i-dio

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i-dio(アイディオ)は、VHF-Low帯を使用した日本マルチメディア放送インターネットラジオサービスである。

概要[編集]

2012年3月に停波した地上アナログテレビ放送のVHF-Low帯を利用して、2016年3月、東京大阪福岡からプレ放送を開始した[1]移動受信用地上基幹放送である。今後順次全国ネットワークを広げていく形となる。i-dioは、TOKYO FM登録商標(商標登録第5814077号)である。

運営形態は衛星基幹放送VHF-High帯の移動受信用地上基幹放送と同様に、送信設備などを担当する基幹放送局提供事業者と、番組編成を担当する認定基幹放送事業者とハードとソフトが分離[2]している。

放送対象地域全国放送であるVHF-High帯マルチメディア放送のモバキャス/NOTTVがハード・ソフト各1社で運営されていた(2016年6月30日サービス終了)のに対し、広域放送県域放送のVHF-Low帯は日本全国を6広域圏と北海道[3]とに区分し[4]、1つの基幹放送局提供事業者がハード面を、6つの認定基幹放送事業者がソフト面を担当する。また、事業全体を統括し進めていくための持株会社と、認定基幹放送事業者に放送コンテンツを供給するコンテンツプロバイダーが設定されている[5]

  • 株式会社ジャパンマルチメディア放送 - V-Low帯マルチメディア放送事業統括会社、TOKYO FMの関連会社、2017年6月30日にBIC株式会社から商号を変更
    • 株式会社VIP - 基幹放送局提供事業者(送信事業者)
    • 放送会社6社(ソフト事業者)
      • 北日本マルチメディア放送株式会社 - 北海道地区、東北地区の認定基幹放送事業者
      • 東京マルチメディア放送株式会社 - 関東・甲信越地区の認定基幹放送事業者
      • 中日本マルチメディア放送株式会社 - 東海・北陸地区の認定基幹放送事業者
      • 大阪マルチメディア放送株式会社 - 関西地区の認定基幹放送事業者
      • 中国・四国マルチメディア放送株式会社 - 中国・四国地区の認定基幹放送事業者
      • 九州・沖縄マルチメディア放送株式会社 - 九州・沖縄地区の認定基幹放送事業者
  • コンテンツプロバイダー
    • TOKYO SMARTCAST株式会社
    • 株式会社アマネク・テレマティクスデザイン
    • 楽天株式会社(2016年7月1日 - 2017年6月30日)

有料放送だったNOTTVに対しi-dioは無料放送を原則としている。

放送規格・品質[編集]

放送規格として日本のデジタル放送規格であるISDBの地上デジタル音声放送用規格ISDB-TSBを採用している[5]。放送波として3セグメント形式のOFDMフレーム×2で送信され[5]、音声はMPEG-AACで放送される。また将来計画として2016年8月以降にHD Soundと呼ばれる高音質放送を、2017年以降に96kHzのハイレゾ音質での放送を予定している[6][7]

また放送というインフラによるIPデータキャスト技術を使うことにより、音声や映像だけでなく各種データを送信することが可能で、電子チラシや電子クーポンの配布、リアルタイムの自動音声読み上げ、受信デバイス内のデータ更新、自動車向けテレマティクスサービスの提供、災害発生時や大規模イベント開催時の輻輳に影響されない情報提供が可能となり、特に災害については防災情報システム「V-Alert」を用意し自治体から地域住民に向けた避難情報を音声やデータで指定したエリアだけに配信する事が可能となっている[6][7]

その一方で2016年7月からはIPサイマル放送(インターネットラジオ)を実施、i-dioが放送する音声や映像などのデータをコンテンツデリバリネットワークを介して配信を行い、難視聴対策として電波が届かないエリアでも通信によって放送を聞くことができるようにしている[8][6][7]。基本的にスマートフォンやタブレット端末(iOS、Android)が対象となるが、後述のようにチャンネルによってはパソコン環境でも聴取出来るようになっている。

主なチャンネル[編集]

2016年7月時点で、コンテンツプロバイダー3社によるチャンネル3つと、ソフト事業者である東京マルチメディア放送によるチャンネル4つ、各地域のソフト事業者によるローカルチャンネルが関東甲信越地区を除く3地域で各1つずつ放送されている。

