アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
| 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 Do Androids Dream of Electric Sheep? |
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|---|---|
| 作者 | フィリップ・K・ディック |
| 国 | アメリカ合衆国 |
| 言語 | 英語 |
| ジャンル | SF小説 |
| 刊行 | 1968年、ダブルデイ |
| 受賞 | ローカス賞 |
| 訳者 | 浅倉久志 |
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(アンドロイドはでんきひつじのゆめをみるか、原題: Do Androids Dream of Electric Sheep?、 1968年)は、フィリップ・K・ディックのSF小説。日本語版は1969年(昭和44年)に浅倉久志の訳でハヤカワ・SF・シリーズから刊行され、後にハヤカワSF文庫に収められた。
概要[編集]
第三次世界大戦後の未来、サンフランシスコを舞台に賞金稼ぎのリック・デッカードが、火星から逃亡してきた8体のアンドロイドを「処理」するというあらすじ。電気動物やムードオルガン、マーサー教などディック独自の世界観の上に描かれている。この世界では自然が壊滅的打撃を受けているために、生物は昆虫一匹と言えども法によって厳重に保護されている。一方で科学技術が発達し、本物そっくりの機械仕掛けの生物が存在している。そしてその技術により生み出された人造人間は感情も記憶も持ち、自分自身ですら自分が機械であることを認識できないほどのものすら存在している。主人公は、他者への共感の度合いを測定するテスト「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」によって人造人間を判別し、廃棄する賞金稼ぎである。この世界での生物は無条件の保護を受ける一方で、逃亡した人造人間は発見即廃棄という扱いとなっており、主人公のような賞金稼ぎの生活の糧となっている。
題名は、一見すると奇妙な問いかけの形式がとられている。主人公は人造人間を処理していく中であまりに人間らしい人造人間と出会い、人間と人造人間の区別を次第に付けられなくなってゆく。人間とは何か? 人間と人工知能の違いは? 作品の根源的な思想を素朴な問いかけに集約した、主人公のこの一言が、そのまま本作品の題名となっている。また特徴のあるこの題名は、「アンドロイドは電気『**』の夢を見るか?」や「『**』は『**』の夢を見るか?」(**に任意の単語を入れたもの)といった体裁の数多くのパロディを生んだ。
本作は1982年に公開された映画『ブレードランナー』の原作となった。監督はリドリー・スコット、主人公のリック・デッカード役はハリソン・フォードが務め、高い評価を得た。2017年には、ハリソン・フォードがふたたびデッカードを演じる、映画版の続編『ブレードランナー 2049』が公開された。
あらすじ[編集]
8人のアンドロイドが火星を脱走して地球に侵入する。2人はサン・フランシスコ警察署主任のデイヴ・ホールデンにより処理される。アンドロイドのマックス・ポロコフは、デイヴ・ホールデンに重傷を負わせ、逃走する。サン・フランシスコ警察署のハリイ・ブライアント警視は、部下のリック・デッカードに、残りの6人の処理を依頼する。デッカードは、バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)なのだ。デッカードは、逃走したアンドロイドが掲載しているネクサス6型脳ユニットを開発したシアトルのローゼン協会を訪問する。職員のエルドン・ローゼンの姪、レイチェル・ローゼンを、フォークト=カンプフ感情移入度検査法で試験を行う。デッカードは、レイチェル・ローゼンがアンドロイドであり、おそらくネクサス6型脳ユニットが装着されている事を見破る。世界警察機構所属のソ連の刑事と名乗り、サンドール・カダリイが、デッカードに近づいてきたが、実は、アンドロイドのマックス・ポロコフが正体であった。とっさの判断でデッカードは、マックス・ポロコフを銃殺する。サン・フランシスコ歌劇団所属のオペラ歌手ルーバ・ラフトを訪問したデッカードは、逆に変質者として警察のクラムズ巡査に連行され、ガーランド警視の前に連れてこられる。ガーランド警視の部下の賞金稼ぎフィル・レッシュが、ガーランド警視がアンドロイドである事を見抜いて、ガーランド警視を銃殺する。デッカードとフィル・レッシュは、オペラ歌手ルーバ・ラフトを追跡して、美術館で発見する。フィル・レッシュが、ルーバ・ラフトを逮捕、拘束し銃殺する。フィル・レッシュをアンドロイドと疑ったデッカードは、フィル・レッシュにフォークト=カンプフ感情移入度検査法で試験を行う。フィル・レッシュは人間であった。
