目撃したことがあると回答している[20]

捏造・改竄・盗用

エリザベス・ビクは、20,000報の論文を調査した結果、4%の医学論文に不正が疑われる画像を見つけたことを2016年に発表した[21]

二重投稿

二重投稿は700万報の論文にあるという推計がある[22]

ギフトオーサーシップ

一部の文化圏では、ギフトオーサーシップを行って良いとする風潮があると言われる[23]

モスクワの有機元素化合物研究所 (IOC) の研究員ユーリイ・ストルチコフは、10年間で948本もの論文の「共著」になっている。これは「IOCの施設を利用する見返りとして、IOCの人間を共著者に入れるのが慣習化していた」ことによるものであった。この件でストルチコフはイグノーベル賞を受賞した[24]

参考:再現性について

2012年に製薬企業アムジェンが調べたところ、有名なガン研究の論文の89%に再現性が無かった[25]。また、有名な心理学の論文のうち再現性があったのは39%だったという報告が2015年にある[26]。再現性の有無に研究不正がどの程度関与しているかは不明ではある。

不正行為の具体例

大きく一般報道された事案や、その後の研究に大きな影響を与えた事件を中心に取り上げる。最終的に不正が認定されなかった事案を含む。

時期 事件名
関係者名
研究所
大学
事件内容 補記
1909年 ピルトダウン人事件 1909年から1912年にかけてイギリスでチャールズ・ドーソンによって旧石器時代の人骨が"発見"され、「ピルトダウン人」と名づけられたが、捏造された偽造化石の可能性が当初から疑われていた。1953年に初めて偽造と判明した。
1926年 サンバガエル捏造事件 オーストリアの遺伝学者パウル・カンメラー英語版は、19世紀初頭にラマルクが唱えた用不用説を証明するために、サンバガエルを水中で交尾させることで婚姻瘤の発現が見られることを発表。ところが、他の研究者の検証によって婚姻瘤がカエルの足に着色することによる捏造だったことが判明。カンメラーは自らを陥れるための陰謀だと主張したが受け入れられず、ピストル自殺した。 ネオ・ラマルキズム」の項も参照。
1933年 長崎医大博士号贈収賄事件 長崎医科大学 長崎医科大学教授だった勝矢信司は、1926年に同大教授に赴任して暫くして博士論文の指導や添削の謝礼として指導下の学生や博士号を取得する開業医から謝礼を受け取っていたが、やがてエスカレートして刀剣の鑑定料として多額の謝礼を受け取るばかりか、調度品を贈られたり旅行などで供応行為を受けていた。1933年に勝矢への贈収賄が発覚し、勝矢の指導下で医学博士を授与された開業医が検挙。さらに勝矢ばかりか同大教授だった浅田一赤松宗二も捜査を受け、勝矢ら三教授は辞任した(後に勝矢は免職処分となる)。 この事件の背景には長崎医大内での浅田ら東京帝大出身教授と勝矢ら京都帝大出身教授の対立があり、それが博士論文の審査にまで影響して公平性を失しているとの開業医の仮処分(結局却下)をきっかけに発覚した。事態の発覚に伴い、学生や同窓生から全教授の辞任を要求する声が挙がり、一時は教授ばかりか助教授講師助手全員が辞表を提出する事態に発展。文部省は勝矢と彼の実弟を含めた四教授を辞職させ、小室要学長を更迭・高山正雄を新学長に就任させた。
1974年 サマーリン事件 メモリアル・スローン・ケタリング癌研究所英語版 ウィリアム・サマーリンが、ネズミの皮膚にマーカーペンで黒い点を複数描き、皮膚移植が成功したかのように見せかけた。
