ミラクルジャイアンツ童夢くん
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『ミラクルジャイアンツ童夢くん』(ミラクルジャイアンツどうむくん)は、原作:石ノ森章太郎による日本の漫画作品。テレビアニメ化されて、1989年4月2日から1990年3月25日まで、日本テレビ製作・日本テレビ系列で放映された。全49話。
概要
子供達のプロ野球離れが話題になっていた当時、子供達の人気を呼び戻すために、子供がプロ野球選手として活躍する作品として作られた。また、1988年に完成した東京ドームのイメージキャラクターとして1989年から1991年までの間、東京ドームで巨人の選手がホームランを打つと童夢くん人形が手渡されていた。作品は読売ジャイアンツとセントラル・リーグの全面バックアップを受けており、巨人のみならず、セ・リーグの各球団に当時在籍していた選手や監督だけでなく、東京ドームを始めとする各球団のフランチャイズ球場、そして、当時の巨人北海道シリーズの舞台、札幌円山球場が実名で再現され、登場する。番組の終わりには巨人の選手・コーチによる野球指導の「童夢くんのジャイアンツ・いれコミ情報!」のコーナーもあった。
漫画版
漫画版は石ノ森章太郎を原作者とし、学研の『学習』各誌に掲載された(初期は4 - 6年のみ掲載だが、後に1 - 3年にも掲載されている)。各学年ごとに複数の漫画家によって描かれており、年代に応じてメインキャラの年齢、登場人物に変化が加えられている。
- 4年の学習 - 小学生の登場人物が君付けで呼び合っていた
- 5年の学習 - 石ノ森章太郎
- 6年の学習 - 桜多吾作
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
ストーリー
プロ野球選手となるためには年齢制限があるが、優秀な才能を持つ子供達を発掘するために、年間出場回数や出場可能時刻など、児童保護のための多くの限定付きながら、年齢制限が撤廃された。各球団は優秀な才能を持つ子供達の発掘に努め、並み居るプロ野球選手に勝るとも劣らない子供達が球界で活躍し始めた。
登場人物
- 新城童夢(しんじょう どうむ)
- 声 - 坂本千夏
- 伝説の名投手を父に持つ、主人公の小学生。読売巨人軍の投手。背番号1/2(最初に中畑相手に投げたとき、マウンドからバッターボックスまで1/2の距離までしか届かなかったことに由来)。4年生のときに江川卓に才能を見出され、入団を要請されるが、父が早世した原因は巨人軍に酷使された末の過労死と信じていたため、頑なに拒否する。母から父の死の真実を告げられ、父の願いを叶えるために巨人軍に入団する事を決める。東京ドームの特性を活かした魔球が多いためか、ビジターゲームで投げる事はない(但し、漫画版では後期にビジターゲームでの登板シーンも何度か登場する)。入団当初は9回に投げるストッパーが主な役割だったが、後に先発もこなすようになる。しかし、登板前にブルペンで投げている描写がまったくない。
- 巨人軍や他球団の選手達、多くのライバル達との勝負や触れ合いの中で、数多くの魔球を駆使して巨人軍の中心選手として成長していく。
- 「魔球使い」の印象が強く、まだ小学生ということもあって力が未熟に描かれているシーンも多いが、実は身体能力もトップクラスである。アニメ版では、サンダーバキュームボールを編み出す過程で夢中になり、高校陸上部の練習に参加してしまうシーンがあるが、そこでの記録は円盤投げ45m、槍投げ71m、棒高跳び4m50cmをクリア、100m11秒フラットを出しており、「オリンピック出場も夢じゃない」とまで言われた(どれも超高校級クラスの記録)。
- 一時はカルロスによって再起不能寸前まで落とされたが、家族や多くの親友、チームメイトなどの支えられ、見事なまでの復活を果たした。
- 漫画版では、年齢が雑誌の対象年齢に応じて変化している。最後は小学生にも拘らず、魔球の浪費により肘を痛め、手術のため渡米して終了。
- 新城夢人(しんじょう ゆめと)
- 声 - 梅津秀行
- 童夢の父。元読売巨人軍の投手で、ルーキーイヤーの1980年に27連続奪三振・投球数81(全員を3球三振に切って捨てた)で伝説の「81球完全試合」を達成した。背番号42。童夢にも巨人軍のユニフォームを着て貰いたいと思っていたが、病気のために若くしてこの世を去る。9年前の後楽園球場でカルロスより勝負を挑まれて勝利しているが、同時にカルロスが再び日本に来日する事を危惧していた。
