日本とイスラエルの関係
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日イスラエル関係(にちイスラエルかんけい、ヘブライ語: יחסי יפן-ישראל、英語: Israel–Japan relations)は、1952年5月15日に、日本がイスラエルと東京に開設されたイスラエルの公使館を承認して開始した。1954年に、日本の在トルコ大使が在イスラエル公使を兼任した。1955年には、日本の公使館がテルアビブに開設。1963年に、両国関係は公使レベルから大使レベルに昇格され、それ以来その水準を維持[1]。なお、日本のアラブ諸国及びイランとの貿易は、イスラエルとの貿易よりも上回っている[2]。イスラエル建国以来、非常に密接で良好な関係を持っている。
両国関係[ソースを編集]

1993年に両国間の租税条約に調印[1]。科学技術分野の協力と促進に関する二国間の科学技術協力協定を1995年締結。2000年に両国ともに航空協定に調印し[1]、 2014年6月時点で在留邦人数は924名、2013年時点で在日イスラエル人499名である[1]。
2006年7月に日本は平和への取組として「平和と繁栄の回廊」創設構想を発表し、これをイスラエルとパレスチナ自治政府との土地を巡る争いではなく、双方の経済成長とその取組に基づくものとした[3]。シモン・ペレス副首相(当時)は、2006年9月に前アメリカ大統領のビル・クリントン氏がニューヨークで開いた国際会議に出席した際、この構想に非常な関心を寄せた[4]。
2008年9月に、日本政府はイスラエル及びパレスチナ自治政府との会談で、本構想の主張を繰り返し、本構想を完成させるための取組を続けるよう双方に呼び掛けた。日本はまたエリコ近くに農産業施設を建設する特別な準備があることに言及し、2009年までに建設を開始したい旨述べた[5][リンク切れ][6]。
2011年3月11日、日本の東北地方で東日本大震災が起こった。この震災で外国政府として初めて医療支援チームを派遣したのがイスラエルであった[7]。被災地の宮城県南三陸町に、医師14名、看護師7名らから成る53名のチームが、検査機器など自前の医療器材も持ち込んでクリニックを開設。活動初日の3月28日、地元の日本人医療従事者との打ち合わせおよびクリニックの設営作業を行い、3月29日から4月10日にかけて、同クリニックを拠点に南三陸町で医療支援を行った[8]。また、支援から引き揚げる際に、イスラエルから持ち込まれた医療機材が南三陸町の医療復興のために寄贈された[7]。
パレスチナ問題において、日本はパレスチナを国家として承認していないが、2012年11月29日、パレスチナの国連での資格を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案には、中国、欧州、フランス、イタリア、アラブ諸国と並んで日本も賛成票を投じ、賛成138票で採択された。この決議案に、イスラエルやアメリカ合衆国は、反対票を投じた[9]。
2014年5月にはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が来日し、天皇皇后両陛下や安倍晋三総理と会談を行った。両首相の会談では、安全保障分野での協力の加速や中東和平交渉に関して意見が交わされた[10]。また、北朝鮮やイランを念頭にした安全保障に関する発言もあった。[11]。中東和平で安倍首相とネタニヤフ首相は、イスラエルとパレスチナの「二国家共存」による解決で一致した。その他、先進科学技術と宇宙関連機関での連携、イスラエルは東日本大震災の後に設けた輸入規制の撤廃を確認した[12]。会談後に両首脳は、先進科学技術やイノベーションの分野での協力推進、サイバーセキュリティに関する防衛協力等など、包括的パートナーシップの構築に関する共同声明を5月12日に発表した[13]。
天皇、皇后両陛下は会談で、東日本大震災発生後に同国から寄せられた支援について、ネタニヤフ首相に感謝の意を表した。ネタニヤフ首相は「イスラエルと日本には共通点がある」として、ホロコーストとともに広島や長崎などの日本への原子爆弾投下を上げた[14][15]。 このネタニヤフ首相の来日を契機に、同年6月にはイスラエル宇宙庁長官が来日されるなど、人的交流等含む幅広い分野での包括的協力が前進している。
2015年1月18日から20日に安倍総理夫妻がイスラエルを公式訪問、安倍総理とネタニヤフ首相との首脳会談が行われた。会談では、パリのテロでユダヤ人犠牲者が出たことに安倍総理から哀悼の意が伝えられ、共同声明に関する取り組みについての確認が行われた。 安倍総理は19日の地元紙に「真の友からの提案」と題した寄稿をし、日本国外交官の杉原千畝や東日本大震災時にイスラエルから派遣された医療チームなどの歴史的な繋がりを伝え、中東が非常に重要な地域であることの証左として、就任2年間で5回目となる訪問であることを述べた。また、パレスチナ問題の解決に向けた協力を伝えた上で、ガザ紛争などの入植政策推進が及ぼす影響への懸念から、国際社会が国際法違反とみなす入植活動に配慮を求めた[16]。中東和平の現状についてルーベン・リブリン大統領を表敬訪問、最終日にヤド・ヴァシェムを訪れ献花が行われた。
両国間の経済発展を進める投資協定交渉が2015年末に合意され、2016年2月1日にモシェ・カハロン・イスラエル財務大臣と岸田文雄外務大臣による署名が行われた。
2017年12月21日の国連総会で、エルサレムをイスラエルの首都と認定した米国の決定撤回を求める決議が採択された際、日本は決議案の賛成に回った。なお「賛成国への経済援助を打ち切る」と表明したトランプ米政権の圧力の影響で反対は9カ国、棄権は35カ国に上った。日本は首都認定を巡る米国内の意見対立も背景に、米側に「原則論」を説き、理解を求めた[17]。
発言[ソースを編集]
「イスラエルと日本はアジアの反対側に位置しています。しかし、これらは分かれさせるというよりも(関係を)結びつけるという事実です。アジアの広大な大陸は(日本とイスラエルの)絆です。そして、アジアの運命についての意識は、(日本とイスラエルとが共有している)一般的な考えです」~ダヴィド・ベン=グリオン~イスラエル首相
