「ハナショウブ」の版間の差分

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*{{Snamei|I. kaempferi}} [[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|Siebold]] ex Lemaine (1858)</div>
*{{Snamei|I. kaempferi}} [[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|Siebold]] ex Lemaine (1858)</div>
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'''ハナショウブ'''('''花菖蒲'''、''Iris ensata'' var. ''ensata'')は[[アヤメ科]][[アヤメ属]]の[[多年草]]である。[[シノニム]]は''I. ensata'' var. ''hortensis'', ''I. kaempferi''.
'''ハナショウブ'''('''花菖蒲'''、''Iris ensata'' var. ''ensata'')は[[アヤメ科]][[アヤメ属]]の[[多年草]]である。[[シノニム]]は''I. ensata'' var. ''hortensis'', ''I. kaempferi''.


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系統を大別すると、品種数が豊富な'''江戸系'''、室内鑑賞向きに発展してきた'''伊勢系'''と'''肥後系'''、原種の特徴を強く残す'''長井古種'''の4系統に分類でき、[[古典園芸植物]]でもある。他にも海外、特に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でも育種が進んでいる'''外国系'''がある。
系統を大別すると、品種数が豊富な'''江戸系'''、室内鑑賞向きに発展してきた'''伊勢系'''と'''肥後系'''、原種の特徴を強く残す'''長井古種'''の4系統に分類でき、[[古典園芸植物]]でもある。他にも海外、特に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でも育種が進んでいる'''外国系'''がある。


近年の考察では、おそらく[[東北地方]]でノハナショウブの色変わり種が選抜され、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]か[[江戸時代]]はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが[[江戸]]に持ち込まれ、後の3系統につながった。江戸に持ち込まれたハナショウブの出どころとしては[[陸奥国]][[郡山市|郡山]]の[[安積沼]]などの説がある<ref>堀切菖蒲園園内の案内板より</ref>。また、長井古種は江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。
近年{{いつ|date=2019-08}}の考察では、おそらく[[東北地方]]でノハナショウブの色変わり種が選抜され、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]か[[江戸時代]]はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが[[江戸]]に持ち込まれ、後の3系統につながった。江戸に持ち込まれたハナショウブの出どころとしては[[陸奥国]][[郡山市|郡山]]の[[安積沼]]などの説がある<ref>堀切菖蒲園園内の案内板より{{出典無効|date=2019-08}}</ref>。また、長井古種は江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。


アヤメ類の総称として、ハナショウブを「アヤメ」と呼称する習慣が多く見られる。その一方で「ショウブ」と呼称することもあるが、[[菖蒲湯]]に使われる[[ショウブ]]は、[[ショウブ科]](古くは[[サトイモ科]])に分類される別種の植物である。
アヤメ類の総称として、ハナショウブを「アヤメ」と呼称する習慣が多く見られる。その一方で「ショウブ」と呼称することもあるが、[[菖蒲湯]]などに使われる[[ショウブ]]は、[[ショウブ科]](古くは[[サトイモ科]])に分類される別種の植物である。


「いずれがアヤメかカキツバタ」という[[慣用句]]がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。見分け方はアヤメの項の[[アヤメ#見分け方|見分け方]]を参照のこと。
「いずれがアヤメかカキツバタ」という[[慣用句]]がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。見分け方はアヤメの項の[[アヤメ#見分け方|見分け方]]を参照のこと。
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== 伝統品種群の系統 ==
== 伝統品種群の系統 ==
; 江戸系
; 江戸系
: 江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾堀切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本[[松平定朝]](菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し名著「花菖培養録ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。
: 江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾堀切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本[[松平定朝]](菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し花菖培養録た。ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。


; 伊勢系
; 伊勢系
: 現在の[[三重県]][[松阪市]]を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。伊勢松阪の紀州藩士[[吉井定五郎]]により独自に品種改良されたという品種群で、「伊勢三品<ref>菖蒲、菊、撫子</ref>」の一つである<ref>江戸の商人には[[三井高利]]に代表される伊勢出身者が多く互いの行き来も盛んであり、紀州藩士も参勤交代が頻繁であった。このことから、実際には江戸系の影響を受けたであろうことが有力視されている。</ref>。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。
: 現在の[[三重県]][[松阪市]]を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。伊勢松阪の紀州藩士[[吉井定五郎]]により独自に品種改良されたという品種群で、菊、撫子と並ぶ「伊勢三品」の一つである江戸の商人には[[三井高利]]に代表される伊勢出身者が多く互いの行き来も盛んであり、紀州藩士も参勤交代が頻繁であった。このことから、実際には江戸系の影響を受けたであろうことが有力視されている。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。


