ONE LIFE,ONE DEATH

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ONE LIFE, ONE DEATH
BUCK-TICKスタジオ・アルバム
リリース
録音 スタジオグリーンバード
ジャンル 2000年
ロック
エレクトロニック
オルタナティヴ・ロック
インダストリアル・ロック
時間
レーベル BMGファンハウス
プロデュース BUCK-TICK
比留間整
チャート最高順位
BUCK-TICK アルバム 年表
97BT99
(2000年)
ONE LIFE, ONE DEATH
(2000年)
ONE LIFE, ONE DEATH CUT UP
2001年
EANコード
『ONE LIFE, ONE DEATH』収録のシングル
  1. GLAMOROUS
    リリース: 2000年9月6日
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ONE LIFE, ONE DEATH』(ワン・ライフ、ワン・デス)は、日本のロックバンドであるBUCK-TICKの11枚目のオリジナルアルバム[注釈 1]

2000年9月20日BMGファンハウスよりリリースされた。マーキュリー・ミュージック・エンタテインメントからの移籍第一弾として前作『SEXY STREAM LINER』(1997年)よりおよそ3年ぶりにリリースされた作品であり、作詞は櫻井敦司および今井寿が担当、作曲は今井および星野英彦が担当、BUCK-TICKによるセルフ・プロデュースとなっている。

マーキュリーよりリリースされたシングルBRAN-NEW LOVER」(1999年)および「ミウ」(1999年)の流れをくんだエレクトロニックかつポップな楽曲と、ノイジーでアヴァンギャルドな音楽性となっている。また、前作におけるデジタルサウンドの要素を導入しつつも「歌」に重点を置いたメロディアスが楽曲によって構成されている。

先行シングルとして「GLAMOROUS」がリリースされている。本作はオリコンチャートにおいて最高位11位となった。

背景[編集]

前作『SEXY STREAM LINER』(1997年)リリース後、BUCK-TICKは「SEXTREAM LINER零型 (type0)」と題した単独コンサートを同年12月26日および12月27日の2日間に亘り日本武道館にて実施[1]。その後「TOUR SEXTREAM LINER」と題したアルバムを受けたコンサートツアーを1998年2月4日川口総合文化センターリリア メインホール公演から5月8日および5月9日の日本武道館2日間連続公演まで、29都市全33公演を実施した[1]。ツアーファイナルとなった日本武道館公演の模様は後にライブ・アルバム『SWEET STRANGE LIVE DISC』(1998年)およびライブ・ビデオ『SWEET STRANGE LIVE FILM』(1998年)として同日にリリースされた[1]

同年3月11日には『SEXY STREAM LINER』からのリカットとなるシングル「囁き」およびコンパクト盤LTD』を、クラブシーンへのアプローチを企図してリリース[1]5月13日にはシングル「月世界」をリリース[1]、同曲はテレビ東京系テレビアニメ『Night Walker -真夜中の探偵-』(1998年)の主題歌として使用され、BUCK-TICKとしては初のアニメ作品とのタイアップとなった。8月12日には「TOUR SEXTREAM LINER」における日本武道館公演の模様を収録したライブ・アルバム『SWEET STRANGE LIVE DISC』およびライブ・ビデオ『SWEET STRANGE LIVE FILM』を同日にリリース[1]

1999年に入り、3月20日にはビクターエンタテインメント在籍時の楽曲を収録した2枚組ベスト・アルバム『BT (BEST TRACKS)』をリリース、7月14日には16枚目のシングル「BRAN-NEW LOVER」がリリースされた[1]8月8日にはマリリン・マンソン主催の野外フェスティバル「BEAUTIFUL MONSTERS TOUR 1999」に参加、8月19日には「NO TITLE」と題した単独ライブを赤坂BLITZにて実施[1]。その他にも「Energy Void TOUR」と題したコンサートツアーを8月23日Zepp TOKYO公演から8月31日のZepp FUKUOKA公演まで、4都市全4公演が実施された[1]10月20日には17枚目のシングル「ミウ」、11月26日にはミュージック・ビデオ集『DREAM BOX』、翌2000年3月29日にはコンピレーション・アルバム『97BT99』をリリース[2]。その後BUCK-TICKはマーキュリー・ミュージック・エンタテインメントからBMGファンハウスへの移籍を発表、9月6日には移籍第一弾となるシングル「GLAMOROUS」をリリースした[3]

