報道番組

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報道番組(ほうどうばんぐみ 別名:ニュース番組)は、テレビラジオ放送局が、ニュース報道に特化したテレビ番組ラジオ番組の事を指す。放送局が報道機関として取材活動を行っている。

日本

NHKNHKニュースを始めとした番組を放送。民間放送はそれぞれニュース系列を結成。取材を効率よくするために、記事や映像の相互利用を行っている。

テレビ

ラジオ

世界

アメリカ

放送ネットワークがそれぞれ子会社を抱え、取材から番組制作までを受け持つ。また、放送局もそれぞれ地域内の報道番組を制作している。

イギリス

BBCニュースの他にITNとSky Newsなどがある。

歴史

報道番組の起源

報道番組の歴史はラジオ放送の時代から始まる。アメリカにおいての初期(第二次世界大戦以前)のラジオ放送は新聞社が発行部数減を憂慮し、ラジオ局の報道活動に反対。新聞社が配信する原稿をアナウンサーが伝える形式をとった。同時に「ニュース速報」だけはラジオ局が独自に伝えてよいこととなった。

CBSラジオは1930年代後半からは重大事件があった時に独自取材のニュース速報を伝え続けることで新聞社に対抗した。1938年にCBSはCBS記者が国内、またはヨーロッパ各地からリポートする『World News Roundup』を開始。この時に記者報告がラジオおよびテレビ報道の基本となる。

日本においては戦争を機に情報局を設置。当時唯一のラジオ局NHKは放送内容に関してはアナウンサーがあらかじめ用意された原稿を伝える形式を引き継いだが内容は情報局が発表したものを基本とされていた。

終戦を機に民間放送が相次いで開局した。しかし、開局当初はアナウンサーが「自殺幇助(じさつほうじょ)」を「じさつほうすけ」と「全焼(ぜんしょう)」を「まるやけ」と読むなど数多くの間違いを行って、世間は民放を『お詫び放送』と揶揄した。放送に関しては新聞の編集手法を踏襲した、何人もの手を加えて記事の完成度を高める手法がとられた。日本の新聞・放送が国外に比べ記者報告(署名記事)が少ないのはその為。よって、アナウンサーが用意された記事を伝えるニュースが日本の報道の基本となる。

日本の放送メディアにおける記者報告は海外派遣された記者による記事に多い。取材を少数(または1人)で行うためというのが大きな理由。記者報告が多い、海外の報道機関に触発されたのがきっかけという記者もいる。

1962年に放送を開始したTBSJNNニュースコープ』は日本で初めてのキャスターニュースとしてスタートした。当時キャスターを務めた田英夫ベトナムから戦争の模様を伝えるなど、従来アナウンサーが原稿を読むだけだった従来の報道番組のスタイルを大きく変えた。

『JNNニュースコープ』の影響を受けて、1974年に開始したNHK『ニュースセンター9時』はメインキャスターは全て記者でその多くが海外派遣経験があった。木村太郎キャスターの時代にはキャスターが現地から中継で報告する「ロケーションアンカー」を取り入れた。これらは当時報道局長だった島桂次(後のNHK会長)の方針によるものだった。

また、1971年には『RABニュースレーダー』(青森放送)や『山陽TVイブニングニュース(現・『RSKイブニングニュース』)』(山陽放送)が誕生し、ローカルワイドニュースの草分け的存在となり、日本全国の地方局に波及した。

スポットニュースは一部地方局で1980年代初頭まで顔出しすることがなかった。

ニュース番組の形式

現在、スポットニュースは1人、スポットニュース以外のニュース番組では男女2人1組で進行する形式が多い(ただし、土曜日6:30 - 6:45のJNNニュースのように女性アナウンサー2人1組で進行している場合もあり例外もある)。1時間以上のワイドニュースともなるとメインキャスター1人とサブキャスター2人の3人とスポーツ担当や天気予報担当合わせて5人以上で進行という局や番組もある。

