日本とバーレーンの関係

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日本とバーレーンの関係
BahrainとJapanの位置を示した地図

バーレーン

日本

日本とバーレーンの関係(にほんとバーレーンのかんけい、アラビア語: العلاقات الفلسطينية اليابانية‎、英語: Bahrain-Japan relations) では、日本バーレーンの関係について概説する。正式名称から日本とバーレーン王国の関係とも。友好的な関係が築かれている。

両国の比較[編集]

バーレーンの旗 バーレーン 日本の旗 日本 両国の差
人口 170万1583人(2020年)[1] 1億2583万人(2020年)[2] 日本バーレーンの約73.9倍
国土面積 769.8km2[3][注釈 1] 37万7972 km2 日本バーレーンの約491倍
首都 マナーマ 東京都
最大都市 マナーマ 東京都区部
政体 立憲君主制 民主制議院内閣制[注釈 2]
公用語 アラビア語 日本語事実上
通貨 バーレーン・ディナール 日本円
国教 イスラム教 なし
国家元首 ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ 岸田文雄[注釈 3]
人間開発指数 0.846[4] 0.919[4]
民主主義指数 2.55[5] 7.99[5]
GDP(名目) 347億2923万米ドル(2020年)[6][注釈 4] 4兆9754億1524万米ドル(2020年)[7] 日本バーレーンの約143.3倍
一人当たり名目GDP 20,410.0米ドル(2020年)[8] 39,538.9米ドル(2020年)[9] 日本バーレーンの約1.9倍
GDP(購買力平価) 744億2649万米ドル(2020年)[10] 5兆5043億3091万米ドル(2019年)[11] 日本バーレーンの約73.9倍
一人当たり実質GDP 43,739.6米ドル(2020年)[12] 43,593.5米ドル(2019年)[13] 日本バーレーンはほぼ同等
経済成長率 2.1%(2019年)[14] 0.3%(2019年)[15]
軍事 14億479万米ドル(2020年)[16] 491億4855万米ドル(2020年)[17] 日本バーレーンの約35倍
地図

歴史[編集]

1971年バーレーンイギリスから独立し、日本はこれをすぐ承認。1972年には外交関係を樹立し、1983年にはマナーマ在バーレーン日本国大使館を開設した、一方バーレーン側は2005年東京駐日バーレーン大使館を設置した[3]

2011年3月11日に発生した東日本大震災に際してはバーレーンは比較的早期に支援を申し出[18]、国王や首相、皇太子が弔意表明をしている[19]

外交関係[編集]

駐日バーレーン大使館の入居するビル

二国間関係[編集]

日本東アジアバーレーン西アジアに位置しており、国の規模も日本大国である一方でバーレーンペルシャ湾に浮かぶミニ国家であり、両国には大きな違いがある。しかしバーレーン先進国と同等の所得水準を達成しており、湾岸諸国で最も宗教的規制も緩やか、立憲君主制を採用する民主主義国家であるなどの特徴があり、日本とは複数の理念をともにする友好国である。1991年自衛隊ペルシャ湾派遣以降は安全保障上の繋がりも強い[3]

日本要人のバーレーン訪問[編集]

2013年8月には日本総理大臣として初めて安倍晋三バーレーンを訪問。ハリーファ・ビン・サルマーン・アール・ハリーファ英語版首相 との首脳会談や共同記者会見を実施し[20]、政治、安全保障、経済、医療、農業、鉄道等の諸分野で協力を拡大する意向が発表された[21][22]

2016年12月外務副大臣薗浦健太郎が第12回マナーマ対話に出席[23][24]

2017年11月には外務副大臣佐藤正久が訪問し[25]、複数のバーレーン要人と会談を実施した[26]

2017年12月、当時外務大臣だった河野太郎イギリスシンクタンク国際戦略研究所主催の第13回マナーマ対話に出席するためバーレーンを訪問し[27][28]、スピーチを実施した[29]バーレーン国王ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファや皇太子サルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ英語版に表敬し[30][31]、さらには外相会談も実施して中東情勢について意見交換が実施された[32]

