OFF THE LOCK

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OFF THE LOCK
B'zスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル
時間
レーベル BMGビクター
プロデュース 中島正雄
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • ミリオン(日本レコード協会[4]
  • B'z アルバム 年表
    • B'z
    • (1988年)
    • OFF THE LOCK
    • (1989年)
    『OFF THE LOCK』収録のシングル
    1. 君の中で踊りたい
      リリース: 1989年5月21日
    テンプレートを表示

    OFF THE LOCK』(オフ・ザ・ロック)は、日本音楽ユニットB'zが1989年5月21日にBMGビクターからリリースした2作目のオリジナル・アルバム。このアルバムは、BMGルームス(現:VERMILLION RECORDS)の設立後も、発売権はソニー・ミュージックダイレクトGT musicに残された。

    概要[編集]

    キャッチフレーズは「マインドも進化する[5]。本作からはすべての楽曲で稲葉が作詞、松本が作曲を担当[注 1]

    アルバムタイトルについて稲葉は、「元々は『鍵を外せ』という意味。」「例えばリスナーの人にとっては、日常生活、恋愛関係、友人関係、そういう既成概念にとらわれずに自分自身で鍵を開けて新たなところに一歩出て、人と付き合うとか生活するというテーマ。僕たち自身にとっては、音楽を創っていく立場で、サウンド的に1枚目であったラインを僕ら自身で破って前に出て行くという意味がある。それで、『コンサート』が一番大きな“OFF THE LOCK”になる。」と語っている[6]

    前作の発売からすぐに、「全曲シングルにできるくらいのクオリティ」を目指して作られ、製作には約1000時間と当時新人アーティストとしては異例の時間をかけて制作された。しかし、稲葉にとって本作製作時が一番作詞に悩んだ時期だった。稲葉は後のインタビューで、「曲は既に出来て上がっているのに、自分が担当する詞がまったく出来ていなかった状況に大変焦り、常に作詞のことを考えているのが憂鬱でしょうがなかった」「また、苦労して作詞をしても周りから批評されるので、途中で投げ出して逃げたいと何度も思った」などと語っている[7]。その一方で松本は「稲葉の詞がよくなっている」と評している。

    しかし、発売当時は初登場35位[8]で、100位以内には4週ランクインしたのみで、前作と同様に殆ど売れず、メンバー曰く「(時間をかけたわりにはあまり売れず)周りの関係者からお叱りをうけた」と語っており、後に松本はインタビューで「全曲シングルでいけると思ったのになぜか売れなかった」とコメントしている。その後、実験的に発売したミニ・アルバム『BAD COMMUNICATION』のヒットとともに売上を伸ばし、最終的には60万枚以上のセールスを記録した[1]

    本作発売後、十分にライブができる数の曲が揃ったとして初の単独ライブツアー『B'z LIVE-GYM #00 "OFF THE LOCK"』を行った。3会場3公演とはいえ、単独デビューライブとしては異例のホール会場[注 2]のみで開催された。

    非公認ベスト・アルバムFlash Back -B'z Early Special Titles-』には、表題曲「OFF THE LOCK」を除いた全曲が収録されている。

    2018年に結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[9][注 3]

    収録曲[編集]

    CD
    全作詞: 稲葉浩志、全作曲: 松本孝弘、全編曲: 松本孝弘・明石昌夫
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.君の中で踊りたい稲葉浩志松本孝弘
    2.「HURRY UP!」稲葉浩志松本孝弘
    3.「NEVER LET YOU GO」稲葉浩志松本孝弘
    4.「SAFETY LOVE」稲葉浩志松本孝弘
    5.「GUITAR KIDS RHAPSODY」稲葉浩志松本孝弘
    6.「夜にふられても」稲葉浩志松本孝弘
    7.「LOVING ALL NIGHT」稲葉浩志松本孝弘
    8.「OH! GIRL」稲葉浩志松本孝弘
    9.「ROSY」稲葉浩志松本孝弘
    10.「OFF THE LOCK」稲葉浩志松本孝弘
    合計時間:

    楽曲解説[編集]

