TOO MUCH LOVE

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TOO MUCH LOVE
吉川晃司ベスト・アルバム
リリース
録音 1983年 - 1992年
ジャンル
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
プロデュース 吉川晃司
チャート最高順位
吉川晃司 アルバム 年表
LUNATIC LION
(1991年)
TOO MUCH LOVE
(1992年)
Shyness Overdrive
(1992年)
EANコード
JAN 4988006092877
『TOO MUCH LOVE』収録のシングル
  1. せつなさを殺せない
    リリース: 1992年2月6日
テンプレートを表示

TOO MUCH LOVE』(トゥー・マッチ・ラヴ)は、日本のシンガーソングライターである吉川晃司の3作目のベスト・アルバム

1992年3月11日東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされた。『FAVORITE SOUNDS ...1988』(1988年)よりおよそ3年3か月ぶりとなるベスト・アルバムであり、吉川関連のアルバムリリースとしては7枚目のアルバム『LUNATIC LION』(1991年)よりおよそ10か月ぶりとなった。

1984年のデビューから1992年に至るまでにリリースされたラブ・ソングのみを収録したベスト・アルバムである。SMSレコードの消滅に伴い同社所属時代のソロ作品が廃盤となり、入手困難になったためファンからの要望に応える形で吉川がスタッフとともに選曲を行った。

本作はオリコンアルバムチャートにて最高位第1位を獲得した。本作にはテレビ朝日系深夜番組『君といつまでも』のオープニングテーマとして使用された「せつなさを殺せない」が先行シングルとして収録されている。

背景[編集]

吉川晃司は1991年4月12日にソロ復帰作となるシングル「Virgin Moon」、5月17日に初のセルフ・プロデュースとなる7枚目のアルバム『LUNATIC LION』をリリースした[3]。その後同作を受けたコンサートツアー「Lunatic LUNACY TOUR 1991」を、同年5月10日の渋谷ON AIR公演を皮切りに7月24日の日本武道館公演まで21都市全25公演を実施[4]。12月11日および12日、31日には単独公演「1991 LAST SPECIAL EVENT "ROLLING VOICE-Noise1-"」を日本武道館および大阪城ホールにて実施した[3][5]。1992年2月6日には14枚目のシングル「せつなさを殺せない」をリリースした[3]

制作[編集]

選曲は俺とスタッフとで一緒に考えたけど、人が聴きたいものっていうのは、自分の思い入れと違うからね。こういうアルバムが吉川晃司のメイン・ストリームだって感じで提示されることについても、別にいいんじゃないかって思うよ。
吉川晃司,
月刊カドカワ 1993年3月号[6]

吉川は本作についてSMSレコードが消滅し、所属当時の作品が廃盤になっていたことから、「買いたくても買えないよ」という要望に応えた作品として制作したと述べている[6]。また、COMPLEX以前の活動を知らない新たなファンからの「知らないから聞いてみたい」という要望に応えた作品であるとも述べている[7]。本作は新しいファンのためのガイダンスとして吉川とスタッフによって選曲が行われた[6]。吉川は本作収録曲が自身のメイン・ストリームだと提示されても構わないとの発言を行った上で、新作である「せつなさを殺せない」が収録されていることが重用であると述べている[6]。同曲の収録に関して吉川は、「レコード会社的なこともあるんですが(笑)」とも述べている[7]。ラブ・ソングだけの選曲となったことについて吉川は、「この…シラけた時代にあえて、ちょっとテレますけど、愛だ恋だということを大事に生きたいな、と。そう思った次第ですね(笑)」と述べている[7]

構成[編集]

本作には以下のシングルおよびアルバムから選曲されている。

シングル
アルバム
  • パラシュートが落ちた夏』(1984年) - 1枚目のアルバム、「a day・good night」を収録。
  • INNOCENT SKY』(1985年) - 3枚目のアルバム、「心の闇(ハローダークネス)」および「in a sentimental mood」を収録。
  • MODERN TIME』(1986年) - 4枚目のアルバム、「ナーバス ビーナス」を収録。
  • GLAMOROUS JUMP』(1987年) - 6枚目のアルバム、「Little Darlin'」および「恋をしようぜ!!」を収録。
  • LUNATIC LION』(1991年) - 7枚目のアルバム、「ONLY YOU」を収録。

