加藤茂明

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加藤 茂明
生誕 日本の旗 日本
居住 日本の旗 日本
フランスの旗 フランス
研究分野 生物学
細胞生物学
研究機関 東京農業大学
東京大学
ルイ・パスツール大学
相馬中央病院
出身校 東京大学
主な業績 核内レセプターの転写制御
主な受賞歴 読売テクノ・フォーラム ゴールド・メダル
プロジェクト:人物伝

加藤 茂明(かとう しげあき)は、日本分子生物学者[1]東京大学分子細胞生物学研究所エピゲノム疾患研究センター長などを経て、現在相馬中央病院放射線対策室長及び仙台厚生病院研究顧問[2]

遺伝情報を制御するレセプターの研究で著名[3]。加藤研究室出身者には柳澤純(元筑波大学教授)などがいる[4]

論文の捏造改ざんが疑われ、43本は撤回が妥当とされた[5]。2013年12月には中間報告、2014年8月には第一次の調査報告が行われ、51本の論文中5件の不正認定、及び実験ノート等の改ざん命令が指摘された[6][7]。なお2014年12月における最終報告では、全発表論文165本のうち33本について不正行為を認定した。また研究室内での特定グループの行為であり、研究室全体の不正行為では無いとの判断が下された[8]

経歴[編集]

1982年東京大学農学部農芸化学科卒業。1988年3月に東京大学大学院農学研究科農芸化学専攻を修了[9]し、「ウズラ輸卵管初代細胞培養系における卵白タンパク合成調節機構の解析」によって東京大学から農学博士を取得した[10]

1988年東京農業大学農学部農芸化学科助手となり、1992年から同助教授[11]1996年東京大学分子細胞生物学研究所助教授となり、1998年に教授に昇任[11]1998年には「遺伝情報を制御するステロイドホルモンレセプターの解明」が評価され、第4回 読売テクノ・フォーラム ゴールド・メダルを受賞[3]2010年からは新設された東京大学分子細胞生物学研究所エピゲノム疾患研究センター長を務めた[9]

責任著者として発表した複数の論文のデータの扱いに不適切な処理があったことへの監督責任をとるとして、2012年3月末で、東京大学を辞職した[1]。大学退職後は、医療法人社団茶畑会相馬中央病院の放射線対策室長に就任し[2]、更に医学部新設を目指して臨床研究センターの立ち上げを準備していた、一般財団法人厚生会仙台厚生病院の研究顧問も務めている[2]

論文不正問題[編集]

東大は2014年に、不適切な画像が含まれていた論文51本のうち、調査を終えた5本について不正を認定したと発表。加藤自身が直接不正行為を実行したわけではないが、研究室の教員や学生に対し、技術水準を超える実験結果を過度に要求し、強圧的な態度による不適切な指示を日常的に行い、それが捏造・改竄を生む原因となったと報告した[7][12][6][13][14]。最終報告では指示の存在は明確にされず、不正行為が発生する環境を作り上げた点を指摘された。また当時在籍した教員の転出後、不正論文が激減している点も報告されている[15]。 その後、調査の過程で、不正に関与していた元ゼミ生の研究論文に、歪曲や改竄などの問題点が発見され、該当する計3名の元学生の博士号が剥奪されたことが、東大広報部より正式に公表された[16]

業績[編集]

学位論文[編集]

著書(単著・共著)[編集]

  • 小川佳宏、加藤茂明、塩田邦郎、中尾光善、酒井寿郎、福岡秀興 共著 『栄養とエピジェネティクス : 食による身体変化と生活習慣病の分子機構』 ネスレ栄養科学会議 監修、建帛社、2012年4月。ISBN 978-4-7679-6166-8

著書(編集・監修)[編集]

