たかつき型護衛艦
たかつき型護衛艦 | ||
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4番艦の「ながつき」 (DD-167)
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艦級概観 | ||
艦種 | 護衛艦 | |
建造期間 | 1964年 - 1969年 | |
就役期間 | 1967年 - 2003年 | |
前級 | DDA:むらさめ型護衛艦(初代) | |
次級 | DD:はつゆき型護衛艦 | |
言語 | 表記 | |
日本語 | たかつき型護衛艦 | |
英語 | Takatsuki class Destroyer |
たかつき型護衛艦(たかつきがたごえいかん、JMSDF DDA-164 TAKATSUKI class)は、1967年~70年に各1隻、計4隻が就役した、海上自衛隊の護衛艦(DDまたはDDA)である。1996年から2003年にかけて、全艦除籍された。
概要
本型は護衛隊群の対潜作戦の中核となる大型汎用護衛艦として計画された。第2次防衛力整備計画(2次防)でやまぐも型及びみねぐも型に採用された新型対潜兵器を全て搭載している。すなわち、超長射程のQH-50 DASH無人対潜攻撃ヘリコプター、長射程のアスロック(ASROC)、中射程の71式ボフォース・ロケット・ランチャー(スウェーデンのボフォース社製)、短射程の68式3連装短魚雷発射管である。また、これらの威力を発揮するため、低周波・大出力のバウ・ソナー(前半の2隻はAN/SQS-23、後半の2隻はOQS-3)とAN/SQS-35(J) 可変深度ソナーを備えていた。対空・対水上用にはMk 42 5インチ54口径単装速射砲を護衛艦として初装備した。
1番艦「たかつき」は戦術情報処理装置NYYA-1を後日装備し、海上自衛隊に於けるシステム艦の嚆矢にもなった。NYYA-1は、戦術データ・リンクに対応しておらず、また兵器との連接も不十分な、単なる戦術C2システムであったため、他の艦には搭載されなかったが、のちに海上自衛隊で広く採用されるOYQシリーズの基礎となったものである。
また、船型は遮浪甲板型とし、煙突とマストを一体化したマックを初めて採用しており、端正な艦容で知られる。後期建造の2艦「ながづき」「もちづき」は前の2艦と艦体形状がやや異なり、艦首に凌波性向上のためナックルが付けられるなどの改正がみられる。
近代化改装
本型は有力な対潜艦であり、海上自衛隊護衛艦が列国の新鋭艦に匹敵し得るようになった初の例でもある。しかしミサイル化の流れの中で装備の陳腐化が目立ち始め、「たかつき」「きくづき」には1985~86年に近代化改装(FRAM)が施された。これは新鋭のはつゆき型並みの性能を狙ったもので、主な内容は後部5インチ砲と既に運用停止していたダッシュ関連設備を撤去し、新たにシースパロー個艦防空ミサイル8連装発射機×1基および射撃管制用のFCS-2-12、ハープーン艦対艦ミサイル4連装発射筒×2基、高性能20mm機関砲×1基(「たかつき」は後日装備とされたが実現せず)を装備するというものであった。
また、これらの武器システムの中核となる戦術情報処理装置としては、はつゆき型や地方隊のDEで多くが運用されていたOYQ-5(TDS-3)の派生型であるTDS-3-2を搭載している。TDS-3シリーズは、小型で所要電力の少ないUYK-20を採用することで、小型の艦にC4I能力を付与することを狙ったものであり、双方向のデータ・リンクには対応していないが、本来はテレタイプ端末での受信用であるリンク 14を通じて受信した情報を入力することができる。これらの改修によって基準排水量は200トン増加し、本級は艦齢を延長するとともに、ヘリコプターこそ搭載しないものの、第一線の水上戦闘艦の座に返り咲くこととなった。
なお、この近代化改装は3番艦「もちづき」4番艦「ながつき」にも実施される予定であったが、費用対効果比などの問題から実現には至らず、退役した。なお、改装時に搭載された射撃指揮装置2-12型とシースパロー発射機は、しらね型に再利用されて現在も健在である。
艦種記号
本型は予算上は『甲II型警備艦』とされ、艦種記号に非公式ながらDDAを充てられることが通例だった。本級以前にはむらさめ型(初代)がDDAと呼ばれており、これはMk 39 5インチ54口径単装高角砲を搭載した防空艦として、Anti-Airを表したものとされる。
本型もより新型の5インチ砲を装備したことに伴いDDAと称された訳だが、上述のように対潜艦としても充実した装備を有しており、むしろAll-purposeの略と考えるべきである。そうした意味で本型は同じく汎用艦であったあきづき型(初代)に近い性格の艦であり、艦名も「~つき」を踏襲している。
防空艦としてのむらさめ型(初代)の後継は、「あまつかぜ」以降の一連のミサイル護衛艦と見なした方が自然であろう。
後継艦
なお4次防では、3,600トン型の「艦対艦誘導弾搭載護衛艦」が計画され、これもDDAと呼ばれている。オイルショックの余波で結局予算要求にも至らず詳細は不明だが、L-90 35ミリ機銃も搭載する予定だったとされ、恐らくは本型に似た汎用艦として構想されていたと考えられる。この艦のコンセプトは後に、はつゆき型に結実することとなる。
その他