; 肥後系
; 肥後系
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; 長井古種
; 長井古種
: [[山形県]][[長井市]]で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は[[1910年]]([[明治]]43年)に開園し、市民の憩いの場であった。[[1962年]]([[昭和]]37年)、三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。現在、34種の品種が確認されている<ref>[http://yamagata.kankou-nagai.jp/log/?l=322220 花菖蒲 長井古種物語(長井市観光ポータルサイト)]</ref>。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。近年、長井古種と他系の品種を掛け合わせてつくられた新品種を'''長井系'''と称している。
: [[山形県]][[長井市]]で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は[[1910年]]([[明治]]43年)に開園し、市民の憩いの場であった。[[1962年]]([[昭和]]37年)、三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。現在、34種の品種が確認されている<ref>[http://yamagata.kankou-nagai.jp/log/?l=322220 花菖蒲 長井古種物語(長井市観光ポータルサイト)]</ref>。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。近年{{いつ|date=2019-08}}、長井古種と他系の品種を掛け合わせてつくられた新品種を'''長井系'''と称している。
{{seealso|長井あやめ公園#長井古種}}
{{see also|長井あやめ公園#長井古種}}


== 自治体の花 ==
== 自治体の花 ==
;都道府県の花
;都道府県の花
*[[三重県]] - [[1969年]][[9月22日]]指定
*[[三重県]] - [[1969年]]9月22日指定


;市町村の花
;市町村の花
*[[苫小牧市]] - ([[北海道]])草本の花、[[1986年]][[9月27日]]制定
*[[苫小牧市]]([[北海道]]) - 草本の花、[[1986年]]9月27日制定
*[[千歳市]] - (北海道)[[1986年]][[4月1日]]制定
*[[千歳市]](北海道) - 1986年4月1日制定
*[[長井市]] - ([[山形県]]) 指定は「アヤメ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[長井市]]([[山形県]]) - 指定は「アヤメ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[会津美里町]] - ([[福島県]]) 指定は「あやめ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[会津美里町]]([[福島県]]) - 指定は「あやめ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[潮来市]] - ([[茨城県]]) 指定は「アヤメ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[潮来市]]([[茨城県]]) - 指定は「アヤメ」。厳密な品種のハナショウブにあたる。
*[[川島町]] - ([[埼玉県]])
*[[川島町]]([[埼玉県]])
*[[佐倉市]] - ([[千葉県]])
*[[佐倉市]]([[千葉県]])
*[[河津町]] - ([[静岡県]])
*[[河津町]]([[静岡県]])
*[[碧南市]] - ([[愛知県]])
*[[碧南市]]([[愛知県]])
*[[桑名市]] - [[三重県]]
*[[桑名市]](三重県)
*[[亀山市]] - (三重県)
*[[亀山市]](三重県)
*[[彦根市]] - ([[滋賀県]])[[1975年]][[2月11日]]告示
*[[彦根市]]([[滋賀県]])[[1975年]]2月11日告示
*[[城陽市]] - ([[京都府]])[[1982年]][[11月7日]]制定
*[[城陽市]]([[京都府]])[[1982年]]11月7日制定
*[[堺市]] - ([[大阪府]])[[1989年]]4月制定
*[[堺市]]([[大阪府]])[[1989年]]4月制定
*[[鳥栖市]] - ([[佐賀県]])
*[[鳥栖市]]([[佐賀県]])
*[[宮崎市]] - ([[宮崎県]])[[1968年]][[9月21日]]制定
*[[宮崎市]]([[宮崎県]])[[1968年]]9月21日制定


;特別区の花
;特別区の花
*[[渋谷区]] - [[1978年]][[10月2日]]告示
*[[渋谷区]] - [[1978年]]10月2日告示
*[[葛飾区]]
*[[葛飾区]]


== 名所 ==
== 名所 ==
; [[北海道]]
; [[北海道]]
* [[八紘学園花菖蒲園]]([[札幌市]][[豊平区]]) - 2haの園内に約450種10万株
* [[八紘学園花菖蒲園]]([[札幌市]][[豊平区]]) - 2 haの園内に約450種10万株
* [[あやめ公園 (岩見沢市)|あやめ公園]]([[岩見沢市]]) - 敷地面積4.2ha、混植のアヤメ・カキツバタを含め168種約1万2000株(約15万本)
* [[あやめ公園 (岩見沢市)|あやめ公園]]([[岩見沢市]]) - 敷地面積4.2 ha, 混植のアヤメ・カキツバタを含め168種約1万2000株(約15万本)