1980年 アルサブティ事件 イラクからヨルダンを経てアメリカ合衆国へ留学した医師エリアス・アルサブティは、テンプル大学に研究職のポストを得るものの成績が振るわず失職。その後、ジェファーソン医科大学へ移籍したが、そこで実験データの捏造が発覚。大学を追われいくつもの研究機関を転々とするものの、その際に無名の学術雑誌に掲載されていた論文を多数盗用し別の無名の学術雑誌に投稿することを繰り返した。そのうち60数件が実際に掲載されアルサブティの実績となってしまったものの、アルサブティの技能の拙さに不審を感じた同僚研究者の調査や元の論文著者の抗議から事態が発覚。医師免許を剥奪された[4] 査読」の項も参照。
1981年 スペクター事件 コーネル大学 コーネル大学の大学院生マーク・スペクター (Mark Spector) は、ガン発生のメカニズムについて新発見をしたと発表。指導教授エフレイム・ラッカー英語版の指導の下スペクターは次から次へと成果を挙げたものの、実験データの不自然さと追試が成功しなかったことから実験データの捏造が発覚。論文が撤回されたばかりか経歴詐称までも判明し、スペクターは退学処分となった。 福岡伸一著「世界は分けてもわからない」に概要が記されている。
1981年 クローンマウス事件 ジェネーブ大学カール・イルメンゼードイツ語版アメリカジャクソン研究所のピーター・ホッペは、1977年にハツカネズミの体細胞から細胞核移植によってクローン生物を生成することができると発表。これまで哺乳類では不可能といわれていたクローンが、哺乳動物でも可能ということで世界的に反響をもたらしたが、他の実験者による再現実験では成功せず、さらにイルメンゼーがデータを故意に操作していたとの内部告発もあり、1981年にイルメンゼーの一連の研究は「捏造とは断定できないものの、信頼性に重大な疑問が残る」という調査結果を発表。イルメンゼーへの研究助成は打ち切られ、その後大学の職を辞する事となった。この事件以降、一時的にクローン生物研究は世界的に下火となった。
1986年 ボルティモア事件 マサチューセッツ工科大学 免疫学者テレザ・イマニシ=カリがデータを捏造したと部下が告発したが、イマニシの属していた研究室の主宰者だったデビッド・ボルティモア(ノーベル賞受賞者)がその告発を受け入れなかった。一度は有罪とされたが、再審査においては「証拠は見つからなかった」として告発は却下された。 この事件で、真相究明が難航したことが、アメリカ合衆国の研究公正局 (ORI) の前身となった機関である科学公正局の設立のきっかけとなったとも言われることがある。
1994年 ピアース事件 イギリスの産科医師ピアース (Malcolm Pearce) が、臨床例を捏造して、それをもとに論文を作成し、自身が編集委員を務める英国産科婦人科学会誌に発表した。編集委員長を論文共著者としていたが (= gift authership)、その編集委員長が辞任した。 英国が科学者による不正行為の対策に本格的に取り組むきっかけとなったともいわれる。
1997年 ヘルマン・ブラッハ事件 フリードヘルム・ヘルマンドイツ語版とマリオン・ブラッハ (Marion Brach) が、1988年から1996年の間に発表した細胞成長に関する37論文で、デジタル画像の捏造やデータ操作・偽造が行われたことが、両者の研究スタッフからの内部告発によって発覚。ヘルマンとブラッハは詐欺の容疑で起訴されたが、結局援助されていた資金を返還することで和解した。 ヘルマンとブラッハの研究はドイツ研究基金とドイツ癌研究援助基金から多額の資金援助を受けていたこともあり、5年後に発覚したベル研シェーン事件を含めてドイツ科学界に大きな影響を及ぼした。