- たかつき型護衛艦で最後に護衛艦隊から地方隊に編成替えになった「きくづき」が、舞鶴地方隊第2護衛隊(当時)に配備される前日まで、同隊は「たかつき」「もちづき」「ながつき」の3隻の編成で、「きくづき」と入れ替わる形で「もちづき」が特務艦となり隊を離れた。記録上はわずか1日の差で、第2護衛隊は、たかつき型護衛艦4隻で編成されるという機会を逸したものの、実際はこの時期に4隻が並んで係留された上、もちづきは2護隊の護衛艦として在籍しており、期間がオーバーラップしている。
- 「たかつき」に装備されていたESM(電波探知機、アメリカ製)は、古い機器にありがちな「当り」(基本性能以上の性能を有すること)の機械で、感度が非常に優秀で、退役寸前まで当時の新鋭艦の乗員からも「あれは反則だ」と揶揄されていた。
- 「ながつき」は、平成3年の定期検査後の標柱間試験で速力33.2ktを記録し、これは当時の護衛艦中最高速であった(この定期検査の直前、同艦は蒸気タービンのディスク(注:タービンブレードではない)が破損するという護衛艦史上未曾有の機関事故を起こし、予定より約1ヶ月早く定期検査に入ることとなり、主機は船体の上甲板・中甲板を切って大型部品を交換するなどの大幅なメインテナンスが行われている)。
- 「きくづき」は、遠洋航海中、インド洋において主機のタービンブレードの破損事故により、その後の航海を1軸で行い日本に帰投したことがある。
- 1994年の遠洋練習航海では、練習艦「かしま」の予算措置が1年遅れ「かとり」が退役した為、護衛艦4隻という編成で行われたが、「たかつき」「もちづき」「ながつき」(ほかに「しらゆき」)と、3隻が「たかつき」型で編成された。旗艦は「ながつき」とされ、特別改修工事で「礼砲の搭載」「士官室内装の木目調化」などが施され、遠航後に礼砲は撤去されたが士官室内装は残された。
兵装・電装要目
新規建造時 | FRAM改修後 「たかつき」「きくづき」 | |
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排水量 | 基準: 3,050トン | 基準: 3,150トン 満載: 4,572トン |
全長 | 136 m | |
全幅 | 13.4m | |
深さ | 8.7m | |
吃水 | 4.4 m | 4.5 m |
機関 | 蒸気タービン方式, 2軸推進 (60,000 shp) | |
水管ボイラー×2基+衝動反動式タービン×2基 | ||
速力 | 32 ノット | 31ノット |
航続距離 | 6,000 nmi / 16 kt | 不明 |
乗員 | 270名 | 260名 |
兵装 | 5インチ54口径単装速射砲 ×2基 | 5インチ54口径単装速射砲 ×1基 |
- | 高性能20mm機関砲(CIWS)×1基 (「きくづき」のみ) | |
シースパロー短SAM8連装発射機×1基 | ||
ハープーンSSM4連装発射筒×2基 | ||
74式アスロックSUM8連装発射機×1基 | ||
71式ボフォース・ロケット・ランチャー ×1基 | ||
68式3連装短魚雷発射管 ×2 | ||
艦載機 | QH-50 DASH ×2機 | - |
C4I | NYYA-1 戦術情報処理装置 (「たかつき」のみ) |
TDS-3-2+リンク 14 |
Mk.56 砲FCS×2基(「ながつき」は1型×2基) | Mk.56 砲FCS×1基 | |
- | FCS-2-12 短SAM-FCS×1基 | |
レーダー | OPS-11 2次元対空捜索 | |
OPS-17 対水上捜索 | ||
SPG-35 砲射撃指揮 | ||
ソナー | AN/SQS-23(DD-165〜166) OQS-3(DD-167〜168) |
OQS-3改 |
AN/SQS-35(J) 可変深度式 | ||
電子戦・ 対抗手段 |
NOLR-1B ESM装置(DD-165〜166) NOLR-5 ESM装置(DD-167〜168) |
NOLQ-1 統合電子戦装置(ESM/ECM兼用) |
- | Mk.137 チャフ・フレア発射機×2基 |
同型艦
艦番号 | 艦名 | 建造 | 起工 | 進水 | 竣工 | 除籍 |
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DD-164 | たかつき | 石川島播磨重工業 東京第1工場 |
1964年 (昭和39年) 10月8日 |
1966年 (昭和41年) 1月7日 |
1967年 (昭和42年) 3月15日 |
2002年 (平成14年) 8月16日 |
DD-165 | きくづき | 三菱重工業 長崎造船所 |
1966年 (昭和41年) 3月15日 |
1967年 (昭和42年) 3月25日 |
1968年 (昭和43年) 3月27日 |
2003年 (平成15年) 11月6日 |
DD-166 ASU-7019 |
もちづき | 石川島播磨重工業 東京第1工場 |
1966年 (昭和41年) 11月22日 |
1968年 (昭和43年) 3月15日 |
1969年 (昭和44年) 3月25日 「艦種変更」 1995年 (平成7年) 4月1日 『特務艦』 |
1999年 (平成11年) 3月19日 |
DD-167 | ながつき | 三菱重工業 長崎造船所 |
1968年 (昭和43年) 3月2日 |
1969年 (昭和44年) 3月19日 |
1970年 (昭和45年) 2月12日 |
1996年 (平成8年) 4月1日 |
登場作品
- 小説
- 『日本沈没』
- 映画
- 冒頭、「たかつき」のレーダーがUFOを追跡したと言及されている。
- 『アナザー・ウェイ ―D機関情報―』(映画版)