- 新城まゆみ
- 声 - 井上喜久子
- 後楽園に隣接する商店街にある自宅にてサンドイッチ屋「ニューキャッスル」(新城の単純な英語化)を経営している。
- 夢人の願いを叶えるべく、童夢を支援する母。何故かあまり童夢の試合を見ないが、彼女が見る時はほぼ童夢が打ち砕かれた時である。
- 新城あかね
- 声 - 久梨原れな
- 童夢の姉。15歳の中学3年生。童夢と口ではよく喧嘩をするが、弟思いの姉でもある。野球ができるわけではないが、童夢がメロディーと対戦しているときに父親のバットを届けたり、富士山で魔球開発中に父親の書置きを届けたりするなど、いざと言う時には童夢の陰から支える立役者となる。
- 麻生かおり
- 声 - こおろぎさとみ
- 童夢の幼馴染。試合に出ている童夢を応援している。アニメ最終回では、童夢のことが好きだと声援を送った。
- 江川卓
- 声 - 大滝進矢
- 元巨人の投手。童夢の才能を見抜き、入団を説得する。夢人の願いを知っていたらしい。童夢が巨人入団後も、壁にぶつかるとアドバイスを与える。作中では、主に東京ドームでの試合で解説役として登場。「スノーミラージュボール」、「レインボースパークボール」の開発にも協力した。また、制作協力に江川の個人事務所「江川企画」があったからか、アニメ上の解説者は江川以外には登場しなかった。
- 中畑清
- 声 - 小形満
- 巨人の内野手。背番号24。兄貴分として童夢を指導する。実在の人物どおり、チームのムードメーカーとして描かれた。魔球3号「サンダーバキュームボール」は彼のアドバイスから生まれた。
- 原辰徳
- 声 - 星野充昭
- 巨人の内野手。背番号8。中畑と同じく、童夢の兄貴分として登場。豪邸に美人の奥さんと住んでいる。現・巨人監督。
- 中尾孝義、山倉和博、有田修三
- 声 - 桜井敏治(中尾)、鈴木清信(山倉)、秋元羊介(有田)
- 巨人の捕手達。背番号は中尾が22・山倉が15・有田が9。童夢の開発した250km/h超の剛速球「サンダーバキュームボール」は速過ぎて捕手に大ダメージを与えることが分かり、一時童夢に魔球封印を考えさせる程だったが、プロの捕手の誇りをかけて捕球すべく特訓を重ね、サンダーバキュームボール用の野球用具を特注し、捕球できるようになる。
- 藤田元司
- 声 - 稲葉実
- 巨人の監督。背番号73。童夢を子供扱いせず、チームプレーの大切さを熱心に指導する。童夢の父をよく知っている。
- 関根潤三
- ヤクルトの監督。背番号73。「スノーミラージュボール」は反則投球だとして審判団に執拗に抗議する。しかしこの抗議行為は童夢のペースを乱そうとする目的で行ったもので、もとより抗議が通るとは思っておらず、ある種の老獪な一面を見せている。
- 長嶋一茂
- ヤクルトの打者。背番号3。「ミスタージャイアンツ」長嶋茂雄の実子。童夢の消える魔球「スノーミラージュボール」で討ち取られる(第5話)。
- 星野仙一
- 声 - 大塚明夫
- 中日の監督。背番号77。童夢の才能を見抜き「スノーミラージュボール」はペナントレースの脅威になるとして、あらゆる手を尽くして魔球の解明に努力する。現・楽天監督。
- 落合博満
- 声 - 沢木郁也
- 中日の強打者。背番号6。星野監督からの魔球解明情報を受け取らず、自ら童夢の消える魔球「スノーミラージュボール」の謎を解き打ち砕く(第9話)。実在選手としては唯一魔球を打倒した。漫画版では「ブーメランボール」をも撃破している。スペシャル版でもライバルとして立ちはだかり、「ハイパー・スピン・ブラックホール・ボール」を屠った。実在プロ選手中では最強扱いとなっている。
- なお夫人の落合信子も作中に登場する(セリフあり)。現実の信子夫人よりも若く見える。
- 山本浩二
- 声 - 沢木郁也(2役)
- 広島の監督。背番号88。アンディの正体を訝しくも思いながらも、温かく見守っていた。アンディ離脱後、巨人との優勝争いを前に「優勝請負人」カルロスを招聘。彼の野球に対する態度を好ましく思っていないが、ペナントレースを戦い抜くためには必要だとして目をつぶる。
- 達川光男
- 声 - 梅津秀行
- 広島のキャッチャー。主にメロディの女房役として出演。
- 村山実
- 阪神の監督。「サンダーバキュームボール」を見て、選手たちに「今度のボールは消えもしなければ、分かれもせん。当たればスタンド入りや!!」と言ったが、阪神打線が打つことは出来なかった。