    1. 君の中で踊りたい
      2ndシングルの表題曲。
    2. HURRY UP!
      歌詞は友人の恋を応援する内容。稲葉は「僕の高校時代に似てます」と語っている[10]
      “Hip Chic”という歌詞は“サカナ”と歌われている。
      B'zの曲で最もテンポが速い[11]
      無名時代、『YAMAHA EXPLOSION '89』(バンドコンテストの大会。後にテレビ放映もされた)に前座として出演し、「だからその手を離して」とこの曲を披露した。
      1992年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure '92 "TIME"』以降長らく演奏されていなかったが、2008年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM 2008 "ACTION"』(鹿児島限定)で約16年ぶりに演奏された。
    3. NEVER LET YOU GO
      当時のライブで稲葉は「この曲を歌いながら泣きそうになった」とコメントしている。
      後に松本は、この曲を「B'z究極のラブソング」と評している[12]
      マスト・アルバム『B'z The "Mixture"』には再録バージョンが収録された。
    4. SAFETY LOVE
      2ndシングルのカップリング曲。
    5. GUITAR KIDS RHAPSODY
      歌詞中に「ジミヘン」が出てくる。アルバムツアーでは、ジミ・ヘンドリックスに扮した人物が登場した[13]
      歌詞中の「ストラト」とはストラトキャスターというギターのこと。
      7thシングル『愛しい人よGood Night...』には再録バージョンが収録された。
      1992年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure '92 "TIME"』以降長らく演奏されていなかったが、2023年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』で約31年ぶりに演奏され[14][15]、歌詞にある「ストラト」が「レスポール」に変更された[14]
    6. 夜にふられても
      夜のドライブをテーマにした曲。
      松本は本曲についてライブで演奏するのが楽しいと語っている[10]
      1989年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM #00 "OFF THE LOCK"』以降長らく演奏されていなかったが、2023年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』で約34年ぶりに演奏された[14][15]
    7. LOVING ALL NIGHT
      当時流行のディスコをテーマとした曲。
      「君の中で踊りたい」同様ラップを絡めてある。
      3rdミニアルバム『MARS』には全英詞バージョンが収録された。
    8. OH! GIRL
      B'z The Best "Treasure"』の投票では16位にランクインした。
      マスト・アルバム『B'z The "Mixture"』には再録バージョンが収録された。
      ライブでの演奏機会が本作収録曲では最も多く、特に1997年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure '97 "FIREBALL"』、2008年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-[注 4]、2023年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』を除くすべてのPleasureツアーシリーズで演奏されている。
    9. ROSY
      メロディは松本がB'zでのデビュー前に発売したソロアルバム『Thousand Wave』収録曲「"99"」が元になっている。
      またサビの部分は、後に「Love Ya」の中間部ギターソロパートで使用している。
    10. OFF THE LOCK
      表題曲。約1分20秒と短く、歌詞は一応あるもののインストゥルメンタルの趣向が強い。
      アルバムに表題曲が入るのは本作が初であり、表題曲が最後に来る作品はシングル、アルバム通して本作のみである。
      2020年に行われた無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のオープニングSEに新録バージョンが使用された。

    参加ミュージシャン[編集]

    ライブ映像作品[編集]

    シングル曲については各作品の項目を参照

    GUITAR KIDS RHAPSODY

    夜にふられても

    OH! GIRL

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 例外として、2011年以降制作されているシングルの英詞版(「Into Free -Dangan-」等)はサポートメンバーのシェーン・ガラースと稲葉の共同で作詞。
    2. ^ 愛知芸術創芸センター、大阪厚生年金会館中ホール、日本青年館の3箇所
    3. ^ 発売は、原盤権を所有するアリオラジャパン
    4. ^ 同年の『B'z LIVE-GYM 2008 "ACTION"』で演奏され、曲目が総入れ替えとなったため。

    出典[編集]

    1. ^ a b “B'z、さらなる記録更新へ!ニューアルバムリリース決定!”. ORICON NEWS (オリコン). (2006年5月10日). https://www.oricon.co.jp/news/21023/full/ 2020年3月15日閲覧。 
    2. ^ Billboard Japan Top Download Albums | Charts”. Billboard JAPAN. オリコン (2021年5月26日). 2022年12月14日閲覧。
    3. ^ B’zのデジタルアルバム売上TOP6作品”. ORICON NEWS. オリコン. 2022年12月14日閲覧。
    4. ^ 日本レコード協会 ミリオン以上認定作品」『The Record』第442号、日本レコード協会、1996年9月1日、4頁。 
    5. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「キャッチコピー」「catch copy」の項)”. エムアールエム. 2019年9月28日閲覧。
    6. ^ B'z The Book 1998, p. 11.
    7. ^ 『B'z TWELVE』祥伝社、2000年。ISBN 4-396-61118-8 
    8. ^ オリコン週間アルバムチャート1989年5月29日付
    9. ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日). https://rockinon.com/news/detail/174432 2018年11月10日閲覧。 
    10. ^ a b 『be with!』第02巻、B'z Party、1989年6月。 
    11. ^ MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「アップ・テンポ」「up tempo」の項)”. エムアールエム. 2014年4月10日閲覧。
    12. ^ 『be with!』第106巻、B'z Party、2015年6月。 
    13. ^ B'z The Book 1998, p. 41.
    14. ^ a b c “B’z、無数の“STARS”と分かち合った35年分の思い「皆さんこそがB’zにとって最大のHERO」”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2023年9月27日). https://natalie.mu/music/news/542348 2023年9月27日閲覧。 
    15. ^ a b “【ライブレポート】B'z、何が起ころうとも変わらぬ誠実さと誉れ高きプロ意識”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2023年9月27日). https://www.barks.jp/news/?id=1000240306 2023年9月27日閲覧。 

    参考文献[編集]

    • 『Treasure : B'z Chronicle 1988〜1998 10th anniversary special issue』ROOMS RECORDS、1998年9月20日。 

    関連項目[編集]

    外部リンク[編集]