びゅうプラザ

びゅうプラザは、東日本旅客鉄道(JR東日本)の旅行センター(旅行業営業所)である。2022年3月末までに全店舗の閉鎖が予定されている[1]。旅行商品はインターネット販売主体に切り替え、2021年春以降は乗車券販売や観光案内の窓口として「JR東日本 駅たびコンシェルジュ」を順次開業する[2]。
組織[編集]
かつて駅とびゅうプラザは、同じ駅構内にあっても管理者が異なっていた(駅は駅長、びゅうプラザは所長)が、2005年よりスタートした中期経営構想[3]に基づく2007年4月1日の組織改編で、びゅうプラザは駅長管理下に置かれた。これに伴い、びゅうプラザ所長担当の助役職が新設された。同時に営業形態や取扱い商品の見直しが行われ、一部店舗においては海外旅行の取扱い廃止や派出所化が実施された。
2007年より八王子駅を皮切りに首都圏を中心とした一部駅では、既存のびゅうプラザとみどりの窓口を統合した新拠点「びゅうプラザ」となり、みどりの窓口と旅行カウンター(旧びゅうプラザ)が同一フロアに併存する構成となった。
1990年代より旧びゅうプラザ(現:旅行カウンター)での就業を前提とした「グリーンスタッフ制度(契約社員)」による募集採用が開始され、管理者や他部門から転勤した社員を除き、殆どのカウンター接客業務はグリーンスタッフで運営している。もともとは旅行業実務のある経験者向けの採用制度であったが、2007年春より、首都圏エリアで駅員の配置を前提にした現業職や、新卒の募集も行われた。
しかし2017年度よりグリーンスタッフの採用を停止すると共に、さらなる店舗の合理化を進め、一部の店舗運営をびゅうトラベルサービスへ移管している。そのため、びゅうプラザはJR東日本の直営店舗と、びゅうトラベルサービス運営店舗の2種類が存在するようになった。
最大で180支店を数えたが、オンライン利用者が大幅に増加するにつれて来店客は大幅に減少した。そのために2010年代から大幅に店舗を縮小し、2020年12月には21支店となった。さらに、残りの全店舗をびゅうトラベルサービスに移管し、最終的には2022年3月末までに全店舗を閉鎖し、25カ所程度を旅行商品を販売しない訪日客対応などの顧客接点型拠点に転換するとして報道されている[4][5][1]。
概要[編集]

基本的には駅構内に設置され、自社主催国内旅行商品(「びゅう」「TYO」)や自社後援海外旅行商品(「びゅうワールド」)の販売を行っている。また、旅行販売代理業として、ANAセールス(国内海外)、ビッグホリデー、ジャルパック(国内海外)、「ルックJTB」などのJTB系海外旅行各社、近畿日本ツーリストグループ(海外)、日本旅行(海外)などの商品も取り扱っている。ただし「ぷらっとこだまエコノミープラン」を含めジェイアール東海ツアーズ主催の各種商品は取り扱っていない。
なお、「みどりの窓口」と同等にJR券の購入も可能であるほか、旅行代理店として航空会社の発券端末を設置し、JAL・ANA系航空会社の航空券の発行も可能であったが、2011年に一部の店舗を除き国内航空券の取り扱いを中止した。(JAL/ANA系の航空機利用のパックツアーは取り扱っている)
1990年代にビッグホリデーとの業務提携により、同社と契約している中小の旅行代理店へ「びゅう国内旅行商品」の販売取次を行っている。また、2007年秋頃まではビッグホリデー子会社のコミュニティネットワーク取扱いのコンサートチケットの販売を「チケットびゅう」の名称で行っていた。
1998年の「JR東日本アートセンターJR東日本アートセンター四季劇場[春]・JR東日本アートセンター四季劇場[秋]」こけら落とし公演より、劇団四季東京公演のチケットを、びゅうプラザで発売している。2007年度までは「JR東日本四季劇場予約センター」で電話予約をし、びゅうプラザで購入・受け渡しする制度が主流であったが、2008年4月より制度改定により、電話ではクレジットカード決済による自宅配送になった。JR東日本の専用座席枠で販売しているため、劇団四季の直販や他のプレイガイドで売切の場合でもJR東日本分では僅かに残っている場合が多い。なお、東京地区の四季専用劇場以外の公演(全国公演や名古屋・京都・大阪・福岡)は取扱いがない。
一部支社では「びゅうプラザ」のほかに国内旅行のみ取り扱う「駅旅行センター」(実質的に国内旅行のみ取り扱う「びゅうプラザ」と同じ)や「駅営業センター」(駅扱いで国内旅行を取り扱う)などを設置している。
首都圏の一部支社では法人向け営業窓口として「提携販売センター」を設置しているが、JR券については個人での利用も可能である。