かつては放送局所属のアナウンサー・報道記者(放送局系列の新聞社も含む)が担当するが、現在はそれに加えてフリーランスのアナウンサー・記者(フリージャーナリストなど)がキャスターを担当するケースも珍しくない。加えて『NEWS ZERO』のようにアイドルタレントや女優がキャスター(主に担当するコーナーキャスター)になるケースも出ている。ちなみに帯の報道番組のメインキャスターを務めるフリーアナウンサーは、その番組一本に集中するため就任前に担当したレギュラー番組を原則降板し、企業のコマーシャル出演も公平の観点からこちらも降板する(代表例:古舘伊知郎)。

男性キャスターは常にネクタイ・スーツ姿が基本ではあるものの、1984年にスタートした『FNNスーパータイム』(初期のみ)や金曜日・祝日にはノーネクタイのカジュアルスタイルになる番組(『筑紫哲也 NEWS23』や『NEWS ZERO』が該当。ただし重大ニュースの時はスーツ・ネクタイ)もあれば、クール・ビズを放送局が導入して定時のスポットニュースでもノーネクタイのカジュアルスタイルになるケースもあるが、2010年度までの段階で導入しているのは岡山・香川地区の西日本放送山陽放送(2010年度より、2009年度までは上着を着用せず半袖シャツとネクタイ着用)のみであった。両局とも一部の報道特番についてはネクタイ・スーツ着用となる。しかし、2011年度は節電志向から在京キー局や在阪準キー局でも一部の番組を除いて導入した(ノーネクタイ+カジュアルスーツか半袖シャツ+ネクタイのどちらかが多かった)。前述の岡山・香川地区も2011年度は瀬戸内海放送テレビせとうちでも導入した。また、1989年昭和天皇崩御に伴う報道特別番組では男女とも喪服姿という形もあれば、前述の『FNNスーパータイム』では元日に和服姿(1986年)という形もとられた。

報道番組のワイドショー化

日本では、報道番組のワイドショー化について叫ばれている。この頁でも以下の様な研究・分析がなされているが、大学や調査機関での目立ったレポートや、中立的研究、科学的分析が少ない。

テレビ画面上(放映されている映像)に関して起こっている事についての論点は2つに分けられる。ハード・ニュース(政治・経済・社会など)だけだったのが、ソフト・ニュース(芸能・世俗やトレンドなど)の項目数が増えた点と、他のジャンルの番組(例えばワイドショー番組・バラエティ番組・ドラマ番組)と変わり無い演出手法を取り入れている点。

では、なぜそうなったのか、その背景に考えられる事象として、視聴率競争や視聴者層の変化、経費などが考えられる。

ワイドショー化の歴史

1984年に開始したフジテレビの『FNNスーパータイム』で、従来の報道番組の堅苦しさを打ち破る軽妙なやり取りが話題となった。1985年にはテレビ朝日が『ニュースステーション』を開始。放送局単独での制作が主流だった報道番組でテレビ制作会社オフィス・トゥー・ワンが制作に参加、以後制作会社が制作に加わるようになる。どちらも報道番組らしからぬ特集を組むなど話題を呼び、「ニュース戦争」として視聴率争いが顕著になる。

1992年、当時18歳だった宮沢りえヌード写真集Santa Fe」が発売されたことをめぐって、報道番組で報道することの是非が各局の報道局内で論争となり、各局で判断が分かれたことがあった。

またジャーナリスト嶌信彦著の『ニュースキャスターたちの24時間』によると、1994年、当時バイク事故で入院していたビートたけしの退院記者会見が夕方のニュース番組が始まる18時台に会見が行われたが、その会見の模様を生中継し続けた局と行わなかった局で明暗が分かれてしまったという。

1995年のオウム真理教事件を機に、過剰な事件報道が本格的に取り入れられるようになる。一方で1999年の「情報プレゼンター とくダネ!」開始を機にワイドショーの報道化も加速し両者の垣根がほぼ取り払われた格好となっている。

