歴史戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

歴史戦(れきしせん)とは2014年4月より産経新聞の特集として組まれている一連の記事。阿比留瑠比によって書籍化され同年10月17日に産経新聞出版から出版された。

概要[編集]

朝日新聞による慰安婦報道が、海外における性奴隷としての認識に影響、クマラスワミ報告中国韓国、国外の歴史認識を歪め、日本が強制連行を認めたという国際認識をつくりだした河野談話を批判、性奴隷、強制連行、20万人という認識の拡散の原点であるとして厳しく糾弾するとともに、捏造はどのような構造でどのように行われてきたかを分析、朝日新聞の報道を「反日」であると展開、また、中国は謀略の国、国連は「反日」に利用されているとし、慰安婦の捏造が広まっている現代における「戦い」であると強調、朝日新聞、中国、韓国とどう戦うかについて論説を繰り広げた[1]

経緯[編集]

産経新聞は、『貶める韓国 脅す中国』の続編として2014年4月1日より『歴史戦』と題して河野談話に影響を与えたと批判[2]朝日新聞慰安婦報道の虚構を追及した[1]。2014年8月5日、朝日新聞は吉田証言は虚偽だと判断し、記事を取り消しつつ[3]、自由を奪われた強制性はあったとし[4]、河野談話は吉田証言に依拠せず揺るがないとした[5]。また、韓国の元外交官の話として「韓国政府が慰安婦問題の強制性の最大の根拠としてきたのは元慰安婦の生の証言であり、それは今も変わっていない。吉田氏の証言が問題の本質ではありえない」と伝えた[5]。産経新聞はこれに対し、特集記事で再度問題をすり替えたと批判、連載を続けた。

言及[編集]

肯定的見解[編集]

  • 櫻井よしこは産経新聞紙面で「官民の力を合わせてこの不条理な戦争に勝たなければならない。その第一歩として、日本人全員に読んでほしいのが本書である。」と絶賛した[6]

否定的見解[編集]

  • 中央日報の金玄基・東京支局長(当時)は「論調どうのという次元を離れて低質の極みだ。」とした[7]
  • 能川元一2016年11月11日付『週刊金曜日』で、2015年3月10日産経ニュースが国連女性の地位委員会英語版にあわせて日本の右派と在米日本人が開催した集会に対して行われた現地市民の抗議活動について「数人が市警に一時拘束されたという」と報じたことについて、「そのような事実はない」と否定し、「『歴史戦』特集にはずさんな報道も見られる」と批判した。[8]
  • 猪口邦子によって山口智美ジェフリー・キングストンなどアメリカの歴史学者達に「献本」と称して撒かれたが、「表紙を見てゴミ箱行きにした」という人物もいる。総じて外国では嘲笑の対象になっている[9]

LITERAによる批判[編集]

独立系ニュースサイトの『LITELA』は2016年11月10日に以下の批判を行った。

1976年6月23日サンケイ新聞古屋奎二による連載記事『蒋介石秘録』第497回『南京大虐殺悲劇』を掲載し、そのなかで「戦闘員非戦闘員、老若男女を問わない大量虐殺は二カ月に及んだ。犠牲者は三十万人とも四十万人ともいわれ、いまだにその実数がつかみえないほどである」などと報じていた[10]

この過去の記事について、産経新聞社は2014年12月24日、「『30万人虐殺』は中国側の一方的な宣伝であり現実にはあり得ない」との立場だ」とし、かつて「産経新聞も過去に犠牲者数を『30万~40万人』と紹介した」ことは「中国国民党が保有する記録などに基づいて執筆された」疑わしい内容であったと説明した[10]。また2016年5月の『歴史戦』では「朝日新聞記者本多勝一1973年に朝日新聞で連載した『中国の旅』によって〈ゆがんだ歴史観〉が形成された」と、南京事件そのものに否定的な見解を示した[11]

こうした報道の移り変わりについて、LITELAは「歴史修正主義を『歴史戦』と言い換えて[11]いるものであると分析し、「産経新聞社の自社報道をしっかり『検証』したことは、これまで一度たりともない」「他のメディアに対して『30万人説は中国のプロパガンダだ』と血祭りにあげながら自社の報道についてほおかむりというのはあまりにご都合主義[10]であるとして「産経新聞が『歴史戦』と称して展開する歴史問題の報道や『検証記事』は、事実をないがしろにした結論ありきの宣伝、それこそ“プロパガンダ”でしかない」と批判した[12]

書籍[編集]

  • 産経新聞社『歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ』産経新聞出版、2014年10月20日。ISBN 978-4-8191-1253-6

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 産経新聞社 2014.
  2. ^ “歴史戦 第1部 河野談話の罪(1)前半 裏付けなき糾弾許した日本外交の事なかれ主義、決別の時”. (2014年4月1日). http://www.sankei.com/politics/news/140401/plt1404010025-n1.html 
  3. ^ “「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断”. 朝日新聞. (2014年8月5日). http://www.asahi.com/articles/ASG7L71S2G7LUTIL05N.html 
  4. ^ “【慰安婦問題を考える:上】慰安婦問題どう伝えたか 読者の疑問に答えます(1)” (PDF). 朝日新聞. (2014年8月5日). http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014080516.pdf 
  5. ^ a b “慰安婦問題 核心は変わらず”. 朝日新聞. (2014年8月14日). http://www.asahi.com/articles/ASG8W4CPWG8WUTIL01N.html 
  6. ^ 【書評】ジャーナリスト、櫻井よしこが読む『歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ』産経新聞社著 1/22/2 産経新聞2014年11月9日
  7. ^ 【取材日記】 「韓国がなかったら廃刊していた産経新聞」 | Joongang Ilbo | 中央日報
  8. ^ 2016年11月11日 能川元一 「wamへの脅迫と「歴史戦」」『週刊金曜日』 p43 株式会社週刊金曜日
  9. ^ 米知識人、「日本の右翼書籍はでたらめ... ごみ箱に捨てた」 東亜日報2015年12月25日
  10. ^ a b c [|LITERA編集部] (2016年11月10日). “南京虐殺を否定する“歴史修正主義新聞”産経が「旧日本軍が婦女子も虐殺」「犠牲者は40万人」と載せていた”. LITERA (東京都: 株式会社ロストニュース): p. 2. http://lite-ra.com/2016/11/post-2688_2.html 2016年11月14日閲覧。 
  11. ^ a b [|LITERA編集部] (2016年11月10日). “南京虐殺を否定する“歴史修正主義新聞”産経が「旧日本軍が婦女子も虐殺」「犠牲者は40万人」と報道していた”. LITERA (東京都: 株式会社ロストニュース): p. 1. http://lite-ra.com/2016/11/post-2688.html 2016年11月14日閲覧。 
  12. ^ [|LITERA編集部] (2016年11月10日). “南京虐殺を否定する“歴史修正主義新聞”産経が「旧日本軍が婦女子も虐殺」「犠牲者は40万人」と報道していた”. LITERA (東京都: 株式会社ロストニュース): p. 3. http://lite-ra.com/2016/11/post-2688_3.html 2016年11月14日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]