録音、制作、音楽性[編集]

自分で言うのも何ですけど、好みの1枚ですね。以前ほど機械と対等というよりは、もっと肉感的な感じ。肌で感じる、そういうのは凄くあると思いますね。音でも声でも。例えば、蒸し暑さだったりとか、冷房っていうより<ドライ>な感じとか。
櫻井敦司,
音楽と人 2000年9月号[4]

本作に関する曲作りは2000年3月頃より開始された[5]櫻井敦司によれば、自ら立ち上げた所属事務所のことやレコード会社の移籍など音楽制作以外の部分で時間を要することが多々あり、曲制作に取り掛かるのが遅くなったと述べている[5]。前年には「BRAN-NEW LOVER」や「ミウ」などマキシシングルがリリースされたが、BUCK-TICKは元々アルバム制作を基本としていたため、アルバム制作を想定せずシングルのみをリリースすることに慣れておらず、方向性が定まらなかったと櫻井は述べている[5]。また、シングルでは様々な世界を曲ごとに表現するにあたり物足りなかったとも述べている[4]。その他、前作『SEXY STREAM LINER』では打ち込みやループなどの機械的なサウンドがメインとなっていたが、櫻井は「泥臭い自分の歌詞と、機械の感じが、上手く自分の中で消化しきれてなかったんで。だから今回はメロディですね」と述べ前作との違いを明確にしている[4]

今井寿は前作において、人間と機械が融合するイメージでデジタルサウンドの構築を図っていたが、本作においては同じような手段を用いながらも省略できる部分は省略したことが大きく異なる部分であると述べている[6]。本作において最初に制作された曲は「GLAMOROUS」であり、すんなり制作出来たことから「やっぱりこれはこれで気持ちいいんだよな」との感覚を覚えたところから本作の制作が開始されたと述べている[6]。また、本作では「歌」ありきでリズムに乗せて歌を歌いそこにギターノイズを付加していく方向に変化しているとも述べており、インタビュアーからバンド開始当時の視点に戻っているのではないかと問われた今井はそれを肯定している[6]。その他、今井は本作から作曲においてコンピュータを使用するようになったと述べており、本作制作時はデジタルロック的なものを意識していた上に様々な音を使用できるようになったことから、実験的な要素を追い求めるあまりかなりの期間籠って制作を行っていたと述べている[7]。さらに、思い描いた通りの音が出せずに四苦八苦したとも述べている[7]

アルバムタイトルの由来は4曲目「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」の歌詞の一節「一度生まれて 一度死ぬ」を英語表記にしたものである。

リリース[編集]

2000年9月20日BMGファンハウスからCDにてリリースされた。初回限定盤は写真集ブックレット付のボックス仕様となっていた。

2017年11月7日にはデビュー30周年を記念し、本作から17枚目のアルバム『RAZZLE DAZZLE』(2010年)までのアリオラジャパン在籍時代の9作品が全曲リマスターおよびブルースペックCD2として紙ジャケット仕様で再リリースされた[8][9]

ツアー[編集]

本作を受けたコンサートツアーは「PHANTOM TOUR」と題して2000年9月21日市川市文化会館公演から10月11日広島アステール公演まで8都市全8公演を実施、また追加公演として「OTHER PHANTOM TOUR」と題したコンサートツアーを10月15日Zepp SENDAI公演から11月3日赤坂BLITZ公演まで7都市全7公演を実施した[3]10月21日にはファンクラブ限定ライブ「FISH TANKer's ONLY」を渋谷公会堂にて実施、さらに本作のタイトルを冠したコンサートツアー「TOUR ONE LIFE, ONE DEATH」を12月13日大阪厚生年金会館大ホール公演から12月29日日本武道館公演まで3都市全3公演を実施した[3]。ツアーファイナルとなった日本武道館公演の模様は後にライブ・アルバムおよびライブ・ビデオ『ONE LIFE, ONE DEATH CUT UP』(2001年)として同日にリリースされた[3]