2006年10月に開始された日本テレビの報道番組『NEWS ZERO』は23時台の枠で初めて芸能情報コーナーを取り入れて、話題を呼んだ。一方で、2009年4月改編でTBSの看板ニュース番組『NEWS23』が1時間(曜日によっては1時間20分)から30分に短縮した上で構成もストレートニュース形式に変更した(ただし、『NEWS23』はわずか1年で『NEWS23X』へ衣替えし、放送時間も1時間無いし45分に拡大された)。

夕方の報道番組

2009年現在、在京民放キー局で放送されている17~18時台の報道番組は際立ってワイドショー化しており、朝や昼に放送されているワイドショーよりもワイドショー的な内容となっている。いくつか指摘すると

VTR構成

  • 事件や事故の報道では不安を煽るBGMを多用し、凄惨さを際立たせようとする。強盗事件を例にすると、イメージ映像を加えて犯行の詳細を事細かく流しており、模倣犯などを誘発しかねないという危惧もある。
  • また、放送される時間帯は食事時の家庭も少なくなく、バラバラ殺人事件での犯行詳細(ノコギリでバラバラにした、内臓を取り出した、シャワーで血を洗い流したなど)をイメージ映像・CGを使って流すことで不快感を抱く恐れがある。
  • VTRの途中にアイキャッチもなくCMを入れたり、CM明けになると30秒ほど巻き戻して再開させる手法(主にバラエティ番組で行なう手法)も批判を受けている。
  • 系列局が取材したのにあたかも番組専属のリポーター(ないし取材ディレクター)が取材してコメントを取ったかのような編集をしていることもある。

ナレーション

  • 昔からの慣行で、通常のニュースではキャスターや放送局のアナウンサーが生で原稿を読む、いわゆるストレートニュースを実施するが、この時間帯の場合キャスターらは冒頭の導入部だけ読み、VTR中は外部のナレーターが原稿を読む形をとっている。キャスターが3人以上いてもVTR原稿はほとんどはナレーター任せなので「無駄に多いからキャスターはひとりでいいのではないか」という意見がある。
  • ナレーターは上記のように凄惨さ・不安さを際立たせるように読み、「である・だ」調という硬派な読み方になっている。そのためか局アナよりは外部の声優を使うケースが多い[1]。「である・だ」調のナレーションは系列局で編集・発信しているVTRでも増えてきている(ナレーションはアナウンサーが殆どだが、声優を起用する放送局もある)。

番組専属リポーター

  • 通常のニュースでは報道局の記者が取材し報告するパターンだが、この時間帯においての多くは番組専属のリポーター(局アナウンサーや外部契約のリポーター)や取材ディレクターが取材する。
  • 地方で発生した事件や事故でも話題性がありそうなものは在京局の番組取材班が乗り込んで取材・中継するため、地元系列局は中継時に技術協力する形はあるが、局アナや記者が登場することはほとんどない[2]
  • よほどの重大事件・事故・地震などの災害が発生した場合はスタジオのメインキャスターないしサブキャスターが現地入りし、取材することもある。

コメンテーターの感情を露にしたコメント

放送局の解説委員やフリージャーナリストがコメンテーターとして出演しており、これはワイドショーが既に取り入れている事である。コメンテーターが内容によって感情をあらわにして非難する発言を連発することがあり、「捨てぜりふジャーナリズム」と揶揄されている。最近ではメインキャスターも感情むき出しでコメントすることが多々ある。そのため「公平中立ではない」「自分のコメントに酔っている」など厳しい意見が出ている。[3]