TS ONE
TOKYO SMARTCASTによる、i-dioのフラッグシップと位置づけられた高音質音楽チャンネル。デジタル地上波では最高音質となる音楽や世界のニュース・カルチャーを発信する。ミュージシャンや音楽評論家など、音楽を知り尽くした一級のDJの選曲による『PREMIUM ONE』、Billboard JAPANの最新チャートを発表する『HITS ONE powered by Billboard JAPAN』『Billboard JAPAN HOT 100』、天候や国内外の時事を反映させて音楽を提供する『ONE MORNING』、国内外の自然音と音楽をコラージュした『SOUND SCAPE』などが番組として編成されている。
音楽を流すだけでなく、聴取アプリではリアルタイムでデータ放送が配信され、流れている楽曲の情報や購入先へのリンクも出される。2016年7月には本開局と共に専用のプレイヤーアプリを提供し、より多くの楽曲情報や電子クーポンなどを受け取れるようにする[8]。2017年4月からはi-dioのサービスを開始していないエリアを含めた日本全国でもTS ONE専用アプリでインターネットを介して聴取出来るようになるほか、専用聴取アプリのWindows版の提供も行われる[9]。2017年以降は96kHzのハイレゾ級の音質での放送も予定している。
Amanekチャンネル
アマネク・テレマティクスデザインによる日本初のモビリティ向け専用ラジオチャンネル。開局当初は紹介番組のみとなっていたが、2016年7月より専用アプリを提供して本放送を開始した[8][10]。ドライバー向けの高音質音楽とアナウンサーによる天気情報や『キュレーションマガジンantenna』と連携したドライバーのための情報提供と共に、GPSの位置情報と連動し、IPデータキャストと自動音声読み上げシステムによるエリア単位でのリアルタイムの気象情報や観光情報を提供する。
i-dio Selection
東京マルチメディア放送による24時間ノンストップの音楽チャンネル。クラシックジャズ、マスターピースの3チャンネルを用意している。
i-dio Creators Ch.
東京マルチメディア放送による映像チャンネル。クリエイターとの共創を目指しており、ショートムービーやアニメを中心とした編成となっている。
KANSAIチャンネル
大阪マルチメディア放送による、関西地区のローカルチャンネル。平日夜にオリジナル番組として『KANSAI LIVE VIEWING』を放送するほか、それ以外の時間ではFM OSAKAのサイマル放送を行う。
Qリーグチャンネル
九州・沖縄マルチメディア放送による、九州・沖縄地区のローカルチャンネル。土曜朝にオリジナル番組として、FM FUKUOKAの平日朝ワイド番組『モーニングジャム』の週末版『ウィークエンドジャム』を放送するほか、それ以外の時間ではFM FUKUOKA(一部の時間帯ではFMQリーグ所属各局の番組)のサイマル放送を行う。
TRAN・Jチャンネル
中日本マルチメディア放送による、東海・北陸地区のローカルチャンネル。2016年7月1日に名古屋局(東海3県)でプレ開局し、8月1日より本放送を開始、以後静岡及び北陸地方にエリアを拡大するほか、IPサイマル放送ではプレ開局時から東海・北陸7県で聴取が可能となる。域内のJFN加盟各局制作によるオリジナル番組を放送するほか、@FMのサイマル放送も実施する[8]

過去のチャンネル[編集]

Crimson FM
楽天が運営するインターネットラジオプラットフォーム「Rakuten.FM」内のチャンネルで、2016年7月1日の放送開始と共にi-dioでも放送を開始した[11]。楽天とTOKYO FMグループによる協業チャンネルで、リスナーの聴取データに基づき番組を編成し、テクノロジー情報などを取り上げた番組や世界の音楽フェスティバルを取り上げた番組などが編成される[12]。なお媒体の性質上、i-dioではマルチメディア放送のみ受信可能で、インターネット経由ではRakuten.FM側を使う(専用スマートフォンアプリまたはWebブラウザを使用する)ためi-dioのアプリでは聴取はできない。
楽天による事業見直しでRakuten.FMのサービスが2017年8月末で終了するのを受けて、同年6月30日26時(7月1日2時)を持って放送終了した[13]

対応機種[編集]

送信所[編集]

当初は段階的に開局を進め、2019年7月までに大中規模地上基幹放送局62局、小規模地上基幹放送局133局を整備し、2019年度に世帯カバー率78.3%を目指す予定。予定スケジュールは以下の通り[14]