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[10]
BUCK-TICK ~since 1985-2011~肯定的[11]
B-T DATA肯定的[12]

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、BUCK-TICKが結成以来「常に進化を遂げてきた比類なきロック・バンド」であると指摘した上で、本作は「じっくりと熟成された傑作となった」と肯定的に評価した[10]。書籍『BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 史上最強のROCK BAND』では、前作におけるデジタルサウンドへの傾倒を取り入れつつもあくまで「歌」を主体としたメロディアスな楽曲によって構成されていると指摘した上で、「彼らの持つ耽美性とアバンギャルドな部分が強く打ち出されている」と肯定的に評価した[11]。書籍『B-T DATA BUCK-TICK 25th Anniversary Edition』では、ハウスビートを取り入れた「Baby, I want you.」や「GLAMOROUS」などをライブ向けの楽曲であると指摘、また今井が制作した「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」や「RHAPSODY」などの楽曲の「突き抜け方がすごい」と称賛したほか、「女神」が星野による哀愁のメロディと櫻井による歌詞の深みが合体した名曲であると主張、さらに「FLAME」が一度きりしかない人生を花の運命に例えた歌詞であることからアルバムタイトルに通じているとも主張した[12]

チャート成績[編集]

本作はオリコンチャートにて最高位11位で登場回数は4回となり、売り上げ枚数は4.6万枚となった。この売り上げ枚数はBUCK-TICKのアルバム売上ランキングにおいて14位となっている[13]2022年に実施されたねとらぼ調査隊によるBUCK-TICKのアルバム人気ランキングでは15位となった[14]

収録曲[編集]

一覧[編集]

全編曲: BUCK-TICK。

#タイトル作詞作曲時間
1.Baby, I want you.櫻井敦司今井寿
2.CHECK UP今井寿今井寿
3.GLAMOROUS -FLUXUS-櫻井敦司今井寿
4.細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM今井寿今井寿
5.カイン櫻井敦司今井寿
6.Death wish櫻井敦司星野英彦
7.女神櫻井敦司星野英彦
8.サファイア櫻井敦司今井寿
9.RHAPSODY今井寿今井寿
10.FLAME櫻井敦司今井寿
合計時間:

曲解説[編集]

  1. Baby, I want you.
    BUCK-TICK流4つ打ちダンスナンバー。後に至るまでライブにおいて頻繁に披露されている。
  2. CHECK UP
  3. GLAMOROUS -FLUXUS-
    先行シングル曲。
  4. 細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM
    ドリー」とは1996年スコットランドにて誕生した世界初のクローン羊のことであり、クローンのように似通ったものが乱発される昨今の音楽シーン(もしくはファッションシーン)を皮肉っている。
    また「細胞具」とはサイボーグを、歌詞にある「細胞具はドリーの夢をみるか」という一節はフィリップ・K・ディックSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968年)をそれぞれもじったもの。
    なお、「ソラミミが聴こえる」のメロディやシンセのフレーズに音階の「ソラミミ」が多用され、「空耳」とのダブルミーニングになっている。[15]
  5. カイン
  6. Death wish
  7. 女神
  8. サファイア
  9. RHAPSODY
  10. FLAME

スタッフ・クレジット[編集]

