加古隆

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加古 隆(かこ たかし、1947年1月31日 - )は、大阪府出身の日本人作曲家ピアニスト。「隆」は旧字体で表記される。東京藝術大学作曲科卒、同大学大学院修了。

目次

[編集] 概論

作曲においては、ジャズクラシック現代音楽の要素を融合させた独自の作曲形式を確立しており、ピアニストとしては、自身の作品の演奏を中心に活動している。ジャズ自然をテーマにした作品から、絵画文学浮世絵ダンス建築といった他の様々な芸術から着想を得た作品まで、その音楽のスタイルは自由かつ幅広く、個性に富んでいる。また、近年は映像とのコラボレーションによる音楽も数多く手掛け、映像音楽の作曲家としても活動の幅を広げている。自身の作品によるコンサートは世界各国に及び、オリジナルアルバムは50作品を超える。シンプルで繊細かつ壮大なメロディーと、ピアノから紡ぎ出される透明な音の響きから、「ピアノの画家」と称される。1980年代からかぶり始めた帽子がトレードマークとなっており、演奏の際にも必ず身につけている。ピアノベーゼンドルファーを愛用し、曲の世界に深く入り込むために、演奏は全て暗譜で行う。


[編集] 年譜

[編集] ディスコグラフィ

  • Homage to Peace(ヨーロッパデビューアルバム)(1973年
  • Night Music(1974年
  • 日本館コンサート(日本デビューアルバム)(1974年)
  • マイクロワールド(1976年
  • 巴里の日(1976年)
  • パッサージュ(1976年)
  • 海の伝説-私(1977年
  • TOK-LIVE(1978年
  • TOK・ダイレクトマスター(1978年)
  • エル・アル(1978年)
  • パラドックス(1979年
  • ヴァレンシア(富樫雅彦とのデュオ)(1980年
  • L'Aube-夜明け(1983年
  • トワイライト・モノローグ(1984年
  • ソロ・コンサート(1985年
  • ポエジー(1986年
  • 「KLEE」 いにしえの響き~パウル・クレーの絵のように~(1986年)
  • スクロール(1987年
  • KENJI1988年
  • 幻想行(1989年
  • ピアノ交響詩「春~花によせて~」(1990年
  • ESTAMPE SONORE(エスタンプ・ソノール)(1991年
  • アポカリプス~黙示録(1992年
  • 風の画集(1992年)
  • 水の前奏曲1993年
  • ノルウェーの森(1994年
  • NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナル・サウンドトラック1995年
  • 予感~アンジェリック・グリーンの光の中で~(1998年
  • 静かな時間(1999年
  • 「The Quarry(月の虹)」オリジナル・サウンドトラック(1999年)
  • 「Is Paris Burning」NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナル・サウンドトラック 完全版(2000年) 
  • ジブラルタルの風」~加古隆・ピアノ・ソロ・ベスト(2000年)
  • Scene(シーン) 映像音楽作品集 1992-2001(2001年
  • 大河の一滴」オリジナル・サウンドトラック(2001年)
  • 阿弥陀堂だより」オリジナル・サウンドトラック(2002年
  • 風のワルツ(2002年)
  • Anniversary 1973~2003(2003年
  • 白い巨塔」オリジナル・サウンドトラック(2004年
  • 白い巨塔-コンプリート(2004年)
  • 博士の愛した数式」オリジナル・サウンドトラック(2006年
  • PIANO(2006年)
  • 熊野古道(2007年
  • 明日への遺言」オリジナル・サウンドトラック(2008年
  • THE BEST(6) 加古隆(2008年)

[編集] 音楽を担当した映像作品

[編集] 映画

[編集] ドキュメンタリー

[編集] テレビ

[編集] CF曲

  • 「ポエジー」(収録アルバムは「代表作」の項目参照):ニッカウヰスキー(1985年)
  • 「ジブラルタルの風(マンドリン・ヴァージョン)」(アルバム『Scene 映像音楽作品集』に収録):カネボウ「デナリ」(1992年)
  • 「一つの予感」(アルバム『予感~アンジェリック・グリーンの光の中で~』に収録):「ホンダ・レジェンド」(1997年)