; [[青森県]]
; [[青森県]]
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; [[宮城県]]
; [[宮城県]]
* 山王史跡公園あやめ園([[栗原市]]) - 約500種12万株(長井系、ノハナショウブを含む)
* 山王史跡公園あやめ園([[栗原市]]) - 約500種12万株(長井系、ノハナショウブを含む)
* [[多賀城跡あやめまつり|多賀城跡あやめ園]]([[多賀城市]]) - 約2.1haの園内にアヤメ、カキツバタを含む約800種300万本
* [[多賀城跡あやめまつり|多賀城跡あやめ園]]([[多賀城市]]) - 約2.1 haの園内にアヤメ、カキツバタを含む約800種300万本


; [[山形県]]
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; [[福島県]]
; [[福島県]]
* [[浄楽園]]([[福島市]]) - 東北有数の日本庭園に約3000株が植栽されている。
* [[浄楽園]]([[福島市]]) - 東北有数の日本庭園に約3,000株が植栽されている。
* [[四季の里緑水苑]]([[郡山市]]) - 10 haの敷地内の池付近に約30万株が植栽されている。
* [[四季の里緑水苑]]([[郡山市]]) - 10 haの敷地内の池付近に約30万株が植栽されている。
* [[伊佐須美神社|伊佐須美神社あやめ苑]]([[大沼郡]][[会津美里町]]) - 150種10万株が植栽されている。
* [[伊佐須美神社|伊佐須美神社あやめ苑]]([[大沼郡]][[会津美里町]]) - 150種10万株が植栽されている。


; [[茨城県]]
; [[茨城県]]
* [[水郷潮来あやめ園]]([[潮来市]]) - 1約1.3haの園内に約500種類100万株。
* [[水郷潮来あやめ園]]([[潮来市]]) - 約1.3 haの園内に約500種類100万株。


; [[群馬県]]
; [[群馬県]]
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* [[明治神宮]]御苑花菖蒲園([[渋谷区]])
* [[明治神宮]]御苑花菖蒲園([[渋谷区]])
* [[堀切菖蒲園]]([[葛飾区]]) - 江戸系および肥後系中心
* [[堀切菖蒲園]]([[葛飾区]]) - 江戸系および肥後系中心
* [[水元公園]]([[葛飾区]]
* [[水元公園]](葛飾区)
* しょうぶ沼公園([[足立区]]) - 江戸系中心140品種、約8,100株
* しょうぶ沼公園([[足立区]]) - 江戸系中心140品種、約8,100株
* [[吹上しょうぶ公園]]([[青梅市]]) - 江戸系・肥後系・伊勢系など約10万株が植えられている。開花時期は6月の上旬から下旬。『吹上花しょうぶまつり』は5月下旬から6月下旬まで開催される。
* [[吹上しょうぶ公園]]([[青梅市]]) - 江戸系・肥後系・伊勢系など約10万株が植えられている。開花時期は6月の上旬から下旬。『吹上花しょうぶまつり』は5月下旬から6月下旬まで開催される。
* [[北山公園 (東京都)|北山公園]]([[東村山市]])- [[となりのトトロ]]のモデルのひとつとなった[[八国山緑地]]に隣接する自然公園。江戸系、伊勢系、肥後系、外国系など約170種7000株<ref>永田敏弘『色分け花図鑑 花菖蒲』[[学習研究社]]、2007年、ISBN 978-4-0540-2924-8、159頁</ref>
* [[北山公園 (東京都)|北山公園]]([[東村山市]])- [[となりのトトロ]]のモデルのひとつとなった[[八国山緑地]]に隣接する自然公園。江戸系、伊勢系、肥後系、外国系など約170種7,000株<ref>永田敏弘『色分け花図鑑 花菖蒲』[[学習研究社]]、2007年、ISBN 978-4-0540-2924-8、159頁</ref>