ジョン・イシドアは模造動物修理店の集配用トラックの運転手。知能が弱く、特殊者(スペシャル)として、廃墟のビルに一人きりで住んでいる。同じビルに住むことになったプリス・ストラットンと親しくなる。プリス・ストラットンは逃亡してきた8人の一味で女アンドロイドであった。後から合流したアンドロイド、ロイ・ベイティーとアームガード・ベイティー夫婦とも、ジョン・イシドアは友達になる。ロイ・ベイティーが、脱走した8人のアンドロイドのリーダーである。ジョン・イシドアは、彼らがアンドロイドと知った後も、4人で親しくつきあった。デッカードが、3人のアンドロイドの居場所を遂に特定する。廃墟のビルを訪問したデッカードは、階段でプリス・ストラットンを銃殺し、部屋の中でロイ・ベイティーとアームガード・ベイティー夫婦を銃殺する。
登場人物[編集]
- リック・デッカード
- サン・フランシスコ警察署の職員。賞金稼ぎ。
- イーラン
- リックの妻。
- グルーチョ
- リック・デッカードの飼っている羊。アンドロイド。本物は、妻の父の形見で、破傷風で死亡した。
- ビル・バーバー
- 同じ集合住宅ビルの隣の小区画の持ち主。牝馬(ジュディー)を飼っている。
- ハリイ・ブライアント警視
- リック・デッカードの上司。
- デイヴ・ホールデン
- リック・デッカードの課の主任。カリフォルニア地区の賞金稼ぎ。脊椎に怪我をして入院。
- アン・マーステン
- 女性。リック・デッカードの秘書。
- フィル・レッシュ
- 賞金稼ぎ。リスのバフィーを飼っている。
- サンドール・カダリイ
- ソ連の刑事。世界警察機構所属。実はマックス・ポロコフ。
- クラムズ巡査
- ミッション通りの司法本部勤務。
- エルドン・ローゼン
- レイチェルの叔父。ローゼン協会の職員。
- レイチェル・ローゼン
- 18歳。ローゼン協会の社員。実はネクサス6型のアンドロイド。
- ジョン(J・R)・イシドア
- ヴァン・ネス動物病院(模造動物修理店)の集配用トラックの運転手。1年前に特殊者(スペシャル)の仲間入り。ビルにたった一人で住んでいる。
- ハンニバル・スロート
- ヴァン・ネス動物病院の経営者。
- ミルト・ボログローヴ
- ヴァン・ネス動物病院の修理工。
- バスター・フレンドリー
- TVのコメディアン。実はアンドロイド。
- マックス・ポロコフ
- アンドロイド。港地区清掃公社の塵芥収集夫。
- ガーランド警視
- アンドロイド。ミッション通りの司法本部勤務。
- ルーバ・ラフト
- 28歳。女性アンドロイド。オペラ歌手。サン・フランシスコ歌劇団所属。
- プリス・ストラットン
- 女性アンドロイド。レイチェル・ローゼンと同じ顔貌・体型をしている。
- ロイ・ベイティー
- アンドロイドのリーダー。
- アームガード・ベイティー
- 女性アンドロイド。ロイ・ベイティーの妻。
用語[編集]
- ペンフィールド情調オルガン
- 自分の感情をダイアルで調整できる
- 適格者(レギュラー)
- 毎月の身体検査で判定。生殖を許可される。
- 特殊者(スペシャル)
- 人類の一員でなくなる。
- マーサー教
- 教祖はウィルバー・マーサー。この時代に普及している宗教。
- 共感(ニンパシー)ボックス
- 教祖ウィルバー・マーサーと肉体的融合ができる装置。
- バウンティ・ハンター
- 賞金稼ぎ。
- フォークト=カンプフ感情移入(エンパシー)度検査法
- アンドロイドと人間を区別する検査法。ショッキングな質問に対する赤面現象と顔筋の緊張の変動を記録する。ネクサス6型脳ユニットに効力を持つかは不明。
- ネクサス6型脳ユニット
- 最新型脳ユニット。人間より有能。
- ローゼン協会(シアトル)
- ネクサス6型脳ユニットを開発した企業。
- シドニー社
- 生きた動物のカタログを発行。
受賞[編集]
書誌情報[編集]
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 浅倉久志訳、早川書房ハヤカワ・SF・シリーズ3223、1969年6月
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 浅倉久志訳、ハヤカワ文庫SF229、1977年3月
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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