軽薄な内容の増加

  • グルメ情報や激安ディスカウント情報、下世話な人間トラブル、さらには芸能ゴシップ情報などを放送することに対しての批判も多い(特に報道番組のキャスター経験がある政治評論家の三宅久之はこの現状に関して、パネラーで出演する『たかじんのそこまで言って委員会』で「ニュースと何の関係もない!」とかなり批判している)。18時台の関東地区ローカル枠のみならず、17時台の全国放送(番組販買扱い)枠でも扱っている。ちなみに芸能以外の特集の大半は局外の制作会社によって制作されている。
  • 実際に結婚式・離婚会見など芸能ネタとしては大きなニュースがあると、各局揃って芸能ニュースがトップ扱いということもあったり、まれに不倫騒動・熱愛発覚だけで全国ニュース枠で伝えられたりする局もある。このことが「ワイドショー化」という指摘の大きな要因でもある(訃報や刑事事件による逮捕・起訴は別)。
  • また、自局が制作したドラマ・バラエティといった新番組や特別番組、映画のプロモーションで俳優・タレントが生出演して宣伝に時間を費やすケースも増えている(主に、芸能コーナー内だが、設けてない局は天気予報やエンディング前などで登場している。生出演がなくても新番組・特番・映画に関したジャンルのニュース・特集でさりげなく宣伝するケースもある)。これらは早朝の情報番組からハシゴして出演し、夕方の報道番組が終点となっている(日本テレビは23時台に放送している『NEWS ZERO』まで)。

同じ内容の使いまわし

  • 放送局によっては特集コーナーでは同じ内容を別の報道・ワイドショー番組にも使いまわしているのにも関わらず番組独自の特集と銘打っていることがある。最終ニュース番組、更には週末のワイドショー番組と利用することさえある。
  • 「番組の独占取材」と言いながら同じ局内の他番組でも「番組の独占取材」あるいは「局の独占取材」と言って同じインタビュー映像を使いまわしている例がある。しかし、あたかもスクープっぽくしているが他の局でも独占取材と言って個別に取材を受けている。
  • 内容によっては報道局ではなく外部制作会社が制作していることもある(主にグルメネタや大家族密着物など)。
  • 系列局のローカルニュースで取り上げた特集もナレーションと若干のテロップを換えただけであたかも「番組独自の取材」としたキー局もある。

他地域のマナー問題

特集コーナーでよく取り上げられるマナー問題では関東ローカル枠なのに首都圏よりも関西圏(最近は中京圏や福岡県も増えている)のことばかり取り上げており、逆に東京でのマナー問題を取り上げることはないため、他地域を貶めて東京を優位にしたい一種の偏向報道と批判されている。

引き伸ばし戦術

事件や不祥事の注目人物の記者会見や衆院解散の瞬間、特別国会における首班指名選挙をいち早く生中継しようとしたが、なかなか始まらずVTRで引き伸ばして視聴者を逃がさないようにしようとしている(VTR中は画面のどこかしらにワイプ画面を設けている)。

中には記者会見が遅れて結局番組中(酷いケースだと14時すぎから報道特番を実施して19時の定刻終了まで)に放送されなかったことも多々あるため、視聴者からは「他のニュースを飛ばすほどのことか」「ただはしゃいでいるだけだ」という批判を受けている。

ワイドショー化への批評

前出の『ニュースステーション』の成功が「ニュースは金になる」という考えを生み、視聴率のための演出手法の常用などが結果的に今日の報道番組のワイドショー化と質の低下のきっかけを作ったと分析されている。

情報番組での報道被害や捏造が多発するのは報道番組を制作する報道部門と、ワイドショーなどの情報番組を制作する制作部門が縦割り化してしまい、制作部門に所属する制作者は報道では必要な事実の裏付けを取ることを軽視しがちだと指摘されている[4]

ある放送局の番組審議会ではワイドショー的な作りのキー局の全国ニュース番組に対しての批判があった。最近ではワイドショー化した平日と違い(放送時間を長くせず従前の報道からかけ離れた内容が少ない)、週末版の方が視聴率が良い番組もある[5]