; [[神奈川県]]
; [[神奈川県]]
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; [[静岡県]]
; [[静岡県]]
* [[虹の郷|修善寺虹の郷]]日本庭園([[伊豆市]])- 約300種7
* [[虹の郷|修善寺虹の郷]]日本庭園([[伊豆市]])- 約300種7,000
* [[加茂花菖蒲園]]([[掛川市]])- 約1,500種100万株
* [[加茂花菖蒲園]]([[掛川市]])- 約1,500種100万株
* [[浜松市フラワーパーク|はままつフラワーパーク]]([[浜松市]][[西区 (浜松市)|西区]])- 約720種100万株
* [[浜松市フラワーパーク|はままつフラワーパーク]]([[浜松市]][[西区 (浜松市)|西区]])- 約720種100万株
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; [[京都府]]
; [[京都府]]
* [[京都府立植物園]] はなしょうぶ園([[京都市]][[左京区]]) - 250種3000
* [[京都府立植物園]]はなしょうぶ園([[京都市]][[左京区]]) - 250種3,000


; [[奈良県]]
; [[奈良県]]
* [[柳生花しょうぶ園]] ([[奈良市]][[柳生町]]) - 約460種80万株
* [[柳生花しょうぶ園]]([[奈良市]][[柳生町]]) - 約460種80万株
* 花の郷滝谷 花しょうぶ園([[宇陀市]]) - 約600種100万本
* 花の郷滝谷 花しょうぶ園([[宇陀市]]) - 約600種100万本


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; [[兵庫県]]
; [[兵庫県]]
* [[須磨離宮公園]]([[神戸市]][[須磨区]]) - 40種3000
* [[須磨離宮公園]]([[神戸市]][[須磨区]]) - 40種3,000
* [[永沢寺]]花しょうぶ園([[三田市]]) - 1 haの園地に650種300万本
* [[永沢寺]]花しょうぶ園([[三田市]]) - 1 haの園地に650種300万本
* [[播州山崎花菖蒲園]]([[宍粟市]]) - 6 haの園内に約1千種100万本、他にアヤメ70種20万本
* [[播州山崎花菖蒲園]]([[宍粟市]]) - 6 haの園内に約1千種100万本、他にアヤメ70種20万本
* [[兵庫県立フラワーセンター]]([[加西市]]) - 230種5万本
* [[兵庫県立フラワーセンター]]([[加西市]]) - 230種5万本
* [[永富家住宅]]秋恵園([[たつの市]]) - 50種3
* [[永富家住宅]]秋恵園([[たつの市]]) - 50種3,000


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; [[山口県]]
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; [[福岡県]]
; [[福岡県]]
* [[夜宮公園]] ([[北九州市]][[戸畑区]]) - 35種2万本
* [[夜宮公園]]([[北九州市]][[戸畑区]]) - 35種2万本
* [[宮地嶽神社]]江戸菖蒲苑([[福津市]]) - 100種10万本
* [[宮地嶽神社]]江戸菖蒲苑([[福津市]]) - 100種10万本


; [[佐賀県]]
; [[佐賀県]]
* [[大和中央公園花しょうぶ園]] ([[佐賀市]]) - 100種4万本
* [[大和中央公園花しょうぶ園]]([[佐賀市]]) - 100種4万本


; [[大分県]]
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* [[神楽女湖]]菖蒲園 ([[別府市]]) - 80種1万5千株
* [[神楽女湖]]菖蒲園([[別府市]]) - 80種1万5千株


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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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<references />
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat|Iris ensata}}
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* [http://www.japan-iris.org/ 日本花菖蒲協会]
* [http://www.japan-iris.org/ 日本花菖蒲協会]


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[[Category:アヤメ科]]
[[Category:アヤメ科]]
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2019年8月18日 (日) 15:02時点における版

ハナショウブ
肥後系ハナショウブ 雲井の雁 (六英咲き・覆輪系の大輪) 押田成夫(1965年)
ハナショウブ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: アヤメ科 Iridaceae
: アヤメ属 Iris
: ノハナショウブ(広義)
I. ensata
変種 : ハナショウブ
I. ensata var. ensata
学名
Iris ensata Thunb. var. ensata (1794)
シノニム
  • I. ensata Thunb. var. hortensis
    (Maxim.) Makino et Nemoto (1931)
  • I. kaempferi Siebold ex Lemaine (1858)

ハナショウブ花菖蒲Iris ensata var. ensata)はアヤメ科アヤメ属多年草である。シノニムI. ensata var. hortensis, I. kaempferi.

