RUN (アルバム)

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RUN
B'zスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル
時間
レーベル BMGルームス
プロデュース 松本孝弘
チャート最高順位
  • 週間1位(オリコン[1]
  • 1992年度年間6位(オリコン)
  • 1993年度年間25位(オリコン)
ゴールドディスク
  • 2ミリオン(日本レコード協会[2]
  • B'z アルバム 年表
    • RUN
    • (1992年)
    『RUN』収録のシングル
    1. ZERO
      リリース: 1992年10月7日
    テンプレートを表示

    RUN』(ラン)は、日本の音楽ユニットB'zの6作目のオリジナル・アルバム。1992年10月28日にBMGルームスより発売。

    概要[編集]

    前作『IN THE LIFE』から約11か月ぶりのリリース。

    アルバムタイトルは発売直前まで先行シングル「ZERO」と同タイトルを検討していたが、後に「RUN」が制作され、そちらの方がタイトルに相応しいとして変更された。

    B'zとして初めてライブツアーのサポートメンバーとのセッションから制作されたアルバムであり、この制作方式は後にリリースされる『Brotherhood』『THE CIRCLE』などに繋がることになる[注釈 1]

    初回盤はCDケースの成形色が黒色で、B'zの5枚綴りのフォトカード、フォトカードとCDケースを入れる紙製のスリーブケースが付属しており、レーベル面はメッキゴールド塗装となっているが、裏ジャケットが入っていない。通常盤は普通の透明のCDケースでレーベル面はメッキシルバー仕様である[3]。通常盤はレーベル違いでディスクトレイの成形色が2色存在し、BMGルームス盤がライトブラックで、ルームスレコーズ盤がホワイトである。「B'z」のロゴマークは前作『IN THE LIFE』同様、シングル『ALONE』から使用されたもの。オリジナルアルバムでこのロゴが使用されたのは本作と『IN THE LIFE』のみとなっている。

    本作で現在までのB'zの王道的作風である「ハードロック」に初めて挑戦し、松本曰く「「ALONE」のようなメジャー系のバラードをやる気がなかった」という意図から明るい調子のバラードは収録されておらず[4]、「ハードロック」をテーマにしたため「BLOWIN'」も収録されなかった。アレンジはオーケストラ・ヒットを多くの曲で使用している。

    本作は1992年11月9日付のオリコンアルバムチャートにて最高位1位を獲得、売り上げ枚数は同年11月23日付で155.0万枚となった[5]。初動で119万枚を売り上げ、『IN THE LIFE』が達成した当時の最大初動枚数(104万枚)の記録を自ら塗り替えた。2006年5月時点で売り上げ枚数は219万6,660枚を記録[1]

    2018年に結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[6]

    収録曲[編集]

    CD
    全作詞: 稲葉浩志、全作曲: 松本孝弘、全編曲: 松本孝弘・明石昌夫
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.「THE GAMBLER」稲葉浩志松本孝弘
    2.ZERO稲葉浩志松本孝弘
    3.「紅い陽炎」稲葉浩志松本孝弘
    4.「RUN」稲葉浩志松本孝弘
    5.「Out Of Control」稲葉浩志松本孝弘
    6.「NATIVE DANCE」稲葉浩志松本孝弘
    7.「MR. ROLLING THUNDER」稲葉浩志松本孝弘
    8.「さよならなんかは言わせない」稲葉浩志松本孝弘
    9.「月光」稲葉浩志松本孝弘
    10.「Baby, you're my home」稲葉浩志松本孝弘
    合計時間:

    楽曲解説[編集]