[編集] 代表作

ポエジー~グリーンスリーヴス~(1985年)
イングランドの民謡「グリーンスリーブス」から着想を得て生まれた作品。曲の中間部のメロディーが、加古オリジナルのものになっている。当時、前衛的で難解と形容される即興音楽を中心に活動していた加古に、音楽評論家の野口久光が、誰でも知っているメロディーを一度採り上げるよう助言したことがきっかけとなり、この曲が生まれた。作曲を始めた当初は、曲の中間部を即興で演奏する予定だったが、最終的にこの部分は、現在のオリジナルの部分として完成された。加古は、これまでの自身の作品とはかなり趣向の異なるこの曲を演奏すべきかどうか、初演当日の朝まで悩んでいたが、思い切って演奏に踏み切った。その後、この曲をきっかけにシンプルなメロディーの大切さを再認識するとともに、「作曲」という作業に自身の音楽の新しい世界を発見し、以後の音楽活動に積極的に活かしていく。この曲は、『ソロ・コンサート』『ポエジー』『風の画集』『ジブラルタルの風』『Anniversary』に収録されている。『Anniversary』に収録されている演奏以外は全てピアノ・ソロによるものであり、『ジブラルタルの風』に収録されている演奏は、『風の画集』と同一のものである。
永訣の朝-宮沢賢治の詩に(1988年)
宮沢賢治永訣の朝」が題材。元々、アルバム『KENJI』に「永訣の朝」というタイトルで収録されたのが最初で、後にこの曲だけが独立して演奏されるにあたり、「永訣の朝-宮沢賢治の詩に」とタイトルが改められた。アルバム『KENJI』・『静かな時間』・『Anniversary』にはそれぞれ異なる演奏が収録されており、『KENJI』の演奏はチェロ(演奏:溝口肇)と、加古のピアノが、妹に対する賢治の心情を鋭く描くが、『静かな時間』ではピアノとチェロ(演奏:ジャキス・モレレンバウム)の共演は変わらないものの、一転して賢治が亡き妹を静かに追想するかのような演奏が繰り広げられている。また、『Anniversary』に収録されたピアノ・ソロ・ヴァージョンは、メロディーの大半が効果的なトレモロで演奏され、降りしきる雪の情景を彷彿とさせる。
パリは燃えているか(NHKスペシャル映像の世紀」メインテーマ曲)(1995年)
番組が取り上げた20世紀の歴史はもとより、その歴史を創り上げてきた「人間」にスポットを当てて作曲が開始された。完成当初、この曲は現在のものとは全く雰囲気が異なる曲調のものであったが、これでは曲と映像とが一体化しないと加古自身が判断し、別の曲が書き上げられている。この曲が現在の「パリは燃えているか」の原型となったが、この曲もまた、番組のオープニング映像に合うように、ややスピードを上げて、より決然とした曲調に再構成され、完成に至っている。「パリは燃えているか」というタイトルは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが行ったパリ撤退における焦土作戦時の、アドルフ・ヒトラーの言葉に由来する。加藤登紀子が「無垢の砂」というをこの曲に寄せており、この詩はアルバム『Is Paris Burning』のライナー・ノートに載っている。
湖沼の伝説(1995年)
1995年10月に、霞ヶ浦で行われた第6回世界湖沼会議のための委嘱作であると同時に、数少ないピアノ・ソロの委嘱作でもある。霞ヶ浦を実際に訪れたときに感じた、湖面を渡る「風」をヒントに作曲された。曲の最後の8小節に、ソステヌートペダル(グランドピアノに3つあるペダルのうち、中央のペダル)の使用が要求されていることが特徴として挙げられる。これについては、楽譜『ピアノ・ソロ曲選集』(ドレミ楽譜出版社)で実際に確認できる。アルバム『予感~アンジェリック・グリーンの光の中で~』『ジブラルタルの風』『Anniversary』に収録。前者2つは同音源。
白梅抄-亡き母の(1999年)
湯河原アトリエに咲く白梅を見ないまま亡くなった母に捧げられたピアノ・ソロ曲。叙情に満ち溢れ、そう遠くない春の訪れを感じさせる旋律が、聴く者の心を震わせる。コンサートでは必ずと言ってよいほど演奏される。子供の頃、欲しいレコードを買うためにお小遣いを前借りしていたという話や、使っていたピアノをどこかにしまっておいてくれたおかげで、ピアノが手元に残ってありがたかった、といった母親に関する生前のエピソードが残っている。委嘱作品を除いたピアノ・ソロ作品はこの曲を最後に、「白」をテーマにしたアルバム『白い巨塔-コンプリート』(2004年発表)に収録されている「a lovely lily」まで約5年間書かれておらず、図らずもタイトルに「白」の文字が入り、同じく「花」をモチーフにしたこの曲との偶然の一致を感じさせる。この作品はアルバム『静かな時間』と『Anniversary』に収録されており、演奏において細部の表現に僅かな違いが見られる。
黄昏のワルツ(NHKにんげんドキュメント」前テーマ曲)(2000年)
NHKにんげんドキュメント」で2000年度から2002年度までテーマ曲として使用された。この曲の録音には、『Scene 映像音楽作品集』に収録され、実際に番組で使用されたもの、デビュー30周年記念アルバム『Anniversary』にダグラス・ボストック指揮、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団との共演で収録されたもの、ヴァイオリニスト奥村愛のアルバム『ポエジー』に収録されたもの、同じく奥村の『愛のあいさつ』に収録されたヴァイオリンとピアノの二重奏版、『風のワルツ』に収録されたピアノ版の5種類がある。前述3種類の録音は、いずれもピアノとヴァイオリンと弦楽オーケストラによる演奏。短調長調の間を行ったり来たりしながら、最後に長調で終わる構成には、人生における紆余曲折が表現されており、勇気と生きることの素晴らしさが託されている。
白い巨塔(フジテレビ開局45周年記念番組「白い巨塔」メインテーマ曲)(2003年)
物語の世界観を支える重厚さと深さを合わせ持ち、主人公財前五郎のロマンと悲哀を表現する、力強くシンプルなメロディーを目指して作曲がなされた。この曲を収録している『白い巨塔』オリジナル・サウンド・トラックに収められている曲のほとんどは、「巨塔のテーマ」・「財前のテーマ」・「里見のテーマ」のいずれかに属する形になっており、前者2つのテーマは、共通する和音構造から作曲する手法がとられている。実際、2つのテーマの有機的な関連づけを意図するために、この曲中では「巨塔のテーマ」と「財前のテーマ」が同時進行で演奏されている。まず「巨塔のテーマ」が曲の冒頭部を飾り、演奏開始から約20秒経ってから、弦楽器とピアノによる「財前のテーマ」が導入され、2つのテーマが同時に演奏されながら曲が進行していく。約64秒から86秒にかけては、管楽器が「財前のテーマ」を、弦楽器が「巨塔のテーマ」を演奏する形になっている。このメロディーは、この曲以外にも、アルバム『白い巨塔-コンプリート』の7曲目「Tomorrow」の中で聴くことができる。ただし、前述の“約64秒から86秒にかけて”の部分は、「財前のテーマ」はチェロ、「巨塔のテーマ」が弦楽器とピアノで演奏されているなど、若干の違いがある。
虹が架かる日(NHKスペシャル「日本の群像 再起への20年」テーマ曲)(2005年)
バブル期における日本経済の崩壊と再生という番組のテーマに基づき、時代の流れに翻弄されながらも、懸命に生きる人々の苦悩と決意を表現した曲。この曲を収載した楽譜『ピアノ作品集』(ヤマハミュージックメディア)がCDよりも先に発売される形となり、その約8ヶ月後、ピアノ・ソロ・ヴァージョンを収録したアルバム『PIANO』が発売された。オーケストラ・ヴァージョンはアルバム『熊野古道』に収録されている。

