ウィリアム・テル序曲

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第3部と第4部の演奏(1914年)

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ウィリアム・テル序曲: Ouverture de Guillaume Tell, : William Tell Overture)は、1829年ジョアキーノ・ロッシーニが作曲したオペラウィリアム・テル』のための序曲。日本でも広く知られるクラシック音楽作品の1つ。

概要[編集]

フリードリヒ・フォン・シラー1804年に書いた戯曲『ヴィルヘルム・テル』(: Wilhelm Tell)を元に、1829年にロッシーニがオペラ『ギヨーム・テル』(: Guillaume Tell)を作曲した。その序曲が日本で一般に『ウィリアム・テル序曲』(: William Tell Overture, : Guglielmo Tell Introduzione)と呼ばれている。

ショスタコーヴィチ交響曲第15番第1楽章に引用したり、ヨハン・シュトラウス1世がアレンジして『ヴィルヘルム・テル・ギャロップ』(作品29b)として発表したりと、以後の多くの楽曲にも形を変えて登場している。

構成[編集]

ロッシーニは『セビリアの理髪師』に見られるように、オペラの序曲についてはこれまでに作曲した他の作品から転用したりすることも決して少なくなかった。しかしこの曲は新しく作っただけではなく、ソナタ形式を使わずに四つの部分が続けて演奏されるという、独創的な構成を与えている。

第1部 - アンダンテ(夜明け)
ホ短調チェロコントラバスティンパニだけで演奏される序奏。チェロには五人の独奏が指定されている。
第2部 - アレグロ(嵐)
ホ短調。ここからトゥッティ(全合奏)となり、強風から暴風雨に至る様子が描写される。
第3部 - アンダンテ(静寂)
ト長調。嵐の後の静けさのなかからコーラングレフルートによる牧童の笛が聞こえてくる。「静けさ」や「牧歌」とも呼ばれる。
第4部 - アレグロ・ヴィヴァーチェ(スイス軍隊の行進)
ホ長調トランペットホルン、ティンパニによるファンファーレに導かれてギャロップ調の行進曲が始まる。曲は繰り返しを経て次第に高揚し、盛大なクライマックスで締めくくられる。「終曲」や「スイス独立軍の行進」、「スイス軍の行進」とも呼ばれる。

ピアノ編曲[編集]

  • ピアノの魔術師と呼ばれた作曲家フランツ・リストは、この曲をピアノ独奏用に編曲している。原曲に忠実な編曲であるため難易度も高く、高度な技術が要求される。リストのピアノ曲全曲を録音したピアニストのレスリー・ハワードがこの編曲版を録音している。
  • 「リストの再来」と呼ばれたピアニストのジョルジュ・シフラも、「ウィリアム・テル幻想曲」としてピアノ独奏用に編曲しているが、リスト編曲よりもさらに難易度が高く、素早く大きな跳躍などのパッセージが含まれており、正確に演奏するのも至難の業である。