サムパーティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
サムパーティが猿の一行と出会う場面。

サムパーティSampāti, : सम्पाति[1])は、インド叙事詩ラーマーヤナ』に登場する巨大なの王。老齢の禿鷹で、ヴィンディヤ山の山頂に棲む。カシュヤパ仙とヴィナターの息子アルナ[2][3]シュエーニーの子で[2]ジャターユの兄[4][3][5]透視の能力を持つ[6]

神話[編集]

兄弟の挑戦と太陽[編集]

『ラーマーヤナ』によると、かつてサムパーティとジャターユは、天に昇ってインドラ神を征服しようとした。しかし太陽に近づきすぎて、ジャターユがその熱で弱ったので、サムパーティは自分の翼の下にジャターユをかばった。そのためサムパーティの翼は燃えてしまい、ともに別々の場所に落下した。『マハーバーラタ』によるとジャターユとサムパーティはどちらが先に太陽神スーリヤの集会場に着くかを競ったが、サムパーティの翼は燃えて、ジャターユの翼は燃えなかったという[5]

サムパーティが落ちたのはヴィンディヤ山であり、死を決意したが、聖者ニシャーカラはいずれこの地にラーマ王子の使いが訪れるときがあり、そのときに再び翼が再生して力が回復するだろう、と予言したため、死を思いとどまった[7]

翼の再生[編集]

その後、ヴィンディヤ山にヴァナラ)の一行が現れたとき、サムパーティはこれを喰らおうとした。しかし彼らがジャターユの死を口にしたため、驚いて何者であるかを訪ねた。彼らは連れ去られたラーマの妃のシーターの捜索隊であると告げた。サムパーティは兄弟の死にひどく落ち込んだが、聖者の予言を思い出し、透視の力によって、シーターを連れ去ったのはラークシャーサの王ラーヴァナであり、その居城はランカー島にあることを教えた[7][8]。するとサムパーティの翼は予言通りに蘇り、新しい赤い羽毛に覆われ、サムパーティは天に飛翔した[7]

このサムパーティの教えによって、ハヌマーンは海原を飛び越えてランカーに忍び込んだ。

脚注[編集]

  1. ^ Sampati, Sampāti, Saṃpāti: 14 definitions”. Wisdom Library. 2021年10月6日閲覧。
  2. ^ a b 阿部知二訳、p.135。
  3. ^ a b 『マハーバーラタ』3巻263章1行。
  4. ^ 阿部知二訳、p.240。
  5. ^ a b 『マハーバーラタ』3巻266章47行-49行。
  6. ^ 阿部知二訳、p.241。
  7. ^ a b c 阿部知二訳、p.239-242。
  8. ^ 『マハーバーラタ』3巻266章50行-55行。

参考文献[編集]

  • 『ラーマーヤナ 世界文学全集III-2』阿部知二訳、講談社、1966年。
  • 『原典訳 マハーバーラタ4』上村勝彦訳、ちくま学芸文庫、2002年。ISBN 4-480-08604-8