びゅう国内旅行商品[編集]
主にJR東日本の鉄道を利用したパッケージツアー/フリープランであり、出発・目的地は関東地方・東北地方・甲信越地方・伊豆半島、北海道の範囲内、基本的に鉄道と宿泊がセットになっている。なお、日帰りも設定されている。
スキーシーズンには「JR SKISKI」等のキャンペーンと相まって、ガーラ湯沢スキー場をはじめとするJR東日本の新幹線沿線を中心としたスキー場への往復の交通とリフト券や宿泊がセットになった旅行商品を発売している。
東京・横浜・鎌倉・東京ディズニーリゾート方面の旅行商品には「TYO」ブランドが設定されている[6]。
JR東日本の鉄道事業エリア外である北陸(主に「はくたか」利用)、京都・奈良・大阪・神戸(東海道新幹線利用)、北海道(函館・登別・札幌・小樽)への旅行商品も設定されている(出発地は主に関東)。函館以北へのツアーは、往路または復路を航空機利用とするプランがある。
千葉県内の支店ではジェフユナイテッド市原・千葉のアウェーゲーム観戦ツアーもびゅうが販売しており、観戦する地域に応じてジェイアールバス関東東関東支店所属の専用塗装バスが用いられる場合と、貸切列車が用いられる場合や、JR東日本の新幹線の指定席車両を一両丸ごとジェフの応援の為だけに貸し切る形で用いられる場合もある。
パンフレットとなっている大半の旅行商品は、東京支社内に設置された「びゅう事業部」がプランの設計(いわゆるホールセラー)と企画を統括して担っており、首都圏において電話予約、インターネットえきねっとによるびゅう国内旅行商品の販売は、JR東日本の子会社びゅうトラベルサービスが行っている。
国内の団体旅行の企画はJR東日本のシニア会員向け組織「大人の休日倶楽部」向けを中心にグループ会社であるびゅうトラベルサービスが展開している。このほか鉄道ファン向けの団体ツアーなども、インターネット限定という形で企画JR東日本、販売をびゅうトラベルサービスで行うケースがある。ジョイフルトレイン(団体列車)などを利用して各支社の旅行業課で支社の特色に応じた団体旅行を募集している場合もある。
びゅうワールド・びゅうトラベルサービス[編集]
JR東日本は東京都知事登録の第2種旅行業しか認められておらず、自社で海外旅行を主催することはできない。このため、1993年に子会社で日本航空との合弁会社である「株式会社びゅうワールド(現びゅうトラベルサービス)」を設立し、同社が「びゅうワールド」ブランドとして海外旅行商品の企画主催を実施してきた。
しかし、2007年度からのJR東日本による組織改編に伴い、それまで総合旅行業を目指していた方針を転換。鉄道利用促進を目的とした商品設定・店舗づくりを目指すこととなったため、びゅうトラベル社の基幹事業として行ってきた「びゅうワールド」商品の企画・実施をジャルパックに移管し、びゅうトラベル社はびゅうプラザへの同商品の販売支援事業へ転換、国内旅行分野を大幅に拡大し、大人の休日倶楽部会員向け旅行事業、訪日旅行などへ事業展開することとなった。元々ジャルパックから旅行材料の仕入れを行うなど一定の関係が有ったが、2007年4月以降にびゅうプラザが販売する「びゅうワールド」商品は【企画実施:ジャルパック、受託販売・後援:東日本旅客鉄道】となっているほか、行き先もハワイ、グアム、韓国などへ方面が絞られており、パッケージツアー以外の大人の休日倶楽部会員向け海外旅行や鉄道関連の業務渡航等への展開が見られる。びゅうトラベル社は逆に、国内旅行分野でびゅう商品の通信販売、鉄道利用の団体旅行などを幅広く手掛け、訪日外国人旅行、「JR東日本訪日旅行センター」の運営などを行い事業領域を拡大した。
上記の理由から、主にターミナル駅以外の店舗では海外旅行商品の取扱いを廃止し、びゅう商品を中心に取り扱うこととなった。
店舗[編集]
- 2020年12月18日時点で、21支店がある。JR東日本の路線のある県の中でも秋田県、茨城県、栃木県、山梨県、静岡県には支店がなくなっている。
- 2019年には30支店が、2020年には14支店が閉店した。
- 2021年3月31日には高崎駅店、八戸駅店、一ノ関駅店、会津若松駅店が閉店予定である[7]。
- 店舗の一覧は公式サイト[7]を参照。
過去に存在した店舗[編集]
びゅうプラザ
- 団体西東京(団体東東京に吸収、現・びゅう団体支店)・東京駅八重洲中央・有楽町駅・新橋駅・浜松町駅・田町駅・大井町駅・大森駅・蒲田駅・神田駅・水道橋駅・市ケ谷駅・四ツ谷駅・中野駅・荻窪駅・秋葉原駅・日暮里駅・田端駅・王子駅・赤羽駅・大崎駅・五反田駅・目黒駅・恵比寿駅・渋谷駅・新宿駅新南口・新宿駅新南口訪日旅行センター・池袋駅東口訪日旅行センター[8]・巣鴨駅・北千住駅・金町駅・松戸駅・新松戸駅・取手駅