また、読売テレビ制作のテレビ番組『たかじんのそこまで言って委員会』では東京キー局(テレビ東京以外)のワイドショー的な夕方ニュース番組に「ニュースは30分で事足りるのに2時間も無駄に長くしている」「ニュース番組になぜ芸能ネタを入れているのか」「グルメ情報やトレンド情報といった軽薄な内容が増加し、これが本当にニュース番組なのか?」「各局独自カラーのあるニュースがなく、どのチャンネルを変えてもまったく同じ内容・タイムスケジュールだ(ただし、これは朝や昼の情報番組も含めての発言)」「崖に取り残された野犬を救助する模様をトップニュースで生中継し、他のニュースを伝えている間でもどこかしらの端にワイプ映像で随時中継している民放キー各局は優先事項がわかっていないアホだ」と指摘し、厳しく批判している。

そして、地上デジタル放送による設備投資の増大から報道番組にも経費削減の波が押し寄せている。これまで報道局制作で行われていた番組の特集(グルメ特集や密着ドキュメント物など)を外部の制作会社に委託、記者を削減する傾向にある。

テレビ朝日はワイドショーの報道強化のため、ワイドショー・情報番組を制作する部門と報道局を統合して情報の共有化を図った。この事に対して報道番組の質の低下をさらに進めかねないと危惧する声がある。また、前述のように特集コーナーの大半を外部の制作会社に下請けしているため、納期(OA日)に間に合わせるため等の理由で、ヤラセを行う事象が発生、発覚している。

上記にも指摘されているが番組によって芸能ゴシップ情報(熱愛報道・不倫・離婚騒動など)を全国ニュースの時間に放送しており、「もはや報道番組ではない」「報道・ニュース番組を名乗るな」という批判もある。これまで民放の報道番組のワイドショー化に対し一線を画してきたNHKも近年では字幕や演出などに関して民放の手法を取り入れている。またこうした手法の常用は結果的に報道番組と情報番組の境界線を曖昧にしてしまい責任の所在を曖昧にしてしまっているとの指摘もある。

さらに、『日経エンタテインメント!2006年11月号に掲載されたニュース番組の格付けでは「今や夜のニュース番組で正当な報道番組の姿勢を貫いているのは『ニュースJAPAN』と『NHKニュース7』のみ」と厳しい評価を下した。

他にも23時台では経済情報に特化した『ワールドビジネスサテライト』も正統派の報道番組としての評価は高く、視聴率においても先述の『NEWS ZERO』よりも高い日がある。

このようなワイドショー化傾向に対しては『FNNスーパーニュース』のキャスターを務めている安藤優子はあるインタビューで「報道は気取りがある」「見ている方に通じないのであれば完全な送り手のマスターベーションでしかない」とマスターベーション発言し、報道番組のワイドショー化はやむをえないとしている。

また、報道番組に対し編成局営業局の影響力が大きくなり、視聴率を稼ぐことが求められるようになったこともこの傾向に拍車をかけている。TBSでは『筑紫哲也NEWS23』が視聴率で苦戦していることを背景にバラエティー色の強い新番組を作る話が持ち上がったほどである[6]

このため、月刊誌『WiLL』編集長の花田紀凱は「ニュース・報道番組については視聴率計測をやめるべき(『たかじんのそこまで言って委員会』2008年6月1日放送分より)」という意見も出ている。また地方局からも山陽放送滝沢忠孝アナウンサーがRSK公式サイト内の自身のブログにおいて全国ニュース番組の演出・伝え方について苦言を呈している[7]

なお、情報ワイドショー番組を設けている他地域でも18時台を別番組にしたり、ニュース担当アナウンサーしか出演しないストレートニュースコーナー(またはコンプレックス枠扱いのローカルニュース番組)にしている。

一方、2009年春改編でTBSがゴールデンタイムをまたいだ18〜20時台に新大型報道番組『総力報道!THE NEWS』をスタートするなど新たな動きを見せている。こうした背景には、19時台は『NHKニュース7』と『クローズアップ現代』が安定した視聴率を得ており、民放各局は一部の番組を除いてNHKの後塵を帰しているためとも言われている。ただこの『総力報道~』もNHKの牙城を崩すには至らず1年で打ち切り・撤退している。