リリース、チャート成績、批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[8]

本作は1992年3月11日東芝EMIのイーストワールドレーベルからCDにてリリースされた。初回生産分はCDケースのディスクトレイ部分が透明になっており、トレイ面に印刷されている本人の肖像が見える仕様になっている。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第1位を獲得、登場週数14回で売り上げ枚数は25.3万枚となった[2]

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、ラブ・ソング・コレクションであるもののバラードばかりではなく、ビートが激しい楽曲も多く収録されていることを指摘した上で、「楽曲の内容を楽しむのはもちろん、ソングライター、アレンジャーの変遷を見ていくのも興味深い」と肯定的に評価した[8]

収録曲[編集]

CDブックレットに記載されたクレジットを参照[9]

#タイトル作詞作曲編曲時間
1.ラ・ヴィアンローズ売野雅勇大沢誉志幸大村雅朗
2.RAIN-DANCEがきこえる安藤秀樹佐藤健後藤次利
3.せつなさを殺せない吉川晃司吉川晃司吉田建
4.MARILYNE吉川晃司吉川晃司松本晃彦
5.心の闇(ハローダークネス)安藤秀樹原田真二後藤次利
6.すべてはこの夜に佐野元春佐野元春西平彰
7.Rainy Laneさがらよしあき麻生圭子佐藤健大村雅朗
8.in a sentimental mood安藤秀樹大沢誉志幸後藤次利
9.終わらないSun Set吉川晃司吉川晃司松本晃彦
10.Little Darlin'吉川晃司吉川晃司清水信之
11.恋をしようぜ!!吉川晃司吉川晃司清水信之
12.キャンドルの瞳安藤秀樹原田真二後藤次利
13.ナーバス ビーナス吉川晃司吉川晃司後藤次利
14.ONLY YOU吉川晃司吉川晃司菅原弘明・後藤次利
15.a day・good night安藤秀樹佐藤健大村雅朗
合計時間:

スタッフ・クレジット[編集]

CDブックレット背面に記載されたクレジットを参照[10]

リリース日一覧[編集]

No. リリース日 レーベル 規格 カタログ番号 最高順位 備考 出典
1 1992年3月11日 東芝EMI/イーストワールド CD TOCT-6445 1位 [8][11]

脚注[編集]

  1. ^ 吉川晃司/トゥー・マッチ・ラヴ (東芝EMI): 1992”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2023年12月31日閲覧。
  2. ^ a b オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 1999, p. 41.
  3. ^ a b c 月刊カドカワ 1993, p. 63- 「ALL DATA 10 YEARS HISTORY」より
  4. ^ 吉川晃司 -LUNATIC LUNACY1991”. LiveFans. SKIYAKI APPS. 2023年12月31日閲覧。
  5. ^ 吉川晃司 -1991 LAST SPECIAL EVENT "ROLLING VOICE-Noise1-"”. LiveFans. SKIYAKI APPS. 2023年12月31日閲覧。
  6. ^ a b c d 月刊カドカワ 1993, p. 43- 「本人自身による全アルバム解説」より
  7. ^ a b c PATi・PATi 1992, p. 156- 野中ともそ「吉川晃司」より
  8. ^ a b c 吉川晃司 / TOO MUCH LOVE [廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2023年12月31日閲覧。
  9. ^ TOO MUCH LOVE 1992, p. 3.
  10. ^ TOO MUCH LOVE 1992.
  11. ^ 吉川晃司/トゥー・マッチ・ラヴ”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年12月31日閲覧。

参考文献[編集]

  • 『TOO MUCH LOVE』(CDブックレット)吉川晃司、東芝EMI、1992年、3頁。TOCT-6445。 
  • 『PATi・PATi 1992年3月号』第8巻第4号、ソニー・マガジンズ、1992年3月9日、156頁、雑誌07555-3。 
  • 月刊カドカワ 1993年3月号』第11巻第3号、角川書店、1993年3月1日、43, 63、雑誌13533-3。 
  • 『オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 昭和62年-平成10年』オリコン、1999年7月26日、41頁。ISBN 9784871310468 

外部リンク[編集]