- 通天閣虎夫
- 声 - 太田淑子
- 阪神の小学生選手、背番号007。大財閥の御曹司であり、童夢に続く小学生プロ野球選手としてデビュー。当初の目標は打率10割で、コンピュータを駆使したデータ分析に長け、童夢と戦うまで打率10割を誇った。落合博満も打てなかった童夢の魔球「レインボースパークボール」打倒に執念を燃やし、童夢の学校に一時転校した事も。再挑戦時には一本足打法で砂煙をボールにかぶせて実体を見破るが、ファールフライに終った。引退後は、財閥の総帥として帝王学を学ぶため、米国に留学した(第17話)。スペシャル版では行方不明の童夢の居場所を探し出し、彼を球場まで送り届けるのに一役買っている。漫画版では「スノーミラージュボール」をあっさりカットするが、童夢が新たに開発した「ブーメランボール」の餌食になり、それ以降は童夢打倒に執念を燃やし続けた。
- アンディ(メロディ・パトリシア・ノーマン)
- 声 - 佐久間レイ
- 広島(漫画版では中日の場合もあった)の11歳の小学生選手で、ポジションは投手。背番号101。幼い頃は天才ピアニストとして名を馳せていたが、9歳の時に祖父と大リーグの試合を見に行き、熱い勝負を目の当たりにしたことがきっかけで野球の面白さに目覚め、ピアニストを電撃引退してトレーニングに励む。しかし、大リーグでも女子の参加は認められていなかったため、この時からアンディを名乗ってブルーソックスに在籍し、試合に出場していた。大リーグ時代に習得したアンダースローから打者の心を幻惑し闘争心を無くしてしまう「メロディボール」と呼ばれる魔球を投げる投手であるとともに、「リズム打法」により打撃も好調。女性であることが判明した試合で、野球協約違反のために球界追放の危機に立たされるが、才能を惜しむファンの声が高まった事、女性をプロ野球界での在籍と出場を認める協約改正の動きが出ていた事(現在では女性選手の在籍や出場が一部認められている)などから、彼女を女性プロのテスト生として取り扱うコミッショナー裁定により、初出場から正体がばれた試合まで、特例が認められた。童夢との40球近い戦いの末に破れる。童夢との対決に敗れた後は、ピアニストになる夢を実現するため、ウィーンへ去る(第25話)。最初は童夢の事を軽くしか見ていなかったが、真剣・真摯に対戦する童夢の姿に、徐々に彼に対する想いが高まっていく。そして最後の対決で童夢の事が心から好きで愛していることを自覚し、以後は相思相愛の仲になる(漫画版では友達止まりで、デート等はしていない)。童夢は「レインボースパークボール」を初めて打った彼女の為に封印していたが、彼女のアドバイスを受けて改良が加えられ、再び使用するようになる(しかしドードに一瞬で打ち砕かれた)。再来日した時に、カルロスに敗れて彼女に甘えようとした童夢をあえて冷たく突き放し、彼に立ち直らせるきっかけを与えた。スペシャル版で童夢にキスをしている。
- ドード(パウラ・ドード)
- 声 - 安西正弘
- 大洋(漫画版では広島)の選手で、ポジションは外野手。背番号9999。相撲取りになるためトンガから来日したが、童夢と対戦するために相撲部屋を抜け出して野球選手になる。トンガに住んでいた頃から野球が大好きで、童夢の特集雑誌を愛読していた。初打席で1000mを超えるホームランを放ち、瞬く間に強打者としての才能を発揮する。童夢の「スノーミラージュボール」をあっさり打倒し、メロディのアドバイスを受けて童夢が新たに完成させた「ニューレインボースパークボール」をも簡単に打ち砕く(第29話)。しかし250km/h超の剛速球「サンダーバキュームボール」に敗れ、F1観戦で目を鍛えて再び童夢に挑戦するが、特訓で鍛えていた童夢の270km/h級サンダーバキュームボールの前にツチノコバットを粉砕され、敗れた(35話)。3度目は特製バットを使った鐘つき打法でミートする事に成功するが、互いに精神を限界まで削り果たしていた為、勝利目前で力尽きた(第37話)。最終戦では同じく相撲取りになるために来日して行方不明となった父親(稽古中にケガをして相撲取りを断念し、別の仕事で生計を立てていた)と5年ぶりの再会を果たす。童夢に敗れた後は父親がなれなかった相撲取りとしての夢を叶えるために球界を去った。後にカルロスに敗れて落ち込んでいた童夢を励ました。アニメ版では彼の打球がマリンタワーの展望室を直撃したこともある。