2018年10月にも前年に引き続き第14回マナーマ対話のため河野太郎バーレーンを訪問[33][34]中東地域の平和と安定に向けた日本の政策・貢献をスピーチした[35]。またハーリド・ビン・アフメド・アル・ハリファ英語版アラビア語版とは外相会談を実施し[36]バーレーン国王ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファバーレーン首相ハリーファ・ビン・サルマーン・アール・ハリーファ英語版に表敬した[37][38]

このほか、安全保障上の繋がりから自衛隊防衛省所属の要人が数多くバーレーンを訪問[39]2015年には石川博崇防衛大臣政務官[40]2016年12月には小林鷹之防衛大臣政務官[41]2017年1月には若宮健嗣防衛副大臣[42]2017年5月には宮澤博行防衛大臣政務官[43]2017年12月には大野敬太郎防衛大臣政務官バーレーンを訪問した[44]2019年11月には河野太郎防衛大臣バーレーンを訪問しバーレーン国防軍司令官と会談を実施している[45]

バーレーン要人の訪日[編集]

2012年4月にはバーレーン国王ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファが公式実務訪問賓客として訪日し[46]、当時総理大臣だった野田佳彦と会談を実施[47]。政策協議に関する覚書と防衛交流に関する覚書が署名されている[48][49]

2013年3月サルマーン皇太子アラビア語版英語版が訪日して安倍晋三と会談を実施し、関係強化について議論された[50][51]

2019年にもサルマーン皇太子アラビア語版英語版即位礼正殿の儀に出席するために訪日し、安倍晋三と会談を実施した[52]

経済関係[編集]

日本・バーレーン貿易  (単位:億円)
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
対日輸入 645 744 906 1,073 815 762 711 677 636
対日輸出 380 387 589 391 298 425 1,372 1,277 526
総貿易額 1,025 1,131 1,495 1,464 1,113 1,186 2,082 1,954 1,163
出典:財務省貿易統計[53]

バーレーンにとって日本は主要な貿易相手国の一つであり、日本から自動車などを多く輸入している。一方で対日輸出では石油アルミなど資源を供給しており、資源の少ない日本にとっては死活的に重要な国の一つでもある[3]

日本からの援助実績は現在までの累計で14億円程度(無償資金協力0.61億円、技術協力13.64億円)。経済成長を果たしたこともあって2008年バーレーン政府開発援助の対象国を卒業している[3]

2002年にはバーレーンの経済開発委員会が、国外に6か所しか設けていない海外事業所の1つを日本(東京)に設置。これを契機として経済交流が活発化し、2015年時点でバーレーンには25社の日系企業が進出している[3][54]

防衛協力[編集]

日本とバーレーンはアメリカ合衆国主要な非NATO同盟国(MNNA)である[55]。特に、日本には米第7艦隊司令部が、バーレーンには米第5艦隊司令部が置かれている[56][57]

日本の自衛隊幹部や防衛省幹部によるバーレーン訪問が活発である一方、あまり多くないもののバーレーン国防軍の幹部が日本を訪問することもある[3][58]

文化交流[編集]

友好国であることも相まって日本文化が一定の人気を博す。2007年には大阪市を拠点とする和太鼓グループ「打打打団天鼓」がバーレーンで講演会を実施[59]。ほかにも生け花[60]茶道[61]日本映画などが親しまれている[62]

外交使節[編集]

駐バーレーン日本大使[編集]

駐日バーレーン大使[編集]

  1. ハリール・ビン・イブラヒーム・ハッサンアラビア語版英語版(2005~2017年、信任状捧呈は11月14日[63]
  2. アハメッド・ムハッマド・ユースフ・アルドーセリ(2018年~、信任状捧呈は3月14日[64]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 東京23区川崎市をあわせた面積に相当
  2. ^ 日本国憲法で明確に定められている。
  3. ^ 憲法で明確な規定がなく元首内閣総理大臣天皇かは公式見解が出されていない。しかし国民主権国家の政府の長であることから、学説上多数派を占めるのは内閣総理大臣元首説となっている。詳細は「日本の元首」を参照。
  4. ^ 香川県とほぼ同等の経済規模である。

出典[編集]