    1. THE GAMBLER
      1分ほどのオルガン独奏から始まる。
      歌詞に登場する主人公は豪快な人物で、稲葉によると「自分が憧れている理想を詰め込んだ」とのこと。
      アルバムツアー以降長らく演奏されていなかったが、2009年に行われた『B'z SHOWCASE 2009 -B'z In Your Town-』で約16年ぶりに演奏された。
    2. ZERO
      11thシングルで、本作の先行シングル。
      本作の制作過程で最初に出来た楽曲で[7]、上記のように「RUN」が出来る前はアルバムの表題曲だった。
    3. 紅い陽炎
      歌詞のテーマは不倫
      アルバムツアーでは「月光」と日替わりで演奏された。
    4. RUN
      表題曲で、バンドメンバーやスタッフなどチームをテーマにしている[4]
      2005年に、稲葉の地元である岡山県で開催された第60回国民体育大会のテーマソングに使用された[8]
      ファンからの人気が高く、ベスト・アルバムB'z The Best "Treasure"』(1998年)と『B'z The Best "ULTRA Treasure"』(2008年)の収録曲を決める際のファン投票では共に12位となり収録された[9][10]。また、『The Complete B'z』にはボーナス・トラックとしてライブ音源が収録されていた。
      『B'z The Best "Treasure"』には再録した「RUN -1998 style-」が収録されている。このバージョンは、1998年に日産アベニールCMソングに使用された[11]
      ライブではアンコールや最終曲として披露されることが多く、アウトロが追加されることが多い。
    5. Out Of Control
      歌詞には社会風刺が含まれており、稲葉曰く「長髪のお兄ちゃんのボヤキ」だという[4]
      アルバムツアー以降長らく演奏されていなかったが、2007年に行われた『B'z SHOWCASE 2007 -19-』、『B'z SHOWCASE 2007 -B'z In Your Town-』で約14年ぶりに演奏され、翌年の『B'z LIVE-GYM 2008 "ACTION"』(ホール公演)でも演奏された。
    6. NATIVE DANCE
      従来のB'zの作品のように打ち込みを多用した楽曲。
      この頃、稲葉は作詞方法を変えたかったそうで、そのきっかけになったのが本曲だと語っている[12]
      曲中にはネイティブアメリカンの音楽のようなコーラスで歌われる箇所があり、ライブではその箇所に振り付けがなされ、観客がコーラスと踊りに参加する。
      ベスト・アルバム『B'z The Best "Treasure"』の投票では23位とファンからの人気が高く[9]、アルバムツアー以降もPleasureツアー[注釈 2][注釈 3]で多く演奏されている。
    7. MR. ROLLING THUNDER
      イントロでは英語のコーラスが流れる。
      稲葉がアメリカへ一人旅した時に見た風景を歌詞にした楽曲。
      ヘビーなディストーションギターサウンドが要となっている。
      曲のラストには稲葉の連続シャウトがある。
      アルバムツアーではオープニングナンバーとして演奏された。
    8. さよならなんかは言わせない
      歌詞は、稲葉の大学の卒業式がモチーフになっている。
      ベスト・アルバム『B'z The Best "Treasure"』のファン投票では18位となり[9]収録を逃したが、後に『B'z The Best "ULTRA Treasure"』の投票で8位にランクインし収録された[10]
      アルバムツアーと『B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER』及び、2021年に行われたB'z主催のRock Project『B'z presents UNITE #01』の横浜公演[13][14][15]ではアンコールラストで演奏され[注釈 4]、アルバムツアー以降も度々演奏されている[注釈 5]
    9. 月光
      稲葉は作詞のアイデアが出ず苦戦していたが、ギターソロからインスピレーションを受けて「月光」と名付けられた[16]
      バラード・ベスト・アルバム『The Ballads 〜Love & B'z〜』にも収録され、ベスト・アルバム『B'z The Best "ULTRA Treasure"』のファン投票では19位にランクインして収録された[10]
      ライブでは『B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER』以降長らく演奏されていなかったが、『B'z LIVE-GYM The Final Pleasure "IT'S SHOWTIME!!"』のツアー前に行われた「Final Pleasureで聴きたい1曲」の投票で2位となり、渚園公演で約10年ぶりに演奏された。その後も『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』(ホール公演)、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-』で演奏された。
    10. Baby, you're my home
      本作唯一のアンプラグドナンバー。手拍子、アコースティック・ギター、男性コーラス群やブルースハープの伴奏が独特の雰囲気を出している。間奏、エンディングでのブルースハープは加藤友彦。
      当初はもっとロックなアレンジだったが、松本曰く「何かちょっと違うなと感じて、思い切って180°変えて、アコースティックにした」。
      アルバムツアー以降長らく演奏されていなかったが、2015年に行われた『B'z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-』(ホール・アリーナ公演)で約22年ぶりに演奏され、2020年に行われた無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のDay1でも演奏された[17][18]
    11. ZERO (LIVE ver.)
      台湾盤、香港盤にのみ収録されているボーナストラック。音源は過去の映像作品のもの。
    12. RUN (LIVE ver.)
      台湾盤、香港盤にのみ収録されているボーナストラック。音源は過去の映像作品のもの。