  • 2016年
    • 3月1日:東京・大阪・福岡で放送開始
    • 7月1日:名古屋で放送開始[8]
    • 7月8日:神奈川湘南・西部エリアで放送開始
    • 10月14日:静岡中部で放送開始[15]
  • 2017年
    • 3月17日:静岡西部で放送開始[16]
    • 7月10日:兵庫西部で放送開始
    • 10月10日:東京西部で放送開始
    • 年度内:広島・仙台で放送開始予定[17]
  • 2018年度:北海道で放送開始予定
  • 2019年7月まで:全都道府県でサービス提供予定

コールサインJOLZ-MM#で、#には数字1文字が入る[18]

表中の太字は各地域の親局

局名 所在地 周波数 呼出符号 空中線電力 実効輻射電力 放送区域 予備免許交付日 開局日
東京 東京都港区芝公園
東京タワー[19]
105.428571MHz JOLZ-MM3 10kW 70kW 東京都、茨城県埼玉県千葉県神奈川県の一部 2015年7月13日[20] 2016年3月1日
東京西 東京都檜原村[21] 2kW -kW 東京都西部エリア、埼玉県の一部[21] 2017年10月10日[21]
秦野 神奈川県秦野市[22] 7.8kW[23] 神奈川県湘南・西部エリア[24] 2016年7月8日[22][24]
静岡 静岡県焼津市[15] 101.285714MHz 1kW 6.6kW 静岡県中部 2016年8月25日[25] 2016年10月14日[15]
浜松 静岡県浜松市[16] 6.3kW 静岡県西部 2017年1月6日[26] 2017年3月17日[16]
名古屋 三重県桑名市[27]
多度山[28]
JOLZ-MM4 10kW 110kW 愛知県岐阜県、三重県の一部 2016年2月18日[29] 2016年7月1日[8]
大阪 奈良県生駒市[30]
生駒山[28]
105.428571MHz JOLZ-MM5 26kW 大阪府京都府、奈良県、兵庫県の一部 2015年10月16日[31] 2016年3月1日
加古川 兵庫県加古川市[32] 1kW 3.3kW 兵庫県の一部 2017年5月19日[33] 2017年7月10日[34][35]
福岡 福岡県福岡市早良区百道浜
福岡タワー[36]
JOLZ-MM7 500W 1.7kW 福岡県の一部 2015年6月12日[37] 2016年3月1日
宗像 福岡県宗像市[38] 2W 3.1W 2015年9月10日[39]
北九州 福岡県北九州市八幡東区[40] 250W 970W 2015年12月17日[41]
久留米 佐賀県鳥栖市[42][43] 1kW 1.5kW 福岡県、佐賀県の一部

脚注[編集]