1998年 MMRワクチン捏造論文事件英語版 アンドリュー・ウェイクフィールドが「新三種混合ワクチン予防接種自閉症になる」論文が『ランセット』に掲載された。12人の子供の患者を対象に研究し、「腸疾患」と「自閉症」と「三種混合ワクチン」が関連した新しい病気「自閉症的全腸炎(autistic enterocolitis)」を発見したと報告した。この論文掲載に対して『ランセット』は激しい批判に晒された。
2004年2月に『ランセット』は、同論文の一部撤回を発表し、2010年に『ランセット』は、この論文を正式に撤回した[27][5]
イギリスアメリカ合衆国カナダオーストラリアニュージーランドにおいて、ワクチン接種が激減、麻疹 に感染する子供が増加した。
アンドリュー・ウェイクフィールドは、イギリスの医師免許剥奪の懲戒処分を受けた。
2000年 旧石器捏造事件 藤村新一が30年ほど前から発見していた、旧石器の発見が捏造であったことが毎日新聞のスクープによって暴露された。 発覚の影響は大きく、検定済教科書において、歴史教科書の記述削除を余儀なくされた。
2002年 ベル研シェーン事件 ベル研究所 ベル研究所の科学者ヘンドリック・シェーンが作成し2000年から2001年にかけて『サイエンス』誌に掲載された論文10編および『ネイチャー』誌掲載の論文7編が、後に捏造であることが判明し、全て撤回された。 ヘンドリック・シェーンはこの一件で、ベル研究所を解雇され、コンスタンツ大学からは博士の学位を剥奪された[28]
2002年 ヴィクトル・ニノフ バークレー研究所 1999年に最重元素(超ウラン元素)が発見されたとしていた研究の実験データが偽造されていたと判明し、論文を撤回[29]
2005年 大阪大学医学部論文不正事件 大阪大学 2005年6月に、実験データの不適切な掲載を理由として、Nature Medicine誌の論文 (Nat Med. 2004 Nov;10(11):1208-15.) が撤回された。大阪大学は、筆頭著者の大学院生を実行犯と認定し、監督者の教員2名は停職処分にした[30]。一方、実行犯と認定された筆頭著者が関与していない別の論文 (Science. 2005 Jan 21;307(5708):426-30) も、再現性が取れなかったとして2007年10月に撤回された。
2005年 東京大学工学部のRNA研究室の事件 東京大学 遺伝子の働きを制御するリボ核酸に関する論文について、疑義が浮上。日本RNA学会が東京大学に調査を依頼した。反証として提示したABIのシークエンサーのデータが、データ作成当時はABIから販売されていなかったはずの新しいバージョンのソフトウェアを用いて作られたものであったことなどから、2006年3月に「データは偽造された可能性が高い」とされた[31] この不正行為から東京大学は教授と助教を懲戒解雇したが、教授は解雇は不当として東京大学と裁判で争っていた。一審・二審ともに教授側の責任を認め「解雇は妥当」と結論付けた[32]
2005年 ES細胞論文不正事件 ソウル大学 黄禹錫(ファン・ウソク)が行っていたクローン胚ES細胞研究に疑義が発生。2006年1月に調査委員会により捏造だと断定され、論文は撤回。