BUCK-TICK[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • BUCK-TICK - プロデュース
  • 比留間整(サウンドスカイスタジオ) - コ・プロデュース、レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
  • 荒井健一(サウンドスカイスタジオ) - 追加エンジニア
  • ほんかわとしろう(スタジオグリーンバード) - アシスタント・エンジニア
  • みやざきかおり(スタジオグリーンバード) - アシスタント・エンジニア
  • 小鉄徹(JVCマスタリングセンター) - マスタリング・エンジニア
  • 浅見繁男 - ドラム・テクニシャン&チューナー
  • 峰守一隆 (MASTER TONE) - ギター&ベース・テクニシャン
  • 向井一洋(BMGファンハウス) - A&Rディレクター
  • メディア・プロモーション・デパートメント(BMGファンハウス) - プロモーション・スタッフ
  • 佐久間博(BMGファンハウス) - セールス・プロモーター
  • 引田和幸(BMGファンハウス) - ビジュアル・コーディネーター
  • 千葉隆広(バンカー) - アーティスト・マネージメント
  • のむらたけお(サークルズミュージックパブリッシャー) - パブリッシング・スタッフ
  • かしわやとしこ(バンカー) - マネージメント・デスク
  • よしださおり (FISH TANK) - オフィシャル・ファンクラブ
  • サカグチケン - アート・ディレクション
  • 前田タケシ(サカグチケンファクトリー) - グラフィック・デザイン
  • LUXON S.p.A - CGオペレート
  • M.HASUI - アーティスト・フォトラフィー
  • 谷崎隆幸 (Fat's Berry) - ヘアー・スタイリング&メイク・アップ
  • 八木智晴 - コスチューム・スタイリング
  • ロバート・ロンゴ - オリジナル・カバー・ビジュアル「All You Zombies Truth Before God」制作
  • ユニフォトプレス - カバー・アレンジ
  • フェルナンデス - スペシャル・サンクス
  • バーニー - スペシャル・サンクス
  • グレコ - スペシャル・サンクス
  • ラディック - スペシャル・サンクス
  • モリダイラ楽器 - スペシャル・サンクス
  • 松木昭男(イシバシ楽器) - スペシャル・サンクス
  • 重松尚利 (WOOMACK BOX) - スペシャル・サンクス
  • Aniki - スペシャル・サンクス
  • ASAKI - スペシャル・サンクス
  • 奈良敏博 - スペシャル・サンクス
  • 湊雅史 - スペシャル・サンクス
  • 佐藤順也 - スペシャル・サンクス
  • AKANI - スペシャル・サンクス
  • ほりうちひでと - スペシャル・サンクス
  • YOKONO - スペシャル・サンクス
  • KEN - スペシャル・サンクス
  • P-CHAN - スペシャル・サンクス
  • あらいみきの - スペシャル・サンクス
  • あらいはいね - スペシャル・サンクス
  • ABY - スペシャル・サンクス
  • PHANTOM - スペシャル・サンクス

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 2000年9月20日 BMGファンハウス CD BVCR-11026 11位
2 2017年11月7日 アリオラジャパン Blu-Spec CD2 BVCL-30035 243位 デジタルリマスター盤、紙ジャケット仕様

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ セルフカバー・アルバム『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』(1992年)を除いた場合。『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』を7枚目のアルバムとした場合12枚目のアルバムとなる。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 33- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  2. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, pp. 33–34- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  3. ^ a b c d BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 34- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  4. ^ a b c WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 162.
  5. ^ a b c WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 161.
  6. ^ a b c WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 163.
  7. ^ a b 別冊カドカワ 2018, p. 61- 帆苅智之「PERSONAL INTERVIEW 変化と進化の座標 今井寿」より
  8. ^ BUCK-TICK、アリオラ時代のアルバム9作がリマスター盤で登場”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク (2017年11月7日). 2022年4月17日閲覧。
  9. ^ BUCK-TICK、アリオラ時代の9作品をリマスター&紙ジャケでリリース”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク (2017年11月8日). 2022年4月23日閲覧。
  10. ^ a b BUCK-TICK / ONE LIFE、ONE DEATH”. CDジャーナル. 音楽出版. 2022年4月23日閲覧。
  11. ^ a b BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 92- 「File7 BUCK-TICK REVIEW〜オリジナルアルバムレビュー&全作品アーカイブ 1986-2011」より
  12. ^ a b B-T DATA 2013, p. 168- 「DISCOGRAPHY 1986-2013」より
  13. ^ BUCK-TICKのアルバム売上ランキング”. オリコンニュース. オリコン. 2022年4月15日閲覧。
  14. ^ 「BUCK-TICK」のアルバム人気ランキングTOP25! 1位は「狂った太陽」に決定!【2022年最新投票結果】”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2022年2月9日). 2022年4月15日閲覧。
  15. ^ (日本語) Bメロ史上最高に突き抜けた「GLAMOROUS」!~ドリーが1匹、ドリーが2匹…新事実「ソラミミ」の正体に驚愕!!【名盤ラジオ #41-3】, https://www.youtube.com/watch?v=-KRaa298mOQ 2023年3月14日閲覧。 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]