- 川崎駅・鶴見駅・戸塚駅・大船駅・藤沢駅・辻堂駅・茅ケ崎駅・平塚駅・小田原駅・熱海駅・伊東駅・桜木町駅・関内駅・中山駅・町田駅・橋本駅・武蔵溝ノ口駅・武蔵小杉駅
- 吉祥寺駅・三鷹駅・国分寺駅・八王子駅・甲府駅・昭島駅
- 川口駅・蕨駅・浦和駅・北浦和駅・小山駅・宇都宮駅・北朝霞駅・南越谷駅・川越駅
- 浅草橋駅・錦糸町駅・亀戸駅・新小岩駅・小岩駅・市川駅・本八幡駅・西船橋駅・津田沼駅・稲毛駅・千葉駅・茂原駅・五井駅・木更津駅・成田駅・空港第2ビル駅[9]・成田空港駅[9]・新浦安駅・海浜幕張駅
- 上毛高原駅・上尾駅・桶川駅・鴻巣駅・熊谷駅・深谷駅・本庄駅・渋川駅・前橋駅・伊勢崎駅・桐生駅・足利駅・栃木駅・毛呂駅
- 牛久駅・土浦駅・石岡駅・友部駅・水戸駅・つくば・三の丸(水戸支社内)・日立駅・いわき駅・原ノ町駅・下館駅
- 郡山駅・岩沼駅・石巻駅・本塩釜駅・多賀城駅・仙台あおば通店・古川駅・米沢駅・天童駅・新庄駅・仙台駅北口店・仙台合同庁舎店・仙台駅東口店・仙台団体旅行センター
- 弘前駅・新青森駅・水沢駅・花巻駅・二戸駅・本八戸駅・グッドライフプラザ(盛岡団体旅行センター)・北上駅
- 羽後本荘駅・能代駅・五所川原駅・横手駅・秋田駅・大曲駅・大館駅
- 上田駅・茅野駅・上諏訪駅・岡谷駅・松本駅・篠ノ井駅・メトロポリタン長野・小諸駅・軽井沢駅・信濃大町駅・中込駅
- 越後湯沢駅・長岡駅・燕三条駅・上越妙高駅・直江津駅・柏崎駅・新津駅・村上駅・鶴岡駅・酒田駅・佐渡両津
提携販売センター
- 東京(新日本橋)・品川・新橋・湘南・川崎・上野・厚木・大宮
駅旅行センター
びゅう旅センター
びゅう商品券[編集]
「びゅうプラザ」・JR東日本の駅ビル・ジェイアール東日本商事通信販売(ビューカード会員向け)で発売しているJR東日本の商品券である。ビューカードに付随したサービスと思われがちだが、管轄は異なっており(カード事業は本社IT・Suica事業本部内カード事業部が行っていたが株式会社ビューカードとして分社化)、市中の加盟店に差異がある。
- 元々は「JR東日本旅行券」の名称であったが、これをJR東日本グループの駅ビル各社がそれぞれ発行していた商品券と統合し、1995年4月に発行開始した[10]。
- JR東日本・北海道旅客鉄道(JR北海道)の駅窓口やびゅうプラザで乗車券類や旅行商品の購入としての「旅行券」、市中の百貨店や家電量販店での「商品券」、JR東日本ホテルズでの「宿泊券」と多目的に使える。ただし、クレジットカード会社発行のギフトカードを取扱う大手スーパー各社では扱えないが、イオングループの各店舗では使用可能。
- 有効期限の設定はない。
- 2019年現在発行されている券種は2001年に券面をリニューアルした、500円券・1,000円券の2種類である。当初は5,000円券や10,000円券・20,000円券があったが、2019年現在は廃止。利用すること自体は可能。
- 乗車券類購入時や駅ビルで利用した場合の端数は釣り銭として払い出されない。
- 回数券や定期券購入にも使用することが可能であるが、自動券売機やえきねっとでは使用できない。
脚注[編集]
- ^ a b “「びゅうプラザ」全店の営業終了、観光案内の拠点に”. 読売新聞. 2019年10月1日閲覧。
- ^ JR東、来春に新案内窓口「駅たびコンシェルジュ」訪日客やシニア支援『日経MJ』2020年10月14日(ライフスタイル面)同日閲覧
- ^ ニューフロンティア2008
- ^ “JR東が「びゅうプラザ」全店終了する理由”. ニュースイッチ (日刊工業新聞社). (2019年6月28日)
- ^ “JR東日本、旅行販売をネットにシフト、その背景と今後の店舗の役割を担当者に聞いた”. トラベルボイス (2019年7月8日). 2019年7月15日閲覧。
- ^ TYOに関しては東京を示すIATA都市コードTYO、東京駅の3レターコードTYO、「東京・横浜」(Tokyo YOkohama)の略等の説がある。
- ^ a b “びゅうプラザの営業時間 (pdf)”. JR東日本. 2020年10月18日閲覧。
- ^ 2019年8月31日をもって、同駅西口のびゅうプラザに移転した。
- ^ a b びゅうトラベルサービス運営の「JR東日本訪日旅行センター」に転換。
- ^ JR東日本旅行券自体はその後も存続していたが、2020年4月30日をもって廃止。