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  1. ^ 太田 亮三 (2016年3月1日). “新放送サービス「i-dio」、使用レポート”. インプレス. http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20160301_746159.html 2016年3月5日閲覧。 
  2. ^ 放送法第5章により移動受信用地上基幹放送はハードとソフトの分離が義務付けられる。
  3. ^ 北海道・東京都・京都府大阪府の各域のみを放送対象地域としても県域放送と呼ぶ。県域放送#概説参照。
  4. ^ 総務省告示基幹放送普及計画第3節第1号(1)参照
  5. ^ a b c 第733回:i-dioとは ケータイ Watch 2015年11月24日
  6. ^ a b c ニュース - V-Low「i-dio」が3月1日にプレ放送開始、5月からIPサイマルの補完放送も計画 ITpro 2016年2月29日
  7. ^ a b c V-Low放送「i-dio」が3月から東京/大阪/福岡で“プレ放送”。5月にIPサイマル配信も AV Watch 2016年2月29日
  8. ^ a b c d e f i-dio 7月1日グランドオープン! 東海地区に放送エリア拡大、多彩な受信アプリも登場!さらにインターネット受信モードで、どなたでもすぐにお試しいただけるようになります。 株式会社エフエム東京 2016年6月24日
  9. ^ TS ONE放送エリア日本全国へ拡大 + PC視聴対応 決定!全米人気ラジオ番組 日本初独占放送iHeartRadio COUNTDOWN 放送スタート! TOKYO SMARTCAST株式会社 2017年3月10日
  10. ^ 日本初クルマのデジタルラジオ“Amanekチャンネル”グランドオープン!放送とIoTの融合を実現した“Amanekチャンネルアプリ”をリリースi-dio車載対応TunerBoxを販売開始! エフエム東京、アマネク・テレマティクスデザイン 2016年7月15日
  11. ^ idioPRのツイート (748743111942164480)
  12. ^ 楽天、ネットラジオプラットフォーム「Rakuten.FM」開始 AV Watch 2016年7月1日
  13. ^ 楽天のネットラジオ「Rakuten.FM」が8月で終了。開始から約1年 AV Watch 2017年6月21日
  14. ^ デジタル地上波最高音質!通信料不要!多彩なチャンネル!進化する無料デジタル放送「i-dio(アイディオ)」始まる!〜3月1日(火)12時からプレ放送開始〜 株式会社エフエム東京・BIC株式会社・株式会社VIP・東京マルチメディア放送株式会社 2015年6月12日
  15. ^ a b c 新放送サービス「i-dio(アイディオ)」 静岡局10月14日、運用開始 株式会社エフエム東京・株式会社VIP 2016年10月14日
  16. ^ a b c 新放送サービス「i-dio(アイディオ)」 浜松局3月17日、運用開始 株式会社エフエム東京・株式会社VIP 2017年3月17日
  17. ^ 東京マルチメディア放送 第4回番組審議会 議事録
  18. ^ なおJOLZはかつてNHK米子放送局(現:NHK米子支局上後藤放送所R2で使用されていた。
  19. ^ 関東・甲信越広域圏のV-Lowマルチメディア放送局 (移動受信用地上基幹放送局)に免許 総務省関東総合通信局 2015年12月7日
  20. ^ 関東・甲信越広域圏のV-Lowマルチメディア放送親局に予備免許を付与 総務省関東総合通信局 2015年7月15日
  21. ^ a b c 新放送サービス「i-dio(アイディオ)」東京西部の放送エリアが拡大 i-dio 2017年10月10日
  22. ^ a b 放送サービス「i-dio」、神奈川県の湘南・西部地域でも受信可能に ケータイWatch 2016年7月8日
  23. ^ 総務省 電波利用ホームページ 無線局免許状等情報
  24. ^ a b 新放送サービス「i-dio(アイディオ)」 秦野局7月8日より運用開始 エフエム東京 2016年7月8日
  25. ^ 静岡エリアにおけるV-Lowマルチメディア放送に予備免許(V-Low静岡) 総務省東海総合通信局 2016年8月25日
  26. ^ 浜松エリアにおけるV-Lowマルチメディア放送に予備免許 総務省東海総合通信局 2017年1月6日
  27. ^ 99MHzを超え108MHz以下の周波数を使用する移動受信用地上基幹放送局(東海・北陸広域圏のV-Lowマルチメディア放送親局)の予備免許に係る電波監理審議会からの答申 総務省 2016年2月17日
  28. ^ a b i-dio Lab.連載企画 受信感度が安定しない方へのテクニック i-dio 2016年7月19日
  29. ^ 東海エリアにおけるV-Lowマルチメディア放送に予備免許(V-Low名古屋) 総務省東海総合通信局 2016年2月18日
  30. ^ 99MHzを超え108MHz以下の周波数を使用する移動受信用地上基幹放送局(近畿広域圏のV-Lowマルチメディア放送親局)の予備免許に係る電波監理審議会からの答申 総務省 2015年10月14日
  31. ^ 近畿広域圏におけるV-Lowマルチメディア放送に予備免許 総務省近畿総合通信局 2015年10月16日
  32. ^ 総務省 電波利用ホームページ 無線局免許状等情報
  33. ^ V-Lowマルチメディア放送の中継局に予備免許 総務省畿総合通信局 2017年5月19日
  34. ^ V-Lowマルチメディア放送(i-dio)の放送開始と災害情報伝達に関する実証事業の実施について 加古川市ホームページ 2017年7月10日
  35. ^ 大阪マルチメディア放送株式会社の「新着情報・ニュースリリース」より。
  36. ^ 全国初! V-Lowマルチメディア放送局(移動受信用地上基幹放送局)に免許 総務省九州総合通信局 2015年11月24日
  37. ^ V-Low マルチメディア放送 九州・沖縄広域圏 親局 福岡局の予備免許を取得 株式会社エフエム東京・BIC株式会社・株式会社VIP 2015年6月12日
  38. ^ 総務省 電波利用ホームページ 無線局免許状等情報
  39. ^ 宗像中継局(福岡県宗像市)の予備免許を取得いたしました。 株式会社VIP 2015年9月10日
  40. ^ 総務省 電波利用ホームページ 無線局免許状等情報
  41. ^ 久留米局・北九州局の予備免許が交付されました 株式会社VIP 2015年9月10日
  42. ^ 総務省 電波利用ホームページ 無線局免許状等情報
  43. ^ 久留米局の無線局免許の交付を受けました。 株式会社VIP 2016年2月19日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]