ウェブ上では在京キー局が上記のような当たり障りのない内容ばかりに終始して本来取り上げるべき重大なニュースを見過ごしている(または無視している)と指摘している。これについてはウェブ上だけでなく、特に関西テレビの『スーパーニュースANCHOR』(関西ローカル)において、アンカーマンである山本浩之キャスターや青山繁晴宮崎哲弥など一部のコメンテーターが、国内外の政治・経済・外交・安全保障などの重要なニュースが在京キー局・一般有力紙などの大手メディアが報じなかったり横並びで同じスタンスであることに疑問を呈し、不信感を述べている。

世界での傾向と批評

日本における報道番組のワイドショー化を論じる際に、海外との比較によっての検証も可能である。イギリスの新聞に「高級紙」や「大衆紙」などに分類されている。テレビ番組においても番組の放送時間(想定される視聴者層)や取り上げる内容あるいは取り上げ方(着眼点や演出)で番組に対するブランドイメージが異なる。それら似た特徴を持つ番組同士を新聞のように分類される。裏番組などライバル関係にあり、視聴率の争いが行われているのは「在京キー局夕方の報道番組」の環境と合致する。また、夕方の報道番組においては、アメリカは視聴率低下と視聴者層の変化[8]に合わせて医療ニュースコーナーを始め、オーストラリアではタブロイド紙のような報道番組もある。日本の場合はアメリカ同様に視聴者層は変化しており、

こうした傾向に対し、アメリカABCテレビで『ナイトライン』のアンカーマンを長年務めたテッド・コッペルは2005年11月にTBSとのインタビューで「私は真面目なニュース番組が、一日に1つか2つ存在することは健全な民主主義のために必要なことだと思う。もし、全ての新聞が低次元なものしか扱わなくなったとしたら・全てのテレビニュースが視聴者の見たいものしか流さなくなったとしたら、民主主義が衰退してしまう。なぜなら人々に正しい情報が伝わらなくなるから」と警告している。

視聴者はどうやって選ぶか

視聴者は自らの主張・思想に沿った番組を視聴する傾向にあるという「FOX効果」が注目を集めている。アメリカ同時多発テロ事件を機に「愛国主義」を大きく謳ったFOX News Channelは2001年当時視聴率で互角だったCNNを大きく引き離し、FOXだけが新たな視聴者を獲得し続けていった。テロ事件を機に愛国心が高まったアメリカ国民が増え、その視聴者の多くがFOXを見始めた。

ニューヨーク・タイムズはこの動きを「The FOX effect」(FOX効果)と評した。

脚注

  1. ^ TBS『イブニング・ファイブ』『JNNイブニング・ニュース(平日)』は本職ナレーターとともに局の男性アナもナレーターをしている。
  2. ^ 朝・昼のワイドショーでは最新情報を伝えてもらうためリポーターが聞き手側に回る形で記者・取材局アナが登場することはある。
  3. ^ 放送倫理検証委員会 (2008年4月15日). “光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見”. 放送倫理・番組向上機構. pp. 2・4-6. 2008年9月20日閲覧。
  4. ^ 平野日出木 (2007年4月21日). “テレビのどこが問題か--「あるある」外部調査委員に聞いた(上)”. オーマイニュース. 2008年9月20日閲覧。
  5. ^ 未だにあくまでストレートニュースに徹している放送局があるが、制作費の限度のために、ストレートニュースしか演出手法ができないという事情もある。
  6. ^ 「マスコミ業界ばなし」『選択』11月号。
  7. ^ 滝沢忠孝の「CHEER UP!」2009年11月7日更新「気になるニュースの伝え方…」より
  8. ^ CBSを筆頭に50年以上続く歴史を持つが、労働環境の変化によって男性視聴者が帰宅する時間が遅くなり、夕方の報道番組においての男性視聴者数は減少した。

関連項目