ガンガー

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ワニ(クンビーラ)に乗ったガンガー女神。ニューデリー国立博物館

ガンガーGaṅgā, गंगा, 恒河(ごうが))は、ヒンドゥー教に伝わる、ガンジス川を神格化した女神。インドでは川自体も「ガンガー」と呼ばれ、「ガンジス」は英語からの借用である[1]。「母なるガンガーGangamataji)」とも呼ばれる。乗り物(ヴァーハナ)はワニクンビーラ

神話によると、始めはガンガーはヴィシュヌ神の足の指から流れ出て、天界にあるブラフマーの町の周囲を周っていた。賢者バギーラタは、誤ってカピラ仙の怒りにふれ焼き殺された祖先の霊を浄化するために必要なガンガーの聖水を地上にもたらそうと、ヒマラヤ山中で修業を積んだ。ガンガー女神はその願いを受け入れたが、天界から地上へ落下するガンガーの奔流を受け止められるのはシヴァ神のみであると伝えた。バギーラタはカイラス山に赴きシヴァ神に祈りを捧げ願いを聞き届けられた。シヴァ神は地上に落下するガンガーを豊かな髪で受け止めヒマラヤ山中に注いだ。バギーラタの先祖の遺灰はその水で浄化され、霊は天国へ昇ることができた。それ以来、ガンガーは聖なる川として地上の人々に恵みをもたらし続けているとされる[2]。この神話を受けて、シヴァ神の像の髪の毛の中にガンガーが描出されているものが見られる。

ヴィシュヌあるいはシヴァの妻という説でもある。『ブラフマヴァイヴァルタ·プラーナ英語版』によれば、ヴィシュヌはサラスヴァティーラクシュミー、ガンガーという3人の妻を持っていたが、3人の間で争いが絶えなかったので、ヴィシュヌはサラスヴァティーをブラフマーに、ガンガーをシヴァに与え、自らがラクシュミーを妻にした。

ガンジス川(ガンガー)は現在でも「聖なる川」としてヒンドゥー教徒の信仰の対象であり、この川の水で沐浴すればすべての罪は浄められ、死後の遺灰をこの川に流せば輪廻から解脱できると信じられている。

脚注[編集]

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  1. ^ ガンガーの名は、『リグ・ヴェーダ』の中では比較的成立が新しい第1巻と第10巻に出てくる。石川寛「アーリア文化圏の形成と展開」 内藤雅雄・中村平治/編『南アジアの歴史 -複合的社会の歴史と文化-』有斐閣、2006年、33頁。
  2. ^ 森本達雄/著「ヒンドゥー教」(中公新書)162頁より。

関連項目[編集]