  1. ^ 世界銀行. “Population, total - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  2. ^ 世界銀行. “Population, total - Japan” (英語). 2021年7月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g 外務省 (2021年12月25日). “バーレーン王国(Kingdom of Bahrain)基礎データ”. 2021年11月10日閲覧。
  4. ^ a b 国際連合開発計画. “Human Development Report 2020” (pdf) (英語). 2021年3月17日閲覧。
  5. ^ a b Democracy Index 2020” (英語). 2021年3月17日閲覧。
  6. ^ 世界銀行. “GDP (current US$) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  7. ^ 世界銀行. “GDP (current US$) - Japan” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  8. ^ 世界銀行. “GDP per capita (current US$) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  9. ^ 世界銀行. “GDP per capita (current US$) - Japan” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  10. ^ 世界銀行. “GDP, PPP (current international $) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  11. ^ 世界銀行. “GDP, PPP (current international $) - Japan” (英語). 2021年3月17日閲覧。
  12. ^ 世界銀行. “GDP per capita, PPP (current international $) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  13. ^ 世界銀行. “GDP per capita, PPP (current international $) - Japan” (英語). 2021年7月24日閲覧。
  14. ^ 世界銀行. “GDP growth (annual %) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  15. ^ 世界銀行. “GDP growth (annual %) - Japan” (英語). 2021年3月17日閲覧。
  16. ^ 世界銀行. “Military expenditure (current USD) - Bahrain” (英語). 2021年11月10日閲覧。
  17. ^ 世界銀行. “Military expenditure (current USD) - Japan” (英語). 2021年7月24日閲覧。
  18. ^ 外務省 (2011年3月15日). “諸外国等からの支援申し入れ(東北地方太平洋沖地震)(平成23年3月15日18時00分現在)”. 2022年2月4日閲覧。
  19. ^ 外務省 (2011年5月2日). “お 見舞い の表明のあ った国,地域,国際機関一覧” (pdf). 2022年2月4日閲覧。
  20. ^ 外務省 (2013年8月24日). “日・バーレーン共同記者発表” (pdf). 2022年2月4日閲覧。
  21. ^ 外務省 (2013年8月24日). “安倍総理大臣のバーレーン訪問(8月24日)”. 2022年2月4日閲覧。
  22. ^ 外務省 (2013年8月25日). “安倍総理大臣のバーレーン訪問(8月25日)”. 2022年2月4日閲覧。
  23. ^ 外務省 (2016年12月9日). “薗浦外務副大臣の第12回マナーマ対話への参加”. 2022年2月4日閲覧。
  24. ^ 外務省 (2016年12月10日). “薗浦外務副大臣の第12回マナーマ対話への出席(結果)”. 2022年2月4日閲覧。
  25. ^ 外務省 (2017年11月2日). “佐藤外務副大臣のバーレーン訪問”. 2022年2月4日閲覧。
  26. ^ 外務省 (2017年11月6日). “佐藤外務副大臣のバーレーン訪問(結果)”. 2022年2月4日閲覧。
  27. ^ 外務省 (2017年12月9日). “河野外務大臣のバーレーン王国訪問”. 2022年2月4日閲覧。
  28. ^ 外務省 (2017年12月9日). “河野外務大臣臨時会見記録(平成29年12月9日(土曜日)19時20分 於:バーレーン・マナーマ)”. 2022年2月4日閲覧。
  29. ^ 外務省 (2017年12月9日). “第13回マナーマ対話における河野大臣スピーチ(2017年12月9日、於:マナーマ、バーレーン)” (pdf). 2022年2月4日閲覧。
  30. ^ 外務省 (2017年12月9日). “河野外務大臣のハマド・バーレーン王国国王への表敬”. 2022年2月4日閲覧。