黄禹錫はこの一件で、研究助成金など8億3500万ウォン(約6500万円)を騙し取ったと認定され、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

捏造が認定されたものの、NT-1株についての物質特許とES細胞の作成方法について、2011年カナダ2014年アメリカで特許が成立している。なお、韓国ではNT-1株の存在が認められておらず、訴訟が続いている[33]。後の検証でES細胞の作製と世界初となるヒトの単為生殖に成功していたことは認められたが、論文が不正であり、論文に記された作成に至る経過とは関係なく偶然できた物と検証されたため、世界初の業績であるとはみなされていない[34]
2006年 Jon Sudbø ノルウェー・ラジウム病院 口腔癌に関するJon Sudbøらの医学論文において、偽造データが使われていたことが判明[35][29][3]
2006年 杉野明雄 大阪大学 大阪大学大学院生命機能研究科教授の杉野明雄による論文不正が発覚し、懲戒解雇された。杉野の研究室の男性助手を含む複数の共同論文著者らは、研究データを杉野に改竄され、論文を米国の生物化学専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー (Journal of Biological Chemistry)」誌に投稿されたと指摘していた[36]。男性助手はその後、毒物のアジ化ナトリウムを飲み自殺した[37] 日本分子生物学会で研究不正問題に関するシンポジウムが開かれる契機となった。
2006年 松本和子 早稲田大学 研究費の大量流用が行われた。内閣府の要職も務めていた者の事件であったことから、この事件は国の研究資金の管理が厳しくなる大きな契機となった。
2007年 東北大学総長の疑惑 東北大学 東北大学の総長に対して研究不正の疑義が内外から寄せられ[38]、様々な調査が行われたが、総長が自ら辞職することはなかった。東北大学の総長は告発した教授に対して名誉毀損の訴訟を起こした。
2010年 アニリール・セルカン 東京大学
宇宙航空研究開発機構
東京大学大学院工学系研究科の助教であったアニリール・セルカンの経歴詐称、業績の捏造、剽窃が判明。学位取り消し、懲戒解雇相当の処分が下された[39] この事件の追及を担った11jigenは、その後5年近くに渡り多くの研究不正事件の発覚に関わった。
2010年 森直樹 琉球大学 修士論文や博士論文の発表会における学生の様子を見れば、何かが起きていることは誰でも容易に分かる状態であったと言われる[要出典]。しかし、大学はそれを放置した。

論文が投稿された学術誌から指摘を2010年3月に受け、同大学は4月に調査委を設置。38編の論文について不正があるとの調査結果が発表され、森は8月に一旦懲戒解雇処分となったが、その後の訴訟の結果、和解が成立し解雇処分は無効となった。また、内部調査では不正ではないとされていた琉球大学学長自身が共著として名を連ねていた論文が、外部調査委により不正と認定され、内部調査の在り方へ疑念が広がった[40]

2012年 藤井善隆 東京医科歯科大学

筑波大学

東邦大学

東邦大学の准教授で日本麻酔科学会に所属する医師藤井善隆が、1991年から2011年に発表した論文212本のうち、172本にデータ捏造の不正があったとする調査結果を日本麻酔科学会の調査特別委員会が発表した。藤井は同年2月に東邦大で書いた論文に研究手続き違反があったとして、諭旨免職処分となり、同年8月には日本麻酔科学会も自主的に退会した[41] この事件の論文撤回数は、世界でも1位の数である。この1位という順位を、日本の研究不正が深刻である根拠とする言論もある[8][42]
2012年 ムン・ヒュンイン 東亜大学校 韓国、釜山の東亜大学校教授のムン・ヒュンインが、科学論文を科学雑誌に投稿した際に、ムン自身が管理できるようにしていた偽名科学者のメールアドレスを、論文の査読者の連絡先として推薦し、自分自身で論文査読し、論文を受理させるという前代未聞の研究不正が発覚し、合計35報のムンの論文が撤回された[43]
2012年 森口尚史 東京大学医学部附属病院 山中伸弥がiPS細胞でノーベル賞を受賞した直後、東京大学医学部附属病院特任研究員の森口尚史がiPS細胞を使った世界初の臨床応用として心筋移植手術を6件実施したと学会発表した。読売新聞はこのことを1面トップで大きくスクープした。しかし、少なくとも、5件が虚偽であることが発覚し、東京大学医学部附属病院から懲戒免職処分を受けた[44]。読売新聞は、報道に関わった社員を処分した。
2013年 ディオバン事件 京都府立医科大学
東京慈恵会医科大学
滋賀医科大学
千葉大学
名古屋大学
バルサルタン(商品名ディオバン)というノバルティスファーマが販売していた降圧剤についての臨床試験の論文が、京都府立医科大学東京慈恵会医科大学千葉大学名古屋大学滋賀医科大学から同時期に別々に発表された。一部の論文はディオバンが他の降圧剤に比べて脳卒中の割合等を大きく下げるというような画期的なものであった。これらの論文の恩恵を受け、ディオバンは1兆円を超える売り上げを上げた。しかしながら、由井芳樹のLancet誌における告発[45]等を契機として、5つの大学のいずれの論文にも不正があり、また、いずれの論文の作成にもノバルティスファーマの社員が関わっているという利益相反の問題が発覚した。千葉大学を除いて、論文の責任著者は引責した。千葉大学は、千葉大学から大阪大学を経て東京大学に異動していた論文の責任著者を処分するよう東大に勧告したが、東大は処分を行わなかった[46]
2014年 STAP細胞研究不正事件 理化学研究所