- カルロス(ドン・カルロス・フォン・ベルジュ)
- 声 - 速水奨
- 広島の選手でポジションは三塁手。背番号101。メロディ退団後にスペインからやってきた。童夢スペシャル1号、2号を打撃で真似てエラーを誘う「魔打法」の使い手。打者としてのパワーは感じられないが、「悪魔的」な何かを持ち、対戦した投手を破滅に追い込む。童夢の魔球が唯一通用しなかったライバルでもある。スペインの名のある貴族の出身で、幼い頃より母親に徹底した帝王学(絶対君臨学)を叩き込まれ、様々なスポーツで頂点の座に君臨していた。しかし、9年前の後楽園球場で童夢の父夢人と7球勝負をし、全打席三振に追い込まれて敗れた。再び夢人に再挑戦を申し込もうと誓うが、その前に夢人が亡くなってしまったため、半ば自暴自棄のような感じで、他スポーツで対戦相手を負傷させたり、引退に追い込んでいたりしていた。その頃に夢人の息子である童夢の活躍を耳にし、かつて敗れた夢人の代わりに打ち砕いて再起不能にしてやろうと決意したのが、彼が来日した真相である。一時は童夢を再起不能寸前のどん底に突き落とすも、仲間のサポートで復活した童夢と再び対戦。最後は魔球を出し尽くした童夢が投じた父譲りのナックルとチームメイトの連携の前に敗れた。最終的には熱い闘志を取り戻し、童夢の良きライバルとなる。アニメオリジナルキャラであり、カルメンの音楽に乗せて、闘牛士のような出で立ちで登場した。
- アナウンサー
- 声 - 作間功
- 試合中継を実況するアナウンサー。『侍ジャイアンツ』に登場するアナウンサーと容姿が酷似しており、声優も同一である。
- 藤谷学(ふじたに まなぶ)
- 声 - アニメには登場せず
- 漫画版のみの登場。童夢の学校に転校してきた転校生。後に巨人に入団し、童夢の良き女房役として数々の特訓で友情を育む。しかし数年後バッティングセンスを買われ、大洋へ移籍。しばらくの間は絶縁状態になるが、後に和解した。童夢の魔球、「コズミックサイコボール」を「物干し竿バット」による槍投げ打法で攻略し、更に最後の魔球、「宇宙遊泳」を打ち砕いた。
登場する球場
登場する魔球・打法
新城童夢
これらの魔球はそれぞれ、「童夢スペシャル○号」と呼ばれた。アニメ版ではストレート系が中心だが、漫画版は変化球系が中心になっている。当初の魔球は東京ドームの特質を利用したものだったが、アニメ版では3号、漫画版では4号以降、利用しなくなる。
- スノーミラージュボール
- ナックルを浮き上がらせて打者の目の錯覚を誘う魔球。落合に見破られて撃破された。漫画版では2号扱いの物もある。こちらではメロディに打たれる[1]。
- レインボースパークボール
- 数多くのライバルを悩ませた分身魔球。当初は7つの分身だったが、メロディに打たれた後に、彼女のアドバイスにより改良が加えられ、倍の数に強化されたが、ドードには通用せず、一瞬で粉砕された。ちなみに、虎夫のコンピュータは投球フォームと変化球の握りから、ブーメランの如く弧を描きながら球が消える「スノーミラージュボール」の亜流と分析していた(ブーメランの軌道を描く魔球は、漫画版では童夢スペシャル2号として実際に登場し、虎男はこの魔球の餌食となった)。
- サンダーバキュームボール
- 現実ではまず不可能な、180 - 270km/hもの速度を誇る超剛速球。中畑の案をヒントに、夢の島で猛特訓を重ねて編み出した。上体をのけ反らせた反動を利用して球速を上げるのが狙いだったが、そこに左脚を振り下ろすことで真空を作り出し、空気圧の差で球を押し出すという加速手段を加えることで完成した。この3号より、ドームの力を一切利用しない魔球となる。この魔球はインパクトや破壊力は抜群のように見えるが、実は無理な投球フォームのために体力の消耗や左足への負担が非常に大きい、モーションが大きいために隙が大きくなり盗塁されやすい、ボールのコントロール性や投球後の投手のバランスが非常に不安定、あまりの破壊力に捕球した捕手が負傷しやすい、実は球威は見た目程には無いと言った数々の欠点が露呈してしまい、童夢は欠点を克服するために千葉県銚子市(犬吠埼)で自主合宿トレーニングを行い(アニメでは、上記の他にジャイアンツの練習場で桑田のアドバイスを得て牽制球の練習を行ったりもしている)、一方の捕手たちも有田を中心にピッチングマシーンを改造して300km/hの剛速球を捕球する猛特訓を行ったり、特注グローブを開発してサンダーバキュームボールを完全に捕球出来るように備えた。その結果、前述の欠点はほぼ克服されている。二度ドードを撃破して引退に追い込み、改良後は一般のプロ相手にも無敵を誇ったが、カルロスの魔打法の前に敗れた。一度だけ外野に回った童夢のところへ偶然ボールが来て、この魔球をバックホームに利用し、ホームインしようとしたランナーをアウトにしたこともある。