    タイアップ[編集]

    シングル曲については各作品の項目を参照

    参加ミュージシャン[編集]

    ライブ映像作品[編集]

    シングル曲については各作品の項目を参照

    RUN

    Out Of Control

    NATIVE DANCE

    さよならなんかは言わせない

    月光

    Baby, you're my home

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ ただし、厳密には今作は途中で制作方針を変えたらしく、すべての曲がセッションから生まれたわけではない
    2. ^ B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"』、『B'z LIVE-GYM Pleasure '97 "FIREBALL"』、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-』、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』、 『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-
    3. ^ 2018年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-』ではセットリストには組み込まれなかったが、「juice」内のコール&レスポンスにおいてコーラスと振り付けが行われた。
    4. ^ ちなみに「RUN」は1993年のアルバムツアーでは本編ラスト曲として演奏されている。
    5. ^ 『B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER』、『B'z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN-』、『B'z LIVE-GYM 2008 -ACTION-』、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』、『B'z presents UNITE #01』(横浜公演)
    6. ^ 実際にはクレジットの表記はない
    7. ^ 収録曲としては未表記であるが、ドキュメンタリー内にフルコーラスで収録されている。

    出典[編集]

    1. ^ a b “B'z、さらなる記録更新へ!ニューアルバムリリース決定!”. ORICON NEWS (オリコン). (2006年5月10日). https://www.oricon.co.jp/news/21023/full/ 2022年6月12日閲覧。 
    2. ^ 日本レコード協会 ミリオン以上認定作品」『The Record』第442号、日本レコード協会、1996年9月1日、4頁。 
    3. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「限定」の項)”. エムアールエム. 2019年10月6日閲覧。
    4. ^ a b c B'z The Book 1998, p. 27.
    5. ^ WHAT's IN? 1993, p. 16- 「SELF LINER NOTES '92 〜1992年のBEST50CD全曲解説〜」より
    6. ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日). https://rockinon.com/news/detail/174432 2018年11月10日閲覧。 
    7. ^ a b B'z The Book 1998, p. 26.
    8. ^ 知事記者会見”. 岡山県 (2002年7月8日). 2002年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月6日閲覧。
    9. ^ a b c 『music freak magazine & Es Flash Back B'z XXV Memories I』エムアールエム、2013年、237頁。 
    10. ^ a b c “B'z The Beat “ULTRA Treasure”リクエスト集計最終結果 TOP30”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2008年7月16日). https://www.barks.jp/news/?id=1000041791 2020年6月14日閲覧。 
    11. ^ アベニール(1990/05〜1998/08・RW10型)(1998/08〜2005/09・RW11型) CMについて教えて。”. 日産自動車. 2022年2月1日閲覧。
    12. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「NATIVE DANCE」の項)”. エムアールエム. 2019年9月28日閲覧。
    13. ^ “B'zがMr.Children、GLAYとコラボ繰り広げた「UNITE」熱い競演を配信でも”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2021年9月30日). https://www.barks.jp/news/?id=1000208683 2021年9月30日閲覧。 
    14. ^ “B'z、主催『UNITE #01』全公演終了!配信ライブのスタートも間近”. OKMusic (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2021年9月30日). https://okmusic.jp/news/440141 2021年9月30日閲覧。 
    15. ^ “B'zがMr.Children、GLAYとコラボ繰り広げた「UNITE」熱い競演を配信でも”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2021年9月30日). https://natalie.mu/music/news/447335 2021年9月30日閲覧。 
    16. ^ B'z The Book 1998, p. 28.
    17. ^ “ヒット曲連発のB'z無観客ライブ「5 ERAS」開幕!ファンへの感謝と仲間との絆を伝える”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年11月2日). https://natalie.mu/music/news/403133 2020年11月3日閲覧。 
    18. ^ “【レポート】B'z、5週連続無観客配信ライブ<-5 ERAS 8820- Day1>に大いなる感動「みなさんの胸に届くように」”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2020年11月2日). https://www.barks.jp/news/?id=1000191657 2020年11月3日閲覧。 

    参考文献[編集]

    • WHAT's IN? 1993年1月号』第6巻第1号、ソニー・マガジンズ、1993年1月15日、16頁、雑誌19855-1。 
    • 『Treasure : B'z Chronicle 1988〜1998 10th anniversary special issue』ROOMS RECORDS、1998年9月20日。 

    外部リンク[編集]