ハーバード大学

東京女子医科大学

2014年1月末にSTAP研究が発表され、筆頭著者は一夜にして時代の寵児になった。しかしながら、様々な論文不正の疑義が数週間後には発覚し、騒動の末、論文は撤回された。この騒動はメディアで極めて盛んに取り上げられ[47]、理化学研究所に関連する法案の提出延期や理化学研究所のセンターが解体される事態にまで発展した。論文の調査や検証実験が行われている最中、8月5日に論文の共著者であった笹井芳樹自殺を遂げた。
2014年 早稲田大学博士論文不正問題 早稲田大学 STAP事件を契機として、STAP細胞論文の筆頭著者を含めた早稲田大学先進理工学研究科の多数の学生の博士論文において大量の盗用剽窃が発覚した。このため早稲田大学は、先進理工学研究科280本の博士論文も調査することになった[48]。早稲田大学は、62件の学位論文を訂正したが、STAP細胞論文の筆頭著者以外の学位の取り消しは行わなかったことを発表した[49]
2014年 東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野の論文不正 東京大学 2011年の年末から2012年の年初にかけて、Nature誌に掲載された大量訂正によって疑念を抱いたインターネット上の匿名集団が、2チャンネルの「捏造、不正論文総合スレ」に、20報以上の論文に不正が疑われるデータが掲載されていることを記載した[50][51]。この研究室は日本分子生物学会で若手を対象とした研究倫理教育を行っていた研究室であったため、学会では大きな問題になった[12]。東大の調査は3年に渡り、最終的に33報の不正行為を2014年12月26日に認定した。不正行為の認定にあたって、東大総長は自らをも処分した[52]。研究室の出身者が異動していた筑波大学や群馬大学でも関連して調査や処分が行われた。
2015年 匿名Aによる論文大量不正疑義事件 札幌医科大学東北大学東京慈恵会医科大学東京大学東京医科歯科大学慶應義塾大学日本大学金沢大学名古屋大学京都大学京都府立医科大学大阪大学大阪医科大学近畿大学関西医科大学徳島大学九州大学杏林大学立命館大学広島大学長崎国際大学宮城県立病院機構宮城県立がんセンター・国立感染症研究所国立病院機構京都医療センター理化学研究所 日本全国の様々な研究機関から発表された約80本の医学系の論文において、不正な人為的加工や流用などが疑われる画像データが掲載されていることが、2013年の日本分子生物学会年会のために開設されたウェブサイト「日本の科学を考える」の「捏造問題にもっと怒りを」というトピック[53]のコメント欄に、「匿名A」を名乗る人物によって、2014年の年末から2015年の年初にかけて相次いで指摘された。2015年1月6日には同様の趣旨の匿名告発が文部科学省に対して文書で行われた。

最も多い28本の疑義が指摘された大阪大学は、責任著者が別の論文捏造事件で懲戒解雇された1本の論文を除く27本について予備調査を行い、1本については疑義を否定し、7本については不注意による誤使用と判断し、残りの19本については「データが残っていないため不正の事実が確認できず、これ以上の調査は困難」として調査を打ち切った[54]。12本の疑義が指摘された東京大学は、予備調査の結果、全ての論文について不正行為が存在する疑いはないと発表した[55]