- ハイパースピンブラックホールボール
- ボールに強烈な回転を与える事で小型のブラックホールを発生させ、ボールに凄まじい球威を与え、更にブラックホールの吸引力でバッターに強制的にバットを振らせて凡打に打ち取る魔球。右投手の童夢が、一塁方向に身体を反転させ、手の平をバッターボックスに向けて払うようにして投げることを思いつき、強烈な回転を手に入れた。虎夫、メロディー、ドードの3人が童夢とカルロスのデータや資料を元に考案し、童夢がカルロスを撃破する為に生み出した魔球だったが、カルロスには僅か2球で見破られて通用しなかった。カルロスとの戦いの後にも使用され続け、長期間童夢の魔球として君臨し続けたが、他球団に研究された結果、バントに弱い弱点を露呈し(魔球の生み出す重力を逆に利用され、捕球しにくい為内野安打にされやすい)、慢心して球威が落ちた所を落合に屠られた。
- ケンジスペシャルイリュージョンスペースワープボール
- ハイパースピンブラックホールボールを打たれた童夢が、北海道の大雪山での蜃気楼現象からヒントを得て大雪山での猛特訓の末に編み出した魔球。名前に人名「ケンジ」が入っているのは、猛特訓に付き合ってくれた彼への約束であったため。ボールの強烈な回転で蜃気楼を生み出し、何段階もの時間差で蜃気楼を出してタイミングを外す事の出来る魔球。今までの魔球のように見える球に実体が無いため、打者は翻弄されてしまう。夏のよく晴れた昼頃のみに使用可能。落合との対決に使用され、見事に打ち取った。
一部漫画版のみに登場する魔球
- ブーメランボール
- 童夢スペシャル2号扱い。作品によっては「スノーミラージュボール」が2号扱いで、こちらが1号の物もある。最初は投げ方に問題があった為、盗塁に弱いという弱点を持っていた。「レインボースパークボール」以降は番号がずれ、アニメ版とは違う変化球を駆使するようになった物もある。改良後は盗塁を阻止する等の応用にも使えた為、数多くのライバルを悩ませた。
- フォークボール
- 一般のフォークと同じで、スペシャルには入っていない。まだ子供で指が小さい童夢には酷で、指の怪我と引き換えの取得だった(アニメ版では「レインボースパークボール」取得の為に特訓を重ね取得した)。ちなみに、童夢は練習時にスライダー等一般の変化球を投げた事があり、ただの魔球使いでは無い事が解る。
- ライジングシャインボール
- ホームベース手前から球が光り出し、一気に上昇する魔球。ヤクルトの外人選手に打破されてからは、一般のプロにも打たれている。投げる為には驚異的な手の力が必要。一時期投げる時に癖があった為、見破られた後にスランプに陥った。
- コズミックサイコボール
- ホームベース手前で球が止まったように見え、打ち気の打者にバットを振らせる事を狙う魔球。槍投げ打法の前に散った。一時期魔球を投げる際に癖があった為、スランプに陥った事もある。途中までは「ライジングシャインボール」と同じ軌道。
- 宇宙遊泳
- 上空に投げ、30秒以上も空中で浮遊させ続けてから、木の葉のように落下して打者の集中力をかき乱す魔球。バットの風圧で球が変化してしまうため、フルスイングでは絶対打つことが不可能。肘を故障しつつも投げた球を最後に打たれて、手術を受ける為、渡米する事になった。
なお、ライジングシャインボール、コズミックサイコボール、宇宙遊泳は全ての球場で使用可能であった。
その他
- メロディーボール(メロディ、アニメ版では当初アンディ名義)
- メロディが大リーグ時代に編み出した魔球。打者の心の中に魅惑的な音楽を湧き上がらせ、打者の幻惑を誘う魔球。曲のリズムに応じて球筋が変化する。滅多に打たれる事は無く、ほぼ無敵を誇ったが、童夢に打ち砕かれた(童夢が音痴で、曲のメロディに惑わされなかったため)。
エピソード
![]() | この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- 星飛雄馬の消える魔球「大リーグボール2号」は「魔送球」(特殊なカーブ、星一徹が開発)を縦に変化させて土埃の中にボールを隠すものであったが、童夢の消える魔球「スノーミラージュボール」はナックルにより縦に落ちたボールを、東京ドームの通風により浮き上がらせ、打者の目の錯覚を誘うものであった。
