ヨーガ・スートラ

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ヨーガ・スートラ』(瑜伽経、ゆがきょう、とも)はインド哲学の1派であるヨーガ学派の根本経典。成立は2-4世紀頃。パタンジャリによって編纂されたとされる。『スートラ』は『糸』の意味であり、糸のようにパタンジャリが説いた短い言葉を連ねたものである。

ヨーガとは心の働きを抑制することである」の定義から始まり、三昧に至るまでの具体的方法としての8階梯と、その背景にある思想が述べられる。

構成[編集]

4章195節からなる。

  • 第1章(51節) - 概要・定義など
  • 第2章(55節) - 禁戒、勧戒、座法、調気法、制感など
  • 第3章(55節) - 凝念、静慮、三昧など
  • 第4章(34節) - 補足など

内容[編集]

8階梯のヨーガ[編集]

アシュタンガヨーガとも。(アシュト=8、アンガ=枝・手足)

  1. ヤマ:禁戒 - やってはいけないことを守る。暴力をふるわない・嘘をつかない・盗みをしない・貪らない・貞潔
  2. ニヤマ:勧戒 - すすめられるべき道徳。清浄・足るを知る・苦行・学誦・神霊への帰入
  3. アーサナ座法 - 正しい姿勢をとる。
  4. プラーナーヤーマ:調息 - 呼吸法プラーナ(気)を取り入れる。
  5. プラティヤーハーラ:制感 - 外側に向けていた感覚を内側に向け、内的感覚を養う。
  6. ダーラナー:凝念 - 意識を対象に集中させる。
  7. ディヤーナ(ディヤーン):観想(静慮) - 意識が対象から流出し、拡大する。「禅」はこの音写。
  8. サマーディ:三昧 - 意識が対象と一体化する。

イスラーム世界への影響[編集]

『インド誌』(1030年)を著したアブー・ライハーン・ビールーニーによってはじめてイスラーム系言語に翻訳された[1]。この書はあまり広く読まれなかったが、16世紀にアブル・ファズルがインド哲学諸派の解説で、忠実・簡潔に紹介し、同時代のヨーガ実践者たちの思弁と実践的に肉体と魂の鍛錬法はイスラームの知識人や修道者の関心を集め、14~17世紀の著名なスーフィー文人に帰せられる修道論や雑録などにまぎれこみ、18~19世紀のインド・ムスリムによるスーフィー文献にも色濃い影響を与えた[1]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ a b 榊和良 「ヨーガの実践とペルシア語訳『ゴーラクシャシャタカ』」東洋文化研究所紀要 163, 108-80, 2013-03

日本語訳[編集]

  • 『解説ヨーガ・スートラ』 佐保田鶴治 平河出版社
  • 『ヨーガ根本経典』 佐保田鶴治 平河出版社
  • 『インテグラル・ヨーガ (パタンジャリのヨーガ・スートラ)』 スワミ・サッチダーナンダ著 伊藤 久子訳 出版社:めるくまーる
  • 『やさしく学ぶYOGA哲学 ヨーガスートラ』向井田みお アンダーザライトYOGA BOOKS

外部リンク[編集]