STAP事件よりはるかにスキャンダラスかつ重大な事件に発展する可能性も報道された[56]

参議院議員の櫻井充は、参議院議長への質問主意書において、東京大学は調査の内容を全く明らかにしていないと指摘した。また、調査責任者は被告発者と親しい医学部の研究者が務めたという情報を明らかにした[57]

2016年 岡山大学における論文不正問題 岡山大学 岡山大学病院に勤務する教授らが執筆者となっている、2006年発表のステロイドホルモンに関する論文について、画像の切り貼りなどの不正があったと、同大学医歯薬学総合研究科の教授2人が学内の調査委員会に告発した。この論文には当時の岡山大学長が関わっていた。調査委は実際に切り貼りがあったと確認したにもかかわらず、本来必要となるデータと照合しないまま不正なしと判断し、調査結果も公表していなかったことが、2016年1月4日付の毎日新聞の報道で発覚した[58]。告発をした2名の教授は懲戒解雇の処分をされた[59] 文部科学省のガイドラインでは、論文に不正がなかったと判断した場合は、調査結果の公表はしないと定められており、この裏をかく形で、調査が所属機関に有利になるよう進められる、あるいは、杜撰な調査で不正が見逃されるなどしたとしても、外部からの検証が困難になる問題点が指摘されている[60]
2016年 Ordinary_researchers」による東京大学への論文不正疑義事件 東京大学 2016年8月末に、東京大学が医学系の論文不正の予備調査を行なっていることが報道された。2016年9月20日に、東京大学は、捏造及び改ざんの疑いがあるという匿名の申立てが2016年8月にあった6名の22報の論文について、本格的な調査を行なうことを明らかにした[61]。2017年8月3日、東京大学は、分子細胞生物学研究所の5報の論文を不正と認定し、医学部の論文については全て不正なしと一行だけ記載した文書を公開した[62]。調査報告書の全文は、大部分が黒塗りの状態で後日公開された[63]

東京大学の池上徹は、2018年の分子生物学会のポスター発表において、分子細胞生物学研究所の助教が研究不正とはやや言い難いデータを基に処分されたことは、医学部が全て不正なしとされたことと比較すると不合理であると主張した[64]

2016年10月12日に、参議院議員の櫻井充は、参議院議長への質問主意書において、東京大学の調査範囲と調査委員選考について質問した[57]

2016年10月25日に、参議院議員の足立信也は、参議院の厚生労働委員会において、疑義がかけられているアディポロンの研究に関して東京大学と理化学研究所が共同して特許を申請していることを指摘し、理化学研究所の責任について質問した[65]

2017年 東日本大震災及び熊本地震 (2016年)等の地震波データ捏造問題 大阪大学など 2017年9月27日に、土木学会のホームページに、大阪大学准教授らが2016年に米国地震学会誌Seismological Research Lettersに論文発表した熊本地震 (2016年)の波形データについて、重要な匿名の情報提供があり、深刻に受け止めて公的な対応を検討しているという記事が掲載された[66]

2019年1月26日に、大阪大学准教授が東日本大震災の地震波データについても不正をしていた疑いが強いことが報じられた[67]

2019年3月15日に大阪大学は調査結果を公表し、5報の論文に捏造や改ざんなどの不正行為が認定された[68]。調査中に准教授が死亡したため、北海道南西沖地震阪神大震災等を扱っていた残りの論文については判定留保又は判定不能となった。