- メロディは水原勇気と同じく左アンダースローの女性投手であり、特徴のある球を投げるのであれば、プロで通用するのでは、との点で一致する(なお実際に大成している例を見れば、竹本恵や清川栄治が挙げられる)。
- 捕手山倉和博のリードにより、童夢に初登板の初球をバックネットに暴投させた(第4話)。これは、堀内恒夫の初登板の際のエピソードを元にしたものと思われる。
- 1989年の現実のペナントレースの状況が作品に反映されつつ、放映回数を重ねていった。この年の後半にリハビリから復帰した吉村禎章の姿も描かれ、早々に引退を考えた童夢に再び闘志を燃え上がらせた(第46話)。なおこの年は、ジャイアンツは日本シリーズで近鉄バファローズ(当時)と戦い、日本一になったが、本編ではそのことは一切触れられていない(パリーグの球団の協力を受けてないためだと思われる)。1990年作成のスペシャル版で、日本一になったことのみ触れられた。
- 新城夢人の背番号「42」は、現実の巨人では、1968年の新浦壽夫投手の後、1997年にロッテから移籍したエリック・ヒルマン投手が付けるまでの間空き番となっていた(途中、1990年頃ドン・ベイラー臨時コーチがキャンプ期間中のみ付けていたことがあるが、正式に登録されたものではない)。
- メロディとカルロスの背番号「101」は、現実の広島では、現役選手の背番号が「00・0〜99」に限定される以前の1992年にはドミニカ共和国に同球団が開設した「広島東洋カープ・アカデミー・オブ・ベースボール」(通称カープアカデミー)から来日して一時支配下登録されたアンヘル・バウチスター投手が、また、1996年には前年にダイエーで現役を引退した直後だった矢野未乗投手コーチが付けていた。2010年現在は、山下直明打撃投手の背番号となっている。
- 1989年の巨人優勝直前には、スペシャル番組が制作され、週末午後に放映されたが、広島テレビ放送では、同年7月に同局制作、日本テレビ系列で放送した「広島平和音楽祭」の再放送に差し替え、優勝決定後の遅れ放送となった。
- 1イニング中に選手・監督が何度もマウンドに集まる(本来は、監督およびコーチが1イニングに2回以上ラインをまたいだ時は、必ず投手交代をしなければならない)など、ルールに従っていない表現が多々見られる。
- 石ノ森章太郎自身の別の漫画で、桃太郎がキビ団子を投げる際にレインボースパークボールのように宙返りで投げ団子が7つに分裂するパロディがあった(一部の漫画版では、それをネタに宙返りしてレインボースパークボールを投げている)。
- ドードが横浜スタジアムでホームランを打ち、その打球がマリンタワーの展望台の窓ガラスを破る描写があるが、実際にその方角に打つとファールになってしまう。
- 小学生のため、学業との両立を理由に、藤田監督と母のまゆみとの間に「21時以降は投げられない」というルールを設ける設定があるが、劇中であまりポイントになることはなかった。アニメ版では、あと1球(2アウト2ストライク)でゲームセットというところで、この理由により、藤田監督の指示で強制的にマウンドを降ろされる描写はあった。
- 2軍落ちした際に、読売ジャイアンツ球場から水道橋の小学校まで通う設定がある。電車に慣れていないのか、初めてジャイアンツ球場に行ったときには、誤って小田急ロマンスカーに1人で乗ってしまい、町田駅まで行ったところで読売ランド前駅まで引き返したこともある。
- 作中、ヤクルトスワローズにのみライバルキャラが設定されていないのは、当初、ヤクルトにも童夢のライバルとなる重要な小学生選手を登場させる設定であったが、あまりにも現実のペナントと乖離した内容にヤクルト球団側が難色を示し、「(童夢くんの作品中では)ウチをあまり取り上げないで欲しい」という抗議を受けたため、断念せざるを得なくなったという話がある。確かに、アニメ版ではヤクルトが出てくるのはごく初期のみで、中期から後期になるとほとんど名前すら出てこなくなっているが、この話が事実であるかどうかの確認はなされていない。また、この意向に、かつての親会社で現在もヤクルト球団と資本関係を継続し、かつ読売新聞グループと競合しているフジサンケイグループが関与しているかどうかも不明である。