[編集] 映像音楽とコンセプト

80年代に帰国して以降、とりわけNHKスペシャル「映像の世紀」を筆頭に、映像音楽の作曲家としても、映画ドラマドキュメンタリーといった数々の映像作品に、その印象的な音楽を刻み続けてきた。その作曲方法であるが、映像音楽の作曲を始める際、出来上がった映像を見ながら作曲をすることは極めて稀である。また、シーンごとの細かい部分から音楽を導き出す訳でもない。ほとんどの場合、まず台本を読んだ後、監督や脚本家らと必ず話をする機会を設け、自分よりもずっと作品と同じ時間や空間を共有している彼らの何気ない言葉の中に、作曲のヒントを見出す。こうして作品に対するイメージを膨らませ、映像が何を言わんとしているか、どんな雰囲気をもっているのかといった概念、「コンセプト」を、一言で自分に説明できるようにザックリと掴み、これをメロディーへと昇華させていく。このようにして編み出されたメロディーの多くは、主にメインテーマとして完成され、更に作品の完成した後、各場面の持つ雰囲気や役者の台詞のトーン、秒数なども考慮しつつ様々にアレンジされ、映像と一体化していく。こうした過程を経て、数々の名曲が映像に命を吹き込むに至っている。このように、加古にとって映像音楽の作曲におけるコンセプトは、極めて重要な意味を持つ。たとえば、市井の人たちの紆余曲折を追うといった内容のNHK「にんげんドキュメント」のテーマ曲「黄昏のワルツ」のコンセプトは、「人々に勇気を与え、生きることの素晴らしさを表現する」ところにある。また、NHKスペシャル「映像の世紀」のテーマ曲「パリは燃えているか」のコンセプトは、「華々しい発展と栄華を極める傍らで、幾多の戦争を繰り返す人間の側面と歴史を力強く壮大に表現する」といったものである。なお、アルバム『Scene 映像音楽作品集』や『博士の愛した数式』オリジナル・サウンドトラックのライナー・ノートには、映像音楽に対する加古の言葉が、詳細に記されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク