スプロール現象

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スプロール現象(スプロールげんしょう、urban sprawl)とは、一般には都市が“無秩序に拡大”(sprawlの本来の意味)してゆく現象を指す。スプロール化とも言う。

問題点[編集]

都市が発展拡大する場合、郊外に向かって市街地が拡大するが、この際に無秩序な開発を行うことをスプロール化と呼ぶ。計画的な街路が形成されず、虫食い状態に宅地化が進む様子を指す。

通常、都市郊外の小規模な農地などが個別に民間開発される場合、周囲の道路との接続はあまり意識されないまま、もっぱらその土地の形状に合わせて、住宅地などが整備される。

このため、開発区域内は整理されていても、開発区域同士の間に計画性がなくなることになる。

一度スプロール化した地域では、地権の細分化、地価の下降などにより、改善は非常に困難になる。

土地や建物に対する税制、農地法、商業地・工業地に関係する諸業法が都市化を規定するものと考えられる。

対策[編集]

ニューヨークの衛星写真。中央のマンハッタン島は計画的に区画された街路が規則的に走っているのに対し、ロングアイランド(写真右側)やハドソン川の対岸、ニュージャージー州(写真左側)にはスプロール化した市街地が連なっている。

いったんスプロール化が進展した後は、改善が困難になるため、対策はスプロール化の防止が主眼となると考えられている[要出典]

スプロール化防止に有効なのは、公的機関などによる大規模な区画整理である。区画整理を都市開発に先立って行うことで、敷地を整形にすることが可能になり、都市機能が向上する。しかし、区画整理にも地権者の合意が必要なため、中々事業が進まない事例も多く見受けられる[1]

都市を新設する際に、計画性を前面に押し出し碁盤の目のような街路などを形成する方法がある。東アジアの古代都市や、近代においてはアメリカ合衆国北海道の都市などがそれにあたる。しかし、都市がその計画範囲を超える場合は、スプロール化する可能性がある。都市の地図などで、都心部が合理的な区画になっているのに対して郊外が無計画化しているものが見られるのは、このためである。例として、北米の都市は、近代的な都市計画に基づいて設計されたが、モータリゼーションの進展により都市範囲が飛躍的に拡大したことなどから郊外でスプロール化が散見されるようになった。また、日本の相模原市においては旧市部のうち北部地区は第2次世界大戦中からの都市計画によって整然とした区画になっている一方で南部地区ではスプロール化が激しいなど、同一市内で同程度に発展していても地区によってスプロール化が進行することもある。

特に、市町村に都市計画の権限のあるアメリカ合衆国においては保守的な州を中心に規制の緩やかな自治体も多く、規制の緩やかな地域ではスプロール化は盛んに起きている。規制の緩やかな地域は住宅地が豊富に供給され地価も安いため、中産階級に人気があり、開発が進む傾向がある。

欧州各地に設置されたローマ都市では都市城壁が、都市の拡大そのものを抑制しており都市計画の合理性が保たれる結果となっている。これは、首都のローマ市が無計画に拡張した反省からであると考えられている[要出典]

反論[編集]

スプロール化した住宅地は、計画性に乏しいが故に逆に土地区画、住宅の種類や形態、住宅の供給年代の多様性をもたらしている。このため住民の年齢構成や所得階層の多様化という特徴も有し、そのため計画的に形成されたニュータウンで指摘されるような人口減少や急速な若年層の減少、高齢化といった諸問題を緩和させているという側面も持っている。

市街地整備には、その便益が数十年以上にわたって得られるため国債や市債が一般であるが、人口減少が見込まれる先進国では中心部以外の周辺部は便益の将来性が必ずしも長期ではないと考えられるため、公権力がするべきものではない。

なお、スプロール化された郊外は、人口密度が比較的低く押さえられる限りは、住宅周辺に細分化された状態で田畑や山林が残る。しかし、かかる田畑や山林は未だ宅地化されていないだけであって計画的に保全されたわけではない。つまり、いずれ開発業者によって無秩序に開発され、結果的に地域が狭小住宅の密集地と化す可能性があるので、住環境を保つためには、スプロール化が進みすぎない段階で規制をかける必要がある。また、日本の地方都市郊外では道路網が充実しているので渋滞などの問題は少ないともいわれるが、実際はスプロール化に加えてモータリゼーションが進んだ結果、郊外でも渋滞が発生し、公共交通機関の整備が望まれている(宇都宮市では高規格な宇都宮環状道路の整備にもかかわらず、郊外の開発に伴い渋滞が深刻化したため、LRTの建設により渋滞を解消することが計画されている)。

合理主義な見地からいえば、計画された都市が効率的ではあるが、現代の行動心理学・社会学・行動経済学・情報学・家族学を勘案すれば、それらを実証・反証することが難しくなる。

経済学的に考えれば、短期には資本や労働、暗黙知の集約化は生産性を高めるが、長期には制度が市場を破壊している現象がみられる(設備の一斉更新、ニュータウンの高齢化、企業撤退による職場喪失など)。経済学はミクロの将来予測は不可能に近い。[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ 例えば東京都稲城市南山東部地区など

関連項目[編集]