2019年 ハルデン原子炉での捏造問題 ノルウェーエネルギー技術研究所 1990年から2005年の間にハルデン原子炉で行なった核燃料試験の結果が捏造されていたことが2020年5月に発表された[69]。この捏造データは多くの国際機関にも提供されていたものであるが、捏造の詳細は何も明らかになっておらず、捏造が他の原子炉に与える影響も不明である。この捏造問題の調査が開始されたことは、日本の原子力規制委員会も2019年8月には把握している[70]。2019年1月の原子力規制委員会の記者会見では、ハルデン原子炉の廃止が突然決まったことについて海外でも危機感を持たれていることが報告されていた[71]
2020年 コロナの女王 白鴎大学 2000年頃、国立感染症研究所ウイルス3部の研究員の論文について疑義が浮上した。2002年5月17日、国立感染症研究所所長の吉倉廣は、研究員の論文の取り下げの要求と、ワクチンの国家検定へ研究員が関与することを禁止する旨を記載した文書を発出した。研究員の配偶者も所員であったこともあり、表沙汰にはならなかった。その後研究員は白鴎大学の教授となった。2020年の新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、国立感染症研究所のOBが陰謀によりPCR検査を制限している旨の発言をワイドショーの生放送で行ったことを受け、国立感染症研究所のOB3名が週刊文春に2000年頃の事件の情報を提供した[72] 週刊文春の報道は安倍晋三内閣総理大臣も認識している[73]
2020年 肺がんの臨床試験に関わる不正 大阪大学国立循環器病研究センター 2015年から行われていた「非小細胞肺がん手術適応症例に対する周術期hANP(ハンプ)投与の多施設共同ランダム化第Ⅱ相比較試験(JANP study)」の根拠となる論文に不正があったことが2020年08月18日に発表された[74]。この論文の筆頭著者については、大量訂正の問題が過去に指摘されていた[75]。2021年に大量訂正された論文に捏造、改ざんが認定[76]大量訂正は撤回回避と隠蔽の不正[77]大量訂正の論文は撤回[77]。JANP studyは中止、10件の健康被害が確認[77]
2020年 前年のノーベル賞受賞者への大量疑義の問題 ジョンズ・ホプキンズ大学オックスフォード大学 2020年のノーベル賞ウィークの最中、2019年のノーベル医学生理学賞を受賞した人物らの60報以上の論文に不自然な酷似画像等があることがPubPeerで指摘された[78]。ノーベル賞の受賞対象となったScience誌の論文に対しても指摘があった。

参考:特許権・特許明細書における捏造

特許の審査においては基本的に書面主義が採られており、書類上の一貫性が保たれていれば、発明の実施可能性や記述の科学的な正確性について、査読追試などによる検証は行われない。このため、金銭・利益優先で「架空のデータ」を用いた出願などの問題行為がまかり通ってしまっているとの指摘がある[注 1]

これらの検証は、特許の審査においては書類上その発明が実施可能と認められない場合(特許法36条)や、発明の実施可能性について第三者からの情報提供があった場合(特許法施行規則13条の2)に行われ、特許法194条には、その手段として、有識者への調査依頼なども定められている。また、より一般的には、特許が認められた後において、第三者が発明の実施可能性を理由として特許無効の審判を提起した際に行われる。さらに、刑事上は、虚偽の記載などの詐欺行為によって特許を受けた場合には、いわゆる特許詐欺罪に問われ、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる(特許法197条)。特許詐欺罪は特許審査官を欺罔する罪であり、国家的権威・機能の阻害から保護することが立法の目的[80]だ。

出願する上で重要となるのは、多くの観点からの請求項を含む特許請求の範囲(クレーム)や、上位概念的な請求項から実施例に対応した請求項まで多段階にわたる特許請求の範囲を、出願時に作成することだ。

幅の広いクレームを作成することによって、より権利範囲の広い特許を取得することができるため、実際には実験を行っていない範囲についてまで実施例として記載するなど、明らかに科学的手法を逸脱した記述の体裁が積極的に採用されることがある[要出典][注 2]。また、技術的な詳細の機微(ノウハウ)を可能な限り隠匿することで追従者の追跡を遅らせる意図から、実際には実験を行っていないにも関わらず、利用可能性のある要素すべてを網羅したり、数値範囲を広く記載するケースも多い[要出典][注 3]。この様な状況が野放し[要出典]とされているため、もはや特許公報は技術文献としての意味をなさなくなっている。