  31. ^ 外務省 (2017年12月9日). “河野外務大臣のサルマン・バーレーン王国皇太子への表敬”. 2022年2月4日閲覧。
  32. ^ 外務省 (2017年12月9日). “日・バーレーン外相会談”. 2022年2月4日閲覧。
  33. ^ 外務省 (2018年10月27日). “河野外務大臣のバーレーン王国訪問(結果)”. 2022年2月4日閲覧。
  34. ^ 外務省 (2018年10月27日). “河野外務大臣臨時会見記録(平成30年10月27日(土曜日)16時55分 於:バーレーン(マナーマ))”. 2022年2月4日閲覧。
  35. ^ 外務省 (2018年10月27日). “第14回マナーマ対話における河野大臣スピーチ(2018年10月27日、於:マナーマ、バーレーン)” (pdf). 2022年2月4日閲覧。
  36. ^ 外務省 (2018年10月27日). “日・バーレーン外相会談”. 2022年2月4日閲覧。
  37. ^ 外務省 (2018年10月27日). “河野外務大臣のサルマン・バーレーン王国皇太子への表敬”. 2022年2月4日閲覧。
  38. ^ 外務省 (2018年10月27日). “河野外務大臣のハリーファ・バーレーン王国首相への表敬”. 2022年2月4日閲覧。
  39. ^ 防衛省自衛隊. “バーレーン ハイレベル交流”. 2022年2月4日閲覧。
  40. ^ 防衛省自衛隊 (2015年5月4日). “石川防衛大臣政務官のウガンダ・ジブチ・南スーダン・バーレーン訪問(海賊対処部隊視察等)”. 2022年2月4日閲覧。
  41. ^ 防衛省自衛隊 (2016年12月13日). “第12回IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)(小林防衛大臣政務官のバーレーン訪問)”. 2022年2月4日閲覧。
  42. ^ 防衛省自衛隊 (2017年1月19日). “若宮副大臣の南スーダン・バーレーン訪問(概要)”. 2022年2月4日閲覧。
  43. ^ 防衛省自衛隊 (2017年5月18日). “宮澤防衛大臣政務官のジブチ・バーレーン訪問”. 2022年2月4日閲覧。
  44. ^ 防衛省自衛隊 (2017年12月10日). “第13回IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話) 大野防衛大臣政務官のバーレーン訪問(概要)”. 2022年2月4日閲覧。
  45. ^ 防衛省自衛隊 (2019年11月24日). “河野防衛大臣とバーレーン国軍司令官との会談(概要)”. 2022年2月4日閲覧。
  46. ^ 外務省 (2012年4月11日). “バーレーン王国国王ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ陛下の来日”. 2022年2月4日閲覧。
  47. ^ 外務省 (2012年4月11日). “野田総理大臣とハマド・バーレーン国王との会談”. 2022年2月4日閲覧。
  48. ^ 外務省 (2012年4月11日). “日本国外務省とバーレーン王国外務省との間の政策協議に関する覚書”. 2022年2月4日閲覧。
  49. ^ 外務省 (2012年4月11日). “日本国防衛省とバーレーン王国国防省との間の防衛交流に関する覚書”. 2022年2月4日閲覧。
  50. ^ 外務省 (2013年3月21日). “安倍総理大臣とサルマン・バーレーン王国皇太子との会談”. 2022年2月4日閲覧。
  51. ^ 日本経済新聞 (2013年3月21日). “首相、バーレーン皇太子と会談”. 2022年2月4日閲覧。
  52. ^ 外務省 (2019年10月23日). “安倍総理大臣とサルマン・バーレーン王国皇太子との会談”. 2022年2月4日閲覧。
  53. ^ 財務省. “財務省貿易統計”. 2022年2月4日閲覧。
  54. ^ 外務省. “バーレーン王国” (pdf). 2022年2月4日閲覧。
  55. ^ Major Non-NATO Ally Status - United States Department of State(英語)
  56. ^ Naval Support Activity Bahrain(英語)
  57. ^ Commander Fleet Activities Yokosuka (英語)
  58. ^ Bahrain-Japan meetings held. Bahrain News Agency. (英語) Published 24 December 2016. Retrieved 17 March 2017.
  59. ^ AFP (2007年3月12日). “打打打団天鼓、和太鼓の妙技を披露 - バーレーン”. 2022年2月4日閲覧。
  60. ^ 在バーレーン日本国大使館 (2019年3月19日). “バーレーン・ガーデンショーにおける生け花競技会「日本大使賞」授賞式”. 2022年2月4日閲覧。
  61. ^ ARABNEWS. “「茶の道」に使命を見出したバーレーン人”. 2022年2月4日閲覧。
  62. ^ 在バーレーン日本国大使館 (2019年3月6日). “「日本映画祭2019」の開催”. 2022年2月4日閲覧。
  63. ^ 信任状捧呈式(平成17年) - 宮内庁
  64. ^ 駐日バーレーン大使の信任状捧呈 | 外務省

関連項目[編集]

外部リンク[編集]