  • 核内レセプターと情報伝達』 加藤茂明 企画、羊土社〈実験医学バイオサイエンス 16〉、1994年8月。ISBN 978-4-89706-759-9
  • 『転写制御とエピジェネティクス : ゲノムデコードに向けて』 加藤茂明 編、南山堂〈The frontiers in medical sciences〉、2008年12月。ISBN 9784525131319
  • 『受容体がわかる : シグナル伝達を司る受容体の機能から多様な生命現象まで』 加藤茂明 編、羊土社〈わかる実験医学シリーズ 基本&トピックス〉、2003年11月。ISBN 4897069580
  • 加藤茂明 編著 『現代栄養学を理解するための分子生物学入門』 光生館、2010年4月。ISBN 9784332020837
  • 『選択的エストロゲン受容体モジュレーター SERM』 松本俊夫、加藤茂明 編、医薬ジャーナル社、2001年1月。ISBN 4753218678
  • 『SERMのすべて』 松本俊夫、加藤茂明 編、医薬ジャーナル社、2005年2月。ISBN 4753221342
  • 『骨代謝と活性型ビタミンD 過去と現在、そして未来』 中村利孝、松本俊夫、加藤茂明 監修、ライフサイエンス出版、2006年9月。ISBN 4897752256
  • 『シグナル受容機構の解明が導く創薬・治療への躍進』 加藤茂明、植田和光 編、羊土社、2006年3月。ISBN 4758102694
  • 『最新の骨研究に迫る : 解明が進む分子機構と骨疾患、そして再生医療へ』 米田俊之、加藤茂明、松本俊夫 編、羊土社、2002年11月。

解説[編集]

特許[編集]

(1998年1月14日出願、2007年10月19日登録、出願人:中外製薬
(2010年9月30日出願、2014年5月9日登録、出願人:ベイバイオサイエンス株式会社、科学技術振興機構東京大学

特許出願[編集]

競争的資金[編集]

科学技術振興機構関連[編集]

科学技術振興機構(JST)産学連携・技術移転事業『研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)』産学協同促進ステージ[17]

代表者の科研費[編集]

分担者の科研費[編集]

加藤グループ関係者が代表者

その他、規模が大きい科研費

脚注[編集]

  1. ^ a b 杉本崇 (2012年4月5日). “東大教授、引責辞職 論文に不適切データ”. 朝日新聞・朝刊: p. 39  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  2. ^ a b c 講演会(加藤茂明先生)”. 仙台厚生病院 (2013年5月24日). 2014年8月23日閲覧。
  3. ^ a b 読売テクノ・フォーラム ゴールド・メダル受賞者一覧”. 2014年8月3日閲覧。
  4. ^ 柳澤純第3章 遺伝情報を制御する』(PDF) つくばサイエンスアカデミー。2014年8月10日閲覧。
  5. ^ 東大43論文に改ざん・捏造疑い 元教授グループ
  6. ^ a b “東大論文不正:元教授強圧的指導 調査委「懲戒処分相当」”. 毎日新聞. (2014年8月1日). http://mainichi.jp/select/news/20140801k0000e040207000c.html 2014年8月2日閲覧。 
  7. ^ a b “元教授が捏造を指示 東大が論文不正で調査報告”. 産経新聞. (2014年8月1日). http://sankei.jp.msn.com/science/news/140801/scn14080122570003-n1.htm 2014年8月3日閲覧。 
  8. ^ 記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について | 東京大学” (日本語). 東京大学. 2018年8月16日閲覧。
  9. ^ a b 第14回「大学と科学」ステロイドホルモンと脳科学-性 ストレス 脳をめぐって-”. クバプロ. 2013年8月15日閲覧。
  10. ^ 加藤茂明 『ウズラ輸卵管初代細胞培養系における卵白タンパク合成調節機構の解析』 東京大学〈博士論文(甲第7787号 農学博士)〉、1988年3月29日。2014年8月3日閲覧。国立国会図書館所蔵
  11. ^ a b 加藤茂明 (2000). “(総説 薬理学一21世紀への架け橋)核内レセプターを介した情報伝達機構” (PDF). 日薬理誌 116: 133∼140. doi:10.1254/fpj.116.133. https://doi.org/10.1254/fpj.116.133. 
  12. ^ “東大論文、研究不正に4人関与 調査報告を発表”. 共同通信. (2014年8月1日). http://www.47news.jp/CN/201408/CN2014080101001210.html 2014年8月2日閲覧。 
  13. ^ “東大論文「元教授ねつ造指示」”. NHK NEWS WEB. (2014年8月2日). http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20140801/3439011.html 
  14. ^ “東大論文不正:北川教授、捏造や改ざん 群大が研究活動精査へ/群馬”. 毎日新聞(地方版). (2014年8月2日). http://mainichi.jp/life/edu/news/20140802ddlk10040184000c.html 2014年8月11日閲覧。 
  15. ^ 記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について | 東京大学” (日本語). 東京大学. 2018年8月16日閲覧。
  16. ^ 東大、3人の博士号取り消し 論文の捏造や改ざん認定:朝日新聞デジタル
  17. ^ ○平成21年度第2回 【本格研究開発】”. 科学技術振興機構. 2014年8月11日閲覧。

参考文献[編集]

講演・取材など[編集]

公的文書[編集]

解説[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

公的機関

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