このような虚偽の記載を含んでいる発明が特許された場合であっても、特許の権利範囲は、特許権を実際に行使する場合に判断される。つまり、特許制度においては、権利付与時には書面上の審査がなされ、実際の権利行使時に書面中のデータなどの真正性が吟味とされるというシステムが実務上確立してしまっている[要出典]。しかしながら、現在、家電をはじめとする製品開発・技術は複雑化の一途を辿っており、一つの商品を製造するのに何百という特許を侵害する可能性を内包している。さらに、近年の特許侵害訴訟の乱発やパテントトロールの存在などを鑑みれば、無効事由を持つ特許に対して、本来必要でない、何ら生産性のない特許訴訟や警告書などに開発メーカーや技術者が対応を迫られる事が多発し、逆に新規の技術開発や量産・実施を阻害してしまっている。そのため、今後は審査の質の向上や、進歩性を初めとする審査基準の見直し、罰則の強化、明細書記載方法(本当に実施成功例なのか明確にするなど)など、抜本的な対策が望まれる[誰によって?]

科学や学術論文の執筆の領域では、公表時点で捏造改竄が問題になる。したがって、特許出願と同様の感覚で不正なデータを含む論文を公表した場合、科学の世界では科学の世界なりの処分が下る。ただし、近年、実験データを捏造して特許を出願した大学の研究者が処分された例なども出てきており、特許出願であるからデータの捏造が認められるという感覚は通用しなくなってきている[81]

脚注

注釈

  1. ^ 特許においての争点は新規性であり、データの正確性でないこと。またそのために不正確であったり捏造データを用いた出願が横行し、それによって学会・産業界がデータの再現性をめぐる混乱を来たすことが指摘されている[79]
  2. ^ 例えば、実際にはある素材の組成として物質Aを20〜30%含む場合しか実験していないのに、10〜50%含む場合も実施例として記載することにより、権利範囲を拡張することがある[要出典]
  3. ^ 例えば、ある素材を焼成するのにA元素にB元素をドーパントとして利用する場合、B元素を隠匿する目的で同族元素を列挙したり[要出典]、ドープ量の比率を0.1〜30.0%、より適切には0.3〜10.0%などと実態を可能な限り把握されない工夫がなされる[要出典]

出典

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関連書籍

  • W.ブロード、N.ウェイド 『背信の科学者たち』牧野賢治訳、講談社、2014年(原著は1983年)。ISBN 978-4062190954
  • 科学朝日『スキャンダルの科学史』朝日新聞社、1989年。ISBN 978-4022560711
  • 酒井シヅ、三浦雅弘、アレクサンダー・コーン『科学の罠―過失と不正の科学史』工作舎、1990年。ISBN 978-4875021681
  • ロバート・S. メンデルソン『医者が患者をだますとき』草思社、1999年。ISBN 978-4794208545
  • 山崎茂明『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用』丸善、2002年。ISBN 978-4621070215
  • 李成柱『国家を騙した科学者―「ES細胞」論文捏造事件の真相』牧野出版、2006年。ISBN 978-4895000956
  • 村松秀『論文捏造』中央公論新社〈中公新書ラクレ〉、2006年。ISBN 978-4121502261
  • 石黒武彦『科学の社会化シンドローム』岩波科学ライブラリー、2007年。ISBN 978-4000074711
  • 河内敏康、八田浩輔『偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う』毎日新聞社、2014年。ISBN 978-4620322827
  • 須田桃子『捏造の科学者 STAP細胞事件』文藝春秋、2015年。ISBN 978-4163901916
  • 小保方晴子『あの日』講談社、2016年。ISBN 978-4062200127
  • 田中智之、小出隆規、安井裕之『科学者の研究倫理 化学・ライフサイエンスを中心に』東京化学同人、2018年。ISBN 978-4807909476

関連項目

外部リンク