アヤメ類の総称としてハナショウブをアヤメと呼ぶことも多く、間違いにはあたらない(あやめ園、あやめ祭り、自治体の花名など)。

解説

ハナショウブはノハナショウブ(学名I. ensata var. spontanea)の園芸種である。6月ごろに花を咲かせる。花の色は、白、桃、紫、青、黄など多数あり、絞りや覆輪などとの組み合わせを含めると5,000種類あるといわれている。

系統を大別すると、品種数が豊富な江戸系、室内鑑賞向きに発展してきた伊勢系肥後系、原種の特徴を強く残す長井古種の4系統に分類でき、古典園芸植物でもある。他にも海外、特にアメリカでも育種が進んでいる外国系がある。

近年[いつ?]の考察では、おそらく東北地方でノハナショウブの色変わり種が選抜され、戦国時代江戸時代はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが江戸に持ち込まれ、後の3系統につながった。江戸に持ち込まれたハナショウブの出どころとしては陸奥国郡山安積沼などの説がある[1]。また、長井古種は江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。

アヤメ類の総称として、ハナショウブを「アヤメ」と呼称する習慣が多く見られる。その一方で「ショウブ」と呼称することもあるが、菖蒲湯などに使われるショウブは、ショウブ科(古くはサトイモ科)に分類される別種の植物である。

「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。見分け方はアヤメの項の見分け方を参照のこと。

伝統品種群の系統

江戸系
江戸ではハナショウブの栽培が盛んで、江戸中期頃に初のハナショウブ園が葛飾堀切に開かれ、浮世絵にも描かれた名所となった。ここで特筆されるのは、旗本松平定朝(菖翁)である。60年間にわたり300近い品種を作出し『花菖培養録』を著した。ハナショウブ栽培の歴史は菖翁以前と以後で区切られる。こうして江戸で完成された品種群が日本の栽培品種の基礎となった。
伊勢系
現在の三重県松阪市を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。伊勢松阪の紀州藩士吉井定五郎により独自に品種改良されたという品種群で、菊、撫子と並ぶ「伊勢三品」の一つである。江戸の商人には三井高利に代表される伊勢出身者が多く互いの行き来も盛んであり、紀州藩士も参勤交代が頻繁であった。このことから、実際には江戸系の影響を受けたであろうことが有力視されている。昭和27年(1952年)に「イセショウブ」の名称で三重県指定天然記念物となり、全国に知られるようになった。
肥後系
現在の熊本県を中心に鉢植えの室内鑑賞向きに栽培されてきた品種群である。肥後熊本藩主細川斉護が、藩士を菖翁のところに弟子入りさせ、門外不出を条件に譲り受けたもので、「肥後六花」の一つである。満月会によって現在まで栽培・改良が続けられている。菖翁との約束であった門外不出という会則を現在も厳守している点が、他系統には見られない習慣である。しかし大正に会則を破り外部へ広めてしまった会員がおり、現在では熊本県外の庭園などで目にすることができる。
長井古種
山形県長井市で栽培されてきた品種群である。同市のあやめ公園は1910年明治43年)に開園し、市民の憩いの場であった。1962年昭和37年)、三系統いずれにも属さない品種群が確認され、長井古種と命名されたことから知られるようになった。江戸後期からの品種改良の影響を受けていない、少なくとも江戸中期以前の原種に近いものと評価されている。現在、34種の品種が確認されている[2]。長井古種に属する品種のうち13品種は長井市指定天然記念物である。近年[いつ?]、長井古種と他系の品種を掛け合わせてつくられた新品種を長井系と称している。

自治体の花

都道府県の花
市町村の花
特別区の花

名所

北海道
青森県
  • 手づくり村鯉艸郷(十和田市) - 約600種20万株
岩手県
宮城県
  • 山王史跡公園あやめ園(栗原市) - 約500種12万株(長井系、ノハナショウブを含む)
  • 多賀城跡あやめ園多賀城市) - 約2.1 haの園内にアヤメ、カキツバタを含む約800種300万本
山形県
福島県
茨城県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
福井県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
奈良県
大阪府
兵庫県
山口県
  • 吉香公園城山花菖蒲園・吉香花菖蒲園(岩国市) - 2か所の菖蒲園に合計約140種11万株
福岡県
佐賀県
大分県

脚注

  1. ^ 堀切菖蒲園園内の案内板より[出典無効]
  2. ^ 花菖蒲 長井古種物語(長井市観光ポータルサイト)
  3. ^ 永田敏弘『色分け花図鑑 花菖蒲』学習研究社、2007年、ISBN 978-4-0540-2924-8、159頁

関連項目

外部リンク