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シャチー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シャチー
神々の女王(インドラの神妃)
シャチー
インドの寺院におけるインドラ(左)とシャチー(右)の像。12世紀ごろ
デーヴァナーガリー शची
サンスクリット語 Śacī
位置づけ デーヴィー、マトリカス、アスラ
配偶神 インドラ
親 プローマン(父)
子供 ジャヤンタ、ジャヤンティ、デーヴァセーナー(英語版)
ヴァーハナ アイラーヴァタ
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シャチー(サンスクリット: Śacī)は、インド神話に登場する女神。アスラ(阿修羅)の娘でインドラ(帝釈天)の妻である。 怒りと嫉妬の女神ともされる。

漢訳仏典では舎脂(しゃし)[1]または舎支と音写されている。また仏教における帝釈天の人間時代における名前は憍尸迦(きょうしか)というので[注 1]「憍尸迦夫人」とも称される。逆に、帝釈天を舎脂鉢低(Śacīpati、シャチーの夫)とも呼ぶ[2]。


概要

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ヒンドゥー教では

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インドラーニーという名前において、バラモンの間でインドラが最も崇拝されていたリグ・ヴェーダに登場。これが彼女が言及される最古の文献である。後の時代に一般的になったシャチーという名前については、インドラの別の名前「Śacīpati」(「力の主」という意味だが、発音に基づいて「シャチーの夫」とも解釈できる)の誤解釈である可能性が高い[3]。 アスラ神族ダーナヴァ族プローマンの娘であり[4]、インドラに凌辱される[5]もののインドラを愛してしまう。プローマンはインドラとの戦いで敗れ戦死し、アスラ神族は追放される。しかし『タイッティリーヤ・ブラーフマナ』(Taittirīya-Brāhmaṇa)によれば、シャチーはその美貌によって他の競争者を退け、インドラに選ばれて結婚したとされている。『リグ・ヴェーダ』においてはシャチーは自分がインドラを征服したと述べている。一方で同じ賛歌において彼女は、神々に恋敵を排除するよう請う[6]。

『マハーバーラタ』では、インドラ王不在の際に代理の王として就いたナフシャから邪心を抱かれるが貞淑を貫いたという[1]。 『タントラ』によると、黄金の体でその手には雷またはインドラ同様ヴァジュラを持つとされる。

仏教では

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舎脂は毗摩質多羅阿修羅王の娘であった[7]。阿修羅王は帝釈天に舎脂を嫁がせたいと思っていた。が、帝釈天は待ちきれずとうとう舎脂を力ずくで奪い、凌辱した。それを怒った阿修羅王が帝釈天に戦いを挑むことになった。凌辱された後の舎脂は戦の最中であっても逆に帝釈天を愛してしまったことに阿修羅はさらに怒り[注 2]、争いは天界全部をも巻き込んでしまった。阿修羅は復讐に燃える悪鬼となってしまった。力の神である帝釈天に勝てる筈もなく敗れた阿修羅族はこれをきっかけに天界である忉利天と善見城から追放されてしまう(詳細は「阿修羅」の項を参照)。


脚注

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注釈

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  1. ↑ 『涅槃経』巻33や『大智度論』巻56には、帝釈天が人間だった頃の名前は憍尸迦(きょうしか、Kauśika)であると説かれている。しかし、これはあくまで仏教上の説話であってヒンドゥー教の説話ではない。
  2. ↑ 阿修羅神族に対する事実上の裏切りである。

出典

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  1. 1 2 『神の文化史事典』, p.262.
  2. ↑ 『雑阿含経』巻40
  3. ↑ A.K. Majumdar 編『Concise History of Ancient India: Hinduism: society, religion & philosophy』Munshiram Manoharlal Publishers、1977年。
  4. ↑ 『インド神話伝説辞典』, p.299.(プローマン)
  5. ↑ Sir Monier Monier-Williams『A Sanskrit-English dictionary』Clarendon Press、1982年、587頁。
  6. ↑ Archive, Internet Sacred Text. “Rig Veda: Rig-Veda, Book 10: HYMN CLIX. Saci Paulomi.” (English). Internet Sacred Text Archive. 2026年1月31日閲覧。
  7. ↑ “巻五第三十話 女の甘い声を聞き力を失った仙人の話”. 今昔物語集 現代語訳. 2026年4月24日閲覧。

参考文献

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  • 菅沼晃編 編『インド神話伝説辞典』東京堂出版、1985年3月。ISBN 978-4-490-10191-1。 
  • 渡邉たまき 著「シャチー」、松村一男他編 編『神の文化史事典』白水社、2013年2月、pp.262-263頁。ISBN 978-4-560-08265-2。 

関連項目

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