パリ、テキサス

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パリ、テキサス
Paris,Texas
監督 ヴィム・ヴェンダース
脚本 L・M・キット・カーソン
サム・シェパード
製作 クリス・ジーヴァニッヒ
ドン・ゲスト
製作総指揮 アナトール・ドーマン
出演者 ハリー・ディーン・スタントン
ナスターシャ・キンスキー
音楽 ライ・クーダー
撮影 ロビー・ミューラー
編集 ペーター・プルツィゴッダ
配給

日本の旗 フランス映画社

アメリカ合衆国の旗20世紀フォックス
公開 フランスの旗 1984年9月19日
西ドイツの旗 1985年1月11日
日本の旗 1985年9月7日
上映時間 147分
製作国 フランスの旗 フランス
西ドイツの旗 西ドイツ
イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $2,181,987[1]
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パリ、テキサス』(英語: Paris,Texas, 「テキサス州パリス」の意)は、1984年製作、ヴィム・ヴェンダース監督の西ドイツフランス合作映画である。

概要[編集]

テキサスを一人放浪していた男の妻子との再会と別れを描いたロード・ムービーである。1984年の第37回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した。

テキサス州でのラマー郡の位置(右上)、同郡でのパリスの位置。

テキサス州パリスは同州ラマー郡郡庁所在地で、人口約2.5万人(2010年)の小さな街である。同市には、登場人物が訪れることもなく、撮影は行われていない。原作はサム・シェパードによるエッセイ『モーテル・クロニクルズ』であり、『ハメット』の主役に推薦して果たせなかったヴェンダースがシェパードに依頼し[2]L・M・キット・カーソンが翻案し、シェパードが脚色した。キット・カーソンは主人公トラヴィスの一人息子を演じたハンター・カーソンの父である[3]

ヴェンダースは本作で初めて音楽家ライ・クーダーと組み[4]、以降の監督作『エンド・オブ・バイオレンス』、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でも彼を起用している。トラヴィスが倒れるガソリンスタンドの男を演じるサム・ベリー英語版はイギリスの遺伝学者、テレビの中に映る女を演じるヴィヴァはアンディ・ウォーホル作品に登場する「ウォーホル・スーパースター」の一人である。トラヴィスの搬送先の病院で対応する、オーストリア出身のアメリカの映画監督エドガー・G・ウルマーと同姓の医師を演じるベルンハルト・ヴィッキは、ウルマーと同じオーストリア出身で、ドイツのヴェテラン俳優・映画監督である。スレイターを演じるのは、かつてヴェンダースが贈った生フィルムを使用してジム・ジャームッシュが制作した『パーマネント・バケーション』に出演し[5]、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』にも主演したミュージシャンのジョン・ルーリーである。

ストーリー[編集]

4年前に妻子を捨てて失踪した兄のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)がテキサスの砂漠で行き倒れていたという連絡を受けたウォルト(ディーン・ストックウェル)は、目を離すと逃げ出そうとするトラヴィスに手を焼きながら、レンタカーで妻とトラヴィスの息子が待つカリフォルニア州ロサンゼルスへと向かう。当初、全く喋らなかったトラヴィスだが、やがて自分がテキサス州のパリへ行こうとしていたことを明かす。トラヴィスによると、パリは彼らの両親が初めてセックスをした土地であり、それ故トラヴィスはパリに土地を買ってあるのだという。

ロサンゼルスで息子のハンター(ハンター・カーソン)と再会したトラヴィスは、ある日、ウォルトの妻で義理の妹に当たるアン(オーロール・クレマン)から、ヒューストンにいる妻のジェーン(ナスターシャ・キンスキー)からハンター宛に月に一度、決まって送金があることを教えられる。トラヴィスは中古車を買い、ハンターとともにヒューストンへ向かう。ヒューストンでジェーンと再会したトラヴィスは、放浪の旅に出た理由をジェーンに告白する。再び心が通じた二人。しかしトラヴィスはジェーンに息子を託して再び旅に出る。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

クレジット順[6]

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

ヴェンダースがロケハンの時に撮影した写真をまとめた風景写真集。2015年には、ヴェンダースが2001年にパリスを再訪した時に撮影した写真を追加した改訂版が、アメリカのD.A.P.社から出版されている。

学術的参考文献[編集]

  • 塚田幸光「ナショナル/ファミリー・ポートレイト - 『パリ、テキサス』とロード・ムーヴィの政治学」、杉野健太郎編『映画のなかの社会/社会のなかの映画』(映画学叢書[監修加藤幹郎]、ミネルヴァ書房、2011年)所収。

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  1. ^ Paris, Texas”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年4月10日閲覧。
  2. ^ 『ヴィム・ヴェンダース』、監修樋口泰人カルチュア・パブリッシャーズ、1997年 ISBN 487295002X、p.82.
  3. ^ L.M. Kit Carson - Biography, Internet Movie Database (英語), 2010年4月17日閲覧。
  4. ^ 『ヴィム・ヴェンダース』、p.118.
  5. ^ 『ヴィム・ヴェンダース』、p.103.
  6. ^ Paris, Texas, Internet Movie Database (英語), 2010年4月17日閲覧。

外部リンク[編集]