- 対照的に、親会社(中日新聞社)が読売新聞グループと競合・対立関係にある中日ドラゴンズは本作品に協力的だった(後に日本テレビ系列で放送された『ザ・サンデー』などでも、かつて中日に在籍していた川上憲伸の追跡コーナーがあった)。
スタッフ
- 原作:石ノ森章太郎
- 原作協力:企画室パラス
- 連載:1年のがくしゅう〜6年の学習
- 企画:務台猛雄(NTV)、嶋村一夫(読売広告社)、倉田幸雄(学研)
- プロデューサー:武井英彦(NTV)、木村京太郎(読売広告社)、金子泰生(学研)
- アシスタントプロデューサー:福与雅子(NTV)、三俣晴一郎(学研)、木村健吾(スタジオぎゃろっぷ)
- 監督:渡部高志
- キャラクターデザイン・総作画監督:辻初樹
- シリーズ構成:山崎晴哉
- 美術監督:小林七郎
- 撮影監督:枝光弘明
- 録音監督:加藤敏
- 音楽:近藤浩章
- 録音製作:東北新社
- タイトル:マキ・プロ
- 現像:IMAGICA
- アニメーション制作:スタジオぎゃろっぷ
- 制作協力:東京読売巨人軍、中日ドラゴンズ、広島東洋カープ、大洋球団、ヤクルト球団、阪神タイガース、後楽園スタヂアム、江川企画、日本テレビビデオ
- 企画・制作:日本テレビ
- 製作:読売広告社、学研
主題歌
- OP『ボクらの夢によろしく』
- ED『やさしくされた、あの気持ち』
(作詞:平出よしかつ/作曲:多々納好夫/編曲:鷺巣詩郎/歌:CHA-CHA)
※オリジナル・サウンドトラックは、カセットのみで発売された。主題歌を除くBGM類はCD化はされていない。
サブタイトル
話数 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ジャイアンツなんか大きらいだ! | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 松岡秀明 | |
2 | 中畑ビックリ!?消える魔球 | 石原ひろし | 石田昌平 | 多田康之 | |
3 | 開幕戦はオレにまかせろ! | 島田満 | 白土武 | 伊東政雄 | 宮崎龍四郎 |
4 | 絶好調!童夢スペシャル | 山崎晴哉 | 佐藤真人 | 宍戸久美子 | |
5 | 動く星野監督魔球をさぐれ! | 石田昌平 | 林隆文 | ||
6 | 初対決!勝負だ落合! | 石川康夫 | 渡部高志 | 松岡秀明 | |
7 | やったぜ!六連続三振! | 島田満 | 石川康夫 | 多田康之 | |
8 | 落合、魔球打倒宣言 | 山崎晴哉 | 白土武 | 伊東政雄 | 宮崎龍四郎 |
9 | 対決!落合対童夢 | 伊東恒久 | 石田昌平 | 千明孝一 | 篠田章 |
10 | うそだ!オレの魔球が破れた!? | 石川康夫 | 松岡秀明 | ||
11 | 天才打者、虎雄登場! | 山崎晴哉 | 千明孝一 | 栗井重紀 | |
12 | あみだせ新魔球! | 伊東恒久 | 渡部高志 | 篠田章 | |
13 | 七色の魔球完成!? | 島田満 | 白土武 | 伊東政雄 | 宮崎龍四郎 |
14 | 七色の閃光!見たか新魔球! | 山崎晴哉 | 石川康夫 | 松岡秀明 | |
15 | 激突!童夢対虎雄 | 伊東恒久 | 小松和彦 | 粟井重紀 | |
16 | 虎雄のスパイ大作戦!? | 島田満 | 千明孝一 | 山内昇寿郎 | |
17 | いくぞ虎雄 真剣勝負だ | 山崎晴哉 | 白土武 | 伊東政雄 | 大戸幸子 |
18 | 謎のライバルアンディの挑戦! | 伊東恒久 | 渡部高志 | 篠田章 | |
19 | 守るぞ!オレのメロディ | 島田満 | 水谷貴哉 | 松岡秀明 | |
20 | アンディ覚悟!勝負はもらった! | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 栗井重紀 | |
21 | いくぜ日米魔球対決! | 伊東恒久 | 佐藤博暉 | 佐々木敏子 | |
22 | アンディ決意のマウンド | 島田満 | 伊東政雄 | 田崎聡 | |
23 | 魂をかけた大決戦! | 山崎晴哉 | 水谷貴哉 | 篠田章 | |
24 | 燃えあがれ!オレたちのグラウンド! | 伊東恒久 | 千明孝一 | 佐々木敏子 | |
25 | さようならメロディ | 島田満 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 松岡秀明 |