外交使節[ソースを編集]
駐イスラエル日本大使[ソースを編集]
2006年8月1日に、日本政府は鹿取克章報道官をイスラエル大使に任命した。同氏は2005年8月に現在のポストに就く以前には大韓民国における公使及び領事局長を歴任。2008年9月、同氏はイスラエルへの任を終え2008年10月1日に竹内春久氏が大使となった。2011年9月、同氏は任を終え、2016年5月現在は冨田浩司氏が大使に就いている。
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駐日イスラエル大使[ソースを編集]
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- ジョゼフ・イヴォル・リントン(1952~1957年)
- モシェ・バルトゥール(1966~1971年)
- シャウル・ラマティ
- ナフム・エシュコル
- ????(1993~1996年、信任状奉呈は8月27日[18])
- モシェ・ベンヤアコヴ(1996~2000年、信任状奉呈は11月22日[19])
- ????(2000~2003年[20]、信任状奉呈は12月13日[21])
- エリ・コーヘン(2004~2007年、信任状奉呈は4月9日[22])
- ニッシム・ベン=シトリット(2007~2013年、信任状奉呈は9月6日[23])
- ルート・カハノフ(2013~2017年、信任状奉呈は9月4日[24])
- (臨時代理大使)イリット・サヴィオン・ヴァイダーゴルン(2017~2018年)
- ヤッファ・ベンアリ(2018年~、信任状奉呈は1月17日[25])
脚注[ソースを編集]
- ^ a b c d イスラエル国(外務省)
- ^ 中東(外務省)
- ^ イスラエルとパレスチナの共存共栄に向けた日本の中長期的な取組:「平和と繁栄の回廊」創設構想 外務省
- ^ Peres to meet Musharraf and kings of Jordan, Morocco, Israel Today, 9/18/06.
- ^ Japanese still solid on PA industry project[リンク切れ] ASSOCIATED PRESS, Jul 3, 2008, at jpost.com.
- ^ Press statement: The Third Ministerial-Level Meeting of the Four-Party Consultative Unit for the "Corridor for Peace and Prosperity" Japan Min of Foreign Affairs, 2 July 2008, Tokyo. In 2011 Japanese Earthquake, Israel was among first to respond with humanitarian aid.
- ^ a b 外務省: わかる!国際情勢 世界が日本に差し伸べた支援の手~東日本大震災での各国・地域支援チームの活躍
- ^ 外務省: イスラエル医療支援チーム 活動概要 目次 - 2011年3月28日~4月10日
- ^ 中山真 (2012年11月30日). “国連、パレスチナ「国家」格上げ決議 米など反発”. 日経ビジネス 2014年5月6日閲覧。
- ^ “安保分野の協力推進で一致…日・イスラエル首脳”. 読売新聞. (2014年5月12日). オリジナルの2014年5月16日時点によるアーカイブ。 2014年5月17日閲覧。
- ^ “安倍首相、北朝鮮めぐり意見交換 日イスラエル首脳会談”. 産経新聞. (2014年5月12日). オリジナルの2014年5月13日時点によるアーカイブ。 2014年5月17日閲覧。
- ^ “社説:日本・イスラエル 平和と安定への協力を”. 毎日新聞. (2014年5月15日). オリジナルの2014年5月16日時点によるアーカイブ。 2014年5月17日閲覧。
- ^ 日本・イスラエル間の新たな包括的パートナーシップの構築に関する共同声明、平成25年5月12日。
- ^ “両陛下、イスラエル首相夫妻と懇談 「大虐殺痛ましい」”. 朝日新聞. (2014年5月13日) 2014年5月17日閲覧。
- ^ “両陛下、イスラエル首相に震災支援の謝意”. 産経新聞. (2014年5月13日). オリジナルの2014年5月14日時点によるアーカイブ。 2014年5月17日閲覧。
- ^ 大治朋子 (2015年1月20日). “安倍首相:「入植政策は国際法違反」イスラエル紙に寄稿”. 毎日新聞. オリジナルの2015年1月20日時点によるアーカイブ。 2015年1月26日閲覧。
- ^ 「賛成の日本、米の要請断る エルサレム非難決議」. 日本経済新聞. 2017年12月22日.(2017年12月22日最終取得)
- ^ 信任状捧呈式(平成5年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成8年) - 宮内庁
- ^ ご引見(平成15年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成12年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成16年) - 宮内庁
- ^ 外務省: 新任駐日イスラエル国大使の信任状捧呈について - 2007年9月5日
- ^ 新任駐日イスラエル国大使の信任状捧呈 | 外務省 - 2013年9月4日
- ^ 駐日イスラエル大使の信任状捧呈 | 外務省
関連項目[ソースを編集]
外部リンク[ソースを編集]
- 駐日イスラエル大使館 (日本語)(英語)(ヘブライ語)
- 日本外務省 - イスラエル (日本語)
- 在イスラエル日本国大使館 (日本語)
- JETRO - イスラエル
- JCCME - イスラエル
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