26 | 怪力少年衝撃のデビュー! | 山崎晴哉 | 大庭秀昭 | 田崎聡 | |
27 | 怪童ドードの挑戦! | 伊東恒久 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 田中保 |
28 | よみがえれ七色の魔球! | 島田満 | 水谷貴哉 | 篠田章 | |
29 | 完敗!恐るべきドード | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 松岡秀明 |
30 | できた!?驚異の超魔球! | 伊東恒久 | 加藤正 | 佐々木敏子 | |
31 | 炸裂!嵐を呼ぶ魔球! | 島田満 | 大庭秀昭 | 田崎聡 | |
32 | 先発!めざせ勝利投手! | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 田中保 |
33 | 特訓!打倒ドード | 伊東恒久 | 加藤正 | 水谷貴哉 | 篠田章 |
34 | 砕け!F1打法 | 島田満 | 千明孝一 | 松岡秀明 | |
35 | まさかの敗戦投手!? | 山崎晴哉 | 石堂宏之 | 佐々木敏子 | |
36 | 宿敵ドードの秘密兵器 | 伊東恒久 | 水谷貴哉 | 青嶋克己 | |
37 | さらば宿命のライバル! | 島田満 | 大庭秀昭 | 田崎聡 | |
38 | 華麗なる挑戦者カルロス登場! | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 篠田章 |
39 | 魔打法の謎を追え! | 伊東恒久 | 吉田昌弘 | 水谷貴哉 | 佐々木敏子 |
40 | ジャイアンツの危機を救え! | 千明孝一 | 松岡秀明 | ||
41 | 危うし!狙われた童夢 | 山崎晴哉 | 石堂宏之 | 青嶋克己 | |
42 | 特訓開始!打ち取れ魔打法 | 大庭秀昭 | 田崎聡 | ||
43 | 盗まれた魔球! | 島田満 | 渡部高志 | 水谷貴哉 | 篠田章 |
44 | 夢人対カルロスかくされた真実! | 吉田昌弘 | 石堂宏之 | 佐々木敏子 | |
45 | 童夢、引退宣言!? | 伊東恒久 | 渡部高志 | 水谷貴哉 | 松岡秀明 |
46 | 立ち上がれ!再びマウンドへ | 山崎晴哉 | 山口武志 | 青嶋克己 | |
47 | 究極の魔球誕生!? | 島田満 | 千明孝一 | 石堂宏之 | 篠田章 |
48 | これだ!友情の新魔球 | 伊東恒久 | 大庭秀昭 | 田崎聡 | |
49 | 輝け!栄光の巨人軍(ジャイアンツ) | 山崎晴哉 | 渡部高志 | 石堂宏之 | 佐々木敏子 |
SP | めざせV2!うなれ友情の新魔球!! |
作品の保管状況
1996年にCSのファミリー劇場で全話再放送されているが、以降はCSなどで再放送されない作品の一つとなっており、DVD化もされていない。現在は閉鎖されている渡部高志のサイトに洪水のためぎゃろっぷの倉庫にあったマスターテープが水没したとの記述があり、それが理由とも言われている。
注釈
- ^ 作中では本魔球の原理をこう描写している。「力のない童夢の投げるナックルゆえに消える魔球となる。その初速はわずか100キロ。そこにドーム球場の通風口の風が微妙に作用する。その通風口からの風がホームベースとマウンドの中間地点に小さなサイクロン現象を起こす。ボールは失速寸前、強い吸引力を持つ気流に乗って、ほぼ垂直に急上昇する。この予想もつかない急激なコースの変化によって、ボールが消えたと打者は錯覚する。だが、ドーム球場内の気流は複雑だ。上昇気流に押し上げられたボールに、反対の気流の力――すなわちダウンバースト気流がぶつかって、その2つの気流の摩擦によりボールに新たな回転が加えられる。そのために初速100キロよりも速いスピードが生まれ、終速110キロとなってストライクゾーンを通過する。この時、打者の目にはボールが突然現れたように見える。」
関連項目
日本テレビ 日曜10:30枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
電脳警察サイバーコップ
※水曜17:00枠へ移動 |
ミラクルジャイアンツ童夢くん
|
スポーツジョッキー 中畑クンと徳光クン
※10:00〜10:55 |